ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

発酵させる事と捏ねる事の意外な関係

質問や仕事の依頼が、ホームベーキングからベーカリー経営者へと変わってきたのがここ数年。

量を作ると言う事と、作ったパンでお金を稼ぐと言う事以外は、どちらもパン作りに変わりはないと思っていました。

しかしそれは、あまりにも大雑把な考え方である事に、ある頃から気がついてしまったのです。

それは、ホームベーキングの方々というのは、まずパンについての基本も経験もほとんどない状態から、本屋さんで本を買う事から始まる、あるいはパン教室に通うというような選択肢しかないのに対し、ベーカリーでは知ろうが知るまいがとりあえず量産の経験は出来るという事、そして何よりも、その毎日のパン作りこそが仕事なのであり、自分の生活に直結しているのだと言う現実。

そして設備が全く違う事・・・・

したがって質問の内容が双方でまったく違ってくるのだと言う事に気が付いたのでした。

使用する材料の量が違う為に、業務用と家庭用とに分かれている事。

ホームベーキングの場合は、そもそも捏ねると言う段階から、どの位が適正なのかと言う標準的指標すら解りようが無いので、ただ本に書いてある通りに捏ねるしかない。

そして、パン屋さんとは違って、入社時からある程度の流れが出来ている中で工程を教わるのとは違い、自分のパン作りが基本にのっとっているのかどうかすら解りようが無いと言う現実。

その様な方々から来る質問と言うのは、当然のことながら原材料に関する全てであり、工程に関する全てであり、あげくには設備の特性に合わせた作り方を教えて欲しいと言う事になってしまうのでした。

これは正直言ってきりが無いかな???

そんな思いからホームベーキングの方からの依頼は受けないようになり、アドバイスをすぐに実践に生かせるベーカリーへとスライドしていったのでした。

しかし現在では、そもそもこの二通りしかないのだと言う分け方自体が大雑把だったのだと知る事になりました。

つまり、パン屋さんであっても支店を構える程の規模の場合と、個人店では製法などがまったく違っていたり、酵母が違っていたりしますし、設備も大きく違います。

さらに、家庭と店舗のドッキング型や工房だけの場合、レストランやカフェの一角でパンを並べる場合、卸しだけだったり予約制だったりと、とにかく多様なシーンでのパン作りが行われているのです。

発想が自由だというのは、実に夢のある話ですね。

パン作りが楽しく行われ、作り手と買う側のコミュニケーションが益々広がり、パンを作るということが単なる労働では無くなっていくような事があれば、この業界もきっと夢のある業界になっていくでしょう。

これからのパン作りをになう若者の、創意工夫に心から期待したい気持ちです。

そんな中、独立したいと言う方は相変わらずたくさんいらっしゃるのですね・・・・

充分に経験を積んで独立された方、あるいは思い切って踏み切った方、残念ながら完全なる思い違いで独立に踏み切る方とも何度か接してきました。

いずれにしても、それなりの自信はお持ちでの独立のはずですよね。

しかし不思議な事に、そのような本来ならプロの域に入っているはずの方々からの質問は、至ってシンプルな場合が多いのです。

これは解っていないな~????

そう思うのです。

何が解っていないのか????

経験は積んできたはずです。

ですから何となくの自信はある。

ただし、全てが解っていたかと言うと、そう言う事ではないようなのです。

つまり、パン屋さんでの経験というのは、全てを自分で組み立ててきたパン作りではありませんので、流れに沿ってパンを作っては来ました。

しかし、どうしてその様な作り方をしていたのかは知らずにいる事が多いのです。

流れが出来ている中で何かに疑問を持ち、他の工程を試してみたり原材料を変えてみたりと言う事は、実際にはなかなか出来ません。

責任者か、あるいはオーナーでない限りは難しいと言えるでしょう。

つまり、ある程度の量産経験があり、レシピや原材料に対する知識もそこそこなら知る事が出来た。

もっと自分なりの何か違う方法で、パンを作り提供してみたい・・・・

その様な思いから独立する人が多いのではないでしょうか。

ですが、実際に自分ですべてを組み立てようとしても、そこまで踏み込んだ製パン理論も技術も持ち合わせていなかった・・・

この場合はいったいどうするのが最良でしょうか・・・・と言う質問が来る事になる訳です。


あれ????本題からの脱線度200%かなこりゃ・・・・


そんな不安を抱えるパン屋さんからも、ホームベーキングの方からも、実に多く登場する質問がこちらです。

フィンガーチェックについて、その意味や見極め方への質問なのです。

フィンガーチェックというのは、当然ご存知ですよね。

発酵したパン生地に指を指し、穴が戻るようならば発酵不十分、穴がそのまま開いた状態なら丁度良い、穴の周りがしぼんでしまったりすると完全なる過発酵という目安の事ですね。

このフィンガーチェックに意味があるのか??、または正しい判断基準なのかと言う質問が多いのです。

私が当時パンを習った諸先輩方は・・・・やっていましたよ、指を指していました確かに・・・・

私個人としては、一度もと言っていいほどやった事はありません。

では、フィンガーチェックは意味が無いのかと言いますと、とんでもありません。

とても大切な手法であると思いますし、誰にでも解り易く説明する為の工夫なのだと思いますから、先人の知恵には改めて敬意を表します。

ではなぜお前はやらないのだ??? と言われる前に説明すると、別に指を指さなくても解るからだとしか言いようがありません。

生地の発酵状態と言うのは、色々な判断基準が存在します。

例えば、レシピと捏ね上げ温度、発酵環境が一定であれば、一定の時間で毎回必ず同じ状態になります。

そうならば、チェックする意味がそもそもありませんよね。

それから、生地の表面の状態を見れば、生地の発酵度合いは解りますし、解らないといけないと思います。

また、捏ね上げた時の生地の大きさから判断すれば、それが充分なのか、不十分なのかは解るはずです。

つまり、指を指してどうなる事が良いのかと言う事なのではなく、解らない人は指を指す以外に判断しようが無いと言う事なのです。

解れば必要はない・・・・そう言えると思いませんか?

