ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

人参・じゃがいも・玉ねぎを入れたパンの特性その2

玉ねぎをパン生地に練り込む際の注意点は、玉ねぎはほとんどが水分である為に、全水分量を調整する必要があると言う所です。

配合量が多い場合は特に注意が必要です。

では、玉ねぎを練り込む場合はどのくらいの量を練り込むのが望ましいのでしょうか。

玉ねぎの配合量は、経験的には20%程度が丁度良いと考えています。

それ以下だとあまり玉ねぎを感じませんし、それ以上だと強烈な香りのパンになるでしょう。

玉ねぎの香味は、皆様すでに良くご存知だと思いますが、とても個性的なアクセントを持っていますね。

ですので入れすぎると完全に玉ねぎの香味にパンが支配されてしまいます。

製パン的には、玉ねぎが与える発酵などへの悪影響は特にないと思われます。

しかしながら、繊維質はどうしてもグルテンの形成に少なからず悪影響を及ぼしますので、捏ねすぎると生地はベトベトにダレてしまいます。

ですので、野菜類を練り込む場合は最強力粉をブレンドするか、すべてを最強力粉に置き換えて捏ねた方がよいと言えます。

また、じゃがいもや人参の場合は、生地への投入タイミングが初めからであっても後からであっても、それなりの効果がありますが、玉ねぎの場合はほとんどが水分と考えなければなりませんから、初めから入れる以外に投入タイミングはありません。

もしも捏ね上げの最終段階で入れるとなると、生地は確実にベトベトになるでしょう。

玉ねぎは、ジューサーやおろし金でおろして加えても良いのですが、そうなるとまったく玉ねぎの原型はなくなりますね。

玉ねぎが嫌いな場合はそれでも良いと思いますが、やはり少しくらいは玉ねぎ自体の食感も残したいと言う場合は、粗いみじん切りにして投入すると、焼成後に白い粒が残り、見た目にも玉ねぎを感じる事が出来ますのでお勧めです。

と言うより、嫌いなら20%入れた時点で無理かもしれません。

10%位なら解らずに食べれると思いますが・・・・

みじん切りにした玉ねぎを初めから投入すると、最初は生地が非常に硬いと思います。

しかし、スタート時点で柔らかいと、捏ねていくうちに玉ねぎの水分がどんどん出てきて、やがてはベトベトになりますから、初めのうちは硬めでスタートするのが望ましいと言う事を覚えておいてください。

じゃがいも・人参・玉ねぎと説明してきましたが、その中でも人参は唯一甘味のある野菜と言えます。

甘味がある素材を生かすには、全体的に甘いパンにした方が素材が生きてくると思います。

逆に、じゃがいもや玉ねぎなどは、やはり塩味との相性が抜群ですから、全体的に甘味の少ないパンにした方が素材が生きると思われます。

紹介した素材は三種類ですが、しっかりと捏ねてふわふわのパンにするか、素材を粗く切って加え、あまり捏ねずに噛み応えのあるパンにするかなど、完成品は作り方の工夫で何種類にも広がるでしょう。

それがパン作りの面白い所ですよね。

また、最後に付け加えておきますが、これらの素材を使った”料理”の場合、どうしても様々な香辛料を使うと思います。

ですので、例えばじゃがいものパンならブラックペッパーを入れたくなると思いますし、玉ねぎのパンならホワイトペッパーを入れたくなると思います。

いっその事カレー粉を入れて、カレー風味のじゃがいもパンと言うのも面白いかもしれませんね。

しかしそれはちょっと待ってください!!

香辛料の類は、製パン的にはパン生地にはあまり合いません。

それぞれの香辛料によって若干の違いはあると思われますが、ほとんどすべての香辛料に、発酵を阻害する働きと、グルテン形成を壊してしまう働きがあるからです。

少量ならば問題ないと思いますが、そもそも少量過ぎては入れる意味がありませんね。

しっかりと味が出るまで投入した場合、生地はダレ気味になり、膨らみの悪いパンになります。

また、完成品はコシや弾力がなく、押したら戻ってこないような潰れやすいパンになります。

これもやはり繊維質と酵素に関係があると思われますが、経験上2%を超えると製パン性は非常に悪くなります。

製パン性以外にも、パンの発酵による旨みや香味と、香辛料の風味は完全にバッティングしてしまいます。

ですのでなんか変な味?香り?のパンになると思います。

香辛料を効かせたパンを作りたいのであれば、焼成前に振りかけるか、例えばマヨネーズなどに入れてトッピングするなどすれば、より美味しく出来ると思いますよ。

パン作りにおいて注意しなければならないのは、パン生地というのは小麦粉の持つ特有の蛋白質の働きと、酵母による発酵が相互に組み合わさる事によって、あのふわふわとしたパンになるのであって、それを阻害する素材は入れてはならないと言う事です。

パン生地とは別に、具材として後から入れるなり乗せるなりする場合にのみ、どのような素材であってもパンとの相性を楽しむ事が出来るのです。

お解かりいただけましたか?


人参・じゃがいも・玉ねぎを使ったパンの特性とは?

カレーかっ!

と思わせるような材料達が登場しましたが、野菜入りパンの様なものは確かに多く見受けられますね(~_~;)

何でも練り込みたくなるのがパン屋のさだめなのでしょうかね~

まあ当然でしょうが、この手の質問はやはり主婦の方中心ですね。

恐らく子供に野菜を食べさせたいのでしょうね。

うちのわがままに育てられた孫も、やはり野菜など一切食べません。

お菓子ばかりですね~

あれが嫌だこれが嫌だと言っている孫を見ていると、これは完全に親の責任だと痛感します。

その親は私が育てたのですが(~_~;)

しかし、我が家では食べ物に関して文句など言おうものなら、すぐにぶっ飛ばしましたけどね。

だから子供のおやつはいつでも野菜スティックでしたよ。

慣れと言うのは恐ろしいもので、それしかないと解ればそれを食べるものです。

セロリや人参もいつも生でポリポリ食べていました。

すごいのはパセリでさえもそのまま食べていた事です。

そうして育った子供のはずなのですが、親になると世間様と右ならえで、子供には超甘くなってしまうのですかね~

まあ、子供に食べさせる為かどうかは別として、この人参・じゃがいも・玉ねぎをパン生地に練り込む場合の注意点とその効果について少し書いていきたいと思います。

まずは人参ですが、人参その物にも甘みがありますね。

もちろん砂糖の甘さとは違う甘みですが、フランスパンに人参を小指の爪程の大きさに切って20%ほど混ぜ込むと、白い生地の中にオレンジ色が映える人参フランスパンが完成します。

人参は生で入れても、フランスパンの焼成中に火が通ります。

人参は硬いので、サイコロ状の物を練り込んでも潰れる事はないでしょう。

成形は自由ですし、フランスパンの塩味と人参の甘みが挽き立つ、一見健康的なパンになると思います。

しかしこれは人参が好きな人用ですね。

人参を感じなくするには、甘いパンにするのがお勧めです。

それから、人参が嫌いな人はあの生臭さが嫌いなはずですから、香りを消すために牛乳で仕込む事です。

砂糖は最低でも15%以上を配合し、人参は薄く切って牛乳と共にジューサーでニンジンジュースにしておきます。

こうすると、ピンク色をした甘いパンが完成し、人参が嫌いでも食べられると思います。

この場合の注意点は、どんなにジューサーで砕いても人参はゴツゴツしていますから、ミキシングには強い粉を使った方が良いと思いますし、ミキシング時間は短くしないと、生地がダレてきますので、注意して見極めて下さい。

人参を下茹でしては・・・・とか、初めに味付けしては・・・・と言う考え方をお持ちの方がいると思いますが、そもそも加工するなら、それは具材として成形時や焼成時のトッピングとして考えた方が良いと思います。

パン生地に練り込む際に、それ以前に加工すると言う考え方は、かえって製パン性をややこしくしますので、素材は素材をそのまま練り込むべきと考えていただきたいと思います。

フランスパンは別として、甘い人参パンを作った場合は、しっとり感が長持ちしますし、冷凍にも長く耐えます。

この生地を菓子パン生地代わりに使って様々な具材を入れたパンを作れば、子供達は大喜びでお母さんも大喜びでしょう(^0_0^)

では次にじゃがいもです。

じゃがいもの場合は、皆様お馴染のデンプンの宝庫ですよね。

デンプンが多いと言う事は、それを配合したパンは・・・・・・

そうですね! モチモチとしたパンになりますね。

さらに日持ちもします。

と言う事で、じゃがいもは茹でて皮をむき、ミキシングの初めから投入します。

様々なやり方があるとは思いますが、一般的には30%も入れれば効果は絶大だと思います。

完成したパンは、モチモチとしてプリンプリンしています。

初めから投入する場合は、特にすり潰したりする必要はなく、皮をむいたままの状態で一緒に捏ねて行けばいいと思います。

ただし、出来るだけ茹でてすぐの方がモチモチ感が出ますので、粗熱が取れたらすぐにミキシングを始めて下さい。

言うまでも無く捏ね上げ温度には注意して下さいね!

