ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

食品表示は正しくできていますか?

では今回は、食品表示の内容について簡単に説明していきたいと思います。

食品表示シールについては、小規模な工房であれば手書きで作っている方もいらっしゃるでしょうし、パソコンなどを使ってシールを作成している方もいるでしょう。

また、販売数量が多いお店などでは、専用のシール機を使用している事と思います。

細かい事はきりがありませんので、ここでは比較的間違いやすい部分について説明していく事にしましょう。 

まずは一番初めに表示しなければならない<名称>ですが、ここで大きな勘違いをされている方が非常に多くいます。

名称なのですから、当然商品名を書くのだと思われがちですが、ここでいう名称に使用できるのは、「パン」・「食パン」・「菓子パン」・「調理パン」の四種類のみなのです。 

この四種類のどれに該当するかを決め、大きなパンは食パン、甘いパンは菓子パン、サンドイッチ類は調理パン、それ以外のパンは全てだたのパンと記載しなければならないのです。

しかし、それでは中身に何が入っているパンなのか解らなくなってしまいますよね。 

ですから、いわゆる商品名が当然必要になる訳ですが、それはあくまで表示シールの表示内容の ”枠外” に書くか、あるいはまったく別の場所に別の形で表示することになる訳です。 

もし、シールの中に表示するスペースがあるようでしたら、名称の下に品名として商品名を書く事は可能です。

しかしシール内の表示スペースと言うのは非常に狭く、名称と品名を両方書くのは困難な事が多いと思いますので、そんな時は商品名は別なシールで対応するか、あるいはビニールに印刷するか、何もせずにプライスに表示するかのどれかになります。

つまり、表示シールの中に必ず必要なのは上記の四種類の名称のどれに該当するのかという事だけであって、お客様にお知らせする為の商品の名称は、表示シールとは無関係であるという意味になるのです。 

次にこれまた間違った表示をされている方が非常に多い <原材料名> 

この原材料名では、使用した原材料と食品添加物、さらにアレルギー物質を含む場合は、ここに記載することになります。 

表記の順番は、上記の順番通りなのですが、表記する際は使用量の多い順に記載しなければならないのです。 

つまり、原材料の一番最初に砂糖や塩などが来てはいけません。 

パンの場合は、そのほとんどが小麦粉から始まる事になる筈で、それ以降の材料に関しては、配合によって変わってくる事になる訳です。 

と言う事は、表記としては、まずは原材料の使用量の多い順、次に食品添加物の多い順、次にアレルギー物質の多い順となります。 

では順を追って説明していきましょう。 

まずは原材料名ですが、配合にのっとり、その使用料の多い順から記載する訳ですが、間違ってはいけないのが、ここでも材料の商品名を書くのではないという点です。 

よく見かけるのが、無添加小麦粉とか自然卵とかホシノ天然酵母とか無添加バターとか赤穂の塩などの商品名が書かれたものです。 

これも、名称と商品名がややこしかったのと同様で、非常に間違えやすい部分なのですが、実際には、いかなる卵であってもそれは卵と表示し、ホシノであろうとレーズン酵母であろうと、すべて酵母、あるいはイーストと表記しなければならないのです。 

同じく、バターはバターでマーガリンもただのマーガリン、塩は産地や製法がどこであろうと、塩と表記することになっているのです。 

また、これも非常にややこしいのですが、野菜は全てを一括して野菜と表示する事は出来ないのです。 

ですから、レタス・キャベツ・トマト・玉ねぎというよに、細かく表示することになっているのです。 

ここで気をつける事は、商品の商品名を記載するのではなく、何を使ったかが解ればよいということです。 

では仮に、自分で炊いた小倉あんを使用した場合はどうすれば良いでしょう。 

この場合は、自家製餡とか手作り餡と書きたい所でしょうが、あずきと書けば良いのです。 

また、カレーパンの具を自分で一から作った場合はどうでしょう? 

この場合は、人参やじゃがいも、玉ねぎやカレー粉などを使用量の多い順に記載することになります。 

けして自家製カレーとは書かないでくださいね。 

本来ならば、無添加であるとかこだわりカレーだとかを謳いたい所でしょうが、何が入っているかを明確にするのが目的なのであって、作り手の思いはここでは無関係になってしまうのです。 

いや、むしろそのように表示してしまうと、健康増進法やJAS法に違反したとして注意を受けることにもなりかねないのです。 

まぎらわしい表現・過大評価な表現というのは、お客様に対して、もしかしたらこれは身体に良いのかしらとの誤解を与えてしまう場合がある為に禁止となっているのです。

以上の事に注意しながら、原材料については使用した重量の多い順に記載していきます。

食品添加物も、原材料の入れ物に記載してあるものを良く見て、使用量の多い順に記載していく訳ですが、実際にはその使用量はとてもわかりにくくなっているものです。

全てを細かくここで説明する事は出来ませんが、代表的な部分を説明しておきますので、あとはどの部分に該当するかを判断していただくか、不明な点はやはり直接保健所なりに問い合わせた方が良いと思います。

食品添加物のパンへの使用というのは、一般的には直接パンに使用するのはイーストフード・あるいは生地改良剤・あるいは酵素などがあると思いますが、イーストフードに関してはそのまま表示し、生地改良剤、あるいは酸化剤などの〇〇剤を使用した場合は、表示はビタミンC、あるいはVCで良い事になっています。

その他の添加物で記載する義務があるのかどうか迷ってしまうのが、例えばマーガリンに入っている香料や着色料、あるいはショートニングに含まれている酸化防止剤などは記載するのかどうかと言う事ですが、これらはマーガリンやショートニングそのものに対しての着色や酸化防止を狙ったものであって、それを使用したパン生地そのものに色を付ける目的がある訳では無く、ましてやパンの酸化を防止する効果も狙っている訳では無いことから、記載は不要とみなされるのです。

このように、本目的として別に単独で香料などを使用する場合と違って、使用する副材料に入っている添加物というのは、効果の目的も違うと言う事と、そもそもその使用量も少ないと言う事から、これらをキャリーオーバーという表現を使って記載しなくて良いと言う事になっているのです。

例えば、使用した卵を産んだニワトリが、添加物を含んだ餌を食べていたとしても、そこまでは正確に追う事が出来ませんよね。

そのように、原材料への添加物表示はそれぞれの生産者が責任を持って記載し、それを使用する我々は、新たに自分達が別口で添加する添加物のみを記載すればよいと言う事になる訳です。

ただし、上記の場合はパン生地その物を作る場合のみの話です。

そのパン生地で、例えばソーセージを乗せたいわゆるフランクロールのようなパンがありますが、この場合はソーセージをダイレクトで食べる事になりますので、ソーセージに入っている添加物はすべて表示しなければならないのです。

ソーセージの次に添加物などの記載事項が多いのがカレールーですが、添加物プラス数種のハーブを含む事が多いので、シールに入りきれないほどの記載量になろうかと思います。

これらはすべて記載しなければならないのでしょうか?

