ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

ミキシング時間の適正を掴むには・・・・・

こんな質問をいただきました。

・・・・今更ながらですがどうしてもミキシングについて納得していない部分があるのです。

こちらのブログで見た記事の中に生地がベトベトしているのは捏ね過ぎだというような内容の生地があり、それを見てからこれは自分の生地もそうだと思うようになり、初めは吸水が多いからだと思っていたのですが、その後に減らしてみても結局ベタベタとした生地になりましたのでこれは捏ね過ぎなのかとやはり考えています。

当方食パンが5種類あるのですが、そのミキシングは全てL2M5H3油脂入れL4M3H2 となっています。

ミキサーは愛工舎のマイティー60を使っています。仕込み量は2kg~5kgですが、ミキシング時間はほとんど同じにしていますがそれも間違っていますでしょうか気になる所です。

ミキシング時間に関しては講習会などに行った時に聞いた話では問題ないと言われましたがやはり気になり質問させて頂こうと考えました・・・・・・


ミキシングに関しては、ご使用の小麦粉や配合の違いなどにより、確かに多少の時間差は生まれるとは思います。

しかし、今回ご質問の件に関しましては、明らかに捏ね過ぎである事だけは言えると思います。

実は、この捏ね過ぎというのは、私自身も講習会などに参加した際には、その主催者のミキシングは捏ね過ぎだろうと思う事が何度もありました。

完成した生地は終始ベタベタとしていて、とてもツヤツヤと光っていました。

主催者によって、あるいは使用する小麦粉や配合によって、実に多くのミキシング時間の違いと言うものがある事は事実です。

ですので、あくまで好みの問題でもあろうかと思いますが、それでは答えになっていないと思われますので、私なりの解釈でお話ししておこうと思います。

ミキシング時間と言うものを考える場合、小麦粉の特性や副材料の量などを考慮する事はもちろんなのですが、それにもまして重要となるのが仕込み量なのです。

どの位の量の生地を、どのミキサーボールで捏ねるのか?・・・・・・

その事がとても重要になるのです。

質問者様のお店の場合、ミキサーボールが60リットル用一つしか無いという事でした。

通常30リットルと兼用になっているのですが、何故かないようなのです。

この事は意外と他にも多い事例で、最近お邪魔したお店でもそうでしたし、今までに何度もそのようなお店に伺いました。

ということは、2kgの生地を捏ねる場合でもこのミキサーボールで捏ねる事になる訳です。

60リットルのボールを使って、適度なミキシングを得られる量を考えますと、恐らくは最低でも3kg以上の量は必要でしょうし、それ以下の量を捏ねる場合には、それなりの工夫が必要になると思うのです。

つまり、長く捏ねるか早く捏ねるかと言うような事になります。

大きなボールの中で、少ない生地が回っている事を想像してみてください。

どんなに早く回しても、ほとんど空中をさまよっている部分が多く、周りに叩きつけられていると言いますか、はたかれていると言いますか、適度な摩擦というのは得難い状態であると言えます。

そんな事もあり、恐らくはHといういわゆる3速を使っているのだと思うのです。

しかしこれが、例えば6kg捏ねるとなった時でも同じミキシング時間であるとすれば、間違いなく捏ね過ぎ以上となってしまうでしょう。

ご質問にあるミキシング時間の合計は19分になります。

この合計時間は、わりと行っている方も多いかと思われます。

特に食パンなどのキメを細かくしたいパンの場合は、この程度捏ねる方が多い事でしょう。

しかし、ごく一般的な柔らかさと配合であれば、3速という高速回転を使う事はまずありません。

というよりも、むしろ使うとオーバーミキシングになってしまうでしょう。

60リットルという大きなミキサーボールを使って高速回転を使用する必要があるとすれば、それは仕込み量が3kg以下の場合か、あるいは相当柔らかい生地と言う事になると思います。