熱いイモを入れると言う事は、その他の材料はどうしておいたら良いかはお解りですね(@_@;)

じゃがいもは50%位まで入れても普通にミキシング出来ますが、あとはじゃがいもを前面に出すかどうかで捏ね方が変わってきます。

しっかりと捏ねられた生地では、製パン性や完成品のモチモチ感には貢献してくれますが、あまりじゃがいもらしさを感じる事は出来ません。

いつものパンとは違う風味になりますので、好き嫌いも出て来ると思います。

しかし、あまり捏ねないで、例えばフランスパンのようにあまり捏ねずに仕上げた場合、じゃがいもらしさや芋風味が強いパンになります。

じゃがいもが好きかどうかで決まると思いますが、要するにじゃがいもが持つ製パン特性を生かしたいのか、それともあくまでじゃがいもメインのパンに仕上げたいのかと言う事ですね。

そして作る際の注意点ですが、じゃがいもを例えば40%とか50%位まで入れるとすると、パン全体が物足りない味になります。

ですので、塩の量には加減が必要です。

この場合、生地にあまり塩を多く入れてしまうと発酵に影響が出たりしますので、もし味にアクセントが欲しいと思ったら、焼成前に粗塩を振りかけて焼成するなどすると、製パンには影響なく塩味もバッチリあるパンになると思います。

そもそも甘いパンと砂糖をあまり入れないパンとでは、どちらがじゃがいもと相性が良いと思いますか?

それは自分で決めて下さい(^0_0^)

どちらも美味しいと思いますよ。

でも、ポテトに砂糖を付けて食べる人はあまり見かけませんけどね(@_@;)

じゃがいもには製パン性を悪くさせるような要素はあまりないと言えますが、やはり食物繊維を含む材料を練り込む場合は、どうしてもグルテン形成に影響を及ぼし、グルテンを切ってしまうようです。

ですので、やはり強めの小麦粉を選び、いつもよりも捏ねない方が良いと言う事を憶えておいて下さい。

おっと時間がなくなりました。

続きは次回に・・・・・



ブリオッシュがパサつく原因とは?

こんな質問をいただきました。

クリスマスの時期になるとパネトーネ(なんちゃってですけどネ!)やブリオッシュを良く作るのですが、どうしてもブリオッシュが硬い感じになります。

焼き過ぎないようにすると今度はしぼんでしまうので、やはりしっかりと焼いてしまうのですが、焼き方に問題があるのでしょうか?

ブリオッシュ生地にフルーツを20%入れたパネトーネの方は、いつまでもしっとりとしていて我ながら満足しているのですが、フルーツを入れないプレーンタイプで焼き上げた物はすぐに硬くなってしまう感じなのです。

これはフルーツには糖分があるので柔らかくなると言う事なのでしょうか?


だとすればブリオッシュ生地にも砂糖を増やせば硬くなりにくいと言う事になるのでしょうか?

今回のブリオッシュのレシピは、本などでも良く見かける一般的な物でしたので、ここにご紹介しておきましょう。

強力粉    100g
上白糖     10g
塩      1.8g
イースト   2.5g (加糖用)
卵       60g
マーガリン   30g
加糖練乳     3g

さて、ブリオッシュがすぐに硬くなってしまうのはなぜか?というご質問でしたが、一般的なブリオッシュと言うのは、実は割とパサパサしているパンなのです。

もっと言うと、パサパサしていますし、喉通りも悪いパンと言えます。

飲み物が無いと食べられないパン・・・・そんな印象すら受けます。

こんなに高配合なのに、そんなはずはないと思いたいところですが、そもそもブリオッシュと言うのはあまり甘いものではなく、ましてやしっとりとしているパンではないのです。

しかし、それでは日本では取り入れられないと判断してか、様々なアレンジがされ、今では甘いブリオッシュもあれば、しっとりとしたブリオッシュもあるのです。

今回のレシピで言うと、そのまま作るとあまりしっとりとした感じにはならないと思います。

それはなぜか?

それは卵に関係があるのです。

卵と言うのはご存知のように白身と黄身がありますね。

白身は黄身の約2倍ありますので、卵の三分の二は白身と言う事になります。

今回のレシピでは卵は全卵、つまり卵全部を使用しています。

と言う事は、全部で60gの所、約40gが白身であると言う事になりますね。

実はこの白身というのはアルカリ性食品なのです。

他方黄身は弱酸性食品になります。

どう言う事かと言いますと、アルカリ性食品である白身がたくさん入る事によってパン生地がアルカリ性に傾いてしまうのです。

そうなると何がいけないのかと言いますと、パンを口に入れた時に唾液が出にくくなるのです。

思い出して下さい。

豚カツにレモンを絞るとサッパリとして油っこくなくなりますよね。

これは、決してレモンが油を消してしまった訳ではなく、レモンの酸っぱさが唾液を促す事によって、その唾液に豚カツが包まれる為に、サッパリとした喉通りに感じているのです。

レモンに限らず、例えば梅干しなどでもそうですが、口の中に入れた瞬間の事をイメージしてみて下さい。

それだけで唾液が出てきませんか???(^0_0^)

いわゆるしっとりとしたパンと言うものは、皆弱酸性になっている為に唾液が出やすい、つまりは喉通りが良いと言う事になるのです。

ですが白身の配合が多いと唾液が出にくい為、どうしても硬くてパサパサとした感じになってしまうのです。

ではどうすれば良いのか?

それには色々な方法があります。

まずは今回のご質問に合ったように、フルーツを入れた物はしっとりとしたと書かれていますね。

この場合のフルーツは洋酒に漬けられていたミックスフルーツでした。

そうです。 洋酒に漬けられたフルーツが入る事で、いわゆる中和されたのです。

その様に、もし全卵をたくさん配合する場合は、中和してくれる酸性食品を添加するのが得策なのです。

一番お勧めなのはカルピスです。

カルピスを2~5%程入れると、しっとりとしたブリオッシュが完成するでしょう。

ただし、その分甘くなりますが・・・・

または、全卵ではなく卵黄を使う事もお勧めです。

全卵は20%位までにしておき、残りの40%の水分を卵黄と水にするのです。

全てが卵黄でも構わないのですが、とても高くつくと思います(~_~;)

またそれ以外にも、中和させる方法があります。

それはまたまた出ました発酵種です。

発酵種はすでに酸性ですので、20%程配合するだけでしっとりとしたブリオッシュになります。

また、今回はストレート法のレシピのようでしたが、捏ね上げた生地を30~40分ほど発酵させた後に、アルミ皿などに平たく伸ばして生地を入れ、ビニールかラップをして冷蔵庫へ一晩入れると、低温発酵により生地が酸性になり、しっとり感が出て来ると思われます。