残念ながら、すべて記載となるのです。

カレーを作る際の人参・じゃがいも・豚肉あるいは鶏肉・カレー粉・クミン・コリアンダー・生クリームなどなどの様々な材料の全てと、それらを炒める際に使用するサラダ油も当然必要になります。

これらはすべて、カレールーを作る際に必要なもので、かつそれが全て合わさってカレールーを構成している訳ですから、何一つ洩らさず記載する事になるのです。

ですが、カレーに使うであろう材料の中にも、塩やつなぎの小麦粉が入ると思いますが、これらはパン生地を作る際にも使用すると記載してありますので、ここで新たに記載する必要はありません。

つまり、二重表記は必要ないと言う事になるのです。

もうすでに、かなりややこしくて嫌になっている人もいるのではないですか(@_@;)

しかし、よ~く考えてみれば、何が必要で何が必要で無いかは意外と理解できるものですよ。

では最後に、アレルギー表示についてだけ説明させて下さい。

アレルギー物質というのは、関係無い人にとってはまったく無意味なものではあるのですが、関係のある人にとっては、時には命にかかわるような事故にもなりかねない重要な表示となりますので、最後にこの部分だけはしっかりと憶えておいてほしいと思います。

まずは絶対に表示しなければならないアレルギー物質はこの7品目です。

えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生

しかし現実には、小麦と卵と乳製品に関しては原材料の欄に書かれている事になります。

ですので、それ以外のえび・かに・そば・落花生が入った原材料を使用した場合には、表示する義務があると言う事になります。

つぎに、義務ではありませんが、出来れば表示して下さいというのがこの18品目です。

あわび・いか・いくら・さけ・さば・オレンジ・キウイフルーツ・りんご・バナナ・もも・大豆・やまいも・まつたけ・くるみ・牛肉・鶏肉・豚肉・ゼラチン

前半の魚類は、あまりパン屋さんには関係ないと思いますが、フルーツや肉類はやはりカレーなどを作る時に使用するものばかりですよね。

これらも、原材料の欄に表示してあれば、あえて別に書く必要はありませんが、原材料に入らない場合はアレルギー物質として表示して下さい。

このアレルギー物質の表示を行う際に注意すべき事柄があります。

それは、コンタミネーション(混入)についてです。

パン屋さんは、全てのパン生地を同じ作業台の上で行っていると思います。

そうなりますと、たとえ今成形している生地にアレルギー物質が入っていないとしても、その前に成形した生地には入っていた場合、少量であるとは言え混入してしまうことが考えられるのです。

その様な場合は、混入の恐れもあると言う表記が必要になるのです。

そう考えると、例えば小麦アレルギーの人が米粉のパンを購入する場合などは、要注意となりますので、このあたりは充分にお客様ともコミュニケーションを取りながらアレルギーの度合いを良くお聞きし、重度の場合はしっかりと説明する事が大切です。

その他、書けば書くほどややこしくなりそうなのでこのあたりで止めておきますが、この食品表示というのは本来はお客様が見て、何が入っているのか正しい情報を掴む為の表示である事は言うまでもありません。

しかし現実には、表示する側も解っていない事が多く、また指導する側も管理しきれていないというのが現状なのです。

そう考えれば、やはり食品表示が確実なのは大手工場の製品であり、手作りに近い個人製造のものほど、表示はあやしいという結論になってしまいます。

いったいどちらが安全な食べ物だと言えるのでしょうかね~(~_~;)


食品表示シール、あなたの表示は大丈夫?

通常焼き立てパン屋さんであれば、あまり気にかけていない分野かもしれませんが、食品表示シールというのは、基本的には袋へ入れた、つまり包装されたパンや菓子には表示する義務があります。

焼き立てパン屋さんでも、日持ちのするお菓子やサンドイッチ、または食パンやブレッドなどは袋に入っていますよね。

袋に入っている商品と言うのは、お客様からすれば、どれくらい日持ちがするものなのだろうか?と気になるものなのです。

裸で売られているパンというのは、そのままでは硬くなってしまう訳ですから、すぐに食べるか、あるいはすぐに食べない場合はラップして保存し、早めに食べなければならないと言う事をお客様は自然と学んでいます。

しかし、袋に入っていると言う事は、もしかしたらすぐに食べなくても大丈夫なのではないか?

何か日持ちのする工夫なり作り方をした商品なのではないか?

と言うように、包装した商品には焼き立てとは違う何かを期待してしまうものなのです。

家庭でパンを作られている方から、パンの製造卸などをされている方々、はたまた焼き立てパン屋さんからも多い質問なのがこの表示シールについて、どこからどこまでを表示するべきなのかと言う質問です。

これについては、各保健所の食品衛生課や食品安全局のホームページ、あるいは各都道府県の食品安全情報センターなどに詳しい資料がたんまりと用意されているのですが、これまたやはりお役所仕事ですから非常に解りづらい。

そこで、出来るだけ簡単に要点のみ説明していきたいと思います。

まずはどのような商品に表示する義務があるのか? ですが、自分のお店に並べてある商品であるならば、日持ちのしない商品で表示義務があるのは、冷蔵販売しているサンドイッチだけです。

例えば、コロッケなどをドックパンにはさんだような常温販売のパンには、特に義務はありません。

ただし、コロッケをはさんであっても、そこにレタスなどの生野菜が一緒にはさんである場合などがあると思います。

その場合は、義務と言う事ではなく、なるべく表示シールは貼った方が親切ですし安全だと言えます。

つまり、レタスやキャベツなどの生もの、あるいは生のフルーツなどを火を通さないで使用した場合と、冷蔵販売する商品に関しては、すべて表示するのがお勧めと言う事になります。

また、食パンやブレッドなどの大きなパンも、特に日持ちを謳うのでなければ表示はいりませんが、製法などの工夫で他のパンよりも数日日持ちさせる事に自信がある場合や、脱酸素剤などの明らかに日持ちを狙って包装する場合は当然必要になります。

その他、クッキーやラスクなどは明らかにパンよりも日持ちがしますので、必然的に表示が義務付けられます。

では、お店での販売ではなく、外部に卸す場合やイベントなどへの出店、あるいは移動販売や訪問販売などはと言いますと、基本的にはお店を一歩出たら全てに表示義務が発生します。

それは、保健所さん的な発想で言えば、お店の駐車場で販売する場合であっても、とにかく店を一歩出れば表示して下さいと言う事になるのです。

では、基本的には??とはどういう意味なのでしょう?