だとしても、これほどの高速での時間は必要ないと思われますが・・・・・

実際に最近伺ったお店では、ミキシング時間のトータルが20分を超えている生地が大半でした。

捏ね上げられた生地はべロ~ンと伸び、ピカピカ輝いていました。

分割をしていても成形をしていても、やはり完全にはベタベタは解消されません。

このような生地で出来たパンと言うのは、ホイロ後に潰れてしまう事が多く、具をのせれば重みで沈み、クープを入れれば切ったそばからしぼんでいきます。

焼成後にはしぼんでしまった後のシワが残り、弾力のない食感になります。

全般的にミキシング時間を短縮し、極力3速は使用しない方向にした所、ミキサーから生地を取りだす際の感触、分割の際の感触、成形の際の感触がまったく違うと驚かれていました。

これも個人の見解ではありますが、捏ね上げ後の生地が艶々したらアウトだと私は思っています。

その後の発酵時間も、分割時も成形時も、それらすべてがミキシングにつながる行為であることから、ホイロに入るまでの全工程の合計でミキシングは完成するものと考えるからです。

するとそれだけで、あきらかに生地のボリューム感は増し、手触りがまったく違ってきます。

解り易く言えば、分割時に手粉が必要な生地というのは、油脂の入る生地においてはあまり考えられません。

もちろん製法や配合などによって違いはある事と思いますが、通常は手粉を必要とはしません。

これは、手粉を使ってはいけないという意味なのではなく、ほど良く捏ねられた生地と言うのは、常に表面に薄い膜が張られているような状態になっています。

そしてその膜が強く破れにくいほど、分割や成形にも耐え、内層を常にガードしてくれるのです。

適度に捏ねられた生地の薄い外皮は、外気によって常に適度に乾燥していて、その乾燥状態が作業台や手に生地の内部がくっつかないようにしてくれているのです。

その生地状態というのは、まるで赤ちゃんの肌のような肌ざわりになります。

お近くに赤ちゃんがいるようでしたら、是非触れさせてもらって、その肌の感触を良く覚えておいて下さい。

食パン・ロールパン・菓子パン・フランスパン・ドーナツなど、いずれの生地も赤ちゃんのような感触になっているかどうかが重要であると私は考えます。

捏ね過ぎる位がキメ細かさを生む・・・・というのは間違いではありません。

しかし、キメ細かさが美味しさであるかどうかというのは、少し考え方を変えた方が良いのではないでしょうか?

と言う事で、ここで何分捏ねるべきである・・・・・というような事には具体的には書けませんが、以下の事を考慮してお考えいただければ、おのずと答えが出るのではないかと思います。

1、その高速回転は本当に必要ですか??

2、生地がテロ~ンとなっていて、第一発酵で横に流れていきませんか??

3、低速と中速と高速では、時間が同じでも捏ねられ方はまったく違うことを認識しましょう。

4、赤ちゃんのような肌ざわりになっていますか??


あれ??と思う事があれば、少し控えてみる事をお勧めしておきたいと思います。

生地冷蔵法

このカテゴリを書き始めたのは、なんと2008年だったのですね~

あれから早7年が経過し、今時の製法の主流はいったい何になっていると思われますか?

とか書きながら、実際にはパン屋さんによってそのあたりは色々な製法を組み合わせてお使いの事と思います。

とは言え、増えてきているであろう製法としては、ストレート法に旨味や風味をプラスさせる為の自家製発酵風味液を入れて、独自の味と香りを出しているお店は多いと思いますし、自家製で冷凍生地を作って、合理化を計りながらも、あくまでオリジナルを貫くというお店も多いと思います。

さて今回久しぶりにご紹介するのは、生地冷蔵法と言いまして、生地玉の冷蔵ではなく、生地そのものを分割前の状態で冷蔵するという製法のご紹介になります。

生地玉で冷蔵した場合の利点としては、分割までが済んでいる訳ですから、すぐに成形から始められるのに対して、生地で冷蔵するというこの製法では、分割をして通常通り番重などでベンチタイムを取ってから成形に入るという一手間がかかることになります。