この場合は、冷蔵庫から出した生地はすぐに分割成形を行って下さい。

生地が冷たいまま行うのがコツです。

油脂が多い配合の場合、このようにして一度冷蔵し、冷たくしてから作業することで、生地がベタベタと手に着く事も無く、さらに生地の油脂が溶ける事も防いでくれるのです。

油脂の多いパンは、冷蔵庫では油脂が固まるので発酵がゆるやかになります。

冷蔵庫にブリオッシュ生地をしまっておくと、三日間くらいは保存が可能になりますので、一度作った生地を三日間に分けて焼く事も出来るのです。

一度試してみてはいかがでしょうか(^0_0^)

と言う事で、結論としては低温発酵させるか、酸性食品を入れて中和させるかですが、間違ってもお酢は入れないでくださいね(~_~;) まずくなりますから・・・・

今回は何となく卵の白身が悪者のような感じになりましたが、パン生地に白身が入る事によって、生地がプリプリとして適度なコシが生まれ、パンにボリュームが出ます。

全卵から卵黄へとレシピを変更した場合は、この白身の作用によるボリューム感がなくなり、生地はベタベタした感じで取り扱いにくくなります。

最終製品のボリュームもやや膨らみが弱い感じになるかもしれません。

しかし、その分しっとり感は十分得られると思いますので、あとは好みの問題になりますね。

今回は酸性だアルカリ性だと、やたらペーハー(PH)について書きましたが、製パンにおいては特に気にするべきものではありません。

あくまで極端に多く配合した場合にのみ影響があるという程度です。

また、今回はたまたま卵が多いレシピでパンが硬い感じがすると言う事でしたが、油脂が多いパンの場合、冬の時期にはパン中の油脂分が固まってしまう為に、硬く感じてしまうと言う事もあります。

しかし別の見方をすれば、パン中の油脂分が固まっている間は老化が進みずらいと言う事にもなります。

したがって、冬場に油脂の多いパンを焼くと日持ちすると言えるのです。

さらに誤解のないように付け加えておきますが、ここで書いた酸性食品のレモンと梅干しは、人間の口に入るまでは酸性食品ですが、身体に入るとなぜかアルカリ食品に変わります。

食品のペーハーに関しては意外と複雑であるのと、そもそも私の専門ではありませんので、この点に関しての突っ込みはご勘弁くださいませ(~_~;)

この時期ならではのドライフルーツを入れたパンの注意点

激動の2011年でしたが、皆様は良い一年でしたでしょうか?

今もこうして生きている事へ感謝し、何気ない日常こそが最高の幸福なのだと実感している今日この頃ですが、世間ではすっかりクリスマスに色づいているのですね~

どおりでフルーツパンの質問が多い訳だ・・・・・

と言う訳で、こんな質問をご紹介しましょう。

美味しいドライフルーツが手に入ったこともあって、パネトーネのようなフルーツパンを作ろうと意気込んだのですが、なぜか発酵してこないのです。

一回目は仕方が無いのでそのまま焼いてしまい、食べられない事も無かったのですが、とてもパンとは縁遠いしろものが完成してしまいました。

レシピを確認しながら、念の為に新しく購入した小麦粉とドライイーストを使って再び挑戦したのですが、またしてもなかなか発酵してきませんでした。

捏ね上げ温度は28℃はありましたし、捏ねた後はタッパーに入れてこたつの中へ入れて一時間置いたのですが一回目と同じく膨らんできませんでした。

もう少し温度が高い方が良いのでしょうか?

ちなみにレシピは・・・・・・・・・・


と言う事で、レシピには問題はなく(正確には問題がないのではなく説明が足りないのでした)ブリオッシュに近い配合に、ドライフルーツが60%入ったとてもリッチなレシピでした。

ではなぜ今回は発酵してこなかったのでしょうか?

それは、実は洋酒のせいだったのです。

レシピではドライフルーツをオレンジピールやレモンピール、それにレーズンなどが単体で合計60%と書かれていたのですが、質問者様が使用したのはミックスフルーツで、しかも洋酒漬けの物だったのです。

オレンジピールなどの乾燥フルーツは、実際にはあまり美味しいものに出会う事が少ないと思います。

レーズンはどれを食べても美味しいのですが、その他のピール類は苦かったりシブかったりして、正直日本人の口にはあまりなじまないと思われます。

そこで登場するのが今回のようなミックスフルーツで、すでに味付けがしっかりとしてあったりするのです。

レシピには、洋酒を振りかけると更に美味しくなると書かれていた為に、今回のケースではミックスフルーツに更に洋酒をプラスしてしまったそうなのです。

単にフルーツに振りかけられている程度のお酒の量なら特に問題はないのですが、今回の場合はそもそもミックスフルーツ自体がすでに洋酒に漬かっていた為に、発酵力がいちじるしく低下してしまったと言う訳なのです。

ケーキ作りには何かと活躍する洋酒ですが、パンに使用する場合には少し注意が必要なのです。

と言うのは、パン生地が発酵して行く環境に望ましいのは弱酸性環境なのですが、洋酒に漬けてあるフルーツを大量に入れてしまうと、一時かなり強い酸性環境になってしまうのです。

パン生地は、発酵熟成をして行く事で中性から少しずつ酸性へと変化して行きます。

パンに限らず、発酵食品は皆そうですね。

ですが、それはイースト菌の活動が活発になってからなら良いのですが、いきなりの酸性にイースト菌は驚いてしまうのです。

そして萎縮してしまい、なかなか活動できないのです。

これは、洋酒が酸性食品だからと言う事もあるのですが、それよりもドライフルーツにたくさん含まれている糖分と洋酒が一度に大量に配合される事によって、浸透圧が高まってしまうと言うのも原因の一つなのです。

ですので、もしも洋酒にしっかりと漬かってしまっているドライフルーツを配合しようと考えた場合、単なるストレート法では失敗してしまう事が多いと考えられるのです。

これを回避するためには、フルーツを配合する前にイースト菌を活動させておかなければなりません。

一番安全なのは中種法ですが、なかなかご家庭では試していただけないでしょう(~_~;)

と言う事で、次にお勧めなのはこのブログでも紹介している発酵種を入れた製法です。


発酵種についてはこちら

いつものレシピにこの発酵種を30%程入れてみて下さい。

たったそれだけで、捏ねる時間は短縮され、生地のつながりが良くなり、生地に旨味がプラスされ、しっとり感が長持ちします。

発酵種は、冷蔵庫にて低温長時間発酵していますので、しっかりとイーストが活動をしています。

その発酵種を添加する事によって、高い浸透圧の中に合っても、イースト菌の目覚めが早くなるのです。

ただし、忘れてはならないのは発酵種も弱酸性であることです。

日にちが経過したしまった発酵種は、イーストの力が弱くなり、相反して酸性度が強くなってしまいます。

ですので、発酵種は一晩寝かしただけの新しいものを使用して下さい。

さらに、浸透圧からパン生地を回避させる為には、生地の捏ね上げ温度は高めの方が安心です。

30℃を目指して捏ね上げ、それよりも低い場合は暖かい場所に保管し、発酵してくるまでは時間がかかっても我慢してあげる事です。

また、今回のようにドライフルーツが60%と言うのは、パンとしてはとても不安定になります。

最大でも40%までにしておいた方が失敗はないと思いますよ・・・・

どうしてもたくさんのドライフルーツが食べたいと言う事であれば、20%程度は生地に練り込み、後は成形時に生地に乗せて巻き込んでいく方が、パンとしては安定すると思われます。

砂糖・油脂・ドライフルーツと言うのは、いずれもイーストの活動を阻害してしまう材料です。

ですが、あくまでじっくりと時間をかける事が出来れば、やがては膨らんで来るものです。

ドライフルーツが甘い場合、生地の糖分はやや減らした方がイーストの活動にも効果的です。

砂糖も油脂もドライフルーツも、やや控えめにしてみるのも良い手かもしれませんよ。

それから、この手のリッチなパンの場合は、生地は十分に捏ねられている事が絶対条件になります。

つまり、風船の数が多くなければ副材料の多いこれらのレシピには対抗出来ないのです。

と言う事で、家庭で高配合のパンを作る場合は、強い粉を使う事と機械で捏ねる事がポイントです。

もし手捏ねで高配合のパンを作るのであれば、ミキシングの助けにもなる発酵種の使用を是非ともお勧めします。





黒糖や胡麻入りのパンを作る時の注意点は?