それは、例えば注文していただいた商品を配達してお届けする場合は表示義務はありませんが、配達を宅配業者に頼むと表示義務が発生してしまうと言うような事があるからです。

ややこしいですね(@_@;)

では、食パンを近所の喫茶店に卸すなどの場合はどうなるでしょう?

この場合も、基本的には全て表示義務があるにはあります。

お客様である喫茶店の店主は、焼き立てのパンである事は重々承知しているにもかかわらず、なぜ表示義務が発生するのかと申しますと、それはあくまで食の安全を考慮しての事なのです。

喫茶店では、パンはサンドイッチに使用したりトーストにしてお客様に提供する事が多いと思われますが、その日のうちに全てを使いきるかどうかは解りませんよね。

そんな時に、これはいつ買ったパンで、いつまで持つのかと言う事を明記していないと、食品事故につながる可能性があるという判断なのです。

しかし、実際にはそのあたりも含めて、自分が使用する食材の見極め位は喫茶店の方で出来て当たり前だとも考えられますよね。

ですので、実際には省略される事の方が多いとは思います。

がしかしです、これでもしパンにカビが生えてしまい、喫茶店のお客様からクレームがあった場合、これは喫茶店のクレームなのか、それともパン屋の責任なのか、微妙な話になってしまいますよね。

そんな、通常ではありえないような事にも注意を傾けるのが食品製造者の使命だ・・・・

そう考えると、これはやっておくにこした事は無い・・・・そう言えると思いませんか?

他にはこんな例もあります。

例えば同じように喫茶店にハンバーガー用のバンズパンを冷凍保存して出荷した場合はどうなると思いますか?

この場合も、冷凍でどの位まで品質保持ができるか、つまりどの程度までなら冷凍障害のないパンとして使用できるのかをあらかじめ検証してから、その賞味期限を表示して出荷する事が義務付けられているのです。

つまり、冷凍で出荷した場合は、それはもう冷凍食品と一緒になるのです。

では、喫茶店のオーナーが消費期限が2日しかないパンを冷凍保存し、数日経ってからトーストするなどしてお客様に提供した場合は、事故があっても喫茶店側の責任になるのでしょうか?

実際には大いにありがちな話ですよね。

しかしこれはもうパン屋さんに責任はありませんよね。

と言うよりも、この事実が判明したら喫茶店は営業停止になるでしょう。

でも、どの家庭でもパンは冷凍保存されていると思いますし、中には数カ月冷凍したパンを食べている人もいらっしゃることでしょう。

しかし、これをお店が行うと営業停止になるということは、それだけ細心の注意を払ってお客様に提供しろと言う事なのかもしれませんね。

この話から解る事は、例え面倒でも食品表示シールを貼っていれば、それは表示された日以降の責任は使用する側にあるという明確な責任の分担になりますので、自店を守ると言う意味においても、過剰なほどに表示する方が良いと言えるかもしれませんね。

次に、表示シールに記載する消費期限と賞味期限について簡単に説明しておきましょう。

消費期限というのは、概ね三日以内に食べてくださいと訴えたい商品に対して使用します。

つまり、焼き立てパン屋さんのパンのほぼすべては、この消費期限に該当する事になります。

それ以降、つまり四日以上日持ちが約束出来ますよと訴えたい商品に対しては、賞味期限に該当する事になる訳です。

本来ならばあまり日持ちがしないパンを、脱酸素剤などを使用した包装をする事で日持ちさせる場合があると思います。

その場合は、当然のことながら消費期限から賞味期限に切り替えなければなりません。

この二つの言葉の意味合いとしては、消費期限は、この期限以内しか安全を保てませんよ、ですからとにかく早めに食べてください、つまり消費して下さいと言う意味なのに対して、賞味期限は、この期間を過ぎると美味しさに自信が持てなくなります、つまりすぐに腐るというものではありませんが、徐々に味が落ちていきますよという意味合いになっています。

注意しなければならないのは、どちらもその期限にある程度の余裕が無いといけないと言う事です。

消費期限を過ぎたらすぐにカビがはえてしまうというような設定では、必ず食品事故につながります。

ですので、特に菓子パンなどの場合はお客様も常温に放置することが多いと判断できますので、それらを考慮した上で、短めの消費期限を設定する事をお勧めします。

また、食品表示シールを貼らなければならない場合の包装時の注意点として、出来る限り早く包装すると言う事に充分注意してほしいと思います。

期限を過ぎてすぐにカビが生えてしまう場合や、時には期限内であってもカビが生える事があります。

それは、焼けたパンを手で触れてしまった場合や濡れたまな板などの雑菌の多くいる場所に放置した場合、あるいは浮遊菌が多く舞っている場所などで作業すると、カビが早く発生してしまう事があります。

パンは焼き上がった後、出来る限り速やかに、出来る限り温度湿度の少ない場所で、けして手で触れることなく包装して下さい。

以上ざっと説明してきましたが、まだまだ該当しない販売方法をされている方もいらっしゃるかもしれません。

そんな時に私がお勧めしたいのは、保健所に相談に行く事です。

保健所の方というのは、私達から見たら何となく敵のような存在だと思われがちですが、ほとんどの場合きちんと説明してくれるものです。

肝心なのは、お店が出来る前から足しげく通う事です。

工房や店舗などの図面を持って、どのような販売形態を考えているのかを説明し、その場合どのように食品表示するべきかを相談するのです。

すると、親身になって色々とアドバイスしてくれるはずです。

保健所としても、本当は初めから相談してくれればいいのにな~

そうすれば事故は起きずに済むのに・・・・そう考えているものです。

表示シールだけではありませんよ。

例えば、工房内の衛生管理を図面段階から相談しておけば、後からこれは必要だとかこれは設置義務があるなどの指摘を受ける事もなくなります。

また、お店だけではなく、例えば月に一度だけイベントに出展するのには何か許可が必要かとか、ご近所への卸しの場合は表示シールは省略できるかなどなど、日頃何かと疑問に思っている事はすべて解決します。

こじんまりとした商売であればあるほど、保健所の方と仲良くしておくことはとても大切だと私は思います。

では次回は、実際の食品表示の内容について説明していきたいと思います。

売られているパンの全てが安全とは限らない??

