ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

ライ麦パンはすべて酸っぱいのか?

前回に引き続き、ライ麦パンについて少し説明しておきましょう。

ライ麦パンの事をドイツパンと呼ぶ傾向があり、そのドイツのライ麦パンと言うのは、サワー種と言うものを使用して伝統的な製法で作られている為に、酸味があるのだと言う事は前回の説明でお解りいただけた事と思います。

では、ライ麦???と言う麦はいったいどんな麦なのでしょうか?

小麦とはどのように違うのでしょうか?

そして、なぜライ麦を使ったパンには、サワー種という酸っぱい種を使わなくてはならないのでしょうか?

ようやくライ麦パンについて語れる日が来た・・・・・

どうしてあの美味しさが解らないんだろう・・・・(>_<)

・・・・・と、 とても喜んでいる管理人でした(#^.^#)

実は、日本にもライ麦粉を作っている農家の方はいらっしゃいます。

しかしそれはほんの少数です。

小麦もお米に比べれば、圧倒的に少ない・・・・

しかも、品質では残念ながら世界一美味しいと言う訳にはいかないのが実情だと思います。

別のカテゴリでも紹介していますが、その土地や気候に合ったものを作るのがベストなのであり、日本においては、それがお米だと言えると思います。

そして、恐らく世界一美味しいとも思いますよね。

ドイツと言う国はと言うと、日本よりもかなり寒い国なのです。

米もそうですが、小麦粉も育ちづらい環境のようです。

そんな寒い国でも、元気に育つのがライ麦なのですが、このライ麦という麦は、実はパンにする為に必要な必須アイテムが含まれていないのです。

それが、グルテニンというたんぱく質なのです。

グルテニンの最強の相棒がグリアジンというたんぱく質なのですが、このグリアジンだけはライ麦にもふくまれています。

しかし残念な事に、相棒は二人一組でないと力を発揮する事ができないのです。

そう、右京さんだけでは面白くないのですね・・・・・(ー_ー)!!

グルテニングリアジンは、名前は似ているのですが働きが少し違います。

グルテニンの方は、パン生地にコシを与えてプルプルにする働きがあり、グリアジンの方は滑らかに伸びる働きを担当しています。

小麦には、この二つが相棒となって、良く伸びながらもプリプリの弾力もあるというパンにとって最も大事な働きをしてくれているのですが、ライ麦のグリアジンは、伸びることしか出来ないのです。

と言う事は、ライ麦でパンを作ってもあまり膨らまないと言う事になるのです。

それでも米よりは多少膨らみますが・・・・

そして更に問題なのが、その独特な味と香りです。

色もかな・・・・・

色は灰色で、まるでセメントのようですし、香りはとても変な香りです。

おまけに、例えば小麦粉であれば、小麦粉に水と少量の塩を入れてフライパンで焼くだけで、具なしのお好み焼きのような美味しいものが出来上がりますが、同じようにライ麦に水と塩を入れてフライパンで焼いたら・・・・

オエ~~~~ となります。

そんなおえ~~~な麦で、なんでパンなんか作らなけりゃならないんだ?????

と思いたくなる所ですが、そこが先人の知恵というものなのです。

自らの土地で栽培した麦を、どうしたら美味しく食べる事が出来るだろうか????

おそらく先人達は、その様に考えてこの伝統的な製法をあみ出したのでしょうね。

それが、サワー種という酸味のある種を入れると言う製法だったのですね。

では、酸味のある種を入れるのは、いったいどのような理由からなのでしょうか?

それは、独特の臭みがあるライ麦に対して、この酸っぱい種を入れるとあら不思議・・・・

とってもまろやかで美味しくなるではありませんか。

さらに、酸によって生地が化学反応を起こし、本来ならベタ~となってしまう生地を引き締めてくれるのです。

この引き締め効果が、小麦粉で言うグルテニンのような働きをし、小麦粉で作ったパンのようには行かないまでも、多少膨らむ事が出来るようになるのです。

ライ麦は、臭くて色が悪くて味も悪いと書きましたが、さらに追い打ちをかけるような特徴もあるのです。

それが、ペントザンというでんぷんなのです。

このペントザンと言うのは非常に厄介で、そのお陰でとにかくベタベタとしたパン生地になります。

ライ麦パンを作った事のある方なら、嫌と言うほど体験済みでしょうが・・・・・

がしかし、これもサワー種が入る事で大分改善されるのです。

と言う事で、小麦粉の比率が少なく、ライ麦粉の比率が多ければ多いほど、よりサワー種をたくさん入れないと効果が出ない為に、ライ麦比率が高いほどパンは酸っぱいと言う事になる訳ですね。

しかし、この酸っぱさがライ麦パンの美味しさでもある訳ですが・・・・

それから忘れてはいけないのが、ライ麦を使ったら必ずサワー種を使わないとパンにならないのか??

と言う疑問が出て来ると思うのですが、それはライ麦比率が多ければの話なのです。

例えば、5%~10%という少量のライ麦を入れたパンであれば、多少はベタつくものの、特に支障なくパンは完成します。

経験的には30%位入っても、特別膨らまないパンになるということはありません。

むしろ、ライ麦が少量でも入る事によって、しっとりとした口当たりになり、小麦粉だけのパンとは違った特徴的な風味を出す事が出来るのです。

私は個人的な好みでライ麦パンが大好きなのですが、ライ麦比率の多い酸っぱいパンも大好きですし、サワー種を使わないライ麦パンもたくさん作っています。

しかしこの場合、正確には後者の方をライ麦パンとは呼びません。

あくまで隠し味として使用しています。

また、ライ麦はドライフルーツととても相性が良いので、いつものぶどうパンに飽きたら、ライ麦を3割ほど入れてみて下さい。

またいつもと違った美味しさに出会えることでしょう。

酸っぱいとか苦いという味覚には、人間は腐っているのでは????とか危険なのでは????というような反応が起こります。

事実、色々な食品を毎日食べていて、賞味期限がまじかになると、必ずと言っていいほど臭いを嗅いだり、少しなめてみて酸っぱくなっていないかをチェックしたくなりますよね。

食物の腐敗というのは、なぜか酸性に傾きますので、肉であれ魚であれ、ツンときたら食べないと思います。

そんな日本の食文化に、そもそも酸っぱいライ麦パンが浸透するかと言うと、難しいと思います。

ライ麦ファンとしてはとても悔しいですっ(>_<)

私は、あのカッチカチにゾックゾクしているのですがね~

しかし、キムチは随分と浸透しましたよね。

最近ではキムチ鍋が大流行だし・・・・・

ライ麦パンは、好きでさえあれば、とても健康的なパンだと言えますよ。

基本、砂糖や油脂などの副材料を含まないので低カロリーの代表格ですし、鉄分やカリウムが豊富です。

しかも、成長期の子供に欠かせない必須アミノ酸であるリジンが豊富です。

さらに、食物繊維が多いので腸内活性に一役かい、乳酸発酵していますのでお腹に優しい。

良い事づくめなんですがね~

もしもライ麦パンを本格的に作ろうと考えたとして、そのサワー種というのはどのように作るのかと言いますと、比較的簡単な部類ではあるものの、自家製だと一週間位はかかってしまいます。

その後は冷蔵保存で数週間は持つのですが、何よりも家庭で簡単に作るには、粉末状になったサワー種が売られていたり、あるいはサワー種が入ったミックス粉などがありますので、とっかかりとしては、それらを使われた方が良いと思います。

と言うか、まずはパン屋さんで手に取ってみてほしいと思いますが(~_~;)

ライ麦パンとドイツパンは同じ物???

こんな質問をいただきました。

仕事で東京に行く際に、必ず寄るドイツパンの店があるのですが、そこのミッシュブロートと言うパンがとても好きで毎回必ず買ってきます。

あまり酸っぱく無く、私には丁度良い酸味な所が気に入っているのですが、毎回東京に行ける訳ではありませんので、地元のパン屋さんでよく同じ物を探すのですが、なかなか見つからないので困っているのです。

やはりドイツパンは専門店でしか売られていないのでしょうか?

残念ながら近所にはドイツパンの店は無いものですから、通販で買うしかないのかと思って調べていたら、形は同じようでも名前が違っていたりして、どれがそうなのかが解らないで困っています。

私がいつも買うミッシュブロートと言うパンは丸くて大きなパンなのですが、こちらのブログではパンドカンパーニュというふうに紹介されていますよね。

このパンもドイツパンなのですか?

ドイツパンに関する記事が見当たらないので、直接メールしてしまいましたが・・・・・


いや~実は初めてなのです・・・ドイツパンに関する質問は(#^.^#)

それだけドイツパンと言うのは、マニアにしか食べられていないパンだと言う事が解りますね、残念ながら(~_~;)

ドイツパン??? 

そんな風に呼ばれているパンが確かにあるのですが、ドイツパンとは正式にはどの様なものなのか皆さんはご存知でしたか??