では、お前はそんなに正確に解るのか、解ったつもりでいるだけなのではないか・・・・そう言われないうちにこれまた付け加えておきますが、別にそこが正確であるかどうかと言う事は、あまりパンの善し悪しに関係が無いと思います。

どう言う事か?? ややこしくなってきましたね(笑)

パン作りというのは、捏ねるから焼くまでトータルで管理出来て初めて納得のいくものが出来るのです。

何が言いたいのかと言いますと、例えば多少発酵不十分で次の工程に向かわなければならない場合があったとしても、それが理解出来ていてのことであれば、その後に多く時間を取るとか、成形時に多少強めに締める事で生地に力を与える工夫をするとか、保管温度を上げるとかの修正は可能だと言う事なのです。

また当然逆もしかりですね。

いくら分割前の生地状態が最良であったとしても、その後に時間がかかり過ぎる事もあるでしょうし、成形技術そのものが未熟な場合も当然あるでしょう。

なのに、分割前のその部分だけ極めようとしても、何の意味もないと思うのです。

子供は、どのような環境で生まれ育とうとも、それで一生が決まってしまう訳ではありませんよね。

自らも将来を考えて努力するでしょうし、周りにも応援してくれる人がいれば、育ちに関係なく立派に成長していくはずです。

人生の一部分だけを見て判断するというのは、あり得ませんね。

パンも同じで、工程をトータルで把握しながら、この場合はこうして、その場合はそうしてと言う事が出来るかどうかが大切なのです。

ですので、フィンガーチェックでは大丈夫だったのに、変なパンになってしまったのはなぜか?

と言うような質問は、ほんの一面を見て全てを決めている事と変わりありませんので、あくまでその前後がどうであったのかというトータル的な問題なのだと認識していただくしかないのです。

フィンガーチェックは必要かどうか? と言えば、見て判断できないのであれば必要だと言う事です。

お解りいただけますか(~_~;)

そして、これだけでは説明が不十分ですので、もう少しだけ付け加えます。

同じ量の生地が目の前に二つあるとします。

一つはとても大きな入れ物に入れ、もう一つは発酵したらすぐに一杯になってしまいそうな小さな入れ物に入れます。

さて、この二つの生地は同じように発酵していくと思いますか?

正解は、大きな入れ物の生地は横にいくらでも膨らむ事が出来ます。

したがいまして上にはあまり膨らみ様がありません。

他方小さな入れ物の中の生地は、終始窮屈な思いをしながら、横にも上にも伸びたくても伸びれないと言うような状態にあります。

この二つの生地が、同じ時間発酵を行った場合、大きい入れ物の生地は内部摩擦が少なく、小さい入れ物の生地は内部摩擦が激しくなり、生地温度が上昇してしまいます。

つまり、同じ時間を発酵させたとしても、入れ物によっては大きく生地の状態は変わってくるのだと言う事なのです。

細かくは難しくなりますのでここでは触れませんが、これを手法として考えて欲しいのです。

捏ね上げ温度が低くなってしまった、あるいは生地がダレぎみになってしまったと言うよな場合は、やや立体的な入れ物に生地を入れて発酵させれば、温度上昇が期待できると言う事になりますよね。

逆の場合は、広めの入れ物に入れれば、生地に摩擦を与えることなく発酵させる事ができますので、時間の経過による摩擦上昇温度を抑える事が出来るのです。

このように考えると、先のフィンガーチェックは、どの入れ物で発酵させたかによっても、指を指した時の戻り状態は変わってきてしまうのだということがお解りいただけると思うのです。

生地は、膨らんでいく過程において内部的に摩擦が生じています。

入れ物をわざと小さくする事で、この内部摩擦を増やし、生地をあまりミキシングしなくても、発酵中に捏ねているのと同じような効果が得られるのだと言う事を知っておいてほしいと思います。

発酵はゆるやかなミキシングなのです。

この言葉を理解することは、とても大切であると言っておきましょう。

それがすべての始まりなのです

私がパン屋に就職した頃は、まだ街にはコンビニが一件しかありませんでした。

ファミレスは確か・・・・・無かったかな??

村でも町でもなく、市だったのにですよ。

そんな時代だったから、焼き立てのパンと言うのは、温かいと言うだけでお客様にとっては新鮮な驚きだったろうと思うのです。

おっと、こんな出だしだと、かなりのお爺さんであるかのような印象を持たれてしまうかもしれませんが、まだ52歳ですし、見た目も若いのですよ本当に・・・(笑)

その頃からすれば、今ではコンビニもファミレスも、更には吉牛やすき屋などの丼店も合わせれば、まさに星の数ほどですよね。

昼夜を問わずにどこででも、どんなものでもお金さえあれば食べられる時代。

食べ物屋が星の数になると、次に登場するのがダイエット関連商品や運動器具・・・

人間の欲望と企業の戦略というのは、どこまで行ってもいたちの追いかけっこみたいなものなのかもしれませんね。

同じく、パン屋を取り巻く環境も大きく変化してきている事は言うまでもありませんが、我々パン屋にとって、未来永劫変わる事のないものがあるのです。

それが技術力です。

日本の製造業がトータル的に世界屈指であることは、だれでもが知っています。

物を作るという技能しかり、発想しかり、繊細さしかりです。

日本のパンの品質が、今や世界に誇れるレベルになっていると言う事も、なんとなくご存知なのではないでしょうか。

ではなぜ、日本人というのはパン作りでは後発なのにも関わらず、世界が絶賛する優れたものを作り出す事が出来るのでしょうか?

