ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

小さく産んで大きく育てる・・・・為にはまず

パン屋の経営スタイルと言うのも、その年代によって様々と変化して参りました。

それは何よりも、市場が刻々と変化しているからであり、その時代に適応した販売戦略が、企業を中心として取られてきた訳です。

しかしそんな中でも、全国的に見れば、大手冷凍生地ベーカリーの独り勝ちとも言えるかもしれません。

それまで地域でチェーン展開していた中小ベーカリーと言うのは、新たに出店してくるこれらの大手冷凍生地ベーカリーにほぼ完敗状態であると言えます。

地域で数十店舗を有していたベーカリーが、なぜ新参者の大手に負けてしまうのでしょうか?

それは、どこまでいっても技術力を継承していく事の難しさに悩まされてきた中小ベーカリーの、言わば宿命なのかもしれません。

ある程度業績が伸びると、すぐに店舗を増やす。

必然的にパン職人が不足がちになり、各店舗での商品管理に差が出てしまう。

それを補うためにセントラル工場を作り、商品の集中管理を行う。

すると、やっている事は大手の真似ごとに過ぎず、名入りのトラックが各店を配送して回る事になる。

創業当初は何よりも地域密着で作られてきたパンのはずが、中途半端にシステムにのめり込む事となり、結果焼き立てと言うメリットを失う事になるのです。

店舗が増えれば商品も技術者も不安定になる・・・・

その事を充分熟知している大手は、技術やパン職人に頼らないパン作りを目指し、見事なまでに現在の不動の位置を確保した事になるのです。

そんな時代時代で変化してきた市場の中にあって、今も尚輝き続けているのが町の人気店、つまり個人店なのであります。

もちろん個人店も、すべてが万歳と言う訳ではなく、シャッター街の仲間入りをしてしまっているお店もあれば、単なる税金対策のようなお店もあります。

個人の場合は、市場が変化したからと言って簡単に移転する訳にはいきません。

私自身も、そのあたりは嫌というほど体験して参りました。

駅前の好立地で、日商70万円だったお店が、閉店当時で日商10万円。

アーケード付きの商店街の中心部という好立地で、日商50万円だったお店が、閉店当時で日商6万円。

その他にも、国道沿いのお店が、バイパスが出来た途端に売上が80%ダウンしたり、近くにモールが出来て全てのお客様を取られてしまったり、とにかく市場の変化というのは、とても恐ろしいものだと思っています。

つまり、お店を継続して繁盛させていくには、最低でも技術力の継承と市場の変化というものと、日々戦っていかなくてはならないと言う事になるのです。

市場の変化は、昨日今日起こるものではありませんから、色々と考える時間があるのに対して、技術者が事故や病気になってしまったら、もうそれだけで絶体絶命と言う事にもなりかねません。

しかし・・・・

そんな大変な思いが待っているのにも関わらず、パン屋の開業を目指す人は後を絶ちません。

そして更に多いのが、やってはみたものの、先行きが見えない・・・と言う方々。

なぜもっと早く相談してくれなかったのか・・・・

そう言いたくなるような、色々と手を出してしまっては失敗している方々。

希望 と言うのは、力になるのですね。

その希望のおかげで、先行きを見失なってしまっている事に気がつけないでいる・・・

そんな方は意外と多いのではないでしょうか?

現に、色々とアドバイスしていくなかで、最終的にはダメ出しをしているにもかかわらず、最後はごり押しではじめてしまうと言う方がいます。

しかし、成功と言えるような状態まで行けている方を私は知りません。

最後はもちろん自分自身の頑張りです。

私が何と言おうと、やるもやらぬもご自分の勝手ですし、成功するか失敗するかは誰にも本当の所は解りません。

まあとにかくやってみる・・・・自分の人生だから。

そんなセリフも多々ありました。

家族も友人も人脈も多い人は、何とかなるだろうと言う思いから脱却出来ないのかもしれません。

応援する側というのは、あなたのその気持ちを応援しているのです。

売上を応援してくれる訳ではありません。

そこそこ売上を確保していく為には、最低限、そして絶対的に必要なものがあるはずです。

それは何を隠そう、パン屋なのですから、パンを作る技術と知識と経験が必要なのです。

それが明らかに無いのに、どうして成功を夢見てしまうのか・・・・

もっと言うなら、そこそこの経験があっても、10年と持たないパン屋さんはたくさんあります。

修業時代の仲間に先輩職人、友人と家族、多くの知人と元の会社関係の人脈、それらがすべて備わっていても、その人達が毎日パンを買いに来てくれる訳ではないのです。

ましてや、商品に魅力がなければ家族ですら買わないかもしれません。

それが現実なのです。

そう考えると、やはり開業するにあたっては、このような事が言えるのではないでしょうか。


1、ある程度の品質を維持出来るだけの技術力があるか。

2、魅力のある商品を作り出す事が出来る商品知識と想像力をもっているか。

3、新商品を開発していけるだけのノウハウを持ち合わせているか。

4、作業工程を組めるだけの経験と技量があるか。

5、ある程度の経営力を身につけているか。


これらがまず土台としてあって、この時点での成功確率は20%程度だと思います。

なぜか?

これらの事は、出来て当たり前で、まったくの土台でしかありません。

パン屋が美味しいパンの作り方やお店の経営の仕方を知らなければ、それはもうパン屋ではありません。

パン屋の開業は奇跡を呼ぶ商売・・・・ではないのです。

これから新規に始められる方は特に考えて欲しいと思います。

まずは上記のような土台を持ち合わせているかどうかを・・・・

そして現在先行きが不透明だとお嘆きの方々には、改善は新規の何倍もの労力が必要であると言う現実と闘っていただかなくてはなりません。

私は現在、小規模経営というものを推奨しています。

これは、出来るだけ経費をかけずに、まずは小さな売上から確実に確保し、毎年必ず伸ばしていくという手法です。

必要なのは、最低限の設備と最低限の経験、あとは根性だけです。

根性が、いったいどれだけ重要か?

何かと言い訳ばかりしてきた人なら解ると思いますが、言い訳をする人に成功は付いてきません。

何事も最後は根性で乗り切るしかないのです。

技術・技量・知識・経験、それらを超越した根性を持っているかどうか・・・・

実はそこにカギがあるのです。

次回、今お勧めするパン屋の開業を提案したいと思っています。

ただし、根性の無い方には無縁なのと、有り余るほどの技術と経験をお持ちの方には無縁な話だと思いますが・・・・


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