そう言えば、フランスパンという名前もありますね。

しかし日本パンと言うのは無い・・・・・(--〆)

アメリカパンも無い・・・・・

でもロシアパンはある・・・・・

う~ん不思議だ・・・・・

とまあ、日本における日本人の視点から見た呼び名であることは言うまでも無いでしょうが、そもそもフランスパンもドイツパンもロシアパンも、ある特定の商品の総称であると言えますよね。

例えば、ドイツにも様々なパンがあり、甘いものから酸っぱいものまであり、デニッシュもあればクロワッサンだってある。

食パンもあれば、何とあんパンだってある。

つまり、どの国にも現在では実に多品種のパンが品揃えされている訳ですが、ドイツと言えば酸っぱいライ麦パンと言う概念が日本人の中に未だにあるのだと言う事なのではないでしょうか。

フランスパンと言うのも、フランスにだって食パンもあればあんパンもある訳ですが、細長いパンで塩味のパンはフランスパンなんだという概念が日本人の中に根付いているのだと思うのです。

では、正確にはどのように解釈すればよいのでしょうか?

それは、それぞれの国や地域にはそれぞれの違った文化や思想や言語があるように、すべてを統一した呼び名にする事は出来ないはずですから、正確には区別出来ないとは思います。

しかし、日本におけるパン業界の一般的な解釈として考えますと、ドイツパンと言うのは、サワー種を使用したライ麦パンの総称としてそのように呼んでいると考えられます。

ドイツで作られているパンは、全てがドイツパンなのは言うまでも無いのですが、この場合のドイツという名称は、あくまでライ麦が主体のパンの事を指しているのであり、ドイツで作ったパンと言う意味ではありません。

つまり、日本で作ってもフランスで作っても、ライ麦を主体とした、しかもドイツの伝統的な製法で作ったライ麦パンの事をドイツパンと呼んでいるのです。

がしかし、あくまで決まりがある訳ではありませんから、そんな事はお構いなしに、様々な商品名で販売されているのが現実ではないでしょうか。

ですから、質問者様が迷うのも当然でしょう(~_~;)

質問者様の言うミッシュブロートですが、ドイツパン専門店では、伝統的な商品名を使っているお店が多いと思います。

ドイツパンと言いますかライ麦パンと言うのは、ライ麦粉と小麦粉を併用してパンを作っています。

そして、ライ麦だけで作ったパンの事を 一般的には ”ロッゲンブロート”と呼びます。

これは、ロッゲンがライ麦と言う意味で、ブロートがブレッド、すなわちパンの事を指します。

ライ麦も小麦と同様に、粗挽きや細挽きというものがあり、ごく細く挽いたものがライ麦粉となります。

このライ麦粉の事をロッゲンと呼び、粗挽きの事をシュロートと呼びます。

ですので、粗挽きのライ麦を含んだライ麦100%のパンの事を、ロッゲンシュロートブロートと呼びます。

ライ麦パンの場合は、ライ麦と小麦の比率の違いによって名前が変わっていき、ライ麦と小麦がほぼ50%づつで作るパンの事を ”ミッシュブロート ”と呼びます。

これは混合パンと言う意味になります。

そして、小麦粉の比率の方が多くなると、今度は ”ヴァイツェンミッシュブロート”と呼びます。

これは、ヴァイツェンが小麦と言う意味で、小麦を混合したパンと言う意味になります。

小麦粉とライ麦の比率はパン屋さんによって様々ですが、一般的な解釈では、ライ麦の比率が多いほど酸っぱいパンであると言う事になります。

また、ライ麦の比率が多いほど、膨らみの悪いパンになっています。

ライ麦100%のロッゲンブロートや、プンパーニッケルと呼ばれているパンは、ほとんど膨らみませんので、まるで重たい蒸しパンか、ういろうのような内層をしています。

質問者様がお好きだと言うミッシュブロートと言うパンは、ほぼライ麦と小麦が半々で作られているドイツパンの代表的なパンですが、あくまでそれはライ麦と小麦の比率による名前であって、どのような形で焼くかは、パンやさんごとに違いがあるのです。

ちなみに、ブログで紹介しているパンドカンパーニュとは、フランスの伝統的なパンの一つで、田舎パンと言う意味のパンなのですが、これも形はパン屋さんそれぞれで全く違うものになっているのです。

ですので、ミッシュブロートをお求めになるのであれば、形は無視していただき、ライ麦と小麦がほぼ50%づつで作られているライ麦パン・あるいはライサワーブレッドを探していただければ良いと思われます。

また、誤解のないように付け加えておきますが、ライ麦を使ったパンは全てが酸っぱい訳ではありません。

このあたりは、パン屋さんであっても誤解している方も多いのですが、ライ麦そのものが酸っぱい訳では当然ありませんし、ライ麦を使っていると酸っぱくなっていくと言う訳でもありません。

酸っぱいのは、サワー種という酸味のきいた種を使うからですね。

しかも、ライ麦の比率が多くなればなるほど、サワー種をたくさん使用する事になり、つまり酸っぱさが増していく事になるのです。

相反して、サワー種を使わないライ麦パンもたくさんあります。

すこしややこしくなってきましたね(~_~;)

と言う事で、次回はもう少しライ麦パンについて書いていきたいと思います。

焼き菓子はなぜ家庭用オーブンでも上手に焼けるのか?

よく、家庭で食パンを焼かれている方より画像が送られてきます。

しかし、残念ながらとても美味しそうとは言えないのが本音なのです(~_~;)

それはなぜか????

それは、技術の差は多少あるとは思いますが、その根本原因はオーブンの能力の問題だと考えられるからです。

つまり、食パンのような大きなパンは、家庭用のオーブンでは能力の限界だと言えるのです。

毎日の食生活において、せっかくパンを焼くなら食パンが良い・・・・・・

そう思っていらっしゃる方は実に多いと思います。

しかしながら、いかようにも無理がある・・・・・

と言う事で、ここではあえて無理な食パンを焼くよりも、おやつとして焼き菓子をどんどん作ってほしいと言う気持ちを込めて、なぜ焼き菓子なら家庭用のオーブンでも上手に焼けるのかと言う事について説明していきたいと思います。

焼き菓子と一言で言っても、たくさんの種類がありますから、ここではクッキーとパウンドケーキについて説明していきます。

さて、大きな食パンを小さなオーブンで焼くのは、なんとなく無理があるのではないか???と言う事は誰にでも理解できると思うのですが、残念ながら小さなパンであっても、家庭ではあまり上手に焼けない事が多いのがパンと言うものなのです。

何故かと言いますと、それはパンが焼けて行く為には、庫内に大量の湿気が必要だと言う事と、高温を維持しなければならないと言う点に関係があるのです。

高温と言う事だけで言えば、家庭用のオーブンでも十分高温域が出せます。

しかし、そこに十分な湿度を蓄えられないと、パン生地はすぐに表面が乾燥してしまい、それ以上大きくなれなくなってしまうのです。

自らが出した水分の蒸発によって、オーブンの庫内に十分な蒸気がたまり、その蒸気があるお陰でパン生地は滑らかに膨らんでいく事が出来るのです。

つまり、パンを焼くには蒸し焼きのような環境が望ましいと言う事になります。

しかし残念ながら、家庭用のオーブンはどちらかと言うと乾燥焼きのような状態になっていることが多いと思われます。

これは、蓋を開けるとすぐに熱と蒸気が逃げてしまうような構造になっている為で、家庭と言うスペースの関係上致し方ないと言えるでしょう。

そんな蓄熱性に優れていないと言うオーブンなのに、なぜクッキーは上手に焼けるのでしょうか?

それは、そもそもクッキーには、水分がパンのように多くないと言う事に関係があるのです。

クッキーと言うのは、パン生地と違ってふわふわしていませんね。

当たり前の事だと言われそうですが、そもそもパン生地がふわふわしているのは、小麦粉と水が全体に占める割合が多い食べ物だからです。

そして更にそれを膨らませる為の酵母まで入っていますしね。

しかし、パン生地に比べると、クッキーと言うのはメインが小麦粉と水ではありません。

むしろ、砂糖と油脂がメインで、それらのつなぎ役として小麦粉が登場する訳ですね。

と言う事は、そもそもオーブンの中でたくさん膨らませなければならない物ではありません。

更に、もともと水分をたくさん含んでいないクッキー生地は、蒸気を大量に放出することはありませんし、膨らまなくて良いのですから、庫内にある蒸気が外へ逃げてしまっても構わないと言う事になります。

蓄熱性のある業務用オーブンでは、どうしても少量の蒸気であっても、逃がさずに貯め込んでしまいます。

すると、サクサクが売り物のクッキーのはずが、変にしっとりしてしまったり、焼き色が綺麗に付かない事になってしまいます。

そこで、あえて蒸気を庫内から逃がさなければならなくなるのです。

そう考えると、初めから適度に蒸気が逃げる家庭用のオーブンの方が、向いていると言えるのではないでしょうか?

また、クッキーと言うのはあまり立体的なものはありませんよね。

そもそもが薄く焼く食べ物ですね。

ですので、適度に蒸気を逃がしながらの乾燥焼きが出来る家庭用のオーブンの方が、サクサクとした軽い食感のクッキーを作るのに適していると言えるのです。

では、パウンドケーキのように立体的で、かつ、そこそこの大きさがあるものが、はたして家庭用のオーブンに向いていると言えるのでしょうか?

