ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

ミックス粉で作るパンは美味しい・・・・のか???

こんな質問をいただきました。

うちの工房では、とにかく多くのミックス粉を使っています。

フランスパンも食パンもすべてミックス粉ですし、ドーナツやスイートロールもミックス粉です。

品質が安定していて、冷凍生地を使うよりも良いパンが出来るからだとチーフは言っているのですが、これって自家製だと言えると思いますか?

価格も高くつくと思いますし、何よりも発酵時間が短いのが楽と言えば楽なのですが、作り手としてどうなのかなと考えてしまいます。

他のパン屋さんではどの程度ミックス粉を使用しているのでしょうか?

ミックス粉で作ったパンは、ミックス粉で作った事が専門家が食べればわかってしまうものなのでしょうか。

大変おかしな質問である事は十分承知していますが、これで良いのか悪いのかがどうしてもはっきりと知りたくて質問させていただきました。

ブログを拝見していて、ミックス粉の事があまり書かれていないので、語る価値もないものなのかなとも考えてしまい、気になって仕方がありません。

他に聞ける人がいないので、解る範囲で構いませんので教えていただけないでしょうか?


ミックス粉ですか・・・・確かにあまり触れては来ませんでしたね(~_~;)

と言うよりも、ミックス粉に関する質問は正直初めていただきました。

そもそも皆様は、ミックス粉なるものをご存知でしょうか???

誰でも知っているミックス粉といえば、そうそう、あのホットケーキミックスがありますね。

少しの材料を加えるだけで、見事にふっくらとしたホットケーキが出来ますよね(笑)

製パン原材料の中には、このホットケーキミックスと同じように、安定的に様々なパンが作れるように工夫されたミックス粉というものがあるのです。

ではいったい、どの位の種類のミックス粉が存在すると思われますか???

恐らくは、ミックス粉だけでパン屋が開けるほどの種類が存在しているのです。

しかも、各メーカーがそれぞれ色々と出していますから、その種類はと言うと・・・・

かなり多く、数百種類はありますね。

ではこのミックス粉で作ったパンは、果たして美味しいのかどうか・・・・・

について考えてみたいと思います。

まず、ミックス粉の中にはいったい、どのような材料が含まれているものなのでしょうか?

まず、必ずと言っていいほど入っているであろう材料と言えば、恐らく改良剤や安定剤などの食品添加物。

ミックス粉の利点と言えば、作業の短縮はもちろんですが、何よりも安定的に作る為のものですので、食品添加物は欠かせない事になります。

ただし、だからと言って薬品だらけのようなイメージを持ってはいけませんよ(ー_ー)!!

様々な酵素剤などの開発により、より安全に気を使って作られていますので、その辺は気にするべき所ではないと思います。

次に配合されているであろう材料としては、砂糖や塩などの、いわゆる味付け的な材料ですね。

それからこれも必ずと言っていいほど配合されているはずなのが、油脂や卵や乳製品ですね。

これらは皆粉末状に加工されて入っていますので、ミックス粉と言うのはほとんどがやや黄色い色をしています。

もちろん、これら以外にも色々入っているはずですが、そのあたりは企業秘密ですから私には解りません。

では、ミックス粉で作るパン生地と言うのは、一から作ったものと比較して、どのような違いがあるものなのでしょうか?

まず、ミックス粉の最大の武器である安定とは、いったいどこからくるのでしょうか?

それは、計量の際に数量を間違える事があり得ない事、すべてが粉末状に綺麗に混ざり合っている事、さらには、ミキシングの不足や過多、あるいは分割成形時の生地のダメージを最小限に抑える工夫がなされている事だと思われます。

と言う事は、今日のパンは少ししょっぱくない??? みたいな事や、捏ね上げ温度に神経をピリピリさせなくても、計量は半分以上済んでいるのでどんどんミキシング出来ますし、例えば少量づつ何回も回す事が可能になったりしてくるのです。

ミキシングから分割に至るまでの工程が、劇的に楽に、しかも安定的に行えるようになります。

そして分割以降の工程でも、生地はとても扱いやすく、少しくらいの生地温度の違いや、室温などの変化にも影響を受けにくく、それでいてしっかりとふんわりとしたパンが完成しますので、一度使うと離せなくなると思います。

では、肝心の味はどうなのでしょうか????