こんな質問をいただきました。

どうせ作るのなら少しでも体に良いものをとの思いがあり、白砂糖の代わりに黒砂糖で作りたいのですが、その際に何か注意点はございますか?

スーパーなどで良く見かける安価な物と、ネットで探すととても高価な物がありますが、やはり高価な方を使った方が美味しくなるのでしょうか? また、作り方は変わってくるのでしょうか?

それと胡麻パンにも挑戦しようと思い、調べるとはじめから練り込むものと後から混ぜる場合と色々あって、どちらが良いのか解らずにいます。

黒砂糖は砂糖の仲間なのですから、最初から一緒に捏ねてよいのでしょうか?

やってみろと言われそうですが、何事も頭で理解しないと気が済まない性格なもので、お時間がある時で構いませんので・・・・・・


そう言えば、混ぜ物に関する質問は今まであまり受けていませんでしたので、特に触れずにきたかもしれません。

これを機会に色々と考えてみたいと思います。

たくさんの混ぜ物がある中で、混ぜて行く際に注意しなければならない事は確かにあります。

それは、混ぜ物が硬い場合や、その形状によってはグルテンの形成を阻害してしまう恐れがあるからです。

また、乾燥していない、濡れている物などの場合、途中から入れると生地がベタベタしてしまって生地作りを妨害するでしょうから、初めから入れる以外にありませんね。

果肉があるレーズンやプルーンやイチジクなどは、その形状を残したいのか残さなくて良いのかによって入れるタイミングも製パン性も、または最終製品への影響も変わってきます。

つまり、どのようなものでも、どの段階で入れるかによって製パン性や最終製品の個性は大きく違ってくるのだと言う事を念頭におきながら、読み進んでいただきたいと思います。

とは言え、全てを書く事は出来ませんので、今回はご質問にある黒砂糖と胡麻について考えてみたいと思います。

まずは黒糖ですが、実に多くの種類がありますね。

そのまま食べるなら高価な物の方が当然美味しいのかもしれませんが、パンにする場合はあまり考えなくて良いと思いますし、パンに影響を与える成分的なものは、さほど違いはありません。

ただし、違いがあるとすれば安いものは混ぜ物が多い、つまり黒砂糖としての純度が低い事になりますので、完成品の色が高価な物は黒くなり風味が強く、安価な物は色が薄くなり風味がやや劣るでしょう。

しかし、気にするほどの違いはありませんので、スーパーの黒糖で大丈夫ですよ(~_~;)

黒糖は砂糖ですから、イーストの活動にも影響を与えますし、生地の形成にも大きく影響を与える為に、必ず初めから投入しなければなりません。

後から投入した方が良い理由は、黒糖に限っては全くないと言えます。

また、黒糖はゴツゴツした塊が特徴ですので、そのまま使うと最終的に粒が残ってしまう事があります。

ですから、お湯などで一度溶かしてから投入して下さい。

例えば、食パンを作る時に砂糖を黒糖に置き換えようとした場合、最終製品にはさほどの違いは見つからないと思います。

なんとなくいつもと違う風味かな????程度でしょう。

もっと黒糖らしさを出したければ、最低でも15%以上は必要です。

15%以上配合すると、色もやや黒い黒糖パンらしいぱんになりますし、甘くて風味豊かなパンになります。

生地の取り扱いその他は普通と変わりません。

・・・・・が、いつもよりも生地がプリンプリンするかもしれません。

ですので、柔らかめに仕上げるのがお勧めです。

なぜプリンプリンするのかは正確には解りませんが、恐らく成分中のカルシウムのせいだと推測しています。

<白砂糖>        <黒糖>

エネルギー  :384cal    354cal
たんぱく質  :0g      1.7g
 鉄     :0mg     4.7mg
カリウム   :2mg     1100mg
カルシウム  :1mg     240mg
ビタミンB1 :0mg     0.05mg
ビタミンB1 :0mg     0.07mg


次に胡麻ですが、胡麻の場合は形状がやや気になりますね。

先がとがっていますので、グルテンの形成を妨害すると考えられます。

さらに、初めから投入すると、胡麻の油分が染み出して生地がベトベトした感じになるでしょう。

ですので、油脂と一緒に入れる、つまり途中で入れる位が良いと思われます。

最後に入れるのはどうか言いますと、胡麻は細かい粒ですので分散するのに時間がかかります。

しっかりとグルテンが強化した所へグルテンを切ってしまう胡麻を投入すると言う事は、生地へのダメージが大きくなりますし、混ぜている最中に油分が染み出して生地がベタベタしてきますので、出来るだけ途中で入れる事をお勧めします。

とは言え、途中で入れてもグルテンへのダメージが無い訳ではありませんね。

ですのでこの場合は、出来るだけ強い粉を使う・生地は柔らかめにする・捏ね過ぎに注意するなどに気を付けて作って頂きたいと思います。

配合量は10%位が丁度良いと思います。

それよりも少ないと胡麻を感じませんし、多いと膨らみが悪くなります。

ちなみに10%でもいつものようには膨らみませんよ。

さらに分割や成形時の取り扱いが明暗を分けることになります。

膨らみの悪いパンにしたくない場合は、成形した後に生地を濡らし、胡麻を全体にまぶして発酵させれば、それも胡麻パンと言えますね。

あくまで好みの問題ですが、生地と一緒に練り込むだけが胡麻パンではありません。

そのままでも、すり潰してでも成形時に巻き込んでも胡麻パンですから、それこそ色々と試してみると楽しいと思いますよ。
 

パン作りは単なる作業なのか????

今回のケースは・・・・・

うちの店では、ホワイトボードを使って毎日生地捏ね上げ温度を書いています。

スタッフはチーフを含めて5人とパートが5人で行っており、一日に小麦粉8袋程を回しています。

一回の仕込み数は15キロがメインで、午前中はほぼ仕込みっぱなしの状態で大忙しです。

ホワイトボードへの生地温度の記入は自分が仕込みながら行っているのですが、何故これをしないといけないのかが解らないのです。

と言うのは、別に何度で捏ね上がろうと誰も見ている様子はありませんし、チーフから注意されたこともありません。

今日は何生地を何キロ回すのかを書いてあるのでそこは見ますが、温度に関しては別に誰も気にしていないと思います。

ご指摘のように、今日はなかなか膨らまないと言う事があったり、フィッシュアイができることもしょっちゅうでした。

膨らんでいてもいなくても時間通りに分割をはじめてしまうので、自分で判断して温度が低い時にはオーブンの上に置くなどして工夫しているのですが、先輩達は別におかまいなしに分割してしまいます。

毎日の焼き立て時間が同じでないといけないからだと思うのですが、これで良いのかという思いは常にあります。

自分がもっとしっかりと温度を守れれば良いと思うのですが、もし温度が高くなってしまうと一斉に発酵してしまうので分割が間に合わなくなってしまい、かえっておかしなパンになってしまうのでどうしても温度は低めにしてしまいます。