では、単に一手間がかかるだけの製法なのかと言いますと、他の利点が実はあるのです。

それは簡単に言いますと、収納スペースが少なくて済むという事なのです。

生地玉で冷蔵する場合は、生地をそれぞれ適度な間隔をあけて並べておく必要がありますよね。

そうしないと、となり同士がくっついてしまったり、あるいは冷えが悪くて発酵過多になってしまったり、その間隔の度合いによっては、同じ天板に同じ分割重量の生地を入れたにもかかわらず、膨らみ方が違ってしまうという問題点もあり、そのあたりを常に気にしておかなければならないという難点があります。

そして更に、一枚の天板に間隔を開けて並べるという事は、当然ながら一枚に収まる生地の量と言うのは、空間が多い為に少なくなってしまいます。

その点生地冷蔵というのは、天板いっぱいに生地をまんべんなく入れる事が出来ますので、一枚あたりに入る生地の量がとても多く出来るという利点があるのです。

つまり、冷蔵庫が少ないとか、冷蔵スペースに限りがあるというようなお店の場合は、この製法にすると格段に冷蔵出来る生地の種類を増やす事が可能になる訳です。

更に利点と呼べる特徴がもう一つあります。

それは、生地玉で冷蔵された生地というのは、最大でも2日以内に使用しないと、明らかに膨らみが悪くなりますが、生地冷蔵の場合は、その約2倍の4日位はそのまま冷蔵していても過発酵になる事はありません。

つまり、極端に言えば12種類の生地を毎日捏ねていたと仮定した場合、それを3日に1度~4日に1度に分散する事が出来なくは無いということになるのです。

もちろん生地1種類当たりの仕込みキロ数が多い所はこの限りではないと思いますが、大した量でもないのにい毎日捏ねているようなお店の場合には、そうとう強力な武器になる事は間違いありません。

また、分割をすでに完了してある生地玉の冷蔵であっても、冷蔵庫から出してすぐに成形に入れる生地ばかりではないはずです。

温度をきちんと戻さないとならない生地は必ずあると思います。

だとするならば、生地冷蔵で分割と丸めの手間は確かに掛かりますが、その後のベンチタイム中に温度を戻す事が出来ますので、この二つの製法による時間的な差は特に問題にはならないと私は思っています。

では、この製法というのは実際の現場で相当活用されているのか???

ということになると、意外とそうでもないかもしれません。

なぜなら、そもそもが売れるパン屋さんでは一旦冷蔵したりということそのものが無駄な作業の一つになってしまうからでしょう。

この製法が生きて来る現場というのは、生地の種類にはこだわりたいものの、トータル売上がそこまでは大きくない規模のお店だと言えるのです。

設備の中でも冷蔵庫というのは、比較的他の設備に比べて安価です。

ですので、生地の種類は多くしたいが、毎日仕込むほどの仕込み数ではない・・・・・というようなお店にとっては、便利な製法であると言えると思うのです。

では、品質という面から言うとどのようなメリットやデメリットがあるでしょうか?

まずメリットとしては、低温長時間発酵となりますので、生地は比較的しっとりと、しかも熟成の香りがあり、生地が弱酸性になっている事から、のど通りも良く消化に良いパンが完成すると言えるでしょう。

他方デメリットとしては、冷蔵期間が長くなればなるほど、熟成臭を超えたアルコール臭が発生し、お酒臭いパンになってしまいます。

また、当然それに伴ってボリューム感のない、膨らみの悪いパンになったりしますので、あくまでもどの生地はどれくらいまでに使用するのが良いのかを掴む必要があります。

このあたりは生地玉であろうとも、生地冷蔵であろうとも理屈はあまり変わらないのですが、生地そのものを冷蔵すると、なぜ生地玉の時よりも日持ちがするのかという事に関して、少しだけ説明しておきましょう。