その部分は、正直食べる人の好みですので、一概には言えないと思います。

質問にもありましたが、専門家が食べれば、ミックス粉で作ったパンかどうかは解るものもあります。

ただし、解らない物もあると思います。

と言うのは、そもそもがミックス粉は冷凍生地のように発酵を行わないで作るパン生地とは違い、小麦粉以外の材料が配合されていると言うだけで、発酵そのものは通常のパンと同様に行われている訳ですから、美味しくない訳は無いと考えらられますよね。

しかも、厳選されたそのパンに合う材料が使われているはずです。

確かに発酵時間はやや短縮されている物が多いとは思いますが、充分自家製の生地だと考えて良いのではないでしょうか。

私の場合は、あくまで個人的な見解ですが、ミックス粉は全く使用していません。

その理由は、必要だと感じないからです。

ただそれだけです。

ミックス粉で作ったパンを否定しているのではなく、私には必要が無いだけで、必要として使われているパン屋さんはたくさんいらっしゃいますし、その出来栄えは充分素晴らしいものだと思っています。

ですので、たくさんの種類を少量ずつお店に並べたいというお考えならば、大いに活用する事をお勧めいたします。

ミックス粉で作ったパンには、ある特徴が表れます。

それが良いのか悪いのかは好みの問題ですが、傾向としてどのようなものなのかを少しだけ書いておきましょう。

まず、キメが非常に細かいパンになります。

これは、全般的にしっかりとミキシングする為ですが、悪く言うと、例えばフランスパンなどもどうしてもキメが細かくなる傾向があります。

そうなると、ハード???ではなくなってしまいがちなので、ミキシングを減らしてみるなどの工夫は必要かと思います。

何が何でもレシピ通りにミキシングしなければならないと言うものではありませんので・・・・・(ー_ー)!!

そして、クラストがもろいパンになります。

これは、良く言えば歯が無くても食べられるような、しっとりとした表皮になります。

しかし悪く言うと、食べ応えと言いますか、噛み応えが無くなります。

何故かと言いますと、油脂が初めから配合されている為に、皮が柔らかくなってしまうからです。

そして何よりも、風味が個性的になります。

これは、良く言えば香りの強い個性的なパンなのですが、悪く言うと作られた香りが鼻に残ります。

何故かと言うと、ほとんどのミックス粉には香料が含まれているからです。

私は個人的に、どうしてもこの人工的な香りが苦手で、ミックス粉は遠慮してしまうのです。

しかし、一般のお客様は香りが大好きですよ。

人工的であろうとなかろうとです。

メーカーもそのあたりは充分知った上で、様々な香料の研究をしています。

そんな傾向を知った上で、是非一度は使用してみてほしいと思います。

ただし、当然の事ながら、安定と副材料とがミックスされている訳ですから、お値段はそれなりに高くなる訳ですけどね(~_~;)


冷蔵生地を上手く活用して、効率的な製パンを

ここで言う冷蔵生地というのは、冷蔵庫にて発酵を管理する生地玉、あるいは生地そのものを指します。

つまり、捏ねた後の生地をそのまま冷蔵庫で発酵管理する場合、あるいは分割した後に冷蔵庫にて管理する場合を指します。

通常パン生地というのは、温度に敏感な生き物であるために、ほぼ28℃から35℃以内で作業を行っていくものですが、その生地を冷蔵庫に入れて低温で管理する事によって、発酵のスピードを変えることが出来たり、生地のこしを落ち着かせる事が出来たり、発酵時間をコントロールする事が出来たりします。

一般家庭においてのパン作りでは、ほぼすべてをその日の内に終わらせるようにしていると思いますし、パン屋さんでは発酵管理にはドゥコンディショナーを使うのが定番だと思います。

これらはいわゆるストレート法という製法で、家庭では作ってすぐに食べるでしょうし、パン屋さんではドゥコンディショナーで成形冷凍したものを翌朝に焼成するというのが一般的な製法でしょう。

特別な理由もしくは何らかの狙いが無い限りは、あまり生地を冷蔵するということは無いと思います。

ところで、ドゥコンディショナーというとても便利な機械がパン屋さんにはあるのですが、ホームベーキングの方々は何だかわかりませんよね。

この機械は、ある時は冷凍庫として、そしてまたある時は冷蔵庫として、そしてまたある時は醗酵室として使えると言うとても便利な機械の事なのです。

しかも、もっと凄い所は、これらが設定すれば自動的に変わってくれるという所なのです。

つまり、夕方に冷凍して凍らせておいて、夜中に冷蔵に変わり解凍、そして朝には醗酵室になっていて、出勤とともにパンが焼けるように発酵しているという具合なのです。

パン屋さんにおいては、ミキサーとオーブンの次に大切な設備だと言えるかもしれません。

ただし高額ですが・・・・(ー_ー)!!