それとどうしても気になっているのが、ベンチタイムを取らない事です。

分割が終わるとすぐに成形をしています。

今分割したばかりですがと言うと、どんどんやらないと量が多い時はかえって発酵過多になるから、すぐにはじめないといけないと言われました。

レシピには一様ベンチタイム30分と書いてあるのですが、誰もそれをまもっていません。

自分としてはこのまま毎日が過ぎて行く事が不安で、どうすれば・・・・・・・・


と言うような内容なのですが、これがいわゆる忙しいお店の実態だと言えると思うのです。

パン屋さんでないと理解できないような量の仕込みですが、小麦粉が15キロと言う事は総重量としては約27キロの生地を一度に仕込む訳です。

これを食パンに換算すると一度に三斤の食パンが約20本、1個当たり50g程度の小物パンなら約540個出来る訳です。

この量を分割して、ましてや成形するとなると、どれほどの人数でどれほどのスピードで作業しなければならないかは皆さんにもおおよそ想像できますね。

売上的には誠にうらやましい事ですが、その内情は常に戦場です。

戦場においては、いかなる理屈も理論も通用せず、ただただマシンのごとく作業をこなす以外にないと言うのが実情でしょう。

だからこそやがて落ちて行ってしまうのです。

そして機械化に負けてしまう。

ミキサーで一度に捏ねられる生地の量と、分割成形にかかる時間、そしてそれを発酵させる場所、さらには焼成能力。

それらを十分把握した上での人員配置と作業場所の広さがないと、結局全てに無理が生じ、毎日毎日をこなすだけの単なる作業になってしまうのです。

ベンチタイムが30分と言った所で、例えば540個の生地を分割するとしたら恐らく30分近くかかるでしょう。

すると、必然的に初めに丸めた生地はすでに30分経過していると言う事になりますから、すぐに成形に取り掛かってもおかしくないどころか、逆にすぐに始めなければ膨らみ過ぎてしまいますよね。

この場合、分割に3人位で取りかかれれば20分で終わるでしょうが、皆それぞれに作業を抱えているはずで、そこまで人員を配置している事の方が珍しいと考えられます。

分割機という機械があり、それを使っているパン屋さんも多いと思いますが、だからと言って10分で終わると言うものではありません。

結論から先に言えば、要するに人員が足りていないのです。

また、設備の容量もそうだと思います。

仮に売上が予想以上であったからといって、すぐに新しいオーブンを入れると言うのは不可能に近いですし、将来的に別の工房を増設すると言う事はあると思いますが、大抵の場合その日が来る前に売上が下がってくると言うのが定番です。

ならば今すぐに人員確保を・・・・と言っても、すぐに職人が見つかる訳でもない。

パートさんだと仕事を憶えるのに時間がかかってしまい、すぐに戦力にはならない。

と言う事で仕方なく現状維持で頑張っている・・・・そんなパン屋さんは多いと思います。

機械化の場合、機械と言うのは容量以上の仕事は出来ません。

ですので容量をオーバーした発注に対しては回数でカバーします。

機械はタフですから、休憩も睡眠もいりません。

いつでも淡々と安定したパンを作り続けます。

しかし人は休憩も睡眠も必要ですし、製造量が増えればそれは即不安定へと発展してしまいます。

余談ですが、私の友人のコックは一人でお店を切り盛りしていましたが、とても評判が良くいつも満席でした。

厨房を手伝った事があるのですが、特にランチ時などは右手に二つのフライパン、左手には二つのなべ、足でオーブンの扉を開けて中身をチェック。口にはパスタを入れて硬さをチェックと言った感じで、それはそれはすさまじい光景でした。

がしかし、すぐに病気で入院してしまいました。

人間は頑張れる動物です・・・・・

みんな色々な無理をかかえて頑張っている・・・・・

しかし、その無理は必ず不安定につながると言う事を、解っているようで解っていない。

質問者様のようなお店では、今一度自分達のキャパシティーを見つめ直し、オープン時間や閉店時間を変えてでも、さらには売上低下を招くとしても、長期的に見た安定的な製造計画を立てなくてはなりません。

このようなお店は、部分的な対処法では何も良くなりません。

創業は易く守成は難し

今こそ創業時の気持ちを思い返し、おおいなる立て直しを図るべきだとご提案いたします。

ホワイトボードに捏ね上げ温度などを記入していると言う事は、当初は理論に基づいた素晴らしいパンを提供していたものと推測されます。

売上が上がっていく喜びを感じているのがオーナーだけで、お客様やスタッフの心情を察する事が出来ないでいると、競合店が出来た時にすぐに負けてしまうでしょう。

すでに他社がお店を視察して、不安定な商品に目を付けているかもしれませんよ。

また、質問者様におかれましては、理屈と噛み合わぬ現状に心を痛めている事でしょう。

しかし、それ程の経験はそう出来る物ではありませんよ。

一流のベーカーに必要な資質の一つに、作業スピードがあります。

どんなに理屈が通っても、作業がトロければ誰も相手にしてくれません。

今はスピードを磨く絶好のチャンスです。

また、戦場の中にいるからこそ見えて来る、通常の作業の中では味わえない実践の理論と言うものがあります。

どうかそれを掴んで欲しいと祈っています。

困ったベーカー達 (@_@;)

予想はしていました・・・・確かに・・・

覚悟もしていました・・・・それなりには・・・・

し・・しかしあまりにもひどい・・・・・(ー_ー)!!

パン屋で働く人達からの質問に答えていると、なんともひどい職場があるものだと考えさせられる事がしばしばあります。

ゆっ・・・・有名店なのに~~~とか、そんなに支店があるのに~~~とか、

パンをこれほどいいかげんに作っている人達が今でもいたとは、いやはや何と申し上げてよいやら・・・・・

そんな現状があるのです。

今でも・・・・と言うのは、私がパン屋になった頃の先輩達を思いだすだけで、よくあんなパンが売れていたものだと思い起こすからで、現在ではお客様も舌がこえていらっしゃるでしょうから、いいかげんなパンでは通用しないと思い込んでいたのですが・・・・

やっぱり味だけではないのですね~(~_~;) 売れる要素は。

ネームバリューも大きいのでしょうね。

と言う事で、このコーナーではそんなエエカゲンニ セエヤ!! (>_<) 的な呆れたパン作りをご紹介しながら、パン作りに取り組む姿勢について考えた見たいと思います。

まずはこんなケースから・・・・・


うちにはそもそも温度計と言うものはありません。

毎日やっていれば、感覚で解るものだと店長はいつも言っています。

パンは理屈じゃないんだと、いつも教えられてきました。

分割は、大体これ位の所まで膨らんだら分割すると言う感じで、分割する順番は毎日変わります。

今日は食パンが速かったり、明日はフランスが速かったりで、その時の膨らみ具合で判断しています。

仕込みの順番はいつも同じなのですが、分割する順番は毎日違います。

イーストフードなどは、計量して入れません。

スプーンで一杯入れれば良いと言われています。

そもそも発酵時間と言うものが書かれた配合表はありません。

すべて店長がよしと判断して行っていますが・・・・・・・・


とまあこんな職場が実在するようです(~_~;)

真面目にパン作りをしていらっしゃる方々には縁遠い話だと思いますが、私がパン屋になりたての頃は、やはり温度計はありませんでしたし、10グラム以下が測れる計りもありませんでした。

配合表と言うものがありましたが、それぞれのパーセントだけしか書いておらず、ミキシング時間すらありませんでした。

いつも先輩に、どれくらい回せば(ミキサーを)いいのかを聞いても、こんな感じだよ・・・・と言われるだけで、そのこんな感じがいつも違っていました。

なにか基準と言うか基本と言うか、そんなものが無い事には、なにをどうすればいいのかがさっぱり解らず、混沌とした毎日でしたね。

この方の職場は、立地条件がとても良いのだそうで、そこそこ売れていると言う事なのです。

しかし、徐々に売れなくなってきているとか・・・・・

そりゃそうでしょ (~_~;)

しかしこれはあくまで一例にすぎません。

パンとは、こんな扱いをされてもパンになるもので、それが尚更製パン理論を遠ざけてしまう原因にもなっているのです。

なんちゃってパンなら、どんなに適当にやっても、なんとかパンになるものなのです。

実に細かい失敗でありながらも、それを繰り返さない為にと何度も何度も質問してくる主婦もいると言うのに、お金をもらってパンを作っているプロが、これで良い訳ありませんよね。

そもそも書かれている通り、生地温度を計らないと言う事は、今捏ねた生地の状態がつかめていないと言う事になります。

それは例えるなら、生まれたばかりの子供が男の子なのか、女の子なのか解らない、体重も解らなければ健康状態も解らないと言う事になります。

とにかく先に膨らんできた方から分割すると言うのは、まるで鳴き声が大きかったら男の子で、あまり泣かなかったら女の子かも・・・・みたいな判断ですよね。

膨らむまでに要した時間が美味しさを決めるのだと言う理屈が解っていないと言う事は、子供はご飯だけ食べさせておけば勝手に大きくなるとでも思っているのでしょうか?