パウンドケーキは、パンほどではないにしても、そこそこ膨らみますね。

しかし、パンで使う酵母とは違って、ベーキングパウダーで化学反応によるガスを出す事と、卵などの気泡性の力によって膨らむパウンドケーキは、熱に非常に敏感なのです。

どう言う事かと言いますと、パンの酵母は一度熱を与えて目覚めさせてしまうと、そう簡単には活動を止める事が出来ないのに対して、ベーキングパウダーの化学反応は、加熱されれば発砲し、加熱を弱めればすぐに発砲も弱くなるのです。

そう、アクセルを踏めば加速し、アクセルから足を離せばすぐに減速する車のエンジンのようなものなのです。

パウンドケーキを上手に焼くコツは、しっかりと中心まで熱を通すという段階と、程良く膨らませると言う段階を分ける事にあります。

つまり、火力の強弱を使い分けて、前半に強火で良く膨らむようにし、後半でしっかりと中心まで火を通すと言うような何段階かの焼き方が望ましいのです。

しかし、パン用の業務用オーブンでは、熱を上げたり下げたりと言う事を瞬時に行う事は困難なのです。

ですので、熱の強弱が瞬時に行える家庭用オーブンで焼いた方が、美しいパウンドケーキが出来ると言う訳です。

ただし断っておきますが、全ての家庭用のオーブンがそうとは言えませんし、逆に焼き菓子が得意な業務用オーブンも当然ありますので、一般的な私の経験から判断した場合だと言う事を付け加えておきます。

クッキーの場合は、大抵一つが小さいでしょうし、薄いと思いますので、15分程度で焼けますよね。

しかしパウンドケーキは立体ですから、全体に火が通るまでには40分から一時間はかかりますね。

でも、パンならそんなに焼いていたらカッサカサのバッリバリになってしまいますし、あの大きな食パンでも40分以上は焼きませんよね。

それに、例えばロールパンを10分で焼こうとした場合、後5分も余計に焼いたら焦げてしまいますよね。

でも、これがパウンドケーキなら、5分や10分余計に焼いても何ともありません。

不思議ではありませんか???

だって、パウンドケーキの方が断然砂糖が多く入っているのにですよ・・・・・

このように、焼くと言う事を科学的に考える事は非常に大切な事だと思います。

料理の世界にも通じる、皆様のもっとも身近な科学ですよね。

そうは言っても、今日も食パンを焼き続けているのでしょうね~

いやいや天晴れ天晴れ(#^.^#)


家庭用のオーブンに最適なパンとは?

こんな質問をいただきました。

オーブンが重要だとおっしゃっていますが、確かにそうだといつも感じています。

でも、だからといってすぐに大きなものにするというわけにもいかず、ましてや業務用などは私の収入では×

メロンパンは家庭用のオーブンに向いているとも書かれてありますが、その他にもあるようでしたら具体的に教えていただけないでしょうか?

それとどうしてメロンパンは家庭用のオーブンでも上手に焼けるのですか?



メロンパンは家庭用のオーブンに向いている・・・??

スミマセン、憶えていません(~_~;)

でもまあ向いている方だと思います。

家庭用のオーブンと言っても、最近ではかなり高性能なものも出ているようですから、オーブンによっては向き不向きは大きく違ってくるとも思われますね。

どのオーブンにどのパンがお勧めなのかは具体的には書けませんが、そもそも業務用と家庭用では何がどう違うのかを考えてみましょう。

それはひとえに大きさですね(#^.^#)

当たり前だろうっ・・・・と言われそうですが、その大きさが実は大切なんですね~

どんな機材にも、それぞれ容量というものがありますよね。

洗濯機でも、冷蔵庫でも、炊飯器でも、鍋でも、容量を超えた量を入れたら大変です。

壊れる事もあるでしょうし、何よりも中身が台無しになってしまうでしょう。

例えば洗濯機の場合などは、容量いっぱいに入れると洗剤が残ってしまったり、ぜんぜん汚れが落ちていなかったりしますね。

炊飯器などは、米を入れ過ぎたら中心まで火が通らずに、芯が残っている場合もあります。

このように、既定の容量を超えるのは勿論駄目なのですが、容量いっぱいでも意外と理想通りに完成しない事がありますよね。

一番良いのは、容量に余裕を持った量を入れる場合で、この場合はほとんど何の問題も起きないと思います。

私達が毎日使っている業務用のオーブンと言うのは、恐らく大人が20人集まっても持ち上げる事が出来ないほどの重さがあります。

一つの段に、食パンの一本が15本位入る奥行と広さがあります。

高さは、バターロールを6個位重ねても大丈夫な位の高さがあります (どんな例えじゃ??)

その中には、50個位のバターロールが一度に入り、それが10分たらずで焼けてしまいます。

オーブンの蓋は、厚さが10センチ位はありまして、とても重いので幼稚園児では開けられないと思います。

これが標準的な業務用オーブンの大きさなのですが、それに比べるとあまりにも家庭のオーブンは小さくはありませんか????

そんな小さなオーブンで、バターロールが一度に4個焼けるのだとしても、やはりバターロール一個に当る熱量には、あまりにも差があると思うのです。

その熱量を補うために、家庭用のオーブンはとてもハイパワーになっています。

したがってすぐに温度が上がります。

しかし、蓋を開けるとたちまち温度は数十度も下がってしまうでしょう。

がしかし、蓋を閉めればすぐに温度は元通りに上がっていきますね。

凄いパワーだとは思うのですが、実はこの上がったり下がったりという温度変化が、パンにとっては最悪の環境となるのです。

良くある質問の中で、焼き色を揃える為に途中で蓋を開けて並び替えをしていると言う方や、途中で蓋を開けて火力を落としていると言う方がいらっしゃいます。

一般的なパンの場合(特殊なハード系やドイツパンや天然酵母の無糖パンではない普通の菓子パンの事)途中でオーブンを開ける事と、温度を下げる事は絶対にしてはならないことなのです。

では、業務用のオーブンはどうなのかと言いますと、蓋を1分開けたとしても、温度は10℃くらいしか下がりません。

しかし、その10℃を元に戻すのに5~10分もかかります。

そう考えると、ずいぶんとのろまな熱で焼いているんだなと思われますよね。

しかし実際には10分足らずで焼けてしまう。

これはいったいどういう事なんだろう????

石窯パンというのを皆さんはご存知ですか?

当然知っていますよね(#^.^#) あちらこちらで見かけますしね!

この石窯というのも、現在ではかなり進化しまして、風貌は石で出来ていて薪を入れる所があるにはあるのですが、実際は電機やガスで焼いていると言う、見た目だけの石窯というのもあったりするのですが、本来の石窯と言うのは実にシンプルで、石で出来た床の上に薪で火を焚き、石が温まったら薪を捨ててその余熱でパンを焼くと言う物でした。

現在でもその方法でパンを焼かれている方はたくさんいらっしゃいますが、ちょっと考えてみて下さい。

薪の火で床を温めたと言っても、その後は捨ててしまうのですから、捨ててからの熱源はなにもありません。

なのになぜたくさんのパンが焼けて行くのか????

実は石窯の最大の特徴は、その熱保持力にあるのです。

そうです、蓄熱性に優れているのですね(^0_0^)

つまり、そう簡単には熱は下がらないので、下がるまでの間はパンを焼くに十分な熱量を持っていると言う事なのです。

凄いと思いませんか!

で、業務用のオーブンというのも実は、その蓄熱性に非常に優れているのですね。

じんわりと暖まってきたオーブンの中では、安定した温度と、パンから出て来る適度な水分の蒸発による湿度が保たれていて、その熱と湿度によってクラスト、つまり皮が柔らかく薄いパンが焼き上がるのです。

ところが家庭用のオーブンでは、そもそも焼ける個数が少ない為に、庫内の蒸気が少なく、しかも蓄熱性に優れていない為に熱が外に漏れてしまっているのです。

ですので、言い方を変えると業務用のオーブンで焼いたパンは余熱焼きで、家庭用のオーブンで焼いたパンは直火焼きに該当すると考えられるのです。

直火焼き?????

ならそれはそれで美味しそうですけどね(笑)

しかし、なんでもかんでも直火焼きなら美味しくなると言うものではないのです、残念ながら(^_^;)

何と言ってもパンは立体的な物が多いですよね。

それに糖分も多い(^0_0^)

直火焼きだと表皮には良いのですが、中に火が通りにくくなりますので、どうしても火加減を弱めなければなりません。

すると今度は全体的にぼけた色になってしまう。

と言って火力を上げると、今度は周りだけ色が付いてしまい、中が生焼けになることもあるでしょう。

業務用のオーブンなら、一度入れた物はほぼ安定的に焼き上げる事が出来ますが、家庭用のオーブンでは、皆様の知恵と技に全てがかかっていると言っても過言ではないでしょう。

では、いったい家庭ではどのようなパンなら上手に焼けるのでしょうか?

それはまず、全体的に高さのないパンです。

ピザパンとかフォカッチャとかナンとか、火にあたる面積が広く、クラムの面積が少ないものには直火焼きが効果的だと思います。

それから、庫内に湿度が保てない事を利点として考えると、メロンパンやクロワッサンやデニッシュなどの折り込みパンはむしろ、家庭用のオーブンの方が向いていると思います。

逆に、見事に不向きなパンと言えば、大型の甘いパン、つまり食パンやブレッドですね。

しかし、質問を下さる方の9割は食パンを焼いていらっしゃる・・・・

そして、上記の家庭用のオーブンに向いているパンは焼いた事が無いと言う方が圧倒的多数です。

なんともおかしな話ですが、残念ながら家庭用のオーブンというのはパンを焼く為だけの物ではありませんよね。

つまり、パンだけが上手に焼ける用には開発されていないのが実情なのですね。

ですので、思い切ってクロワッサンなどに挑戦してみてはいかがですか?