パン屋さんでは、これらの設備をうまく使いながら、短い営業時間を如何に有効に使うかというのが一つのテクニックになっています。

すべてのパンをその日の早朝から作っていたのでは、とても間に合わないからですね。

冷凍生地を使ったパン作りは、皆様すでにご存知だと思いますが、凍った生地を解凍して成形してすぐに焼くと言う場合もあれば、成形した後ドゥコンディショナーに入れて翌日に焼くというやり方もあります。

ドゥコンディショナーで発酵管理された生地を、翌日に焼くというのは、パン屋さんにとってもはや当たり前の製法になっていると思われますが、問題はそこに至るまでのパン生地作りに、パン屋さん独自のこだわりがあるかどうかだと思います。

それは、レシピそのものであったり、原材料のこだわりであったり、製法であったり、いろいろと工夫をしていることと思われます。

では、家庭ではいかがでしょうか?

そもそもパン屋さんに色々な製法が存在するのは、より多くの種類を営業時間内に焼かなければならないからであり、作業時間の短縮を図るためには、どうしてもすべてを同じ製法と工程にすると無理が生じるからに他なりません。

家庭でのパン作りにおいては、パン屋さんのような量との戦いがありませんから、特に発酵をコントロールする必要が無いというのが現実だと思います。

しかしちょっと考えてみてください。

今日はパン生地のみを作る日、そして今日は成形だけを行う日、そして今日は朝食に焼きたてのパンを食べる日という具合に、パン作りそのものを分散させ、数日間は焼きたてのパンが食べられるとしたら、少しパン作りに対する認識が変わってくるのではないでしょうか。

もちろん、パン焼き器で毎朝焼き立てのパンを食べている方にとっては、関係のない話しだと思いますが・・・・

でも、今までパンを手作りしてきた人にとって、あのパン焼き器で作ったパンで本当に満足なのでしょうか?

あのパンは、パンの理論から言えば間違ってはいない素晴らしいパンだと思います。

というか思いたい・・・・・

例えば理髪店のハサミやシェーバーなどが付いた丸い箱があるとします。

そこへ人が頭を入れ、そのハサミやシェーバーの刃に頭の向きを変えながら押し当てていき、散髪が完了する。

しかし、確かに髪は切れているが、その人の頭の形に合わせた絶妙なカットと言うわけにはいきません。

それはやはり技術的な感性が加わって、はじめて納得の出来る髪型になるのではないでしょうか?

人の手が加わることで生まれ変わる食品、それがパンだと私には思えてなりません。

家庭でパンを作ろうと思ったら、かなりの時間拘束される事になり、発酵時間はなんだか無駄に思えても来るでしょう。

どうせ技術があるわけでもないし・・・でも焼きたては魅力だ・・・・

そんな思いをかなえた画期的な機械である事は言うまでもありません。

人間の知恵と開発力には、ただただ脱帽です。

しかし、それでも手作りを辞めない ”こりない面々”