どんな人間に成長して欲しいか・・・・その為に何を教えていくべきなのか・・・・

親としては常に自問自答している大問題だと思います。

子供がすくすくと成長していける環境を、いつも親は一生懸命に確保しようとしているはずです。

パン生地もまた同じではないでしょうか?

生まれた状態を把握し、それに合わせた環境で成長させる。

幾多の苦難が待ち受けていようとも(下手な分割や成形などなど・・)親がしっかりと面倒をみることで、ふんわりと立派に成長して行く。

この世に生を受けてから、一人立ちするまでの間、全力で愛情を傾ける・・・・・

そんなパン作りであって欲しいと思うのは、私だけではないと思います。

また、食品添加物には非常に敏感な時代にあって、たったの1グラムで効果を発揮する改良剤の類を、スプーンで何杯入れる的な感覚には、すぐにでも保健所に通報したい位です。

このような人達がいるから、食品添加物もただの悪者扱いされてしまうのかもしれませんね。

私自身も似たか寄ったかの先輩達にお世話になっていましたので、手作りパンとか個人経営のレストランなどでは食事をしないようにしていた位です。

見えない厨房では、何をどうされても解らないからです。

もしかしたら、一度落とした肉が入っているかもしれない・・・・と言うような衝動は、今でも持っています。

サンドイッチなどは特にそうですが、野菜を洗わない職場も非常に多い・・・・

自分の家庭では必ず洗っているはずなのですが・・・・

そんな事を考えると、いわゆるチェーン店であるとか、ファミレスの方がまだ安心出来たりします。

現場での調理が少ないからです。

ビニールに入っている物を温めて盛り付けて出すだけ・・・・それを作っている工場は、衛生的でなければ運営できないはずですから、味は別として安心感だけを考えれば、手作り程怖いと私は思ってしまうのです。

真面目に取り組んでいらっしゃる方には本当に申し訳ない事ですが、実に適当で、見られていなければ何をしても解らないと考えている人が多いのも事実なのです。

そしてそこからなかなか脱却できないのが、そのような方々なのです。

まさに井の中の蛙大海を知らずですね。

どうしてこのような事が起きてしまうのか?

何故このような方がお店を出せるのか?

それは、パン屋はお金さえあればたったの一日偉いさんのお話を聞くだけで、許可書がもらえるからです。

それに、パンは基本的には全てに火が通っていますので、つまりなかなか食中毒などが出にくい。

と言う事で、品質チェックがしずらく、別に発酵させようが発酵させまいが、焼けば少しは膨らんだパンのようなパンになると言う、実に粗悪品を見極めずらい食品なので、後は全て作り手の思いを信用するしかないと言うのがパンなのです。

はじめから何とも気分が悪くなるような話で恐縮です(~_~;)

しかし、その様な方や、その様な方に教わらなければならない立場の人が、少しでも考え方を改めてくれますようにと、これを書きながら祈るばかりです。

残念ながら、これはフィクションではありませんのであしからず(~_~;)


混ぜ物は、どの段階で入れるのが最良か?

こんな質問をいただきました。

当店では、レーズンブレッド(対粉40%)は生地の捏ね上がり時に最後に低速で入れて混ぜているのですが、それではパンは美味しくならないと講習会で言われました。

せっかく捏ね上がった生地を、また低速に戻して混ぜ物を入れる行為はパンをまずくすると。

確かにレーズンが少し潰れたような感じになりますし、生地もベタベタする時もありますので、そうなのかな????と考えてしまいます。

しかし数十年このやり方でやってきているのに、本当にいけないのでしょうか。

成形の時に巻き込む方法の方が良いのでしょうか????

今更とも思いますが、どうしても気になっておりまして、是非お考えをお聞きしたくて質問させていただきました。


ミキシングに関しては、人それぞれにミキシング理論をお持ちのようで、どれが正しいのか、または間違っているのかと言う判断は、出来にくいと申し上げるほかありません。

数十年の間、貴店のレーズンブレッドを愛して下さっているお客様がいるのだとすれば、それがすべての答えなのではないでしょうか?

本当に間違っていたとすれば、とうの昔にアイテムから抹殺されているはずですから・・・・

これもあくまで一般論ですが、生地の最終段階で混ぜ物を入れるという製法は、当然ながら理にかなっていますし、それ以外に混ぜるすべはないと言えると思います。

ですので、ほとんどの方はそうしていると言えますね。

では今回は、例えばレーズンをミキシングの途中で入れた場合と、最終で入れた場合と、成形時に巻き込むなどして入れた場合とではどのように違いが出て来るのかを考えてみたいと思います。

この場合のレーズンは、水やお湯などで軽く洗って、洋酒を少し混ぜ込んであると言う事を前提に考えて行きますのでご了承ください。

まずはミキシングの途中でレーズンを入れた場合・・・・

この場合は、レーズンはかなりの確率で潰れてしまい、果肉が飛び出す事になります。

ミキシングを続ける間に、果肉が生地に浸透し、色は黒ずんできます。

果肉のほとんどは生地に浸透してしまい、レーズンの皮だけがみじん切り状態で残る事になるでしょう。

しかし、やがてはミキシングも無事に終了し、全体的に黒ずんだ生地が完成します。

ただし、果肉の含む水分と糖分により、生地はいつもよりも柔らかく、ベタベタした生地になるでしょう。

レシピの配合量にもよりますが、イーストの活動はやや妨げられて、発酵状態はいつもより時間がかかるはずです。

分割成形ともに、ややベタベタした感じでやりにくいでしょう。

全ての段階で時間がかかり、最終発酵も遅いでしょう。

焼成時はとても色付きが良いので注意が必要となります。

そして完成品ですが・・・・・・・どうだと思いますか??????

じつはこれが意外と程良い甘さで美味しいのです。

しかもいつもよりも断然やわらかく、日持ちもするはずです。

何故かと言いますと、レーズンの果肉が生地に浸透することで、糖分の多いパンになるからです。

発酵が遅くなるのは、ペーハーがやや酸性になるからですが、だからこそしっとり感が長持ちするパンになるとも言えるのです。

ならば良い事づくめなのか・・・・・

それは好みの問題ですね(^0_0^) あくまで・・・・

普通レーズンブレッドの良さと言うのは、パン生地とレーズンの甘酸っぱさの融合であるのに対して、レーズンの原型を無くしてしまったこのパンの場合は、レーズンを感じる事はなく、単に甘酸っぱくて美味しいパンになると思います。

では次に、成形時にレーズンを巻き込んでいく場合はどうでしょうか・・・・

成形が面倒で、手がベタベタする・・・・・・

それはそうですが、そこは我慢したとしてパンとしてはどうなるでしょうか?

この場合は巻き込んでいくしか方法がありませんから、パンをスライスすると、渦巻き状にレーズンが入っている事になりますね。

なら、見た目的にはこちらの方が喜ばれそうではありませんか????

実際にレーズン以外では渦巻き状に巻き込まれているパンがたくさんありますよね。

生地に練り込んだレーズンの量は、必ずしも全て均等に分割する事が出来ませんが、巻き込んでいく場合は、レーズンの量に差が出る事は少ないと思います。

と言う意味では、パンの安定性やデザインから見て、この製法はお勧め出来るのではないでしょうか???