生地玉の場合は、発酵後分割をした後すぐに冷蔵庫に入れ、使用するまでは基本的には生地に触れる事はありません。

という事は、生地は適度に膨らんだ状態で冷え、その後はイーストの活動が緩やかになり、その状態をキープしていくことになります。

この際にどうしてもイーストの活動というのは行われてしまい、解り易く言いますと、途中まで膨らんだ状態で冷蔵されているという事になるのです。

この発酵一時休止状態で翌日を迎える事によって、適度なボリュームを残しつつも熟成の旨味も持つというのが生地玉の良い所なのですが、残念ながらそれだけにイーストのガス発生期間が短くなってしまうのです。

他方生地で冷蔵する場合は、冷蔵後数時間で生地が膨張してかなり膨らんできます。

この際に必ず生地をしっかりと潰してガスを抜いておく事が重要となるのです。

すると、その後はイーストの一時休止状態が比較的長く保たれて、生地の保存期間が伸びるのです。

つまり、生地が膨らんだ状態やガスを含んだ状態では、長く冷蔵する事が出来ないという事になる訳ですね。

このガスをしっかりと抜いておくという事にさえ注意していただければ、冷蔵期間は長く安定した物になるのです。

また、冷蔵に向いている生地と言うのは、基本的には生地玉の時と同じですが、油脂を多く含む生地、あるいは砂糖を多く含む生地程安定していると言えるのです。

とはいえ、食パンやフランスパンなどの糖を含まないか少ない生地だとしても、それほど長い期間でなければ冷蔵は可能です。

だからと言って全ての生地を冷蔵するほどの設備もないでしょうから、どれを冷蔵する事が工程上向いているのかを見極めながら取り入れて欲しいと思います。

それから、他でも説明し重複するかもしれませんが一応書いておきたいと思う注意点があります。

それは、冷蔵用イーストと言うものを使ってしまうと、冷蔵中にほぼ完全に活動が停止してしまいます。

すると、熟成という意味では旨味が添加される事が無くなりますので、意図としてはやや違ったものになるかと思われます。

ただし、冷蔵イーストの方が生地の日持ちは当然良くなりますので、ダメだという意味ではありませんよ。

また、イーストフードや改良剤などはどれを使うのが良いかと考える人もいると思いますが、この製法に関しては使用したからボリュームが出るとか、保存期間が伸びるという事はあまり期待できないと思われます。

つまり、いつも使用している方はそのまま、使用していないのであれば新たに入れる必要は無いという程度だとお考えください。

保存期間を少しでも長くしたいという場合には、当然イーストを増やす事に発想が及ぶと思いますが、その分冷蔵期間中のガス発生も増え、アルコール臭が出やすくなるという事も考慮してお試しください。

また、冷蔵する生地全般に言える事ですが、どうしても冷蔵中に水分が浸み出して生地が柔らかくなりがちです。

ですのでやや硬めに捏ねるというが理想ですし、発酵は緩やかなミキシングである事を考えると、捏ね過ぎた生地はベターっとなってしまう可能性が高まりますので、ミキシングもやや控えた方が良いでしょう。

ミキシング後の冷蔵するまでの時間というのは、生地や配合によって違いがあり、それらをここで説明する事は出来ませんが、通常よりも捏ね上げ温度は下げ、発酵時間もやや短縮された方が良いでしょう。

かと言って捏ね上げ温度が低過ぎたり、発酵時間が短すぎると、お馴染みのフィッシュアイ様のご登場となりますのでご注意くださいね。

この製法を行うのに向いているパンと言う意味では、考え方として焼き立て回数を多くしたいパンに使用してみてはいかがでしょう。

必要な数を分割して成形しては焼き、売れ行きに応じてまた分割から行う事が出来るこの製法は、多めに生地さえ備えてあれば、かなりのチャンスロスを助けてくれるものと考えております。