そんな方々には、冷蔵庫を使った製法がきっとお役に立つと考えます。

ここでは、その代表的な作り方を説明し、冷蔵する為の理論をお話ししていきます。

ただし、どのような製法にもやはり技術はつき物です。

すぐにパーフェクトと言うわけには行かないでしょうし、色々なパンで試したいと言う方も出てくるでしょう。

今までのパン作りとは大いに理屈が違ってきますので、そのあたりに注意しながら読み進めてください。

今回ご紹介するのは、一般的なロールパンを作る場合の工程についてです。

このパンは甘さが中程度で、しっとりと柔らかい為に、甘い具材にも合いますし、調理パンにしても良く合いますね。

焼きそばパンやフランクなどが乗せられた、あのパンなどに使われている生地のことですね。

レシピは特にこれで無ければならないと言う事はありません。

注意しなければならないのは、しっかりと捏ねる事と、捏ね上げ温度をやや低めの26℃位を目指すこと、以上の二点だけです。

この生地を約30分程通常発酵させた後(改良剤などを入れない場合は60分)、ビニールあるいはラップを敷いたステンレスの入れ物に入れます。

入れ物は、高さが3センチ程の浅いものを用意してください。

形は丸でも四角でも構いませんし、蓋は必要ありません。

但し、生地が膨らんでも大丈夫な容量を選んでください。

その入れ物に生地を入れ、上からしっかりとつぶしてガスを抜いてください。

大き目のビニール袋で入れ物ごとスッポリとくるんでしまうか、あるいはラップでしっかりと包んでください。

それを一般的な冷蔵庫の温度である5℃の場所に入れますが、数時間でかなり膨らんでくると思います。

ですので、膨らんでも大丈夫な場所を選んでいただく事と、ラップが生地によって剥がされないように、余裕を持った包み方をして置いてください。

そして、ここが肝心なポイントなのですが、数時間たって生地が膨らんできた所で、今一度しっかりと生地を潰して置いてください。

すると、その後はもうあまり膨らんでは来なくなります。

こうなったら、後は翌日以降三日間位は、このままで冷蔵保管が可能になります。

必要な時に生地を取り出して、必要なだけ分割して、後はまた冷蔵庫へ速やかに戻します。

その際に生地が膨らんでいるようなら、またしっかりと潰しておいてください。

生地が膨らんだ状態で冷蔵保存をすると、発酵が不安定になるばかりでなく、味がかなり落ちてしまいますのでご注意下さい。

また、冷蔵にはビニールのタッパーなどは使用しないで、必ずステンレスの入れ物を使ってください。

これは、生地を速やかに冷やす為に絶対に必要なポイントです。

分割した生地は、一度丸めた後通常通りのベンチタイムをとります。

当然ながら、この時生地が乾かないように注意してください。

この段階では、いつものようには膨らんではこないと思いますが、成形できるような状態になりましたら、成形して発酵させていきます。

冷蔵庫で冷えた生地になっていますので、生の生地に比べるとやや発酵に時間が掛かるかもしれませんが、生の生地に比べると、非常に多くの気泡が内部にありますので、オーブンではしっかりと膨らんでくれます。

配合によっては、成形時にベタベタしたり、最終発酵時にもベタベタと濡れた生地になる事があるかもしれません。

そのような場合は、成形前にしっかりと生地の温度を上げてから作業に入ると、ベタベタは避けられると思います。

一般的に、生地の温度が16℃以上にならないと、発酵がうまく進まない事があります。

ですので、生地に温度計を刺して、生地の温度を常に測ることをお勧めします。

冷たいままで成形しても大丈夫ならそのままで、もしベタベタするようでしたら、生地の温度が16℃以上になるまでは常温にて待ち、温度が上がってきたら成形に入るようにすれば、問題はないと思います。

低温にて、ゆっくり熟成されたこの生地は、キメが細かくしっとりとしたパンになります。

ただし、冷蔵庫で膨らんでしまったり、日にちが経ちすぎると、アルコール臭いパンになりますので、生地の管理には十分注意して行ってください。

この製法の利点は、今日は捏ねるだけ、明日は分割から始めて焼くだけ・・・・と言う具合に作業を分散させることが出来るというところにあります。

また、量が多い場合や、朝のパンを焼き立てでとお考えなら、今日は生地を捏ねて、明日は分割から成形までをして冷蔵保管しておき、あさってはそれを最終発酵させて焼くだけということも可能です。

成形した生地は、冷蔵保管中に中途半端に膨らんでしまう事があります。

そうなると、生地は乾燥し、クラストの固いパンになってしまいます。

それを防ぐには、成形は生地の温度が低いうちに速やかに行い、しかもしっかりとガスを抜く事。

更に少し低めの温度であるチルド室にて保管する事をお勧めします。

それでも少しは膨らんでくると思いますが、生地が乾燥さえしていなければ、その後の最終発酵で表皮もしっとりとしてくると思われます。

レシピや使用材料、小麦粉の強さなどによって、コツが違ってくる事は言うまでもありませんが、この製法をマスターすると、かなりの品数が一度に揃いますので、小規模のパン屋さんにもお勧めの製法となります。