前回に引き続き、今回ご紹介するのは、とある天然酵母パンのお店です。

駐車スペースも充分備えた、とても立派な作りの店内。

これだけのお店なら、個人店だとしたらかなりのお金がかかったはず・・・・

そんな広い店内に置かれている、あまり多くは無いパン達。

そして、なにやらパン屋とは思えないような香り。

オーナーらしき女性が一生懸命パンを作っている。

広い店内には、製造はその女性のみで、販売員が2名ほどいた。

商品陳列からして、売上は5~6万円程度ではないかと推測されるが、はたしてそれで支払いは大丈夫なのだろうか?

そんな事が気にはなったが、その日の目的はそんな事では無かった。

以前このお店の常連であると言うあるお客様から、この店のパンを頂いた時のことである。

袋を開けるや否や、つ~んと鼻をつく異臭・・・・

こ・・・これはもしや!!!!

そのあまりの香りに、部屋中のスタッフが鼻をつまんだ。

何とも言えない酸っぱい香り。

これはまさしく酢酸菌に支配された天然酵母の香りだと思いました。

しかし、このパンをくれた女性は、その酸っぱさが良いのだと言いきっていました。

人の味覚と言うのは、これほどまでに違うものなのか???

このような凄まじく酸っぱい食べ物を、どうして美味しいと言えるのか???

到底理解は出来ませんでしたが、人の好みは好みとして、これはやはりまずいのではないかと判断した私は、種の管理状態を見せてもらうべくお店に足を運んだのでした。

しかし、残念ながらお見せする事は出来ないとの事。

一通り説明はしましたが、皆さんこれで喜んで下さっているとの一点張りで、ならば保健所に通報するしかないとも言ったのですが、どうぞと言われてしまいました。

皆様はあまり口にした事が無いと思いますが、特に小麦粉から培養した天然酵母に起こりがちな現象として、この酢酸菌の増殖による、恐ろしく酸っぱい香りのするパンが完成してしまう事があるのです。

果実から天然酵母を作る方は多いと思われますが、果実酵母には比較的出にくく、小麦粉から作る酵母によく見られる現象なのですが、日にちが経過するほどに酸っぱさが増していく菌が、この酢酸菌と言うものなのです。

この酸っぱさは、まさにお酢のような香りで、まるで焼き立てのパンにお酢を染み込ませたかのような、凄まじい酸っぱさのパンになるのです。

更に怖いのは、焼き立てではあまり香りが目立たないのですが、日にちを置くと、更に酸っぱさが増していくのです。

その店のオーナーは、その酸っぱさがパンの日持ちに貢献するのだと言っていました。

それは正にその通りで、理論上酸っぱいということは、恐ろしいまでに酸性に近いパンであると言う事ですから、カビが繁殖しにくく、長持ちするパンになるのです。

また、この酸っぱいパンは、食べたら即お腹を壊すと言うような菌ではありません。

ですから、酸っぱくて何が悪いのか、理解してくれるお客様だけに買っていただければ良いのです・・・

その様に言うオーナーの意見も、けして間違いではないのです。

では、この菌は腐敗ではないのかと言いますと、そこは非常に微妙な所だと思います。

現に、パンを発酵させる力は充分に備えていますので、いわゆる正しく強い菌の邪魔をする事無く、それでいて焼成後には凄まじい香りを発すると言うものなのです。

では、パンを膨らませる菌と言うのは、すべてが良い菌なのかと言いますと、それもそうとばかりは言えません。

なぜなら、例えば夏場にじゃがいもや魚などを含んだ生ごみを二日も放置すれば、凄まじい異臭を発しますよね。

そして、良く香りを嗅ぐと、ツ~ンとした発泡臭であることが解ります。

このツ~ンと臭う生ゴミでも、パン生地は膨らんでいくのです。

ただし、到底食べる事はできませんよ。

ですので、パンが膨らめばそれはすべて良い菌なのだと言う事にはならない訳なのです。

人と言うのは、このツ~ンとする臭いや、いわゆる異臭と言えるような臭い、そして薬などは別としても、とんでもなく苦いものなどには、それは腐っているのかもしれないという反応をするものです。

事実、それらは概ね腐っている部類に入ると言えるかもしれません。

今回のお店の場合は、その菌を種継ぎすることによって、ほぼ無敵の酢酸菌を作り上げてしまったのです。

オーナーいわく、初めてのお客様は皆そのように言いますが、馴れていくと美味しさを感じるのですとの事。

経営者が良しと考えているのであれば、別に法に触れている訳ではありませんので立ち去るまでですが、もしも下痢などの症状を訴えるお客様が現れたら、このお店はお終いだなと思いました。

前回、消費期限などの話をしましたが、パンも日持ちさえすれば良い・・・・と言う訳にはいきませんよね。

クッキーやラスクが比較的安易な包装でも日持ちがするのは、一般的な乾物と同様、水分が少ない事に起因していることは皆様もご存じだと思います。

水分がとても多いパンの場合は、日持ちをさせるというのは至難の業で、焼き上がってから食べるまでの間どのように保存すれば少しでも日持ちするか、品質保持できるかなど、常に気を使う事になる訳です。