折り込み生地と言うのは、生地での冷凍にも向いていますし、焼いた後に冷凍する事も出来て、とっても家庭向きなのですよ実は。

それから忘れてはならないのが、クッキーやパウンドケーキなどの焼き菓子。

これも家庭用のオーブンの方が向いています。

なぜか????

それは、長くなりましたので別のカテゴリにて紹介します。

それまで考えてみて下さいね。




焼き菓子はなぜ家庭用のオーブンでも上手に焼けるのか?

温度変化に気を付けて・・・・・

さて、生地を捏ねる前と捏ねた後の温度を計り、いったい何度摩擦上昇したのかがとても重要だと言う事を説明してきました。

家庭でのパン作りでは、特に手で捏ねていらっしゃる方々は、はたして自分の捏ね具合はこれでベストなのか、それとももう少し捏ねるべきなのか??・・・はたまた捏ね過ぎたり生地をいじり過ぎてはいないだろうか????

そんな迷いは尽きないと思います。

紹介した摩擦上昇温度が、ほぼ毎回同じになっていれば、ほぼ毎回同じような完成度のパンが出来るはずです。

しかし、それは毎回同じレシピで同じ硬さの生地であった場合にのみ適用される理論ですので、色々なパンを作っていらっしゃる方は、また次に同じパンを作るまでにはかなりの日数が経過してしまう事もあると思われます。

摩擦上昇する温度それ自体は、冬でも夏でも同じなのですが、環境作りが違ってきますし、お湯を使ったり冷水を使ったりと材料の温度管理も変わってくる訳ですから、とてもややこしく感じる時もあるでしょう。

ですので、データを取る事だけは習慣づけていただきながらも、とにかく生地の完成した時の捏ね上げ温度だけは守るように心掛けてほしいのです。

何度摩擦上昇したのか???・・・・・ではなく、とにかく希望捏ね上げ温度まで捏ねる事。

それだけはどんな種類のパンを捏ねる場合でも、特に注意しながら行って欲しいと思います。

パン生地を捏ねる際の捏ね方は、捏ねる人によって全くやり方が違うと思います。

生地をとても乱雑に扱う人もいれば、気を使い過ぎて捏ね方が足りない人もいると思います。

しかし、パン生地の命である風船の形成に影響があるのは、意外にもどう扱ったかではなく、温度に関係があるのです。

今日は十分満足がいくまで捏ねたぞ・・・・と思っていても、生地の捏ね上げ温度が25℃であったら、それはまだまだ捏ねが足りていない事になるのです。

逆に、今日はもう疲れたからこの辺でやめておこう・・・・と思ったら、意外にも生地の捏ね上げ温度が32℃になってしまった。

そんな場合は残念ながら捏ね過ぎに相当してしまうのです。

だったら、初めから高めの温度で生地を作っておけば、あまり捏ねなくても良いので楽で良いじゃん・・・・・

気持ちは解りますが、それは美味しいパンにはならないのです。

実は、家庭でのパン作りで一番多いパターンがこのパターンなのです。

寒い部屋の中で暑いお湯を使って生地を捏ね始め、最初に30℃位あった生地の温度が、捏ねて行く間に冷えて行き、最終的には28℃になった・・・・みたいな(*^_^*)

最初に生地の温度が何度であったかと言うのは、ほとんどの人が計ってはいませんので、このような事が起こってしまっていてもおかしくはないのですね。

そしてなんともまずいパンが出来てしまうのです。

このような場合は、摩擦上昇が全く無い状態で生地が完成してしまいますので、しなやかでコシの強い風船は作れません。

また、生地のスタート温度が高いと言う事は、イースト菌の活動はすぐにも始まり、生地が捏ね上がる頃にはもうほとんどのガスを使い果たしてしまっています。

そして皮の厚い、膨らみの悪い、焼き色のぼけたパンが完成してしまうのです。

ですので、スタート時の生地の温度を計ると言う事は、とても大切な事なのですね。

では逆に、スタート時点の生地の温度が低過ぎた場合はどうなのでしょうか?

この場合は、いくら捏ねても生地の温度が27℃以上にならない場合は、最適なグルテンの形成は行われていない事になるのです。

もういい加減捏ねたけど・・・・まだ駄目なの?

これ以上捏ねたら生地切れする様な気がするんだけど・・・・・・

そう思ってやめてしまうと、やはり美味しいパンは出来ないのです。

しかし、実際にはただひたすら捏ね続けると言うよりも、途中で温度を計ってみて、まだまだ低いなと感じたら、手を暑いお湯に付けて温め、その暖かい手で包み込むように捏ねると、すぐに温度は上昇してくるでしょう。

そのように色々と工夫しながら、最終的には必ず希望の温度に捏ね上げる事が大切なのです。

ここまでの話を総合すると、生地のスタート時の温度は高過ぎては決していけないと言う事と、低過ぎた場合は途中で温めながら捏ねて希望温度に到達させる事、そして何よりスタート時点の温度を計っておく事が重要であると言う事を憶えておいて下さい。

これらの事から、スタート時点の生地の温度は、全般的に24~26℃位が丁度良いと言えるかもしれません。

ただし、捏ね器を使っていらっしゃる方は、もう少し低い方がいいかもしれません。

捏ねると言えば、お餅も捏ねる食べ物ですが、お餅の場合はこんなに温度がどうのと言う事はありませんよね(^0_0^)
パン生地の場合は、捏ねてグルテンと言う風船を作りながらも、酵母の活動にも気を使わなくてはならないということで、このように温度にややこしくなってしまうのですが、この温度の大切さを一度理解してしまえば、後はパン作りと言うのはとても楽しいものになってくると思うのです。

パン生地を捏ねる意味・・・・・お解りいただけましたか???

では、特に寒い時期の注意点をもう一つだけ紹介しておきましょう。

パン生地と温度の関係はもうある程度理解していただけましたね(#^.^#)

しかしその温度管理が大切なのは、生地を捏ねている時だけの事ではないのですよ。

意外な落とし穴は、実はベンチタイムにあるのです。

しっかり希望捏ね上げ温度で完成されたはずの生地なのに、焼成後にブツブツが出来てしまったり、膨らみが悪く焼き色が濃く皮の厚いパンになる事があります。

これらは皆、作業中に生地の温度が下がってしまった事による障害なのです。

生地は分割されて小分けになると、どうしても冷えやすくなります。

ですので、分割した後は必ず暖かい場所に生地を保管して下さい。

成形する前に生地の温度を計り、捏ね上げた時よりも下がってしまったら要注意です。

そんな時は、暖かい場所でもう数十分置いてから成形して下さい。

どうせ成形した後は暖かい発酵室に入れるのだから、そこはあまり気にしなくても・・・・・

いえいえ、そこが肝心な所なのです。

まさに家庭ではここで失敗している人がほとんどでしょう。

ここまでで、生地の捏ね方と温度の密接な関係はなんとなく理解していただけたと思いますが、もう少し説明しておきましょう。

パン生地にはコシと言うものがありますね。

これは、叩いたりたたんだりした時に戻ろうとする力であり、いわゆる弾力と言えるものですね。

この弾力のお陰でパンは見事に膨らんで、ふんわりとした焼き上がりになる訳ですが、この弾力のもとになっているのが生地の中にあるグルテンと言う風船達なのです。

この風船達の強さとかしなやかさが、パン生地のコシを左右する訳ですが、実はここでも温度が非常に大切になってくるのです。

温度が低い時に成形しても、生地には適度なコシは入らないのです。

また、逆に温度が高い時には、コシが強くなり過ぎてパンが暴れてしまうのです。

上手に成形したはずなのに、何となくペタンとしたパンになってしまった・・・・そんな場合はベンチタイムで生地が冷えてしまった時なのです。

逆に、オーブンの中で暴れて形が変になってしまうような場合は、成形する時点の温度が高過ぎた場合なのです。

せっかく一生懸命捏ねて、希望捏ね上げ温度までは順調だったのに・・・・・

そんな時はどうか思い出して下さい・・・・・

パン生地は、最後まで温度を一定に保つ事が最大のコツである

と言う事を・・・・・

捏ね方や生地の扱い方、そして発酵時間が重要だと言う事は皆様もご存知の事だと思います。

しかしそこには、必ず温度と言うものが関係してくるのです。

何度も質問にお答えしても、結局温度を計る事を実行していないという質問者様は非常に多いのが実情です。

何が一番重要なのか? 

その事を無視しておきながら、いくらレシピを見直した所で、それは本末転倒と言うものです。

是非温度計を用意して下さいね(#^.^#)

冬場のパン作りについて

ご家庭でパンを作り続けていらっしゃる皆様・・・・・

お疲れ様でございます >^_^<

真夏とか真冬というのは、パン生地を作るにはあまりにも過酷な温度湿度ですので、なにかとお困りではありませんか?

