ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

成形はマジックだ・・・・・

色々な質問を戴く中で、どうしても多い傾向にあるのが

なぜこうなってしまうのか?? というものです。 

それはそうですよね、みなさん日頃パンを作られていくなかで、中には書籍により、あるいはネットで検索してサイトを探し、あるいは地元のパン教室などに通ったりしながら、それぞれ得た情報を元に作っているはずですが、実際にはなかなか思うようにはいかない、サイトで紹介しているようには出来ない、教室では出来てもうちに帰るとだんだん問題が出てくる、そして色々と調べていく中でまたしてもどんどん解らなくなっていく・・・・

パン作りとはそういう意味では非常に難しいと感じてしまっている方も多いのではないでしょうか。

パン作りは本当に難しいのか???、それともなにかコツさえ掴めばそうでもないのか???

それはどこを目標においているかにもよりますし、作る量にもよる訳ですが、簡単に言えばこう言えると思うのです。

それは、「自分が納得した時点がゴール」 だという事です。 

そもそも、どんなに自信作でもご主人やお子さんが食べてはくれない・・・・では、結果納得はできないでしょうし、お店ではお客様がどんどん減っていくのに自信作だと言い切ることも出来ないでしょう。 

食べてくれる人の評価があって、はじめて満足できるかどうかが決まるわけですね。 

そう考えると、意外と自分勝手にただただ悩んでいる・・・・なんてこともあるのがパン作りだとも言えると思うのです。 

食べてくれる人の気持や好みを考えた上で作ってこそ評価に値するのであって、自分が挑戦したことへの満足感を押し付けるようなパン作りでは家族は喜びませんし、お店も繁盛しないと思うのです。 

そう考えますと、家庭であっても、お店であっても、何をどう作ることが食べる人の喜びにつながるのかを常に分析する柔軟さとセンスが必要なのではないかと感じています。

事実、私個人としましても、技術力を見せつけるような自信作が出来たとしても、それが評価され売れ筋になるということは経験したことがありません。 

むしろ、とりあえず作ってみた・・・

流行りを追ってみた・・・みたいなものの方が売れたりする事が多く、「要するにまだまだ押し付けなんだな」と反省することしばしばなのです。 

た・だ・しですよ、あくまで私個人の場合ですが、どんなに売れるパンが完成したとしても、自分がそのパンに美しさを感じない限りは商品化はしません。 それが例え売れそうなパンであったり、お客様の要望通りのパンであったとしても、作りたくないものは作らない、それだけが私の唯一のこだわりなのです。 

このこだわりは私の製パン人生においてプラスに働いているのか、それともマイナスに働いているのか・・・それは解りません。 

ただ、嫌なものは嫌だというだけで、そこには何の理屈も道理も存在していないというなんとも無責任な考え方なのですが、これだけは曲げられないのでした。 

そんな、売れ筋とか流行とかとは真逆に、己の満足を主体としたパン作りとも言える私の自己満パンの主体は、「とにかく美しいパンであるということ」になろうかと思います。 

人が何かを食べて美味しいと感じるのには、いろいろな要素があると思います。 それは ”香り”であったり、”盛り付けやデザイン” であったり、”喉越しや口溶け” であったり、時には食べ物よりもロケーションが優先されるなんてこともあるでしょう。 

事パンに関しては、意外とデザイン重視というよりも、価格や流行がメインになっているような気がしますが、いかなるパンを作るにしても、どうしてもそこに最高の美しさを求めてしまう自分がいるのです。  

パンの美しさといっても、何を持って美しいと感じるかは人それぞれだと思うのですが、私の場合は全体的なバランスと肌の美しさに重きをおきます。

バランスと言うのは、例えば生地と具の量がどうかとか、長さや高さがどうかというものですが、生地に余計な負荷がかかってボリュームが出過ぎてしまうとか、逆に生地の特性を活かしきれずにボリュームが出ていないとか、具の多さで生地の特性が活かされていないとか、単にかっこわるい形だなと感じるとか、クープの開き具合が今ひとつであるとか・・・・う~ん、やはり書いていながらすでにこの表現は難しいですね。 もう少し解りやすく表現するならば、丁度良い発酵具合と丁度良い力加減で成形された、ハリのあるパンとでも言ったほうが良いかな??