パンに比べれば、油脂や砂糖の量が格段に多いパウンドケーキでさえ、そのままだと数日もすればすぐにカビが生えてしまいます。

パンやパウンドケーキのように、しっとり感というものを味わいたい食べ物の場合には、その代償として品質劣化スピードが速いという宿命と闘う事になります。

日持ちさせたければ水分を飛ばさなければならず、するとしっとりとはいかないのだと言うのですから、皮肉なものです。

そこで英知を結集して、包装することで日持ちさせようというのが今時の品質保持の基本となっているのです。

その反面、パンそのものにも、より日持ちに貢献できるような製法や材料を用いて、すこしでもしっとり感が長持ちするようにとの工夫が日夜研究されていることでしょう。

完成品から水分の蒸発を防ぐ、あるいは遅らせるための手法。

完成品を雑菌から守り、カビの繁殖を遅らせる手法。

完成品にチョコレートや砂糖などをトッピングして外気から遮断する手法。

どうにかして少しでも日持ちさせたい・・・・

パン作りに携わるものなら、少なからず誰もがチャレンジし続けているテーマだと思います。

ただし、美味しさと言うものを逸脱しては、それはかなわないと思うのです。

あくまで美味しく、そしてあくまで安全で、尚且つ出来るだけ日持ちするような研究を、私達は行っていく責任があるのではないでしょうか?



日持ちと消費期限の判断が出来ていないお店達

今回ご紹介するのは、約2年前のお話です。

一つは焼き菓子とチーズケーキの専門店のお話。

もう一つは、天然酵母パンのお店のお話。

残念ながら、どちらも本年中に閉店してしまわれました。

どちらも女性オーナーの、とても可愛いこじんまりとしたお店でした。

いったい何があったというのでしょうか???

そもそも商売と言うのは水ものです。

繁盛するかどうかは、やってみなければ誰にも解りません。

いくら商品が魅力的でも、お店が素敵でも、つぶれるものはつぶれてしまうのですね・・・・

新しいお店が続々とオープンしていく中、そうやっていつしか過去の事になってしまう人達もいる・・・・

現状維持の難しさを改めて痛感します。

で・す・が、今回紹介するお店達は、少しばかり事情が違っていました。

一言で言うと、経験が足りなかったのかな~

そんな残念なお店だったのです。


けして大きくは無いですが、それはそれは可愛い作りの焼き菓子とチーズケーキ工房。

卸しやイベントでの販売を専門としていて、店舗は構えていませんでした。

とあるイベントへの参加でショッピングモールでパンを販売していた時のことでした。

お隣では、籠に美しく盛り付けられたクッキーやパウンドケーキが並んでいて、女性ならではの感性を感じさせる商品陳列。

値段もお手頃で、実に良く売れていました。

スタッフへのお土産にと、数品の個包装されたパウンドケーキを買った時でした。

何気に裏の表示シールを見ると、賞味期限が一ヶ月先まであるではないですか!!

別にパウンドケーキが一ヶ月日持ちしたからと言って、珍しい事ではないと言われそうですが、それはあくまで脱酸素剤、あるいはその類の保存の為の何かが入っていればの話です。

しかしそのパウンドケーキには、どうみても何も入っていません。

さらに、日持ちさせるにはビニール袋も一般のビニール袋では日持ちはしません。

なぜなら、普通のビニール袋というのは、肉眼では見えませんが小さな穴が開いているからです。

ですので日持ちをさせるには、それ専用の袋を使用しないと、たとえいくら脱酸素剤を入れたからと言っても、やはり完全には日持ちはしないのです。

そこで私は、これはちょっとまずいのではないでしょうか・・・・

そのように店員さんに申し上げましたが、いつもこうして売っていて、何の問題もクレームももらった事が無いと言われてしまったのです。

あくまで私の推測ですが、恐らくクレームが無かったのは、個包装されたパウンドケーキならばほとんどの場合すぐに食べてしまうからではないかと思いました。

工房にも在庫がたくさんあるが、カビなどは生えた事が無いとも言っていました。

私はそのケーキを7つほど購入し、常温で保存しながら毎日一つを食べました。

常温で保存したのは、保存方法が要冷蔵では無かったからです。

予想通り三日目位からパサつき始め、6日目でカビが発生しました。

もしかしたら・・・・何か私の知りえない特別な製法あるいは秘密の材料でもあるのではないか・・・・・

そんなあわい期待も、カビと言う厳しい現実の前に消し飛んでしまいました。

だ~よ~ね~・・・やっぱり・・・

と言う事で、シールに書いてある連絡先へ電話をし、事情を説明いたしましたが、責任者に伝えますと言って電話を切られ、その後に一度電話はありましたが、特にこちらの言っている事に理解は示していませんでした。

要するに、カビはたまたま発生したに過ぎない・・・程度の認識なのです。

差し支えなければ、日持ちについて説明しますが・・・・ともお話ししたのですが、また連絡させていただきますと言って、それ以降は何の応答もありませんでした。

この工房では、クッキーやサブレなどのドライ物(やや乾燥したお菓子)の品数が多く、パウンドケーキはたまにしか作らないとの事でした。

ですので、日頃から普通のビニール袋での販売で何の問題もなかった訳ですね。

さらに、たまに作るパウンドケーキも、大きな袋が無いと言う事が幸いして、すべて小さくカットして販売していた為に、恐らくはクレームを免れていたのではないかと想像出来るのです。

電話の際に、このオーナーの方は賞味期限と消費期限の意味がちんぷんかんぷんのようでした。

日持ちとか消費期限については、皆様もざっくりとはご存知だと思われますが、ここでそのあたりについて説明しておきたいと思います。

皆様が日頃一番気にされているのは、恐らく食品の消費期限でしょう。

肉や魚や豆腐などの、日々食卓に登場する物に関しては、購入の時に少しでも新しいものを選んでいると思います。

消費期限が短くなると、半額で販売されていたりして、期限が例えば明日だとしても今夜食べれば問題ないなと言う感じで購入される方は多いはずですよね。

その様にしていつも目にしている、あるいは気にしているのはそもそもあまり日持ちのしないもので、二三日程度の日持ちが約束された食品に付いている表示が消費期限となりますね。

これは、その位までに消費、つまり食べてしまって下さいねと言う事になる訳ですね。

同じ食品でも、もう少しだけ日持ちするものがたくさんあります。

例えば納豆や餃子や魚肉製品や漬物などのように、一週間前後かあるいはそれ以上に日持ちが約束されている食品に付いている表示が、賞味期限と呼ばれるものになる訳です。

この賞味期限と言うのは、二三日以内に必ず食べてしまって下さいと言う消費期限に比べ、この位までは美味しさを約束しますよ、味が落ちないですよという保証期限になっている訳です。