すでに何年もの間、パンを作り続けていらっしゃるホームベーキングプロの方々にはどうでもいいことかもしれませんが、この非常に寒い毎日の中でパンを作っていて、どうもいつものようにいかない・・・・とか、膨らみが悪い・・・・・とか、皮が硬い・・・・・などなどお悩みの方も多いと思われます。

そこで今回は、冬の時期の家庭でのパン作りについて、いくつかの注意点をまとめてみましたので、ご紹介していきたいと思います。

もし当てはまる事が無い時や、もっと詳しく知りたい事がございましたら、その時はメールフォームからどうぞ(^_-)-☆

ではまずは、準備段階での注意点からまいりましょう。

冬ですから、とにかく寒いですよね。 特に部屋の中では、おへそよりも下の方は寒く、上の方が暖かくなっていますね。

その空気をサーキュレーターや扇風機で攪拌したくなる所ですが、それはしない方が良いと思います。

部屋の中に風をおこしたくないからですね。

パン生地は、いかなる段階でも棚の上や冷蔵庫の上など、高所においておけば大丈夫ですので、部屋の空気はかきまぜない方が無難です。

またこの時、部屋の中の湿気が大きなカギになります。

加湿器などが活躍していると思いますが、パン生地には効果がありません。

ですので、必ずストーブの上でお湯を沸かすか、沸かしたお湯を入れたヤカンやボールなどを部屋の各所に置くなどして、湿度を確保して下さい。

周りが寒くても、生地の温度を上げておけば大丈夫だと言う方がいらっしゃいますが、それは大きな間違いです。

大切なのは、部屋の温度と生地の温度を同じ位にしておくということなのです。

生地の温度が28℃~30℃位で、部屋の中もその位だと、顔がややほてってくる温度になります。

その時に鏡を見ると、風呂上がりのような美しい自分に出会えます(#^.^#)

よく、パン生地を捏ねていると生地の温度がどんどん下がってしまって困ると言う方がいらっしゃいますが、それは部屋が寒いのですね。

28℃位の温度の中で作業をすると、暑くて腕まくりをしたくなると思いますが、その位がベストだと憶えておいて下さい。

次に器材ですが、なるべく温度に鈍感なものを使って欲しいと思います。

例えば、ステンレスのボールなどで生地を捏ねると、どうしても生地が冷えやすくなります。

捏ねる前の計量の段階でも、すべてをステンレスのボールで計量すると、砂糖であれ塩であれスキムミルクであれ、皆冷えてしまいます。

私が計量で使用しているのは、なんとカップ焼きそばを食べた後のあの発泡スチロールカップです。

捨てずに取っておき、良く洗って使用していますが、温度に鈍感ですから材料の温度を下げる事がありません。

またはプラスチックでも大丈夫ですが、計量した後の材料も、まとめて部屋の上部に置いておく事です。

ちなみにイーストは冷蔵ですよ・・・・あくまでも!

生地を捏ねて行く段階で、一番温度にとって影響を及ぼすのが、当然のごとく使用量の多い小麦粉と水になりますね。

ですから、必ず小麦粉は使用する少し前には暖かい場所に置いておきましょう。

いざ捏ねようとする前に、小麦粉の温度を計っておく習慣をつけると良いと思います。

ではいよいよ生地を捏ねて行く訳ですが、手で捏ねる方もいれば、捏ね器を使っている方もいらっしゃるでしょう。

捏ね器はどうしようもありませんが、手で捏ねている方はこの時極力プラスチックのボールを使って下さい。

そして、どちらで捏ねている方も共通ですが、材料がざっと混ざった段階で(捏ね始めから3分から5分位)一度生地の温度を計って下さい。

面倒だと思いますが、実はここがとても重要なのです。

パン作りは科学と技術です。

しかし、家庭では技術はままならない事があるでしょう。

そんな時には、その分科学が大切になるのです。

変なパンになるには必ず理由があります。

そしてそのほとんどは科学的な理由が多いのです。

技術のうまいや下手と言うのは、かっこよく作れないと言う事はあっても、まずいパンになると言う事とはあまり関係がありません。

科学的に行われた作業からは、必ず合格点以上の結果が得られます。

ですから、面倒だと考えずに生地の温度は必ず計りましょう。

そしてメモしておいて下さい。 この時先程の小麦粉の温度もメモして下さい。

メモの仕方は自由ですが、このように書く事をお勧めします。

1、生地の名前と小麦粉の量

2、捏ねる直前の部屋の温度

3、捏ねる直前の小麦粉の温度とお湯の温度

4、捏ねて3分経過した生地の温度

5、捏ね上がりの温度

6、分割までの発酵時間と生地の温度

7、成形する前の生地の温度


ここまで書けば完璧です。

これが後々、とても大切なデータとなるでしょう。

捏ね器で生地を捏ねている方々は、もしこの段階で(捏ねて3分経過後)生地の温度が低いと判断した場合には、捏ね器よりやや大きめのボールにお湯を入れ、ミキサーの下に当てながら捏ねると良いでしょう。

手捏ねの方は、生地がまとまったら作業台に生地を移して、叩く揉むの作業を行うと思いますが、この時の作業台は木製かプラスチックのまな板を使って下さい。

そして、もしも生地の温度が低い場合には、ステンレスのボールに生地を入れ、お湯を張ったボールの中に浮かべて温めて下さい。

いずれの場合も温めすぎは禁物ですので、温度を計りながらの作業になります。

また、この時にあまり時間をかけ過ぎるとイーストの活動が始まってしまいますので、速やかに行います。

当然のことながら、これらの逆で生地の温度が上がり過ぎてしまったと言う場合も出て来ると思います。

そんな時は、ステンレスのボールに生地を入れて、生地に直接ラップを貼り、冷蔵庫か寒い部屋へ置いて下さい。

この時、出来るだけ生地は薄く伸ばしておくのがベストです。

ですから、ボールよりは皿のような物の方が良いかもしれません。

いずれにしても、速やかに生地温度を下げましょう。

さあ、生地の温度が概ね本来の温度になりましたら、いよいよ捏ねて行く訳ですが、ところでいったい生地の温度はスタート時に何度であれば適正だと言えるのでしょうか?

その辺りの考え方について少し説明しておきましょう。

パン生地と言うのは、捏ねられる事、つまり叩いたり揉んだり引っ張ったりする摩擦によって生地が完成していくのですが、当然摩擦を起こすと言う事はそこに摩擦熱というものが発生してきます。

この摩擦熱は、多ければ多いほど生地の完成は早くなりますが、小麦の風味が飛んでしまいます。

また逆に、摩擦熱がほとんどない場合は、生地がなかなか完成せずに、しかもキメの細かいパンにはなりません。

捏ね器を使用している方に前者が多く、手捏ねの方が後者と言う事になると思います。

キメが細かくふわっと良く膨らんだパンになり易いのは捏ね器を使用した場合で、どうしても手で捏ねた場合は捏ねが足りずにボリューム感のない皮の硬いパンになりやすくなります。

この双方の丁度中間あたりが、最もベストであると考えられると思うのです。

例えば、捏ね器を使用している人は、捏ね始めの3分後の温度が仮に20℃であった場合に、完成した生地が30℃になっていたとしましょう。

すると摩擦上昇温度は10℃ですね。

一方手で捏ねた場合のスタート温度が27℃だった場合に、完成した生地が30℃になっていたとしたら、その時の摩擦上昇温度はたったの3℃しかありません。

一方が10℃で一方が3℃・・・・・????

しかし実際にはそれ位違うのです。

いったい何度でスタートして何度で捏ね上がるのがベストなのかと言いますと、それはレシピや使用原材料や完成品のイメージによって大きく違ってくるのです。

砂糖やバターなどがたくさん入ったパンと、何も入らないパン生地では、どれくらい摩擦をかけるのが良いかは全く違ってくるのです。

と言う事は、何を基準に考えれば良いのか解らなくなってしまいますよね(^0_0^)

そこで大切になるのが先程のデータなのです。

まずは何も考えずにとにかく作ってみる。

その時、必ず先程紹介したようなメモをとるように心掛けて下さい。

そして、なんとも良いパンが完成した時のスタート温度と捏ね上がりの温度は何度であったか?

いったい何度摩擦上昇していたかを見るのです。

また逆に、どうも美味しくないパンになってしまった・・・・と言う時も同様にデータを見るのです。

それ時の摩擦上昇温度が、自分のレシピの自分の捏ね方の自分の器材と自分の技量に合った最適な摩擦上昇温度であったのか、またはそうでなかったのかの実証となるのです。

摩擦による生地温度の上昇は、生地が硬いほど多くなります。

また、捏ね器を使っている方は捏ねる量が多ければ多いほど温度も上がり易くなります。

ですので、レシピによって、使用材料によって、生地の柔らかさによって、捏ねる生地の量によって、それぞれ違ってくる訳ですから、すべてを把握するのは至難の業ですよね。

ですから、あまり難しく考えずに、とにかくデータだけは取ってみることから始めてみて下さい。

なんか最近上手くいかない・・・・・と言う時や、いきなり良いパンが出来る時もあると思います。

それがホームベーキングの楽しい所だとも言えますが、やはりそれなりに理由があったんだな~

と言う事が解るのも、大切な事だと思いますよ。

次に・・・・・は次回から

デニッシュとパイとクロワッサン、いったいどう違うの?