しかし、それ以外の意味では、生地に練り込んだ場合に比べてやや劣る部分が出て来ると考えられます。

それは、レーズンが練り込まれている場合には、生地の発酵段階でレーズンのうまみ成分が生地に少しずつ浸透していると考えられる点で、例えるなら、豚の生姜焼きをご飯に乗せて食べた場合は、その汁の美味しさもご飯と一緒に味わえますが、生姜焼きが別の皿にあって、ごはんと別々に食べた場合は、肉汁付きのご飯は味わえないと言う事に似ていると思うのです。

つまり、究極の考え方として、食パンの上にレーズンを乗せて食べているのとあまり変わりがないと言う事になりはしないでしょうか・・・・

一緒に発酵して行くと言う事と、後から混ぜたり乗せたりするのとでは、最終製品に大きな違いが出ると思うのです。

レーズンに洋酒やハーブを使っていれば尚更の事ですね。(^0_0^)

吉野家で言えば、牛皿か牛丼かつゆだくか・・・みたいなものです。

ですので、やはりどのようなパンを完成させたいのか・・・と言うイメージによって、混ぜ物を入れるタイミングを考えるべきなのではないでしょうか。

レーズン以外では、ミキシング時に練り込む物として良く使われている材料の一つがクルミだと思いますが、クルミの場合はご存じだとは思いますが、クルミの脂分が発酵中に生地に浸透して生地の色が変わってきますよね。

そうなることで、生地にもクルミの風味や旨味が浸透しながらも、クルミ単体の食感や美味しさも味わえる訳ですね。

この場合も、もし成形時にクルミを巻き込んだ場合は、生地への浸透が少なくなりますから、その分の生地の旨味は少なくなると考えられます。

また、レーズンやクルミなどとは別に、柔らか過ぎてとても一緒に混ぜ込む事が出来ない材料がありますね。

この場合はそもそも考えようがありませんから、巻き込んだりトッピングする以外には無いと思います。

何をどの段階で混ぜる事が最良なのかは、製パン性・材料の特性・完成品のイメージによって変えて行くことで、違った美味しさに出会える事もあると言えるのではないでしょうか?

巻き込むにしても、練り込むにしても、またはそれ以外でも、そのまま入れるのか、細かくして入れるのか、何かと一緒に入れるのか、どの位入れるのか・・・・

以前こんなアンケートを取っていましたよ・・・・

ご飯に焼き海苔、あなたは醤油が着いた方と着いていない方のどちらをご飯に載せますか?

いや~人の好みと言うのは深いですね~~~~

吸水率は何を基準に考えればよいのか?

こんな質問をいただきました。

吸水が多い方がパンは柔らかくなり日持ちも良くなると書かれていますが、例えば食パンなら何パーセントまでとかあるのでしょうか?

反対に吸水が少ないとパンは固くなってしまうと言う事なのでしょうか?

レシピによって吸水率は色々あるようですが、どうしてと思うほど吸水が少ないレシピがあったり、反対にベタベタになる生地があったりします。

吸水率はどのようにして決めれば良いのでしょうか?

質問できる人が近くにいないものでお恥ずかしいのですがよろしくお願いいたします。



吸水率、つまりどれ位の水を入れるのが、今お作りのパンにとって最適であるか?と言う事ですね。

これに基準があるとすれば、ミキサーが止まってしまうほど硬いとまずいでしょうし、ミキサーから生地を取りだせないほど柔らかいとそれもまずいと思いますよね。

その程度の基準ですよ(*^_^*)

あとは、何が最適かは自分で決めるのですよ。

そこで、決めるにあたってどのような点に注意が必要か?

そのあたりを説明しておきたいと思います。

まず基本となるのが小麦粉です。

小麦粉によって、水の含み具合が違いますよね。

例えば、一般的な強力粉で一般的な食パンを作ろうと思ったら、吸水率は65%~68%位でしょう。

大抵の場合は、この吸水で仕込んでいらっしゃると思います。

これが、最強力粉となると、物にもよりますがもう3%程吸水率は上がると思います。

と言うよりも、上げた方が良いと言う意味です。

逆に、少し弱い粉をブレンドしたり、全粒粉などを配合した場合は、3%ほど下がってくると思われます。

しかし、これは一般的な解釈であって、それが最適であるかどうか・・・・???

それを判断するのは、自分の技術と完成品のイメージによると思うのです。

例えば、生地を硬めにした場合は摩擦上昇温度が非常に高くなります。

と言う事は、しっかりとグルテンが出たパンになりますので、キメは細かくなります。

硬い生地は取り扱いが容易でしょうから、作り易いパンになるでしょう。

しかしその反面、少しの時間で生地温度が上昇すると言う事ですから、ミキシングのタイミングを間違えるとすぐに生地切れを起こします。

さらに、生地は非常にコシが強いので、ベンチタイムを十分に置かないと、これまた生地切れが発生します。

その他に、手粉の使い過ぎに注意が必要ですし、生地の乾燥にも注意が必要ですね。

また、別な観点から見ると、生地の総重量が少なくなりますので、出来上がるパンの数が若干減ると言う事になります。

では、生地を柔らかめにした場合はどうでしょう・・・・

ミキシング時間は長くなりますが、生地が切れるような事はないでしょう。

やや取り扱いに苦労する事はあっても、柔らかい生地はダメージにも強いですから、分割や成形時でのダメージを軽減してくれるでしょう。

見た目にも良く膨らんだ生地となり、焼成後はキメの細かい、艶のあるクラムとなるでしょう。

日持ちにも一役買う事になり、出来上がるパンの数は若干増える事にもなりますね。

ただし、しっかりと焼かないとケービングを起こす原因となりますし、生地が柔らか過ぎるということで、いたずらに手粉を使うと、焼き色のおかしなパンが完成してしまいますのでご注意ください。

とまあこんな具合ですが、どちらがお好みでしょう?

硬め・普通・柔らかめ、ラーメンの好みみたいですが、要するにその様な物だと思います。

総合的に考えるならば、やや柔らかめにしておいた方が良いと言えるかもしれませんね。

次に、こんな場合はもっと柔らかめにしてほしい・・・と言う生地をご紹介しておきましょう。

それは、混ぜ物がある生地の場合です。

レーズン・くるみ・クランベリーなどの固形物を生地に混ぜ込む場合、どうしてもこれらがグルテンを切ってしまいます。

ですので、ダメージを最小限に抑える為に出来るだけ生地は柔らかくしておいた方が良いのです。

また、型に入れて焼くパン全般に、柔らかい生地は有効となります。

ですので、食パンを始めあらゆる型物には柔らかい生地が向いています。

では逆に、柔らかくてはいけない場合があるとすれば、それはどのような場合でしょう。

それは、自らの体重を支えきれない場合には生地を硬くするしかありませんね。

例えば、生地重量が500グラムを超えるような大型のパンを、型を使わずに焼こうと思ったら、生地が柔らかいとペタンコになってしまうからです。

この場合は仕方なく生地を硬めにするしかありませんよね(^0_0^)

”水の量 ”を考える時には、

どんな成形にしたいのか・・・・

どんな食感のパンにしたいのか・・・・・

このあたりをイメージしながら、自分の力量で出来る限りの柔らかさで生地を作る事が大切なのではないでしょうか?

最後に一つ、超柔らかい生地をご紹介しておきましょう。

小麦粉は出来るだけ最強力粉を使用します。

インスタントイースト0.5%程度で、塩とモルトだけのフランスパンです。

吸水は70%程度の柔らかい生地を作っていきます。

ミキシングは低速3分の後、中速で10分程回し、ある程度生地をつなげていきます。

ここからです・・・・・

水をほんの少ずつミキサーに入れて行きながら回していきます。

あくまですこ~しずつですよ!