と言う事は、当然のことながら味が落ちない期限なのですから、カビなどは生えていていいはずがありませんよね。

食品によっては、賞味期限がとっくに過ぎてもまったくカビが発生しないものがたくさんあります。

ですので賞味期限というのは、作り手がお勧めする食べて美味しい期限・・・と言う意味合いなのであって、その日を過ぎたら徐々に味が落ちますよという、ゆるい表現になるのです。

パンや菓子を販売する者としては、自分達が作る品物がどの程度美味しさを約束出来るものなのかを、しっかりと見極めたうえで、これらの表示をしなければならないと言う事になる訳です。

更に、製法などによって、より日持ちを継続させたパンや菓子もありますが、その場合の日持ちの判断を何を目安に行うかと言う事がとても重要になってきます。

それは大まかに言うと、カビが生えるまでの事なのか、あるいはしっとり感が失われるまでの事なのかというような事です。

一般的な焼き立てパンは、裸で売られていたりします。

しかしそんな焼き立てパン屋さんでも、食パンなどの大きなパンは袋に入っている事が多いと思います。

それは、一度に食べられないであろうから、少しでも日持ちするようにとの店側の配慮でもあるでしょうし、食パンなどの場合はスライス面が乾燥しないように袋に入っているのです。

このような販売方法の場合は、袋に入っていたとしてもそれはあくまでもほんの少しの乾燥防止程度の役割を期待しての袋入れですから、期限表示は必要がありません。

しかし、同じパンでも大手メーカーのパンには、必ず消費期限あるいは賞味期限が付いています。

これは、明らかに作りたてを販売する事が不可能であることや、明らかに数日は美味しく召し上がってほしいと言うメーカーの商品戦略ですので、製法によりしっとり感を長持ちさせたり、袋の中に日持ちに貢献するような何かを入れての販売となる訳です。

もちろん袋も日持ち専用の袋を使用しているのです。

現在袋売りのパンの中に入っている日持ちに貢献する何か・・・・と言うのは、大まかに言ってこのような種類があります。

アルコールをパンの表面に噴霧して、雑菌の繁殖防止と水分保持を行う方法。

アルコールが少しずつ放出されるシート状の物を入れて上記と同じ効果を狙う方法。

袋の中から酸素を抜いてしまう脱酸素剤を入れて、カビの発生を送らせる方法。

皆様がいつも購入しているであろう大手のパンは、このいずれかの方法によりパンを日持ちさせているのです。

また、忘れてはならないのは、美味しいパンの開発を行う一方、美味しさはどこまで伸ばす事が出来るのか、どこまでを美味しさ保持期限と定めるのかということを、製法や原材料も含めて、各商品ごとにしっかりと認識しておかなけらばならないと言う事です。

なぜクッキーやラスクはそのままでも日持ちするのか??

なぜパウンドケーキは今回のように数日でカビが生えるのか??

しっとり感が長持ちするパンとそうでないパンとの違いはどこにあるのか??

そのあたりをしっかりと学ばないうちに、商売を始めてしまう方も多かろうと思います。

パンの日持ちと一言で言っても、材料や作り方、はたまた焼き加減でも違いは出てくるものです。

そして商品に合った日持ち用の包材の選定を誤ると、思わぬ落とし穴が待っている事になります。

自分の作り上げた商品は、最後の最後まで責任を持ってお客様に提供できるよう、自信が無かった人も今からでもしっかりと学んでおく事をお勧めいたします。

と言う事で、長くなりましたので続きは次回に・・・・・


ハード系のパンをお取り寄せすると、ガッカリさせられる?

こんな質問をいただきました。

・・・・・と言うように、いつも以上に期待感を膨らませながら待っていたのですが、到着したパンを食べてガッカリしてしまったのです。

なぜならとてもパサパサとしていて、温め直しても少しも美味しさが戻ってはこなかったからです。

子供のこぶし程度の大きさで180円もするパンなのに、そう思おうととても悲しい気持ちになりました。

超有名店だからといって、すべてが美味しいパンを扱っているとは言えないのでしょうか?

それともパサパサのパンが本物のパンだと言う事なのでしょうか・・・・・


どうやらこの方は、有名店の小型フランスパンをお取り寄せしたようなのですが、とても期待とは違っていてビックリとしていらっしゃるようなのです。

お聞きした所、郵送は常温配送で行われていたと言う事ですから、少なくとも前日、もしくは前々日に作られたパンが、常温で送られてきたと言う事になります。

と言う事は、商品が本物のフランスパンであったとしたら、それはもうパサパサで当然だと言う事になります。

それを良しとして購入されているお客様は大勢いらっしゃると思いますし、この方のようにビックリされる方もいらっしゃるでしょう(^0_0^)

パン屋でも無い一般のお客様が、フランスパンの日持ちについて熟知しているとは言い難いはずですから、親切なお店ならば、商品は硬くなるのが早い商品であるという旨を告知してくれるでしょうし、お店によってはハード系だけは取り寄せ不可能品として取り扱うと思います。

しかしそれでも、例えパサパサでも、どうしてもこのパン屋のフランスパンが食べたいのだと言うお客様がいて、納得して購入しているのが今回のお店なのだと思うのです。

私も個人的には納得できない部分がありますが、お客様がそれで良いと言うことであれば、店側としては販売せざるを得ないとも言えるのです。

人の好みと言うものは、とにかく多様なのです・・・・・

そもそも有名店???と一般的に呼ばれているお店では、尚更の事パンにはしっかりと火を入れます。

要するに良く焼けたパンを作っているのが一般的です。

しっかりと焼き込むことで、パンの風味は良くなり、消化にも良いのだと言う考え方が一般的だからです。

そしてそれは、ハード系のパンなら尚更の事、ある種焼き過ぎでは???と言える位しっかりと焼き込むのです。

しっかりと焼き込まれたパンは、数時間ならとても美味しく頂けます。

しかし残念がら、時間の経過と共にパサパサになっていくスピードが、他のパンよりも圧倒的に早くなるのです。

ですから、色々な考え方があろうとは思いますが、本当に美味しいフランスパンを求めるのであれば、有名店の時間の経過したパンを求めるのではなく、身近なパン屋さんの焼き立てを買った方が、明らかに美味しく頂けるのです。

・・・・・いやしかし、身近に本物っぽい本格的なフランスパンを作っているお店が果たしてあるだろうか???