しかも、低温長時間熟成された生地は弱酸性ですので、非常に喉通りの良いパンになりますし、消化に良い。

良い生地かどうかの見極めは、通常のパンとほぼ同じだとお考え下さい。

つまり、色が黒ずんだり、ボリュームが出なかったり、ぺターっとした感じのパンになったら、それは発酵がうまく進んでいなかったと言う事になります。

捏ね上げ温度が低すぎたか、捏ね方が足りなかったか、粉が弱いか古いか、イースト量に問題があったか、成形時のガス抜きが悪かったか、ホイロの温度が高すぎるか・・・・

逆に、色つき悪い、変な膨らみ方をしている、パン底がへこんでいる、生地が荒れている、クラストの肌が汚いなどの場合は、生地の捏ね上げ温度が高すぎたか、生地が冷蔵庫で膨らんでしまったか、ビニールがきちんとかけられていなかったか、イースト量が多すぎるか、捏ね過ぎか・・・などなどとなりますよね。

そうですか・・・と言ってすぐに上手に出来るかどうかは解りませんが、製法の違いによってパンの品質がどのように変化していくのか・・・・

色々と試してみた方が楽しいのは確かですよね(*^_^*)

今回は、イースト菌の温度に敏感な所を利用した製法を紹介しました。

難しさは通常のパンとあまり変わらないと思います。

興味を持った方は、是非トライしてみてくださいね(^0_0^)

ハースブレッドを美しく焼くにはホイロに細心の注意を

誠に残念なクープの画像が良く届きます。

ハースブレッドと一言で言っても、様々な種類とレシピが存在する訳ですが、その他のソフトなパンと大きく違う点と言えば、やはりクープが鮮やかに映える、パリッとした表皮が特徴であると言えると思います。

生地を天板に乗せずに直接焼けば、そのすべてが直焼きパンであると言えなくはないのですが、基本的には直焼きされるハースブレッドと言うものの配合は、砂糖や油脂が控えめで、よりフランスパンに近いものが多いと思われます。

つまり、菓子パンなどのソフトなパンに比べると、ハースブレッドというのはとてもシンプルな配合の物が多いと言う事になります。

そして、直焼きする意味は???と言いますと、やはり香ばしさを強調したいと言う事であり、副材料の美味しさではなく小麦粉の風味を前面に出したいパンだからこそ直に焼いて香りを出したい訳ですね。

そんなシンプルな配合のハースブレッドというのは、シンプルであるがゆえの難しさがあります。

ミキシングしかり、成形しかり、生地の取り扱い全般において、リッチな配合のパンに比べてかなり気を使わなければならないでしょう。

その中で特に気を付けなければならないのがホイロ、つまり温度湿度の管理と言う事になろうかと思います。

ちょっとこれをご覧ください。

DSCN0957_convert_20120722045348.jpg

生地重量500グラムのハースブレッドです。

これをクープしていきます。

038_convert_20120722045434.jpg


DSCN0959_convert_20120722045519.jpg

そして焼き上がりがこちらです。

DSCN0960_convert_20120722045550.jpg

ハースブレッドをよく作ると言う方ならご存知だと思いますが、生地重量が多くなればなるほど、生地はとてもつぶれやすくなります。

つまり、自らの体重を支えきれなくなってしまう訳ですね。

それはなぜかと言いますと、そもそもパン生地と言うのはとても柔らかいものですよね。

いくら張りのある成形をしたからと言って、焼いたパンとは違い、生地の状態ではとてもダメージに弱いことは誰にでも解る事ですよね。

ちょっと指で押したら、そのままへこんでしまうほどの敏感な表皮になっているはずです。

ですから、最終発酵の後にクープを入れ、さらにそれをオーブンの中に入れるまでの間、けしてダメージを与えてはならない訳です。

色々なパンを同じ設備で作っているパン屋さんが、ハースブレッドだけがどうしても綺麗に焼けないという相談を良く受けますが、それはすべて同じホイロで発酵させているからにほかなりません。

これも確実にどなたにもお話ししている事ですが、パン屋さんのホイロは全般的に温度湿度が高過ぎるのです。

少しでも早く発酵させたいと言う気持ちはもちろん理解出来ます。

そして、それでも菓子パン類ならば高温多湿でも特に問題は無いと言えます。

しかしながら、ハースブレッドだけはそうはいかないのです。

高温多湿な環境で発酵させられた生地は、生地温そのものは26℃前後のはずなのですが、表面だけは35℃以上の温度にさらされている事になります。

その温度差は約10℃にもなります。

すると、中心部と表皮のあたりでは、生地の膨らみ方が大幅に違ってきます。

中心部は余力を残したままオーブンに入りますが、表皮部はかなり発酵力を使い果たした状態でオーブンに入る事になります。

するとどうなるか????