この時に、生地と水が分離する様な入れ方は絶対に駄目です。

普通に生地が捏ねられている状態で行って下さい。

スポイトのようなものを使うと上手くいくと思います。

どんどん入れて行くと、生地がべったんぺったん音を鳴らしながら捏ねられていきます。

そのあたりからギアを高速にします。

そしてさらにすこ~しずつ水を入れて行きます。

そして最終的には85%位まで水が入ったところで止めます。

当然柔らかい生地ですが、手で持てないほどではありません。

しっとりとプルプルした生地になるはずです。

捏ね上げ温度は25℃前後で、この生地を3時間の間に3~4回パンチしていきます。

成形は発酵カゴを使ってカンパーニュにしても良いでしょうし、成形せずにそのまま分割してリュスティックにしても良いでしょう。

まるでお餅のようにクラムがキラキラした、もちもちのパンが完成します。

クラストは噛み締めるほどに甘みがあり、シンプルであるが故の小麦と水の調和を楽しめるパンになります。

お好みで全粒粉やライ麦粉を少しブレンドしたり、くるみなどを入れても格別でしょう。

ミキシングの仕方によっては、85%か、それ以上の水を入れる事も可能だと言う事をご紹介しました。

吸水率をどう考えるべきか?

少しは参考になりましたか(~_~;)


オールインミックスの利点と欠点

こちらのカテゴリをご覧のパン屋さんから、たくさんの問い合わせがありました。

ミキシング時の油脂の投入タイミングについて


皆さん、意外と油脂を初めから投入する製法を取り入れておられるようで、驚きました。

しかしもっと驚いたのは、その効果をあまり実感できていない事と、そうする事の意味を理解せずに実行している事でした。

そんな事では困りますよ(ー_ー)!!

・・・・・・と言う事はここでは良いとして、今回はオールインミックスの良い点と悪い点があるとするならば、どのような点なのかを、これからの未来あるベーカー達の為に説明しておきたいと思います。

基本的には、油脂以外をミキサーに入れて生地を作り、途中で油脂を入れるのが通常のミキシングなのですが、オールインミックスの場合は、書いて字のごとく全てをインしてしまう訳ですね。

大雑把には上記のカテゴリにて説明している通りですが、ここでは少し細かく見て行きたいと思います。

まずはミキシング時の利点として、ギヤーを頻繁に変える手間が省ける為に、別の仕事がしやすいと言う事が言えると思います。

ミキサーに付きっきりでは、なかなか別の仕事がはかどらないものですが、オールインミックスなら、通常よりもミキシング時間も長く、しかもある程度放っておけますので、効率が良いと言えますね。

また、完成した生地は全体的に油脂が前面に出ていますので、ベタベタしない、扱いやすい生地になっていると思われます。

とても滑らかな生地が完成すると言えるでしょう。

この製法の場合、小麦粉が最強力粉であっても、薄力粉などをブレンドしてあったとしても、どちらも滑らかな仕上がりになると思われます。

何故かと言うと、油脂が潤滑油の役割を果たし、過度の摩擦を防いでくれるからですね。

時間はやや長くなりますが、ミキシングにおいては好感触の製法だと言えるかもしれません。

ただし、油脂量が20%を超えるような生地の場合は、やはりあらかじめ生地をつなげておいてからでないと、すべりまくって、しっかりとした生地にはならないと思います。

また、別の考え方として、パンのようにフワフワとさせたくないような場合、つまり成形時の形を崩したくない場合や、平べったく焼きたい場合や、トッピングが多く菓子のようなパンにしたいと言うような場合は、わざとグルテンをつなげない為に大量の油脂を初めに投入する事も技の一つと言えますね。

次に成形時ですが、油脂量が多ければ多いほど、生地どうしがくっつかなくなりますので、成形には配慮が必要になるでしょう。

生地の表面に油脂が出ている為に仕方のない事ですが、向いていない成形も出て来ると思います。

しかも、油脂が表面に出ていると言う事は、気温が暑ければベタつきますし、寒ければすぐに乾燥してしまいます。

すると、尚更生地どうしがはがれやすくなりますので、注意が必要でしょう。

最後に焼成時ですが、最終発酵温度と湿度には十分気を付けなければなりません。

何故だかはお解りですね(^0_0^)

油脂が表に出ていると言う事は、それがバターであったなら尚更の事、けして溶けるような温度帯に入れてはいけません。

また、オーブンの中ではどうしても色付きが早くなりますので注意が必要です。

色付きは早いのですが、色そのものはまだらになる事があります。

トッピングがあれば良いのですが、どうしても油脂が前面に出ると焼き色は不安定になります。

生地重量が多いものは、中心に火が通る頃にはクラストが非常に厚くなりますので、あまり大きなパンにはお勧めできない製法と言えるでしょう。

ではここで、同じ配合でオールインミックスをした時としなかった時の違いについて考えてみたいと思います。

配合は菓子パン系の生地と言う事で、砂糖が20%、油脂が20%、小麦粉は強力粉80%で薄力粉を20%ブレンドしたとします。

まずは通常のミキシングの場合・・・・・

薄力粉がブレンドしてある為に、ミキシング時間は短かくなり、早めにグルテンがつながります。

しかし、油脂の投入後は低速にてしっかりと油脂をまぜなければなりません。

油脂量が多い時ほど、生地は十分につなげておいてから油脂を投入してください。

油脂が馴染んだら、その後はあまりミキシングしてはいけません。

完成した生地は油脂が多い為に滑らかで、扱いやすい生地になっているはずです。

砂糖や油脂が多い生地ほど、捏ね上げ温度は高めにしてください。

成形時も、適度なコシと手にまとわり着かない扱いやすい生地となります。

焼成時には窯伸びも良く、色付きが早い為に薄いクラストのしっとりとしたパンになります。

クラムもしなやかで、ソフト感が持続するパンになるでしょう。

そのままプチパンとしても美味しいでしょうし、様々な具材(甘い具材)と相性が良いと思います。


では、この配合でオールインミックスの場合はどうなるでしょうか?・・・・

ミキシング時は、低速で3分程回した後、残りはほぼ中速と中高速にて生地をつなげていきます。

時間はかかるものの、滑らかなスベスベした生地になるでしょう。

通常のミキシングをした生地と比べると、第一発酵後の膨らみが少ないでしょう。

プリプリとした感じではなく、おとなしい生地になりますので、成形は行いやすく、ベンチタイムでの回復も早いと思われます。

ただし、特に冬季はベンチタイム中に生地が冷えやすくなりますので、細心の注意を払って下さい。

ここで生地が冷え込んでしまうと、そう簡単には戻らなくなります。

逆に暑過ぎる環境でも、生地がダレてきますので、分割から成形にかけての配慮が必要になると思われます。

最終発酵のホイロの温湿度には、特に気を配って下さい。

通常ミキシングの生地に比べ、最終発酵は時間がかかると思います。

更に焼成時には色付きに注意し、特に下火に加減が必要だと思われます。

成形がきちんと行われていないと、成形によってはここで形がバラバラになったりします。

完成品は、ボリューム感としてはやや劣り、比較的クラストは暑くなり、ソフト感は得られないでしょう。

その代わり、香ばしいクラストになり、口溶けの良いパンになります。

ふんわりと言うのではなく、歯切れの良い、しっかりとした食べ口のパンになるでしょう。


と言う事で、両者の違いを見てきましたがいかがでしたか?

やはりフワフワソフトな菓子パンが良い・・・・と言うなら、油脂は後から入れた方が良いでしょう。

しかし、例えば成形時に長方形のスティックにしたり、ブッタークーヘンのように天板いっぱいに生地を乗せて、トッピングして焼成したパンをカットして売りたいと言う場合などは、膨らみ過ぎないオールインミックスの方が良いと言う事になりますよね。

クラストが厚くなると言う事は、ソフト感は失われますが、香りが際立つパンになると言う事ですし、全般的に油脂の層に覆われている為に、ひきが無くもろい食べ口になります。

味・・・・と言う点では、オールインミックスの方が香りが強い分美味しく感じるかもしれません。

ただし、この美味しさは長持ちしません。

やはり長持ちと言う点では、通常ミキシングの方が圧倒的に有利でしょう。

さあ、いったいどちらが良いパンなのですかね?

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