・・・と、そんな事を私が言うのはおこがましいので、あえて一つだけ上げるとしたら、それは ”心配り ”を重んじてきた民族だからなのではないでしょうか?

食べてくれる人の事を考えて作る・・・・

食材に感謝しながら調理する・・・・

食べ物を作るという工程は同じでも、そこにこれらの気持ちが入る事で、繊細さというのは生まれてくるのではないでしょうか。

パンという食べ物も、今では本当にどこででも買う事が出来ます。

石を投げればパンに当たるほど、どこにでもパンは置かれているのです。

だからこそ差別化した商品を・・・・特化した商品を開発して・・・・

と言う流れになってしまうのでしょうが、それは大手が考えれば良い事なのです。

私達中小が、今もこれからも守っていかなければならないのは、流行を追う事でも、機械化する事でもなく、ましてや価格競争に乗る事でもありません。

常に自らの技術を磨き、安定した商品を、地域のお客様の為に作り続ける事、ただそれだけで良いのです。

どうして流行りを追いたがるのでしょうか?

それは、お客様から聞かれて作らない訳にはいかないと言う場合もあるでしょうし、業者が売れ筋だからと紹介していく場合もあるでしょうし、そもそも時代に乗り遅れる訳にはいかない・・・的な感覚も芽生えてしまうのでしょう。

作り方も良く知らない商品であっても、簡単にできるミックス粉などがすぐに手に入りますから、取りあえず品揃えしておくか・・・・と言う事になる。

お店の商品構成がブレる瞬間です。

特に技術と言うものに自信が無いお店ほど、どうしても流行りを追ってしまう傾向があるようです。

それのどこが悪いの!!

そう言われそうですが、別に悪くなんてありません。

ただ、自分でそう言い切れる自信があるのなら・・・・ですが。


ただ安定した商品を作っているだけで売上が上がるなら、誰も苦労はしないよ!

そんなご意見もあるはずです。

しかし、この安定した商品というのが、実は考えているほど簡単ではないのです。

私が依頼先のお店に伺った時、このように言われるオーナーと言うのは、残念ながら技術者とは言えない場合がとても多いのです。

どう言う事か??

製パンの技術と言うのは、いったい何を指してそう呼ぶのでしょうか?

それは、細かく言えばきりがありませんので、かいつまんで申し上げれば、パン生地の扱いがいいかげんであると言う事につきるのです。

パン屋であろうとホームベーキングであろうと、パン生地に触れることから全てが始まります。

このパン生地に触れる時の触れ方いかんで、パンの品質は大きく変わって行ってしまうのです。

パン作りでは、捏ねるを手で行う人も少なからずいるとは思いますし、その後は分割したり成形したりと、必ず手が必要になりますよね。

考えてみてください。

この時の手が、機械で出来るなら、もうとっくに町のパン屋さんなんて存在していないのです。

ここの部分の繊細さを出そうとして、機械メーカーは日夜開発を行っているのですよ。

それでも未だに完成させる事が出来ない。

だから、手作りが存在しているのではないですか?

それ位、人の手というのは要なのだと私は思うのです。

それなのにですよ・・・・・

生地が切れようが乾こうがおかまいなし、分割の大きさはバラバラ、並べ方はメチャクチャ、膨らみ加減はいいかげん、成形の形はバラバラ・・・・

そんな人にパンを作ってほしくない・・・・そう思うのは私のエゴでしょうか。

私が自分のパン作りに目覚めてから現在に至るまで、ず~っと言い続けている事は、

 ”もっと優しく丸めなさい ”

という言葉です。

技術を重んじない人には、どうでもいい言葉であり、何の説得力も持たない言葉でしょう。

しかし、パン生地の丸め方を見ただけで、その人の製パンの姿勢全てが見えてしまうのです。

難しい成形が出来る事が技術なのでしょうか?

多くのレシピを持ち、有名店を渡り歩いた人が技術者なのでしょうか?

パン生地と向き合う謙虚な姿勢を持ち、手作りの本当の意味を知っている、そんな人が技術のある人なのであり、その思いこそが技術力と呼べるのではないでしょうか。

早朝からパンを作り、生地を丸めていると朝日が入ってくる・・・・

その朝日がパン生地に当って、生地の表面がキラキラと光っている・・・・

そんな瞬間が私は大好きです。

皆様はパン作りのどんな瞬間がお気に入りですか?

手でパン生地に触れた瞬間、生地の温度や捏ね状態、更には砂糖や塩や油脂の配合量、小麦粉の質、酵母の種類と量などが概ね解ります。

すると、それらを生かす為には、この先どのように生地に触れていく事が最善なのかを判断する事ができますし、完成品を想像する事ができます。

要するに、手で生地に触れただけで、おおよその配合と完成度合いが解ると言う事です。

良くある質問に、どうやったら綺麗に丸められるのでしょうか? とか、麺棒のあてかたをアドバイスしてほしいとか、生地切れはどうして起こるのでしょうかとか、丸める方向はどれが正しいのかとか、とにかく言葉にしようが無い事を聞かれる方がたくさんいらっしゃいます。

しかし、それはどこまで行ってもご自分で掴んで納得していただくしかないのです。

だからこそ、ある程度の数は作らないと掴みようもないと言う事になってしまうのです。

また、数を作っても気持ちがなければ、結局は掴む事は出来ないということも、もうお解りいただけましたよね。

手取り足取り教えても、何年経っても出来ない人には出来ないのです。

また技術と言うのは、本来教える物でもなく、必要に駆られて必死な気持ちで他人の真似をする事から始まるのではないでしょうか?