尚更わかりずらいかも・・・・^^;

とまあ、どうでもよい自分のこだわりはさておいて本題に戻りますと、パン生地それぞれによって、その生地に適した最適な成形を行ったかどうかで、全く違う顔を見せるのがパンなのです。

冒頭の ”なぜこうなってしまうのか” の答えは、「あなたがそうなるようにしてしまっているから」となり、解決策としては 「そうならないようにしてあげること」 にほかならないのです。

つまり、どこが悪かったかに気づいて修正すれば治るということですね。

成形という行為は、パン作りにおいて必ず必要な行為であるわけですが、皆様もご存知の大手のパンというのはほぼ機械で作られています。

その機械が何を手本として作られているかといいますと、それは人間の手にいかに近づけるかということなのです。

様々な食品が機械で作られていると思いますが、その中でもパン生地というのはとても難しく、未だに手でしか作れない成形というものがあるくらい、取扱が難しいのがパン生地なのです。

ですので、その取扱が難しいパン生地を成形するという行為をマスターすることが、すなわちパンの完成度を決めるもっとも重要なポイントとなるわけですね。

では、一体パン生地というのはどうして取扱が難しいのでしょうか??

パン生地あるあるを少し紹介しておきますと・・・

少しずつ膨らんでいくことにより、ベタベタしていた肌がやがては徐々に乾燥していく所。

プリプリとしていたのに、時間の経過により少しずつ緩んでくる所。

伸ばそうと思っても戻ってしまう所。

力を入れると切れ、入れないとガスが抜けない所。

手粉を使うと滑ってしまい、使わないと手にベタベタとくっつく所。

丸く伸ばすのが非常に困難な所。

かと言って四角く伸ばすのはほぼ不可能な所。

麺棒で伸ばしても同じ厚さにはならない所。

いかがでしょうか、確かに扱いづらいですよねパン生地というのは・・・・

しかし、だからこそ面白い、そして手作りの技が活かせるのもハンドメイドだからこその特権なのだと思えば、チャレンジしたくなるのもパン作りなのではないでしょうか。

ということで、このカテゴリでは、

”なぜこうなってしまうのか”

そして ”どうすれば治るのか” を、頂いた質問の中から成形という視点で見ていきたいと思います。

パンの成形には、大きく分けるとこのような手法が必要になります。

それは、”丸める” ”伸ばす” ”包む” になりますが、”丸める” は日頃どのようなパンを作るにしても、必ず行う手法ですよね。

そして、手であれ麺棒であれ、時には平たく、時には長く、”伸ばす” ことにより、様々な形に変化させることができ、何かを ”包む” ことでパンのバリエーションは無限に広がっていきます。

この他にも ”巻き込む” とか、 ”混ぜ込む” とか、 ”たたむ” などもありますが、いずれにしてもこれら一連の手法を生地にとって ”最適な” 方法で行えば、必ず美しいパンになることが約束されるのです。

さらに、成形というものを理解していく上で忘れてはならないとても重要なポイントがあります。

それは、”発酵状態を見極める” ということと、”手粉” の使い方をマスターするということです。

特に手粉の使い方と言うのはとても重要で、例えば手粉を一切使えなかったとしたらどうなるかと言いますと、少なくとも私には成形できるパンは存在しないことになりますし、完成品はそれはそれはひどいものになると思います。

成形が上手か下手かというのは、実は手粉の使い方が上手か下手かということに他ならないのです。

それくらい ”手粉” というのは重要なのです。

そんなことくらい知ってるよっ!!・・・・・と軽んじるなかれ、次回からケースバイケースで見ていきたいと思います。

最後に私はこう思っています。

成形はマジックだ・・・・・


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