ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

ミックス粉で作るパンは美味しい・・・・のか???

こんな質問をいただきました。

うちの工房では、とにかく多くのミックス粉を使っています。

フランスパンも食パンもすべてミックス粉ですし、ドーナツやスイートロールもミックス粉です。

品質が安定していて、冷凍生地を使うよりも良いパンが出来るからだとチーフは言っているのですが、これって自家製だと言えると思いますか?

価格も高くつくと思いますし、何よりも発酵時間が短いのが楽と言えば楽なのですが、作り手としてどうなのかなと考えてしまいます。

他のパン屋さんではどの程度ミックス粉を使用しているのでしょうか?

ミックス粉で作ったパンは、ミックス粉で作った事が専門家が食べればわかってしまうものなのでしょうか。

大変おかしな質問である事は十分承知していますが、これで良いのか悪いのかがどうしてもはっきりと知りたくて質問させていただきました。

ブログを拝見していて、ミックス粉の事があまり書かれていないので、語る価値もないものなのかなとも考えてしまい、気になって仕方がありません。

他に聞ける人がいないので、解る範囲で構いませんので教えていただけないでしょうか?


ミックス粉ですか・・・・確かにあまり触れては来ませんでしたね(~_~;)

と言うよりも、ミックス粉に関する質問は正直初めていただきました。

そもそも皆様は、ミックス粉なるものをご存知でしょうか???

誰でも知っているミックス粉といえば、そうそう、あのホットケーキミックスがありますね。

少しの材料を加えるだけで、見事にふっくらとしたホットケーキが出来ますよね(笑)

製パン原材料の中には、このホットケーキミックスと同じように、安定的に様々なパンが作れるように工夫されたミックス粉というものがあるのです。

ではいったい、どの位の種類のミックス粉が存在すると思われますか???

恐らくは、ミックス粉だけでパン屋が開けるほどの種類が存在しているのです。

しかも、各メーカーがそれぞれ色々と出していますから、その種類はと言うと・・・・

かなり多く、数百種類はありますね。

ではこのミックス粉で作ったパンは、果たして美味しいのかどうか・・・・・

について考えてみたいと思います。

まず、ミックス粉の中にはいったい、どのような材料が含まれているものなのでしょうか?

まず、必ずと言っていいほど入っているであろう材料と言えば、恐らく改良剤や安定剤などの食品添加物。

ミックス粉の利点と言えば、作業の短縮はもちろんですが、何よりも安定的に作る為のものですので、食品添加物は欠かせない事になります。

ただし、だからと言って薬品だらけのようなイメージを持ってはいけませんよ(ー_ー)!!

様々な酵素剤などの開発により、より安全に気を使って作られていますので、その辺は気にするべき所ではないと思います。

次に配合されているであろう材料としては、砂糖や塩などの、いわゆる味付け的な材料ですね。

それからこれも必ずと言っていいほど配合されているはずなのが、油脂や卵や乳製品ですね。

これらは皆粉末状に加工されて入っていますので、ミックス粉と言うのはほとんどがやや黄色い色をしています。

もちろん、これら以外にも色々入っているはずですが、そのあたりは企業秘密ですから私には解りません。

では、ミックス粉で作るパン生地と言うのは、一から作ったものと比較して、どのような違いがあるものなのでしょうか?

まず、ミックス粉の最大の武器である安定とは、いったいどこからくるのでしょうか?

それは、計量の際に数量を間違える事があり得ない事、すべてが粉末状に綺麗に混ざり合っている事、さらには、ミキシングの不足や過多、あるいは分割成形時の生地のダメージを最小限に抑える工夫がなされている事だと思われます。

と言う事は、今日のパンは少ししょっぱくない??? みたいな事や、捏ね上げ温度に神経をピリピリさせなくても、計量は半分以上済んでいるのでどんどんミキシング出来ますし、例えば少量づつ何回も回す事が可能になったりしてくるのです。

ミキシングから分割に至るまでの工程が、劇的に楽に、しかも安定的に行えるようになります。

そして分割以降の工程でも、生地はとても扱いやすく、少しくらいの生地温度の違いや、室温などの変化にも影響を受けにくく、それでいてしっかりとふんわりとしたパンが完成しますので、一度使うと離せなくなると思います。

では、肝心の味はどうなのでしょうか????

その部分は、正直食べる人の好みですので、一概には言えないと思います。

質問にもありましたが、専門家が食べれば、ミックス粉で作ったパンかどうかは解るものもあります。

ただし、解らない物もあると思います。

と言うのは、そもそもがミックス粉は冷凍生地のように発酵を行わないで作るパン生地とは違い、小麦粉以外の材料が配合されていると言うだけで、発酵そのものは通常のパンと同様に行われている訳ですから、美味しくない訳は無いと考えらられますよね。

しかも、厳選されたそのパンに合う材料が使われているはずです。

確かに発酵時間はやや短縮されている物が多いとは思いますが、充分自家製の生地だと考えて良いのではないでしょうか。

私の場合は、あくまで個人的な見解ですが、ミックス粉は全く使用していません。

その理由は、必要だと感じないからです。

ただそれだけです。

ミックス粉で作ったパンを否定しているのではなく、私には必要が無いだけで、必要として使われているパン屋さんはたくさんいらっしゃいますし、その出来栄えは充分素晴らしいものだと思っています。

ですので、たくさんの種類を少量ずつお店に並べたいというお考えならば、大いに活用する事をお勧めいたします。

ミックス粉で作ったパンには、ある特徴が表れます。

それが良いのか悪いのかは好みの問題ですが、傾向としてどのようなものなのかを少しだけ書いておきましょう。

まず、キメが非常に細かいパンになります。

これは、全般的にしっかりとミキシングする為ですが、悪く言うと、例えばフランスパンなどもどうしてもキメが細かくなる傾向があります。

そうなると、ハード???ではなくなってしまいがちなので、ミキシングを減らしてみるなどの工夫は必要かと思います。

何が何でもレシピ通りにミキシングしなければならないと言うものではありませんので・・・・・(ー_ー)!!

そして、クラストがもろいパンになります。

これは、良く言えば歯が無くても食べられるような、しっとりとした表皮になります。

しかし悪く言うと、食べ応えと言いますか、噛み応えが無くなります。

何故かと言いますと、油脂が初めから配合されている為に、皮が柔らかくなってしまうからです。

そして何よりも、風味が個性的になります。

これは、良く言えば香りの強い個性的なパンなのですが、悪く言うと作られた香りが鼻に残ります。

何故かと言うと、ほとんどのミックス粉には香料が含まれているからです。

私は個人的に、どうしてもこの人工的な香りが苦手で、ミックス粉は遠慮してしまうのです。

しかし、一般のお客様は香りが大好きですよ。

人工的であろうとなかろうとです。

メーカーもそのあたりは充分知った上で、様々な香料の研究をしています。

そんな傾向を知った上で、是非一度は使用してみてほしいと思います。

ただし、当然の事ながら、安定と副材料とがミックスされている訳ですから、お値段はそれなりに高くなる訳ですけどね(~_~;)


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