つまり、昔から良く言われている ”盗む ”と言う事です。

まっさらな新品のスポンジのように、何でも吸いこむ事が出来るような心構えで生地と向き合ってみてください。

聞く耳を持たない人に、生地は語りかけてはくれませんから・・・・

そして、生地の気持ちが解るようになった時、はじめて自分の技術力に自信が持てるようになるのだと言う事を、どうか信じて欲しいと思います。

パン屋は経験だけがすべてではない

ここのところ、小規模でお店を運営されている方からの質問がとても多くなりました。

小じんまりとしたパン屋さんや、自宅の一部を改装してお店にしている方など、以前には見られなかった形態でお店を始められる方が増えてきているのだと思います。

何かと言うとチェーン展開してきた今までのパン屋さんと比べ、買う側からすると作り手が見える、生産者の気持ちが伝わるお店と言うのは、とても安心できますし、そこにはパンの売り買いだけではない、温かみのようなものを感じますね。

ですが、やはり良い面だけではなさそうなのです。

と言うのは、このような小規模なお店をやられる方と言うのは、あまり専門的にパンを習った経験があるというのではなく、なんとなく趣味の延長でパンを作っていたら、意外とお客様に支持される事になり、本格的にとまではいかなくとも、そこそこ生活していける程度の売り上げと、趣味を両立させたいとの思いをもって始められる事が多いのです。

すると、ある程度年月が経過すると、ある不安に襲われるようなのです。

それは、私のパンは果たして本当に美味しいのだろうか・・・・?

このパンは、専門的に見ていったいどうなんだろうか・・・・・?

はたしてこのまま続けていって、大丈夫なのだろうか・・・・・?

本当は間違った作り方をしてしまっているのではないだろうか・・・・・?

そんな事を考えてしまう方が非常に多いようなのです。

真面目なのですね・・・・・基本的にこのような方々と言うのは(~_~;)

でも気持ちは解ります。

自分の歩んでいる道があって、このずっと先は本当は行き止まりなのではないか?

自分は間違った道を歩いているのではないか・・・そんな不安がよぎるのです。

私はパスタが大好きで、外食で食べるよりも自分で作った方がはるかに安く、しかもはるかに美味しいと常々思っています。

しかし、テレビなどでイタリアンの本格料理が紹介されたり、有名シェフのお店のパスタが紹介されているのを見るにつけ、一度きちんと教わると、もっと別の美味しさにめぐり会えるのかも知れない・・・・

そのように感じたり、実は自分の作り方はプロから見たら ”プッ ”なのかもしれない・・・・

そう思う事もあります。

つまり、何か確証を得ることで安心したいと言う気持ちなのかもしれませんね。

なので、本屋に言ってはパスタの本を見て、プロのパスタの作り方を見ては真似して作る訳ですが、やはり美味しいとは言え、一抹の不安はぬぐえない自分がいる・・・・

きっと小規模経営の方達は、そのような一抹の不安と闘いながらも、支持して下さるお客様と自分を信じて、毎日パンを作っていらっしゃるのではないでしょうか。

そのようにして、いつでも新鮮な気持ちで自分のパンと向き合うと言う事は、とても大切な事です。

むしろ、ただただ作業として黙々とパンを作り、善し悪しも考えずに生産されていく大量のパンに身を任せる生活の方が不幸なのではないかと私は感じています。

一日に大量のパンを作ると言う事は、ある意味技術が無いと出来ない技ではあります。

そこには、段取りや効率を重んじる考え方が無いと、とても時間内にさばききれないからです。

当然その様な生活をしていると、スピードと言うパン作りにはとても大切な能力が備わります。

ですが、その様な生活の中で、美味しさを求めたり、作る楽しさを味わったりすると言うのはとても難しい。

毎日毎日同じ作業を、ただひたすらに行い、数十年経ってもパンのレシピすら見た事が無い・・・・そんなパンの仕事をしている方も大勢いるはずです。

また、そこまで大量生産では無くとも、ある程度有名なお店で働くと解りますが、とにかく忙しいのです。

動きっ放しでトイレに行く時間も惜しい、全ての工程をマスターするまでに一体どれだけの時間がかかるか、そんな忙しさの中で自分なりのやりがいを持ってパンと向き合うと言うのは、これまた非常に難しい。

パン作りを納得のいくまで極めたいと思ったら、それはとてつもない根性が必要ですよ(笑)

実際にはほとんどの方が辞めてしまうのが現実なのです。

いったい何が言いたいのかと申しますと、今のままの環境がとても幸せなのだと考えていただきたいのです。

自分でレシピ作りから製造、接客までを行う事が出来る環境・・・・

最高の幸せであり、究極のパン作りだと私は思います。

足りない事は、後からでも補えば良いのです。

日々勉強している事と思いますから、その姿勢を貫く事です。

しったかぶりや、にわか経験をふりかざすより、よほど立派だと思います。

何より、その様なパンと向き合う姿勢がお客様を呼ぶのだと思いますよ。

そうは言っても不安はたくさんあるでしょうから、ここで少しだけアドバイスさせて下さい。

私自身がパンの焼成について、自分なりの確信を持った時の話を紹介します。

それは、ある時コッペパンを焼いていた部下が、5分以上オーブンから出すのを忘れてしまい、見事に焼き過ぎた時の事でした。

いざ捨てようという時、もったいないと思ってパクリとした瞬間に電撃が走ったのです。

うっ・・・うまい!!