完全にアンバランスな窯伸びになりますよね。

しかも、クープは表皮に入れるものなので、最大限に膨らんでしまった気泡だらけの表皮に、ナイフを入れた途端にしぼんでしまう事になります。

クープを入れる際に、ナイフに生地がまとわりつくようでは、それは温度湿度が高いと言う事になるのです。

もちろん全体的に発酵オーバーになってしまった場合も同じ事が言えると思います。

ですから、クープを美しくしたいのであれば、クープの技術よりもまずホイロの温度湿度を抑えなけらばなりません。

そして、やや発酵状態が若いうちにクープを入れるのがコツになると思います。

上部の画像を見ても解るように、クープを入れた後も生地が潰れてはいませんね。

ハースブレッドで一番失敗が多いのは、高温多湿で表皮がベトベトになった状態でクープを入れ、すっかり全体をつぶしまくってからオーブンに入れているという点なのです。

ハースブレッドのホイロ温度は、高くても30℃前後にしなければなりません。

生地の温度そのものと、あまり違わない温度にすることが最大のコツとなるのです。

ではこれが仮に、低過ぎた場合はどうなるでしょう?

と言っても、誰も低くする人はいないと思いますが、連続した製造段階ではどうしても様々なパンの発酵が同時に完成してしまうという状況が発生したりします。

そんな時は、極端な話では一時的に冷蔵庫へ入れるなどという場合もあるでしょう。

このような状況では、当然生地は乾いてしまい、表皮はガサガサになってしまうわけですが、その後に表面を少し濡らし、ビニールをかけておけば、また程良い表皮に戻ります。

つまり、高温多湿では完全に上手くいかないのに比べて、温度が低い場合の方が比較的融通がきくと言う事になります。

ハースブレッドのホイロは、とにかく低めに設定し、状況に合わせて焼く直前に温度を上げるなどの工夫をすることで、クープの鮮やかさは約束されるでしょう。

いずれにしても、温度湿度の管理が全てのカギを握っていると言っても過言ではないと思います。

しかし、実際にはそんな悠長な事はしていられない・・・・・的な話を良く聞きます。

結論から言えば、ならば作らなければ良い・・・と言いたいところですが、簡単にあきらめないでほしいのです。

ハースブレッドは、生地の持つ自らの温度で発酵して行くのが最もベストな発酵なのです。

と言う事は、ホイロでなくても、風をシャットアウトできる入れ物さえあれば大丈夫なのです。

家庭であれば食器棚などでも大丈夫ですし、パン屋さんならアウトレットで洋服ダンスでも買ってきて代用すればいいのです。

全面がビニールで出来ている洋服掛けがありますよね。

あの中に靴の下足棚などを入れて代用している方もいらっしゃいます。

夏はほぼそのままホイロとして使えますが、冬場はさすがにお湯を入れたボールを置いておく位の気は使わないといけませんが、とにかく工夫次第でどうにでもなります。

この場合は、温度は自らの温度と外気温によって決まってきますので、気を使うのは湿度ですね。

生地が乾かないように工夫する事。

ただその一点に注意して下さい。

それが面倒だと言う方は、残念ですがあきらめて下さい。

フランスパンをたくさん作る有名店では、よく木製のホイロを使っています。

洋服ダンスを引っ張ると、バゲットがずら~っと並んでいる・・・と言うような感じです。

スチームをガンガン使うパン屋さんの工房は、常に湿度が保たれています。

そんな工房では、木製の箱でも立派なホイロになるのですが、昔と違って現代ではエアコンの性能がとても進化していますので、その様な工房ではやはり生地が乾いてしまうと言う事もあると思います。

これから木箱を準備するのであれば、是非お湯を入れられるスペースを下部に作っておく事をお勧めします。

冬場は大変重宝しますよ(^_-)-☆

木の材質はどうか?

ビニールと木製ではどちらが良いのか??

と言うような事は、あまり気にする必要はありません。

生地が乾かず濡れずにいれる環境さえ作れれば良いのです。

ハースブレッドが売れ筋になると、客単価が上がり、お店の陳列風景が専門的になります。

そして何より原価率が下がりますよね。

パン屋はパン生地を売る工夫をした方が、絶対に儲かります。

具材にばかりお金をかけるのはやめて・・・・・・

おっと、問屋さんに怒られるのでそれには触れないでおこう(ー_ー)!!

該当の記事は見つかりませんでした。