デニッシュ・パイ・クロワッサンについて、色々といただいた質問をまとめて紹介しましょう。

1.デニッシュはフルーツが乗っていればデニッシュで、それ以外はクロワッサンと呼ぶのですか?

確かにややこしいですね~ デニッシュとかクロワッサンとか(~_~;)

では一通り解説していきましょう。

デニッシュと言うのは、デニッシュと言う生地を使って作れば、どのような物を乗せようと包もうと挟もうと詰めようと、デニッシュと読ぶのであって、クロワッサンとは違いますね。


2.デニッシュと、ナポレオンパイなどに使われているパイは同じものなのですか?

デニッシュ生地と言うのはあくまでパン生地であり、パン生地に油脂を折り込んで層を出しているパンの事を指しています。

パイと言うのは、油脂を折り込んで層を出すのは同じなのですが、生地にイースト菌が入っていませんので、パンではないのです。

しかしながら、イースト菌を使っていない、つまり発酵させないと言う事以外は、ほとんどデニッシュ生地もパイ生地も使用する材料に違いはありませんので、発酵させる前の段階までは、どちらがパイでどちらがデニッシュなのかは見分けがつきません。

どちらも作っているパン屋さんでは、これらの生地には印をつけて対処している位です。

そしてたまに間違える人もいたりして・・・・

時間が経っても膨らんでこないのでビックリ・・・みたいな(~_~;)


3.ドンクのミニクロワッサンは、生地はデニッシュなのですよね。 だって甘いのはデニッシュですよね。


ドンクのミニクロワッサンは、生地にも砂糖が多めに配合されていますし、焼成後にシロップを塗って甘くしているのですが、基本使用している生地はクロワッサン生地なのですよ。


4.デニッシュをあまり発酵させないとパイのようになると聞いたのですが本当でしょうか?

それは、パイのようにと言うよりも、あくまで未発酵のイースト菌臭いものが完成すると思います。

あまり発酵させたくないのなら、初めからイーストを入れる意味がありませんし、イーストを入れた時点で、どんなに未発酵だったとしても、オーブンの熱によって中途半端にイーストが活動し、焼き色はぼやけて味は悪くなり、形も悪くなるでしょう。

つまり、何の意味も無いと言う事です。

5.私はパン・オ・ショコラが大好きなのですが、あれはクロワッサンだと言う人がいます。 クロワッサンと言うのは、三日月形をした物をクロワッサンと言うのではないのですか?

そうですよね。 本来は三日月形のものをクロワッサンと呼んでいたはずなのですが、今ではその三日月形すらもあまり見かけませんね。

そもそもクロワッサンと言うのは、ウィーンが戦争でオスマントルコを撃退した記念に作られた、トルコの旗印をかたどった三日月のパンが発祥で、フランス語で三日月と言う意味であることから、一般的にはその形をクロワッサンと呼んでいました。

しかし現在では、生地の糖分が比較的多い物をデニッシュ生地、比較的少ない生地をクロワッサン生地と言うように分けて作っているのが一般的だと思われます。

特にパン・オ・ショコラやパン・オ・レザンと言うのは、フランスの代表的なクロワッサンの一つで、生地にはあまり砂糖が使われておらず、しょっぱい生地と甘い具を楽しむパンとなっているのです。

要するに、クロワッサン生地というあまり甘くない生地で作った物は、中身が何であれクロワッサンと呼ぶのですね。

6.パイは良く料理でパイ包みのような使い方をしていますが、クロワッサンの生地でそんな感じの使い方をしたらと思っているのですが駄目でしょうか?


何事も駄目と言う事はありません。 

ただし、質問4にも書きましたが、発酵時間を取らないとかえって美味しくない物を作る事になると思います。

クロワッサン生地を使うのであれば、ある程度発酵時間を取ってから焼かれる事をお勧めします。

この時、発酵させ過ぎるとパンがふかふかになってしまい、パイ包みならぬ、ふかふかパン包みになってしまいますのでご注意ください。

7.パイ生地でクロワッサンの形に成形したら、クロワッサンが出来るのでしょうか?

残念ながらそれは出来ません。

クロワッサンの形に成形するまでは良いのですが、焼いた時に結局ペタンコになってしまいます。

パイ生地は立体的に焼くには不向きな生地だと言えると思います。

パイ生地と言うのは、生地をそのまま焼いて食べる物ではなく、他の素材との相性を楽しむものであるとお考えください。

ただ砂糖を付けて焼いただけで美味しくなりますが、生地そのままだと物足りないものになるでしょう。

と言うよりも、あえて他の素材をひき立てる為にシンプルな味になっていると言った方が良いかもしれませんね。


8.バターを使っているのがクロワッサンでマーガリンを使っているのがデニッシュと言うのは本当なのでしょうか?

そうとは言えないと思いますし、その様な取り決めはありません。

10.パイシューというパイ生地の中に生クリームがたっぷりと入ったシュークリームがありますが、あのパイ生地はオーブンでとても大きくなります。 でもイースト菌が入っていないのになぜあんなに大きく膨らむのですか?

パイ生地が、デニッシュ生地やクロワッサン生地と大きく違う点は、イースト菌が入っていないと言う事と、折り込む油脂の量が多く折り込む回数も多いと言う事です。

油脂を折り込んだ生地と言うのは、油脂がオーブンの中で溶ける事による水蒸気で膨らむのですが、その油脂量が多く、しかも層がたくさんあると言う事は、デニッシュやクロワッサンなどよりも膨らむ力がとても強いと言えるのです。

デニッシュやクロワッサンと言うのは、そもそもがあまり膨らむ事を目的としていません。

膨らみを抑え、油脂の濃厚な美味しさを味わうパンであり、もしこれが膨らみ過ぎてしまうと、全体的に味がぼけて薄くなり、濃厚さがなくなってしまうのです。

パイの場合は、デニッシュやクロワッサンと同じ厚みで焼いてしまおうものなら、まるでお化けのようにふくらんでしまい、その後にしぼんでしまいます。

ですので、パイ生地は膨らみ過ぎないように小さい穴を無数に開けるなどの工夫をしないと、綺麗な形に焼きあがりませんよね。

一般的には大きくなり過ぎたパイ生地は焼成後にしぼんでしまうのですが、このパイ生地を型を使って焼くと、横に膨らめない分上に向かって膨らんでいきます。

そして型に入っている為に、横にも火が良く入り、全体的にしっかりと焼く事で全体が乾燥し、しぼむことなく空洞があるパイ生地が完成するのです。

以上まとめてご紹介してきましたが、お解りいただけましたでしょうか?

ややこしいですが、デニッシュとクロワッサンと言うのはあくまでパンの仲間であり、パイはパンではないと言う事。

砂糖の多い生地に油脂を折り込んで層が作られている生地を一般的にデニッシュ生地と呼び、砂糖の少ない生地に油脂を折り込んで層が作られている生地を一般的にクロワッサン生地と呼んでいる事。

ですので、デニッシュ生地ではフルーツを乗せたり甘い具材を中心にした物が多く、クロワッサン生地はサンドイッチにも使われたりしているのですね。

もっとも、それ以外にも様々な生地に油脂を折り込んだオリジナルがたくさんある事は皆様ご存知ですね。

これからはむしろ、その様な枠が吹っ飛ばされた斬新な物がどんどん出て来ると思いますね。

伝統を重んじつつも、常に新しいものを追い求めて行く・・・・・・

のは良いとしても、カラフルな鯛焼きはどうかと思う今日この頃です。


ミスドーとパン屋のドーナツは何が違うの?

こんな質問をいただきました。

ドーナツについて質問させて下さい。

私はドーナツが好きで、ミスタードーナツに良く出かけるのですが、いつも思う事があります。

それは、ミスタードーナツとパン屋さんのドーナツは何となく感じが違う??と言う所です。

パン屋さんのドーナツは、失礼ですが大きさが色々あったりしますし、潰れていたりもしますし、全体的にふかふかしているイメージがありますが、ミスタードーナツのドーナツは目が詰まっていると言うか、全体的にしっかりした感じで見た目にも綺麗ですよね。

あれってやはりドーナツはドーナツの専門店だからなのですか?

それからパン屋さんにはカレードーナツが必ずと言っていいほど置いてありますが、どうしてドーナツ専門店にはカレードーナツはないのでしょうか?

パン屋さんでは惣菜入りのドーナツで、ドーナツ専門店では甘いドーナツと言うような取り決めのようなものがあるのでしょうか?