そのコッペパンは皮がガリガリになり、明らかに焦げ色になっていたのですが、うまいと思えたのです。

この時私は、パンが焼かれると言う事は、パンの表面の焼け焦げた香りがとても大切なのだと言う事を改めて知ったのです。

次がフランスパンでの事。

捏ね上げ温度がいつもよりも6℃も低くなり、その後に色々と調整したのですが、とうとう成形の段階までベターとした生地となり、これはもはやどうにもならないな・・・・とあきらめて、とりあえず焼いたのです。

完成品は見事にペッタンコで、ガリガリのボツボツで焼き色は真っ黒、とてもお店に出せるようなものではありませんでした。

残念ながら捨てようと思って、やはりいつも通りパクリとした瞬間またもや電撃が走ったのでした。

うっ・・・うまい!!!

この時はさすがに困りました(~_~;)

間違いなくうまい・・・・でも売れるようなパンでは無い、つまり見た目があまりにもひどいのでした。

この時私は考えました。

旨いと見た目はどちらが大事なのだろうか????と。

そして、どこまで考えてもやはりどちらも大事なのだとしか思えませんでした。

だとしたら、味をこのままにして、どうしたら見栄えが良くなるかを考えようと決意し、格闘が始まったのです。

コッペパンの時と言い、今回のフランスパンと言い、ただ単に毎回同じ焼き方をして満足していたら、今回の発見はなかったなと思うのです。

結局、型にはまらない発想、想像力、創作意欲なるものが作り手にはとても武器になるのだと言う事を感じたのです。

そう考えて完成したフランスパンは、今まで私が長年かけて大切にしてきた、血と汗の結晶で出来た伝統的な製法を無視する結果となったのです。

つまり、自分が納得して旨いと思えれば、それ以上に強いものなんてないんだと言う事を私は悟ったのです。

それからと言うもの、とにかく焼くと言う事の重要性を重んじた商品構成を考えるようになりました。

白いパンの作り方を質問される事が多いのですが、作らないでくださいとお答えしています(笑)

あの、生焼けの消化に悪い物体を見るにつけ、潰してやりたくなります(笑)

売れるらしいですね・・・・あのようなふわふわと柔らかいイメージのパンと言うのは・・・・

それに変わって、どなたに聞いてもハード系のパンと言うのは売れないと言います。

がしかし、本当にそうなのでしょうか???

皆様が、白いパンを作るのを止めて、自信の持てるハード系のパンをもっとお店に並べたら、お客様はこなくなってしまうのでしょうか?

私がお客様から最も多く言われる言葉がこれです・・・・

どこに言っても柔らかいパンばっかりで、噛み締めるパンが売ってないのよね~

これって、これからは何を商品化すれば良いかのヒントになりはしませんか?

パン屋は具材を売る為のお店では無いはずです。

すぐに売れるパンというのは、どこにでもあるパンです。

売れないのではなく、ないものは買いようが無いのです。

何を売りたいのか・・・・

何を売りにしたいのか・・・・

それだけ明確にしておけば、あとは謙虚さがあれば大丈夫です。

生地量によりミキシング時間は変えるべきか

毎日の仕込み量がほぼ一定だというお店は、あまり問題視していないでしょうが、小まめに仕込む生地の量を変えているお店では、このテーマはとても大切なテーマとなります。

ミキシングの時間というのは、ミキサーの回転速度をどの位にするのか、どの位の生地の量をミキシングするのかによって、大きく変わってきます。

なぜなら、パン生地はミキサーの中で揉まれたり伸ばされたりする事で捏ねられてゆき、その際に発生する摩擦熱によって温度が上昇し、温度が上昇するスピードと生地の完成度合いというのは密接な関係があるからです。

つまりは、生地の量の多い少ないによって、ミキサーの中での摩擦度合いは大きく変わると言う事なのです。

これは、簡単に言えば生地量が多いほど摩擦熱も発生しやすいと言う事であり、すなわち仕込み生地量が多くなればなるほど生地は早く完成する事になり、摩擦熱は生地量が多くなればなるほど上昇スピードが速まるのです。

と言う事は、必然的に仕込む生地量が増えれば増えるほど摩擦熱がより多く発生する訳ですから、生地の温度上昇が早くなり、生地の完成までの時間も早くなる事になります。

同じミキサーボールで、いつもは5kgの小麦粉を捏ねていた場合、それが3kgになった場合と7kgになった場合とでは、おのずとミキシングの時間、あるいは回転スピードを変えるなどの工夫をしなければ、生地の完成状態は大きく変わってしまいます。

この場合、まったく同じ回転速度と時間でミキシングした場合には、7kg捏ねた生地は生地温度がいつもより高くなっているはずですし、3kgの方は逆に低くなっているはずです。

このあたりに関心があるお店では、当然のことのように仕込み量が多い場合はミキシング時間をやや短縮し、少ない場合はやや長めにしている事と思います。

そして関心のないお店では、生地量の違いにより捏ね上げ温度が毎日変動し、それがそのまま製品に影響を与えている事に気が付かずにいるかもしれません。

少し意地悪な言い方かもしれませんが、実際の製造現場で、はたしてどれ位の人が生地の捏ね上げ温度に関心を持っているかを考えますと、それは非常にとぼしいと言わざるを得ないのです。

