ベーカリーアドバイザーの部屋

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生地別に見る最終発酵のコツ

別のカテゴリでも一部紹介しているものもあり、重複してしまう部分もあろうかと思われますが、ここではあらためて、最終発酵の重要性について説明しておきたいと思います。

ホイロ(発酵室)の温度と湿度については、皆様すでに自分なりの設定があり、尚且つコツの部分もおありでしょう。

当然ながら、大忙しのベーカリーと家庭とでは、温度湿度共に様々な違いがあると思われますし、それぞれの方々が良しとされたものがあるはずです。

それはそれで誠に良いのですが、はっきり申し上げて、それはパン生地にとって果たして本当に最善なのか??

ちょっとそれはまずいのではないか????

そう思えるような設定でお使いの場面に、遭遇する事がしばしばあるのです。

ホイロの温度湿度というのは、いちいち商品ごとに変えられるものではありませんよね。

色々な商品、つまり色々な種類のパン生地が、ランダムにホイロに入れられていく訳ですが、その都度設定を変える方と言うのはあまりいないと思います。

ホイロに入っている生地の全体的平均をとって、まあ大体この位だろうと言う事で決めているはずです。

と言うよりも、ほとんど気にしていないパン屋さんが実際には多いと言うのも現実でしょう。

もっと言うなら、温度も湿度も高めに設定しておいて、どうせ開け閉めが多くなると自然と熱が逃げるのだから、それで調整になっているはず・・・・・・

そんな現場も少なくないはずです。

大きめのホイロの場合は実際にはその通りで、空けば次の生地が入ってきますので、開け閉めによる熱の放出を考慮して、高温多湿にせざる終えないという場合もあろうかと思います。

ですので、問題は設定温度と湿度が何度が果たして良いのか・・・・?

と言う事では無く、あくまで発酵を終えた生地の状態が良いのか悪いのか・・・・?

と言う事で判断するしかない訳です。

つまり、パン生地にとってはプロセスは問題ではないのですね。

発酵後の生地状態が最良であるとすれば、それは設定が例え何度であったのだとしても、結果として良かったのだと言う事になる訳です。

ですので、レシピや工程などによく何度で何パーセントですよ・・・・と書かれていたとしても、それはあくまで一般的なものであって、最終的には自分で最良を見抜けなければならないと言う事になる訳です。

そして、総合的に言えるのは、往々にしてホイロの設定は高めにされている事が多いと言う事です。

更に、そのせいでパンが台無しになっている事が非常に多いのも悲しい現実なのです。

どうも、ホイロの役割を勘違いされている方が一部にはいらっしゃるようです。

それはまるで、コンビニの中華まんがふかふかに温められているようなイメージが良いと思われている方々です。

ホイロと言うものの役割、つまりは最終発酵の大切さを考える時に、上記の中華まんのように温めて発酵を促進させてやる・・・・と言うようなイメージはあまり良いとは言えません。

パン生地の発酵と言うものは、時間の経過と共に進行していきます。

生地の配合にのっとった理想的な発酵時間を過ごす為に、その促進を邪魔するような乾燥や低温などを防ぎながら、滑らかに生地が膨らんでいく為の環境を整える事が重要なのです。

けして無理やりに発酵を早めるような高温多湿環境を作ってはなりません。

無理な高温多湿環境に置かれたパン生地は、イースト菌の活動もピークを迎えてしまい、本来ならオーブンでピークを迎えなければならなかったはずが、肝心のラストスパートでずっこけてしまう事になるのです。

例えるなら、途中で全力を出してしまった為に、ラストスパートで力尽き、失速してしまったマラソンランナーのようなものなのです。

また、パンの場合は失速だけでは済みません。

無理な全力疾走のおかげで、糖分は余計に失う事になり、さらには過度の発酵臭もおまけに付いてしまうのです。

どんなにホイロまでのプロセスが上手くいっていたとしても、過度なスピード発酵を行ったパンと言うのは、それはそれは何ものにも例えようのない、まずいパンになってしまうのです。

どなたにも、少なからず経験があるのではないでしょうか?

パン本来の理想的な美味しさを追求したければ、例えどのようなレシピであったとしても、この最終発酵を丁寧に、しかも最高の状態で迎えられるようにする事、それがとても重要な事なのです。

同じようなレシピ、同じような原材料と工程によって作られているパンは数え切れない程あるでしょう。

しかしその品質たるや、まさに千差万別と言っていいでしょう。

それ位、最終発酵の見極めによって完成品の品質は大きく違ってくるのだと言う事をまず知って下さい。

さらにそれは、生地の配合によって大きく変わってくるのです。

では、あくまで一般的な生地の配合による、ホイロのコツについて説明しておきたいと思います。

まずは無糖、あるいは少量の砂糖しか配合していない、いわゆるフランスパンの仲間達の場合ですが、これらのパンは最大限にホイロでの注意が必要なパンとなります。

他のパン生地とは違い、温度は30℃を超えないようにして下さい。

また逆に、低過ぎてもいけません。

下は25℃を下回らないように注意して下さい。

また、特に注意すべきは湿度で、けして生地が濡れないようにし、さらに乾燥はもってのほかです。

発酵時間は、成形や焼成イメージによって大きく変わりますが、あまり長くホイロを取ると、風味に欠けたパンになりますので、理想的なのは、ダメージをあまり与えない成形にして、ホイロは短めにするのがコツであると言えると思います。

次に食パンなどを代表とする中糖度(対粉5~10%)のパンの場合、あるいは高糖度の菓子パンなどの場合ですが、これらのパンはやや高温多湿が最適です。

温度は35℃前後、湿度は75%前後と、ごく一般的な温度帯だと言えます。

ほとんどのパンがこの温度帯に属すると思われますが、この温度帯を好むパン生地の最終発酵のコツは、ややオーバー気味に発酵させる事です。

つまり、長めにホイロを取り、充分に膨らんだ生地を、高温短時間焼成することで、余分な水分を奪われる事無く、しかも表皮の薄い、火通りの良いパンになるのです。

ホイロを早めに切り上げた場合、オーブンでのいわゆる窯伸びは良くなります。

しかし、過度に窯伸びしたパンと言うのは、以外にも焼成時間が長くなり、表皮が厚くなり、水分も多く失う事になります。

細かく言えば、どのような形のパンか、どのような成形なのかによって目指す所は違ってはきますが、ごく一般的な食パン・菓子パン・焼きこみ調理パン・コッペパンなどのようなパンの場合は、オーブンの中で大きくするのではなく、ホイロで大きめにしたものをサッと焼くと言うイメージの方が、風味・しっとり感・ソフト感共に理想的なものになると言えると思います。

そして最後に、油脂の配合が多いパンの場合を説明しておきましょう。

・・・・と言いたいところですが、油脂の場合はその種類によって、又は配合量によって大きく変わってきます。

ここですべてを紹介すると長くなりますので、次回に回したいと思います。

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