ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

パンに卵は必要?

パンに使用される原材料は、他の料理などと比べると実に種類が少ないですよね。

そんな中でも、パン作りに絶対に必要な材料があるのに対して、バターや卵などはどうしても無ければならないという物ではありませんね。

しかし現実にはバターも卵も実に多く使われています。

皆さんの所ではいかがでしょうか?

さて、そんなパン作りにどうしても?・・・必要ではないとも言える材料である ”卵 ”

まずはその卵について簡単に説明します。

・・・・って、誰でも知ってるか (@_@;)

それでは、誰でもが知っていないかもしれない??パンに対する卵の効果というか効能というか、そのあたりについて少し触れたいと思います。

皆さんのお店のパンには、卵はどのくらい配合されているでしょうか?

パン生地に卵を配合した際に、その効果がはっきり出てくるのは、いったいどれくらいの量からだと思いますか?

正解は ”1個 ”からです。

1キロ仕込みの生地に卵が1個入るだけで、はっきりと入っていない時と比べて味が違うのが解ります。

すごいですよね!!  たった1個でそんなに存在感をだせるなんて(笑)

これが2個だと更に、3個だと更に更に味が良くなります。

味が良くなる、これをもっと具体的に表現すると、コクが出るとか風味が良くなるとも言います。

つまり美味しくなるという訳ですね。

では、”美味しくなる” という事以外にパンに対する効果はどのようなものがあるでしょうか?

まず卵の卵白のお陰で、パン生地がよく膨らみます。 

特にオーブンでの伸びが良くなりますね。

しかし、卵があまり多いと、逆にボリュームが出過ぎてパサパサ感が出ます。

そして卵黄のお陰でパンの色付きが良くなります。

しかしこれも、あまり多すぎると作業中生地がべたつきますし、焼き色もまだらになります。

では、一般的にパン生地に卵を配合する場合の適正量はどのくらいでしょうか?

それは、対粉で5%から70%程度まで自由です。

この場合、どの位が適正か・・・ということではなく、どのようなパンが作りたいか?を考えて配合量を決めるのです。

そして、卵の味を最大限に出したいという事で、例えばブリオッシュのように水分をすべて卵に置き換えた場合などは、生地がべとつき、焼き色がまだらになるという事を考慮して作業にあたらなければなりません。

逆にほんの少しパンにコクを与えたい・・・ということなら10%程度の配合で十分ということになります。

いずれの場合も、パン生地に対する卵の効果を良く理解していれば、卵はパンに対して実に有効であると言えると思います。

卵という食品は、料理や菓子ではメインの食品なのに、パンにまで効果を発揮するんですね。

まさに万能選手ですね!








浸透圧の不思議

パン生地が発酵していく段階、つまりイースト菌が活動していくにあたって、その活動を阻害するものがあります。

それが浸透圧です。

では浸透圧とはいったい何者でしょう?

料理の際に、魚に塩を振っておくと表面に水が出てきますよね!

苺を食べるときに砂糖をかけると、しばらくして苺がベタベタしてきて水が出てきますよね!

レタスを水に付けておくと、しゃきしゃきしますよね!

このような状態が浸透圧の仕業なのです。

この世のありとあらゆる細胞は、半透膜という膜でおおわれています。

つまりは、苺にもレタスにも表面に膜があるということなのですが、この膜の内側と外側の環境において水分量が違う場合、半透膜はそれを調整しようとして多い方から少ない方へ移動させることで水分量を同じにしようとしてくれるのです。

砂糖と苺では、苺の方が水分が多いので、苺の半透膜は苺の水分を外に向かって出そうとします。

レタスと水では、水の方が水分が多いので、レタスの半透膜は水をレタス内部に吸収しようとします。

結果、苺は水分を放出するので砂糖が苺色になって溶けていきます。

レタスは水をたくさん吸って、ボリュームアップするのです。

考えてみると、私たちの周りには実に多くの、この浸透圧を利用した食べ物が存在します。

ジャム・お新香・干物・乾物・梅干しなどなど・・・

そして、その浸透圧にもっとも関係してくる食材として、砂糖と塩があるわけです。

パンにも当然この砂糖と塩は欠かせませんが、例えば甘いパンを作ろうとした場合などは、たくさんの砂糖を配合することになりますよね。

この時、イースト菌の半透膜が大量の砂糖に反応してしまい、水分の出し入れに追われてしまい、スムースに発酵が進んでいかなくなるのです。

どんなパンでも、塩は最大で2.3%程度しか配合できません。そうでないとしょっぱ過ぎて食べられないからです。

しかし、砂糖は50%程度まで配合することが出来ますので、そうなると生地は凄まじい濃度になり、イースト菌はいちじるしく活動しにくい環境になります。

ですから、砂糖の多い配合の場合はおのずとイーストの配合も増やしてやらなければならないのです。

更に、砂糖が多いだけでもパン生地の濃度は相当上がる訳ですから、更にそこに塩がたくさん入るともう大変です。

したがって、砂糖が多い場合は塩を減らすという工夫がなされている訳です。

このようにして、砂糖や塩の量がパン生地の浸透圧を上げている事が解りますが、この浸透圧によりイーストの発酵活動が妨害されてパンづくりを難しいものにしているのです。

パン生地の発酵状態を見極めていく上で、パン生地の砂糖と塩とイースト菌の量が多くの影響力を持っているという事をしっかり認識しておきましょう。

砂糖と塩とイースト菌、それぞれの量とバランスによって、発酵させる時間と温度が変わってきます。

糖分の少ないパン生地の場合は、イースト菌の量と生地の温度によって発酵時間が決まりますが、糖分の多いパンの場合は、そこに浸透圧が加わることで、一概に発酵時間を決められない場合があります。

ですから、最終的には完成品をチェックして見極める以外にありません。

どんな食品も、最終的にはこの人の手によるチェックが必要だということでしょうか・・・・






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