レシピや原材料には人一倍の関心を持っていると言う方は非常に多い・・・・

焼き加減や酵母などにもそれなりのこだわりをお持ちの方も・・・・・

しかし、肝心の捏ねられた生地の状態、あるいはその温度と言うものにはほとんど無関心と言う方があまりにも多くいらっしゃいます。

そこがすべての始まりであり、そして全てなのだと言う事が残念ながら解っていないのです。

ミキシングと言うのは、レシピに書かれている時間をそのまま疑いもせず、また問題視もせずに行っている場合が多いと思います。

それで生地が完成しないかと言うと、そんなことはありません。

ミキシングにより生地が捏ねられていくと言う事は、いかなる段階であれ、ある程度は生地として完成しています。

つまり、後3分捏ねようが、3分早くやめようが、それなりの生地は完成しています。

ですので、その生地でパンを作っても、それなりにはパンになりますから、別に何の問題もない・・・・と思っていらっしゃる方がこれまた大いのです。

そしてそれは別に悪い事ではありません。

毎日同じ時間でミキシングを終えていれば、それが実際にはミキシング不足なのだとしても、またはミキシングオーバーなのだとしても、毎日同じような生地状態であると言う事ですから、その意味では不安定ではなく、問題無しだと言う事も出来るでしょう。

ただし、そこに捏ねる生地の量が毎日違うと言う事がある場合は、そうはいかなくなります。

上記で紹介した通り、少ない場合には生地温度が低くなるはずですし、多い場合は高くなるはずです。

そしてここでさらに問題なのは、生地量が少ない時に温度が低くなるのですから、つまりは発酵がいつも通りに進まないと言う事になります。

しかしですよ、量が少ないと言う事は分割や成形の時間も早く終了してしまいますよね。

するとどうなると思いますか????

始めから温度が低くて発酵が未熟な生地なのに、作業だけは速やかに行われてしまいますから、終始未熟性のまま作業を終える事になってしまうのです。

そしてホイロでベターっとした光沢のある生地になってしまうのです。

始めから温度が低かった生地と言うのは、その後もあまり温度は上がってきません。

冬空に長くいると、暖かい部屋に入っても、そう簡単には暖まりませんよね。

それはよく、身体の芯まで冷えてしまったからだというような表現を使いますよね。

この場合の生地もまったく同様で、摩擦による熱もあまりなく、しかも完全に温まっていない状態の生地だと言う事ですから、例えるならばぬるい風呂に短時間だけ入れられて出されてしまったような状態なのです。

どうですか? こんな状態じゃその後に時間が経過しても、暖かいと思える程になるにはかなりの時間が必要でしょうし、出来るならもう一度熱い風呂に少しでも良いから入りたいと思いますよね。

この場合の、例えばパンチを行うとか、分割や成形で生地をいつもよりも力を入れるようにしてコシをつけてやるというような対処方法がありますが、これは人間に例えれば寒風摩擦をしてやると言うようなもので、ある程度は暖まるかもしれませんが、それよりも熱い風呂の方が効果はあるかもしれませんよね。

つまり、捏ねる生地量が少ない場合の捏ね上げ温度の低下は、2重の不幸を背負ってしまう事になりかねないと言う事なのです。

そして真逆の生地量が多い場合の温度上昇は、作業時間はいつもよりかかるわ、温度は更に上がってしまうわで、これも最悪の結果を生む事になるでしょう。

では、これらを防ぐにはどうしたら良いのでしょう?

それにはまず、捏ね上げられた生地の状態をしっかりと見極めることから始めなければなりません。

まずは、いつもよりも1分早くミキシングを終えてみてください。

その後の作業はまったく同じとし、焼き上がったパンを数日かけて食べてみるのです。

次にいつもより1分多くミキシングをしてみて、やはり完成したパンを食べてみてください。

どの時の生地の感じが、どんなパンになったのかを見極めるのです。

ミキシングの1分という時間の重要性を知る事が出来れば、どのパンにはどの位のミキシングが最適なのかが解るようになるはずです。

また、この時何よりも大切なのは捏ね上げ温度であることは言うまでもありません。

もっと言うなら、捏ね上げ温度に合わせた生地の保管温度、発酵時間をしっかりと守ると言う事です。

そのようにして、ミキシングというものと向き合うと、生地の膨らみ加減の差や、食感や風味の差が以外と出るのだと言う事に気がつくと思います。

パン作りと言うのは、まずはそこからではないでしょうか・・・・


食パンの穴開き、あなたは解決出来ますか?

驚く事に、前回記事を書いてから今日まで約一週間、

何とその間に、見事に食パンに穴が開きました・・・・

油断していました・・・・正直な所・・・

確かに、なんとなく焼成後の肌の感じがいつもとは違うとは思っていたのです。

しかし、生地状態や温度管理にまったく問題はなかった為に、単に季節特有の乾燥が原因なんだろう・・・・程度に考えていました。

全て解っているつもりでいる・・・油断が生んだ結果に、久しぶりに緊張感が走りました。

師匠にピンタをもらった時のような、あのすがすがしい緊張感が・・・・


今回は、様々なシーンで考えられる食パンの穴開きの原因はどこにあるのか・・・について述べていきたいと思います。

まずはレシピとミキシングの段階を考えてみましょう。

食パンに穴が開くということは、その多くは焼成中に起こるもので、生地が素直に伸びていかない状態であり、一部が全部と行動を共にしない状態であり、いずれにしても焼成中の膨らみ方に原因があります。