そんな残念な地域にお住まいなら、これはパサパサでも取り寄せるしかないとも言えますよね。

ただ、パサパサなパンでも、表皮の風味はあるはずなのですが・・・・

食べ慣れてくると、そんなパサパサも美味しさに変わってきたりするものですよ(*^_^*)

また逆に言いますと、送られてきたフランスパンがフワフワだったり、しっとりとしていたりしたら、それはそれで別物のパンだと言う事になります。

ですから、フランスパンの外はカリカリ中はモチモチを期待するなら、それは作り立てでしか味わえないのだと言う事を知っておいてほしいと思います。

質問者様のように、それでも出来立ての様なフランスパンを取り寄せるすべはないものかと考える方もいらっしゃるでしょう。

それを可能にするとしたら、それは完成品冷凍のパンを取り寄せるしかありません。

完全に焼き終えたパンが、コチンコチンに冷凍されている訳ですが、これがじつはとてつもなく美味しいのです。

ほとんどの場合、それは大手工場で作られたものなのですが、その完成度はほぼ完ぺきだと私は思っています。

日本の大手工場で作られた物もあれば、海外から輸入された冷凍パンもたくさんあります。

知らず知らずのうちに、意外と色々なお店で食べてしまっていると言える程、実に多くの種類のパンが出回っています。

あまり見た事が無い形のパンで、パンの底を見るとぶつぶつの点がある場合は、それが完成品冷凍のパンなのです。

完成品冷凍のパンは、基本的には自然解凍すれば食べられます。

したがって、何の設備も技術も必要無く、お店では冷凍庫から出してきて解凍すればすぐに食べられると言う訳です。

そんな一見便利なようだが、焼いたものを冷凍しただけのパンが美味しい訳が無い・・・・

当時は私もそう思っていました。

しかしそれは、冷凍技術を知らなかったからだったのです。

初めてそのパンを食べた時、衝撃が走りました。

焼き立てよりも、むしろ美味しいのではないか・・・・・・

何が美味しいのかと言うと、とにかく噛み締めるほどに味わいがある・・・・

そして風味や素材の良さが生かされている・・・・

いったいこのパンの正体は何なのか???

そんな驚きに出逢えた瞬間でした。

初めての出会いはもう数十年前になりますが、今でもパン屋さんではないような場所で出てくる、本物っぽいハード系のパンがあったとしたら、それがそうだと思います。

ただし欠点が一つだけ・・・・・・

パンの完成品というのは、とてもかさばります。

それに冷凍保存と冷凍配送が加わる為に、恐ろしく高いパンになるのです。

ですから、一般のパン屋さんでそれを仕入れて、店頭に置くと言う事はあまり行われていないのが実情だと思います。

様々な観光地などのように、値段が麻痺してしまうような場所で活躍していると言えるでしょう。

皆様の知らない所で、冷凍パンは大いに活躍していたのです。

ではなぜ、焼いたパンを冷凍しただけの物が、美味しく食べられるのでしょう?

それは、皆様が日頃考えているパンを冷凍するという事とは意図が違うのだと言う事を知らなければなりません。

皆様がパン屋さんで購入したパンを、家に帰って来てから冷凍するのは、保存の為ですね。

少しでも長く、そしてカビが生えることなく保存できるようにと考えての事だと思います。

しかしそれでも、パンは焼き上がってから相当時間が経過してしまっています。

ですので、そこから冷凍を開始しても、解凍後に冷凍状態前よりも美味しくなる事は不可能なのです。

他方冷凍パンと言うのは、しっかりと時間をかけて、しかも素材にこだわったパンが完成するまでは専門店とまったく同じです。

そんな専門的なパンが、焼き上がると即座に急速冷凍されるのです。

ですから、その時点で焼き立ての状態が保存される事になり、解凍後には今まさに焼き上がった時と同じ状態のパンを味わう事が出来ると言う事になる訳です。

物を冷凍すると言う事は、様々な冷凍障害があります。

当然ながら、そのあたりは充分研究され、原材料を選定しているのだと思われます。

しかも、冷凍生地などのように発酵を促進させる為の薬剤や、保存料・酸味料などの添加物を使用する必要がありませんから、充分に素材にこだわった本物のパンを作る事が出来る訳です。

・・・・とまあ随分と褒め称えた感じになりましたが、その品質が一級品であることは間違いありません。

そしてそんな冷凍パンの技術は、残念ながら日本よりも海外の方が進んでいるようです。

メードインジャパンでないと信用できない・・・と言う方々にはあまり興味が無い話だったかもしれませんね(ー_ー)!!

そう言えば、誤解のないように付け加えておきますが、冷凍パンの底がぶつぶつだと言うのは、けして変な意味ではありません。

大きな工場で焼かれるパンと言うのは、火通りを考慮して網目の物やぶつぶつと突起したベルトの様なものの上に乗せて焼いている為に、パンの底にその様な跡がつくのです。

色々な所でパンを買う度に、底をチェックしてみてください。

そして何よりも ”風味” を・・・・・


それだけはご勘弁下さい・・・と言いたくなるお店

パンのお店を出すというのは、これは意外と簡単です。

少しばかりの経験と、お金さえあれば誰にでも出来てしまうのです。

保健所のチェックも、営業許可書も、実に簡単に済んでしまいます。

残念ながら、どのお店が本物の職人のいるお店か、はたまたどのお店がなんちゃってパン職人のお店なのか?

どのお店のパンが安心安全で、どのお店が不衛生きわまりないお店なのか??