以前友人から、ミスタードーナツのドーナツはベーキングパウダーで作っているからパン屋のドーナツとは違うと教わったのですが、自分で作る場合もベーキングパウダーで作った方がうまくいくでしょうか?(イースト菌は使った事が無いもので)


確かにパン屋さんのドーナツは不揃いな物が多いかもしれませんね(@_@;)

ドーナツと言うのは、簡単そうに見えて、その実とても難しいパンであると言えると思います。

一般的な解釈では、焼いたものはパンで、油で揚げたパンはドーナツと呼んだりしますね。

しかし、パン屋の発想としては、基本的にはパン生地を作るのがパン屋ですので、それを焼いたものと油で揚げたものに分けていると言う程度の分類なのですが、ドーナツ専門店の場合は、基本が油で揚げている事になりますので、ハードな食べ口の物やソフトな物、あるいは形が面白い物やトッピングを楽しむものと言うように、ほとんどを油で揚げて完成させる専門店と言う事になります。

そんな油で揚げる商品の専門店でも、時には中華まんを販売してみたり、焼いたドーナツを販売してみたりと、要するに何でもありなので、定義はあってないようなものなのかもしれませんが・・・・

さて、ご質問にあるように、確かにドーナツ屋さんのドーナツはとても綺麗に完成されていますよね。

それに比べてパン屋さんのドーナツは何となく不揃いで、しかも潰れている事が多いのは事実でしょう。

お恥ずかしい話ですが、それがどうしてなのかについては、正しい事は解りません。

しかしながら、あくまで一般論として経験から申し上げるならば、パン屋さんはあまり揚げたパンに力を入れていないと言えるのではないでしょうか?

それはなぜか?

パン屋さんの商品アイテムの多くは、焼いたパンと揚げたパン、そして調理パンとお菓子と言うようになっています。

その中で、調理パンと言う、いわゆるサンドイッチを作っているのは、そのほとんどがパートタイマーの学生や主婦の方が中心になっています。

さらに、揚げパンも同様に、パートタイマーの方が中心に担当していると思われます。

パートタイマーの方が作っている事が、イコール力を入れていないと言う事にはならないと思うのですが、どうしても技術者はパン作りをメインに担当しなければなりません。

全ての作業が同時進行する場合、生地を作って分割成形して焼成すると言うパン作りを職人が行っている以上、その職場に職人が何人もいる場合を除いては、ドーナツを揚げる人もサンドイッチを作る人もパートタイマーが担当する以外にないのです。

いずれの作業も、けして手抜きが出来る作業でないのは当然なのですが、やはり揚げパンであっても調理パンであっても、パンそのものの品質が良くなければなりませんので、技術の力量はどうしてもパン作りを中心におこなわれる傾向があるのです。

また、揚げると言う作業も、包丁を使って野菜などを挟むと言う作業も、主婦の方の方が向いているのではと言う判断もあり、工房ではパンを作る人・揚げ物担当・調理パン担当と言うように別れて同時進行しているのです。

忙しい、つまりは売上が高ければ高いほど、工房に占める技術者の人数は足りない傾向にあります。

すると、ほとんどの作業をパートタイマーが補う事になりますので、どうしても品質が不安定になるものです。

売上が上がってうれしいと言う事と、品質を維持するための人件費と人材育成にお金がかかると言う事は、常に比例していく為に、人件費をけちっているお店では商品の品質はどんどん低下していく事になります。

消費者の側から見れば、売れているお店は品が良いからだと思いたい所でしょうが、実際にはそうでもない場合が多いかもしれません。

有名シェフのレストランがありますよね。

超人気で毎日数百人のお客様が来店しますが、そこで作られる料理の全てをその有名シェフが一人で作っている訳ではありませんよね。

シェフに鍛えられた優秀なスタッフがいるからこそ、どのお客様にも満足していただけるような料理を出せるのだと思います。

換言すると、そのお店で販売される商品の全ては、誰が作っていようがそのお店の商品としての価値が無ければなりません。

消費者はそれを当然として買い物をしていくのです。

しかし、現実には隅々まで技術力が行き届かずに、お粗末な品物が販売されていると言う現実もあるのです。

有名店としての看板を数十年にわたって守り続けているお店と言うのは、新人の研修制度や技術力に応じた昇給制度などがきちんと確立されています。

それに反して、急成長している中小ベーカリーなどでは、どうしても人材教育が間に合わずにパートタイマーに頼る傾向があります。

長いスパンで見れば、どちらが成功するかは火を見るより明らかですが、それを消費者が見分けるすべはありません。

乱雑な商品を見つけたら、すぐに店員に言いましょう。

その時の対応がいいかげんなようなら、すべてにいいかげんだと判断して下さい。

さて、そのような事情からか、本来は実に難しいドーナツ作りなのですが、技術者がドーナツを作ると言う光景は無いに等しいと言えますので、今後も高品質のドーナツはパン屋さんには望めないかもしれません。

では、相反して専門店のドーナツがどうして綺麗なのかを説明していきましょう。

まず、決定的にパン屋さんと違う所は、使われている小麦粉が違うと言う所です。

小麦粉と言っても、すでに色々な材料が混入されている小麦粉の事で、これらをミックス粉と呼んでいます。

皆様がご存じなのは、スーパーで売られているホットケーキミックスなどがそのミックス粉にあたります。

このミックス粉と言うのは、様々な薬品と砂糖や塩や粉末油脂などが配合されていて、現場では水とイーストを入れるだけで簡単にドーナツが作れるようになっている便利な小麦粉なのです。

皆様もホットケーキミックスは使った事があると思いますが、とても上手に簡単に出来ると思いませんか?

それが業務用になっているとお考えください。

このミックス粉の利点は、まず計量ミスが起こりませんから、失敗無く、しかも店舗によって品質が違うなどと言う事が起こらないと言う点です。

全国展開するチェーン店の場合、この”商品の安定”と言うのは絶対的な課題ですね。

味よりも何よりも、まずは全店舗で同じ商品が作られなければチェーン展開が出来ないからです。

と言う事で、商品の安定、つまり形を皆同じように作ると言う事には絶対的に自信を持っているのが専門店なのです。

パン屋さんのドーナツと言うのは、一つ一つ伸ばしたり丸めたりして成形していきますので、下手な人が作れば形が悪くなりますよね。

それではいけないと言う事で、専門店では型を使って形を安定させているのです。

ドーナツの中でも最も形を揃えずらいのがリングドーナツなのですが、ミスドーなどでは、これも伸ばした生地をリング状の型で抜いているのです。

しかし、いくら型で抜いたからと言って、パン生地はコシがありますので、型で抜いた後に生地が締って形が変形したり、不揃いになったりするものです。

そこで登場したのがこれまたミックス粉で、あまりコシが入らずに、型で抜いた後でも安定した形になるように配合されているのです。

と言ってもまったく技術が必要無い訳ではありませんよ。

ミスドーでは、その技術によって時給が大きく変わってしまうのです。

つまり、大手専門店と言えども、技術力によって昇給させる制度がありますので、誰しもがより綺麗な物を作ろうと頑張る訳ですね。

ただしですよ(^0_0^)

形が綺麗であると言う事と、美味しいかどうかと言う事は、ドーナツに限っては一概には言えないと思います。

それは、ドーナツは形を安定させようとすると、どうしても元気な良く膨らんだ生地では難しくなるからです。

あまり膨らまない生地をあえて作らないと、油で揚げている時に大きく膨らみ過ぎてしまい、その後にしぼんだりしてしまうからです。

つまり、しっかりと発酵させたふっくらとしたパン生地は、ドーナツには向いていないと言えるのです。

一般的にパン屋さんのドーナツが潰れている事が多かったり、不揃いな物が多いのも、実はそんな理由からでもあるのです。

あくまで好みの問題ですが、確かに不揃いだったりはしているものの、もしかしたらそんなパン屋さんのドーナツの方が美味しいと言う事もあるかもしれませんよ(^0_0^)

それからカレードーナツについての質問がありましたが、パン生地に何かを包むのはパン屋の得意分野とも言えます。

しかし、パンを作った事がある方ならお解りだと思いますが、パン生地に具材を包むのは非常に難しいですよね。

そんな難しい作業はチェーン店では行いません。

と言うか行えませんね。

ですので、中に具材が入った商品があるとすれば、それはすでに中身が入った物が冷凍で送られてきたものだと言う事になります。

具材入りのドーナツは数多く販売されていると思いますが、ミスドーの場合は確かお店で手作りすると言うのが基本コンセプトであったと記憶していますので、現場で出来ない事はやらない主義なのかもしれませんね。

まあ甘いドーナツだけでも十分商品数はありますから、具材が包んであるものはパン屋さんに任せておけば良いのではないでしょうか(^0_0^)

それと最後に、ベーキングパウダーで作ったドーナツと言うのは、一般的にはケーキドーナツと言いまして、オールドファッションのような食べ口のドーナツしか作れません。

ふっくらとしたドーナツは、イーストドーナツと呼ばれていて、文字通りイーストを使ったパンを揚げて作るドーナツの事を指しますので、お間違えのないようにお願いします。






パン教室でどこまで学べるのか?