と言う事を考えると、やはり一番レシピで関係してくるのがイーストの量と小麦粉の質と言う事になります。

イーストの量が比較的多く、発酵時間が短い簡便法でパンを作る場合、穴はとても開きやすくなります。

捏ね上げから分割までが40分以内の製法がこれにあたります。

当然ながら、改良剤などの配合が多いのもそれにあたります。

そもそも、捏ね上げから40分程度で生地が充分膨らんでいるような状態の配合は、ほぼイーストの量が多過ぎると言えます。

それが良いか悪いかではなく、穴はとても開きやすくなると言う意味です。

さらに、小麦粉の質と言うのは、そもそも食パンのようなキメの細かい気泡を作るのに適しているか、また適したミキシングが出来ているかに関係があります。

一般的に、強力粉ないしは最強力粉などの力の強い小麦粉を使用した場合、ミキシングは充分に行わないと、その時点で穴開きの大きな原因になりますし、逆に国内産小麦などのやや力の弱い小麦粉を充分にミキシングし過ぎると、それも穴開きの原因となるのです。

ただ単に、ミキシングを時間で終えているような場合、もう少し捏ねてみる、あるいは少し早めに終了してみるなど、生地の状態を良く把握しながら作業する事で、思わぬ良い結果が出る事があります。

また、配合中の水の量というのも、実は大いに関係があります。

ミキシングの際の摩擦も、分割成形時などの生地へのダメージも、生地が柔らかければ柔らかいほど軽減する事が出来ます。

ミキシング時の過度な温度上昇は、それだけで即穴開きの直接原因となりうるからです。

その他、常に申し上げているのが捏ね上げ温度や保管場所の温度ですが、これが高いというだけで、それも直に穴開きの原因となります。

通常配合の食パンでは、捏ね上げ温度が30℃を超えると、穴開きの可能性は極端に上がります。

逆に、24℃以下になっても同じ事が言えます。

高配合の場合は、それぞれにもう少しだけゆとりが生まれるものの、フランス系の食パンの場合は、ほんの少しの温度の違いで、明らかに穴開きの可能性は高くなります。

ここまでにご紹介した事例によってパンに穴が開いた場合、それは単に穴が開いてしまった~ では済みません。

どう済まないのかと言いますと、そもそも品質的に問題があると言う事になるからです。

つまり、美味しいパンでは無いということです。

パンに穴が開くということは、生地が発する悲鳴のようなものです。

最終的に見える形で、悲痛の叫びを伝えているに過ぎないのです。

そうでなくても、ミキサーで痛めつけられて、成形で痛めつけられ、おまけに乾燥と高温でお肌カサカサ・・・

もういや・・・こんな生活・・・・の結果が穴開きという訴えに出てしまうのです。

ですから、様々なシーンで生地の本音を聞かなければなりません。

この捏ね方で良いのか、この温度で良いのか、この成形で満足なのか、本当はもっとゆっくり膨らみたいのではないか、そんな気持ちで一から生地と向き合う事でしか、穴開きの原因はつかめないのです。

本日の生地の捏ね上がり状態は、いつもよりやや硬い感じになり、温度も2℃いつもより高くなってしまった・・・・

と言う事は、保管場所の温度はいつもよりもやや低くし、発酵時間もやや短縮し、作業は生地を傷めつけないよう丁寧に行おう。

そして、捏ね上げ温度が高いと言う事は、発酵が過度に進む事になるのだから、終始乾燥には充分注意しよう・・・・

と言うように、生地状態が見極められれば、修正は可能なのです。

問題は、今のレシピとミキシングが本当にあっているのか、生地の捏ね上がり状態をしっかりと見極めようという気持ちがあるかどうかが、とても大切なのだとお考えください。


次に、分割・成形での注意点を述べておきます。

ここで一番穴開きの原因を作ってしまう可能性があるのが、乾燥と手粉です。

取り扱う生地の量が多ければ多いほど、生地の表面は乾燥してきます。

この乾燥した生地が内側に入るなどして丸められた場合、その部分の生地同士の結着が上手くいかずに穴開きの原因となることがあります。

また、異常なまでに手粉を多く使う人というのがいます。

この際は、乾燥と理屈はまったく同じで、生地で手粉を折り込んでいるようなものですから、非常に生地の結着が悪くなり、どんなに良い生地状態であっても、穴開きはまぬがれないでしょう。

また、分割成形のスピードと仕込み量があっていない場合も、乾燥及び過発酵を生む原因となります。

独りで作業しなければならないのに、仕込む量が多く、分割に30分もかかってしまうとか、成形にも更に時間がかかると言う事が実際にはあると思われます。

そのように、様々な都合により生地に無理をさせると言う事は、多かれ少なかれどの職場でもある事だと思います。

パン作りは綺麗事ではできないんだよ!!!!

そんな意見も、過去に何度も聞かされましたしね(~_~;)