それはお客様が判断するしかないのが現状なのです。

お弁当や給食センターなどでの食品事故は数多く報道されていますね。

しかし、パンを食べて食中毒・・・・・と言う話はあまり聞きません。

サンドイッチ位ではないでしょうか?? たまに食中毒になるのは・・・・

これは恐らく、パンは焼いてしまう食べ物であるがゆえに、助かっているだけだとも言えなくはないと思うのです。

現実には、こんな所で食べ物を作っているなんて??●※$¥&◆?#

とても信じられない・・・的な工房はたくさん存在しています。

テレビの特集では、よく隠れた名店というようなパン屋さんを紹介していたりします。

山奥の石窯パン屋さんや、田舎の無添加パン屋さん、離れ小島の小さなパン屋さん・・・・などなど、実際に全てに伺った事はありませんが、ご主人の誠実なパンに対する思いや、それを支える奥様のすばらしさなどを見るにつけ、人生とパン作りが一体となっている感じがして、これは美味しかろうとそうでなかろうと、もはや次元がちがうな・・・・

パンを作って売る・・・・だけではない人生観が伝わってくるようです。

がしかし、そんな中でもあいも変わらず存在するのが、

めちゃくちゃなパン屋さん

なのであります。

ある日、知り合いと共に立ち寄ったとある観光施設でのこと。

施設内にパン屋さんがあったので、立ち寄ってみました。

季節が冬ということもあり、観光のお客様は少なく、お店のパンもチラホラと並んでいるだけでした。

観光施設お得意の完成品冷凍のパンが数品と、よせばいいのに自家製酵母コーナーというコーナーがあり、そこにも数品のパンが並んでいました。

よせばいいのにとは随分失礼だと言われそうですが、残念ながら観光施設で冬場に本物のパンに出逢える確率はかなり低いと言えるのです。

それでも観光シーズンなら大忙しですから、例え冷凍生地であろうとも本物のパンが登場することになりますが、冬季の場合はお客様が激減する為に、原価のかからない自家製パンを作るというシステムになっているのです。

しかも、パン職人が常駐している観光施設は極めて少ないと思います。

レストランのコックならともかく、パン位ならアルバイトでも出来るだろうと言う考え方が大半だからです。

あまり売れない冬季にパン職人を雇う余裕は施設にはなく、かと言って繁忙期には逆に一人くらいのパン職人ではまかない切れるものではない。

年間を通して売上のアップダウンが激しい、いわゆる自然公園型観光施設では、このあたりの人件費管理がとても難しいという事情があるのです。

怖いもの見たさではありませんが、お土産にでもと天然酵母のパンを数個買い求め、外のベンチで食べようと口元に近ずけた時です。

やばい・・・腐っている!!

そして恐る恐る口に入れてはみましたが、すぐに吐き出しました。

どうやら完全に種が腐敗菌でやられてしまっているようでした。

そのまま帰っても良かったのですが、やはりそうもいかず、事務所に立ち寄り事情をお話ししました。

そして素姓を明かして工房に入れてもらう事になり、一人の女性にお話を伺う事になったのです。

その人は一応社員とのことでしたが、製パン経験は浅く、ただ経験者であるというだけで工房を任されていました。

早速種を拝見すると、なんとホシノ天然酵母ではありませんか。

しかしながら、あまり売れないので長期的に使用していたそうなのです。

しかも、器具などの洗浄がきちんと行われておらず、雑菌が繁殖して腐食してしまったという状態でした。

本人も、また同行していただいた支配人さんも、これはひどい臭いだ・・・・

そうおっしゃっていましたが、この人は作る時に息を止めているのだろうかと私は思ってしまいました。

お店の看板やポップは、どうやらその女性の力作だそうで、とても魅力的で良かったのですが、やはり何と言っても一番気にかけて欲しいのはパンそのものの品質ですよね。

色々と特徴を出すように上司から言われ、やむなく天然酵母に手を出したようですが、まさか菌が腐敗するとは考えもしなかったようです。

このように、とりあえず材料は仕入れてみて、とりあえず作ってみて、なんとなく上手くいったらそれで良し・・・・だけでは済まない仕事だと言う事を、上司の方にも充分理解してほしいものです。

・・・というか、たまには食べているようでしたから、なぜ気がつかないのかが不思議でしょうがないのですが・・・・

知ったかぶりで色々作ると言う人はたくさんいると思います。

この腐った臭いのパンも、恐らくはお腹を壊すほどでは無く、数日は売られていたのでしょう。

いや、もしかしたらずっとそうだったのかもしれません。

いずれにしても、そのパン工房だけがそんなお粗末な状況なのでは無いと思います。

きちんとした知識と経験がないままに、色々とチャレンジしているにわか職人は少なくないと思うからです。

チャレンジ精神はもちろん大切です。

まずは行動・・・これも大事です。

しかし、売る・・・と言う所まで行くには、充分な試作と試食が必要です。

お客様にお金をいただいたら、もうそれは試作ではすみませんよ。

皆様がこよなく愛する有名店、地元の名店、あるいは大手機械生産のパン。

まず安全だろうと思って買い物を楽しんでいる事と思います。

しかし、そのはざまをゆくパン屋さんと言うのは実に無数に存在します。

パン職人がいるのではなく、パン担当者しかいないお店。

毎年責任者が変わるお店。

オーナーが店にいないお店。

異業種が運営しているパン屋さん。

製造元が確認出来ない土産物売り場のパン。

個人が作っている産直所のパン。

実にいろいろな所でパンは作られ、そして売られています。

皆が皆誠心誠意、心を込めて作っていると思いたいですね。

皆最低限の食品製造の知識位はお持ちのはずだと思いたいですね。

しかし私は、地元農家の方々が運営する安心安全な新鮮素材が売りのお店で良く買い物をしますが、かなりの確率で腐敗臭漂うお弁当や御惣菜を手にします。

これは揚げ油が酸化しているな・・・・とか、このハンバーグは中まで火が通っていないな・・・・とか、真夏に常温販売しているお弁当にあり得ないものが入っていた・・・・とか、

やはり家庭料理と言っても、販売して数時間経過したらどうなるかと言う所までを考えないと、夕方には腐敗臭が・・・となるのだと思います。

これならむしろ、保存料でも使ってもらった方がお腹を壊さずに済むなと考えてしまいます。

売られている物は、基本安全だから売られているのだと思われがちですが、実はあまり管理されていないのが現状です。

安心安全を完全にうたいきるには、それなりの管理体制やチェック機能が当然必要だと思いますが、恐らく今後も追い付いてはいかないと思います。

なんとも食欲の無くなるような話を致しましたが、なお一層食に携わる者としての責任を自覚したいと考える今日この頃であります。


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