こんな質問をいただきました。

はじめまして。いつも勉強させて頂いております。

こんな質問をして良いものか迷ったのですが、どうしても納得できない事がありまして、大変失礼とは思いましたがメールさせて頂きました。

私はパン作り1年目の初心者で、現在パン教室に通っているのですが、このブログを見つけてからは色々と納得がいかない事が出てきて、先生に直接聞いてもパンは理屈で覚えちゃ駄目、体で覚えなさいと言われるのでそれ以上細かい事が聴けずに、もやもやとした毎日を送っております。

教わったパンはどうしてもお店で売っているようなソフトなパンにはならずに、皮の厚いパンになってしまいます。

どうしたらお店で売られているようなツヤのある皮の薄いパンになるのかを先生に質問するのですが、売っているパンは薬品が大量に使われているからで、家庭で作るパンは皮が厚いのは出来の良い証拠だと言われました。

先生の言われる事には何となく違和感を感じていたのですが、このブログを見ているとやっぱりそうかと思えるような記事が沢山あり、私はこのままパン教室に通っていて良いのかどうか迷ってしまったのです。

ちょうどこちらで材料の計量について書かれている記事を読んでから教室に行った時の事ですが、先生が砂糖はイーストの栄養なので一緒に量らないと駄目だと言われたのです。

私が質問すると先生は有名な書籍を指して、ここにも書かれているでしょと説明されました。

その本には確かに砂糖一つまみを入れて混ぜると書いてありました。

それで私はまったく解らなくなってしまい、勇気を出してメールしてみようと思った次第です。

こんな初歩的な質問は迷惑なのは十分承知の上でのお願いです。

お手すきの時にでも返答いただければ幸いと存じます。


それはそれは、色々と惑わせてしまったようで、解釈が足りなかった事を反省してここに付け加えさせていただきたいと思います。

砂糖はイーストの栄養なのか??・・・・と言う事でいうと、それは少し違うと思います。

イーストの栄養になるのは、砂糖の糖分であって砂糖そのものではないのです。

これは例えば、捏ね上がったパン生地にイーストを振りかけても、パン生地その物は膨らむ事は無いと言うのと同じです。

イーストその物にいくら砂糖を振りかけても、イーストは活動を開始しません。

それどころか表面から順に餓死して行く事になります。

少しややこしいですが、イーストにも色々な種類があるのをご存知ですか?

今回のご質問にあるイーストとは、インスタントイースト加糖用と言う細かい顆粒状のイーストになります。

厳密に言うと、このインスタントイーストにはほとんど水分がありません。

ですので、上白糖であれグラニュー糖であれ、直接くっつくことがあってもすぐにどうなると言う物ではありません。

なぜなら、お互いが乾燥しているか水分が少ない物の場合、互いが交じり合う為の道案内がいないからです。

ただし、そのまま時間を置くと、イーストは表面から順に餓死していきます。

それは、互いに水分が少ないとは言え、水分量が全く同じでない場合には、やがては多い方が少ない方から水分を奪ってしまうからです。

ですので、イーストに砂糖が付いたからと言って、すぐにどうなるものではなく、あくまでそのまま放置しないで欲しいと言う事なのです。

それから先生が提示した砂糖の一部をイーストと混ぜると書かれているのは、インスタントイーストと似ていますが、正確には”活性ドライイースト”と言うもので、一度お湯と一つまみの砂糖を入れて15分ほど活性させてからでないと活動する事ができないイーストの事を指すのです。

現在では一般的にはあまり使われていません。

なぜなら、この15分の活性をいい加減にやると、すぐに商品に影響が出てしまう為で、特に家庭では使われる事はほとんど無いと思われます。

しかし、いくら活性が必要なドライイーストだからと言って、沢山の砂糖を入れればやはりイーストは餓死してしまいます。

イーストは水分を沢山含んでいる物でも少ない物でも、菌を有している事に変わりはありません。

菌は水分を介して増殖して行く生き物なのですが、砂糖の成分には菌が生きていけるような水分はまったくありません。

ですから、砂糖と接触していると、やがてはすべての水分を奪われてミイラになってしまうのです。

とりわけ砂糖との接触を絶対に回避しなければならないのが、パン屋さんで使用している生イーストです。

このイーストは70%が水分ですので、砂糖が触れた瞬間から水分の移動が始まり、自家発酵がスタートしてしまいます。

生イーストの場合、生地を捏ねている間にはもうすでに活動が始まっています。

水分が多いということはそれ位反応が早いのですね。

捏ねている間に砂糖の糖分を見つけるや否や、はい行動開始・・・となる訳です。

この生イーストに砂糖や塩を直接くっつけると、表面がデロデロに解けてきて、そのまま放置するとその部分は死んでしまいます。

ナメクジに塩みたいなものです。

以上のようにイーストにもいくつかの種類があり、水分が多いほど直接砂糖や塩に触れさせてはならないと言う事がお解かりいただけたと思います。

水分が他の物質との道案内になると言うのはパン生地に限った事ではなく、あらゆる食品に言える事ですね。

お互いの表面が乾燥していれば交わる事のない物質も、そこに水分が触れることによって、すぐに交わってしまう。

インスタントイーストと砂糖は、互いが表面は乾燥していますのですぐにどうなる訳ではありませんが、そこに例え一滴でも水分が付着した場合、すぐに交わりは始まってしまうでしょう。

ですから、いずれのイーストにおいても、一緒に計量すると言うのは百害あって一利なしと言わざるを得ません。

それから、売られているパンは薬品がいっぱいですか~

いかにも怪しげな表現ですね~

しかしそんな程度ではないでしょうか、一般の方の認識は。

ただし、まったく間違った解釈をしているのは、家庭であれパン屋さんであれ、全く同じ品質のパンを作る事が出来ると言う事実は、多くの方が体験済みだと思いますよ。

ただ一般論として、家庭で特に手で捏ねた場合は、機械で捏ねた生地よりも捏ね方が不十分になり、その分皮が厚くなりやすいと言う事と、生地の取り扱い方によって、つまり技術によって完成品の品質は大きく違ってくると言う事実はあると思います。

何回も何回もパンを作り、何度もブログを読み返してみてください。

経験を重ねるたびに、書いてある内容の理解度が違ってくると思うからです。

また、パン教室にそれ以上のものを望むのは難しい気がします。

そんな事を言うと先生に叱られそうですが、やはりすべては経験のなせる業だと思うからです。

私を初め、忙しいパン屋さんで働いている職人さんが一日に作るパンの量はどれくらいだと思われますか?

生地の仕込み、つまり生地作りですが、捏ねるのはほとんど機械ですが、捏ねられた生地の重量は大抵の場合10Kgから20Kgもあります。

それを50g程度に分割して丸めて、一つ一つ成形していくのです。

仮に総重量が中間的な量で15Kgだったとすると、一つ50gの生地が300個出来る事になりますね。

それに餡を包んだり、カレーを包んだりするのです。

300個包むのにどれ位の時間とスピードが必要か考えてみて下さい。

そして、商品のアイテムは60種類とか80種類とかありますよね。

忙しいパン屋さんでは、総重量が15Kgにもなる生地を何十回もミキサーで捏ねています。

生地の上げ下げだけで、腰がやられない方がおかしいと思う位です(~_~;)

朝から夕方まで生地作りの担当は生地を捏ね続け、成形担当は生地を分割しては何千個もの成形を時間までに終わらせなければなりません。

焼成担当は、朝から閉店間際までノンストップで焼きっ放しです。

天板一枚に、12個位のパンが乗っていますので、結構重いのですこれが・・・

それをいったい一日に何回オーブンから出し入れする事か?????

しかも全てを絶妙の焼き色で焼いて当たり前ですよ。

食パンなどは一本の重さが約1.2Kgもある物を、一度に5本位持ってオーブンから出し入れしますので、それはそれは腰にきますよ。

しかも常に200℃以上あるオーブンの前に一日中いて、焼きながら次の発酵状態を見て、今焼いているパンが焼けるまでの数分の間に、次に焼くパンに具を乗せたり、焼く温度帯がパンによって違いますから、それらをうまくコントロールしながら、オーブンを空かす事無くスピーディーにこなし、常に次のパンがどんどん膨らんできますので、段取りを考えながら発酵状態も焼き加減もベストにする為に・・・・

と言っても到底理解する事は困難でしょうが、とにかく一日中ある意味戦場にいるようなものなのです。

皆様がよく訪れるベーカリーに、見事に並んでいるたくさんのパン達。

あれを焼いているのは、ほとんど一人なのですよ。

パン屋さんと言うのは、それ位の量のパンと毎日を共にしているのです。

パン教室で10個位のパンを毎回作っていたとしても、それが仮に今日は30個作ってみましょうとなったら、オーブンには一回で入らないから大きさの違ったパンが出来てしまうし、30個も成形していたら膨らみ過ぎてしまい、とにかくパニックになると思います。

数をたくさん作ると言う事は、それ位大変な事なのです。

少し作ろうが、たくさん作ろうが、すべてを同じ品質に仕上げる事が出来る技術と理論だったり、段取りとスピードだったり、そのような日常をこなしていかない事には身に着かないものが製造の世界にはあるような気がしています。

そんな生活を私はもう32年以上続けています。

他の職人さんは知りませんが、私には趣味などを持つ時間はありませんでした。

休みは不安定ですしね。収入も・・・・

常にパンを作り続け、常にパンの事を考えながら過ごしていく人生です。

いくら勉強しても、いくら高名な先生に教わっても、このように日々をパン生地と共に過ごしている職人のようにはいかないのではないでしょうか。

そんな中にあっても、私のように理屈が好きな職人もいれば、技術まっしぐらの職人もいる・・・・・

十人いれば十色のパンが出来るのだと考えれば、今教わっている事もその中の一つであり、けして無駄ではないと思うのですが・・・・・

ホームベーキングは、あまり堅苦しく考えるとつまらなくなりますよ。

失敗して当たり前なのですから、楽しんじゃってほしいと思いますが、そうはいきませんかね~(^0_0^)

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