しかし最終的には、綺麗事で済まないと言う考え方で綺麗に作る事は間違いなく出来ないですけど・・・

生地が乾燥して表面がカサカサになる・・・・

これほど身の毛もよだつ現象はないと私は思うのですが、そんなことはお構いなしの方々が多いのも事実です。

ですが、その様なお店からも、どうして穴が開くのかという質問は絶えません。

むしろ、そのようなお店からの方が多いかもしれません。

それはそうですよね、自分達で原因を作っておきながら、解決は人に任せようと言うのですから。

このような場合は、いくら原因が解っても、けして作業を見直そうとはしてくれません。

それ以外の原因は無いと解ると、だったらいい・・・そんなスタンスなのです。

自分達の気に入るアドバイスは受けるが、それが自らへの指摘になると、とたんに態度を変えるパターンですね。

アドバイスが無駄になるとても嫌なケースです。

いかなる場合も、自らに全ての原因があるのだという謙虚な気持ちが無い場合、アドバイスは何の効果も生まないと私は思います。

全ての原因究明は、どこかからやってくるものではなく、自らの考え方の中にあるのだと言う事を理解している人にのみ、アドバイスは生きるのだと思うのです。

手粉についてもう少し・・・・

手粉という小麦粉があるわけではありませんよ、分割成形時に生地がくっつかないように使用する粉の事を手粉と呼んでいるだけです。

この手粉には、必ず強力粉かそれ以上に強い粉を使って下さい。

言い方を変えると、粒度が粗い小麦粉を使って欲しいのです。

一見、粒が粗いのはどうかと考えがちですが、粒度が細かい、例えば中力粉や更に細かい薄力粉と言うのは、すぐに粉同士が固まってしまいます。

特に湿度を加えると、すぐに塊が出来てしまうという特性があります。

だから、お菓子を作る際には、必ず薄力粉はふるってから使うのです。

ふるわなくても、または多少湿度があっても、いつでもサラサラとしているのが粒度の粗い強力粉ですので、生地の取り扱いの際には、必ず強力粉以上を使って下さい。

また、生地保管用の番重などにショートニングやサラダ油を塗っている方も多いと思いますが、あまり多く塗るとその部分が生地の中に入り込み、最後まで残ってしまって穴開きの原因を作ると言う事もありますので、塗り過ぎには充分注意してほしいと思います。


では最後に、オーブンで注意する事を述べておきましょう。

食パンと言うのは、一般的に型に蓋をする角食パンと、蓋をしない山形食パンというのがあります。

穴が開きやすいのは、圧倒的に山形食パンの方になるのですが、それは蓋をしている角食パンと言うのは、型の中で生地が四方から押し合いへし合いしますので、適度に締め付けられて穴は開きにくくなるのに対し、山型の場合は上部へはフリーとなりますので、伸び過ぎる事で穴が出来てしまうと言う事があるのです。

したがいまして、生地重量に合わせた大きさになるようにホイロを調整して焼かないと、大きくなり過ぎることにより穴が開くと言う事になります。

穴が開かない場合でも、全体的に気泡が粗くなる事になりますから、注意しなければなりません。

ならば、生地重量を増やせば問題ないのかと言いますと、その場合は更にオーブンで伸びてしまい、余計に穴が開きやすくなるのです。

ですので、山型の食パンの場合は、生地重量は増やすことなく、ホイロを早めに焼成することが大切なのです。

また、全般的にオーブンの温度が低めの方が穴は開きやすくなります。

40分以上焼いても、蓋がとれないような状態の場合は、温度が低いと考えられます。

また、30分以内で焼けてしまう場合は、逆に少し高過ぎるかもしれません。

生地重量やご使用の型の大きさにもよりますので、穴が開くようなら今一度生地重量や焼成時間を見直してみる事も必要でしょう。

それから、食パンに限りませんが、ホイロの高温多湿によって表面がベトベトしているような温度設定では、とても穴が開きやすくなります。

温度は最高でも38℃まで、湿度は75%までとし、生地がベトベトしないように心掛けてください。

もしも、上記の温度湿度なのに、生地の表面がベタベタと光っている、あるいは小さな気泡が出来てしまっていると言うような場合は、生地の温度が低過ぎることによる現象となります。

これは、単に捏ね上げ温度が低かっただけということに限らず、分割成形やベンチタイムで生地が冷えてしまった場合もあるでしょうし、イースト菌が少ない、あるいは古い場合でも同じような現象が起こります。

このような場合は、出来る事ならホイロの温度湿度はいつもより低くし、いつもより長めに発酵をとり、焼成温度もやや低めにして下さい。

逆に、上記の温度設定なのに生地がカサカサと乾いている、あるいはブリブリとした感じで山が盛り上がっているような場合は、いずれかの段階で過発酵となった事が原因だと考えられます。

このような場合は、湿度のみ多くする、あるいは生地表面に霧吹きを噴霧しながら、早めのホイロで高温焼成を心がけてください。

ただし、どちらの場合も、間違って穴が開く事はなくとも、品質的には最低のパンとなります。

大切なのは、ホイロでその様な現象になった事を共有して、翌日には良い状態に持って行けるように工夫する事です。

食パンの穴開きに関しては、オーブンで出来る事というのはあまりありません。

つまり、ホイロに入った瞬間にほぼ善し悪しは決着が付いているということになるのです。

ですので、ホイロでの状態を見極める事で、生地の善し悪しを判断出来ると言う事になる訳です。

ホイロを出す際に、しっとりとした生地になっていることが最良となります。


また、生地を型に入れる際の、入れ方のバランスにも大きな原因がある場合があります。

特に山形のパンの場合、中央だけが大きくなるような場合はバランスが悪く、その場合中央付近に穴が開くと思います。

また、型に対して生地重量が少ない場合も穴開きが発生しやすくなります。

その他、型と蓋の間に隙間がある場合や、型が変形している場合もそうです。

その場合は、そろそろ買い換えましょう。

焼成中にオーブンを開けるのは厳禁です。

特に食パンの場合は、いかなる場合でも一度開けたら最後です。

温度設定を途中で変えるような焼き方も、穴開きの原因となる事があります。

本当に必要なのかどうか、今一度お考えください。


と言う事で、色々と簡単に説明してきましたが、あくまで一般的な事であり、ご自分のパン作りに当てはまるかどうかは解りません。

ただ、その様にして一度作業を見直す、そして自分では良かれと思ってやっていることが、実はパン生地にとってはマイナスだったのだ、だからこそ穴を開けて知らせてくれているのだと言う事に気がつくだけでも、何歩も前進した事になるのではないでしょうか。

そう思って頂けたら幸いです。

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