つまり、人気商品で欠品だけは避けたい、常に焼き立て揚げたてを提供したい、その様なパンには効果的な製法であると思います。

ミキシングと発酵時間を合理化して工程を短縮することで、お店の動向に速やかに反応する事が出来るという意味では、是非取り入れていただきたい製法であると言えるでしょう。

一日2キロしか捏ねていないような生地ならば、6キロ仕込んで三日分という考え方です。

しかし実際には、6キロ仕込んだのに二日~二日半で無くなってしまった・・・・・

というような現象が出てくる場合が多々あります。

それは、その分のチャンスロスが減り、その分売れたという事になる訳です。

売上が今一のお店にありがちなのが以外にもチャンスロスであり、それを焼き回数などを増やす事によって今までよりも少しずつ動きが良くなって来たら、また別の生地を冷蔵して焼き回数を増やす・・・・

このような地道な取り組みによって、お店に鮮度が出て来るようになると、焼き立てをアピールするべき商品と、けして焼き立てが美味しい訳ではないパンとのメリハリが出て、相乗効果を生むのだと私は考えています。

焼き立てパン屋である以上、焼き立ての魅力と言うのはお客様からすれば当然あってしかるべきものなのです。

それは、こだわりであるとか品質であるとかと言うよりもまず、焼き立てであるかどうか、HOTであるかどうかが重要な事なのであり、そこを満たされない限り、他の袋に入ったパンには興味を持っていただく事が難しくなるのです。

それくらい焼き立て出来たて作り立てというイメージは大切なのです。

いかにして焼き回数を増やすか、いかにしてアツアツのパンを手にするタイミングをお客様に提供出来るか、このことなくして現在の売り上げを伸ばす事は難しいと感じてなりません。

なればこそ、これらの製法を駆使することによって、まずはお客様の要望に答え、鮮度感に酔いしれていただく事、焼き立ての香りに幸せを感じていただく事、そうする事で初めてお店のファンになってもらえるのではないかと思うのです。

お店のファンになると、色々なパンが全て美味しそうに見えてくるはずです。

こだわりは、そうなってから出していけば良いのです。

一日に1回しか焼かないパンがあっても良いのです。

ほとんどのパンが袋に入っていても良いのです。

それでも1日に最低でも10回焼くパン、10回揚げるパンを作ってみてください。

そのパンが一日100個以上売れるようになったとしたら、恐らく多くのファンが出来て来ると思いますよ。

そう思えた時に必要な製法として、生地冷蔵法をご紹介いたしました。

そうそう、一つ書き忘れる所でした・・・・・

生地冷蔵されている生地を、空いている時間などに分割して丸めておき、それを更に生地玉冷蔵のようにして翌日すぐ使用するというような技もあります。

また、それこそ空き時間に分割丸めを行って、一旦冷蔵庫へしまっておけば、その間にベンチタイムが終了し、すぐに成形から入る事が出来ます。

このようにして、とにかく生地が冷蔵保存されているということは、何かと融通がきくという事になる訳です。

お試しあれ・・・・・


店休日のとらえ方を見直してみよう

皆様の現在のお仕事では、お休みがきちんと取れていますか?

毎週確実に最低でも1日は休みがありますか?

それとも週休二日をエンジョイしていますか?

このブログを見てくださっている方の多くは、恐らく業界関係者か、あるいは家庭でパンを作られている方であろうとは思いますが、残念ながらお休みに関して言えば、思い通りに休めていない方が多いのではないでしょうか?

ここの所のパンブーム、または人気店ブームなど受けて、様々なお店の情報が開示されるようになり、オーナーへのインタビュー記事や、従業員への福利厚生の考え方などを見る機会も増えましたが、皆様はそのあたりをどうとらえていらっしゃるでしょうか?

今に始まった事ではありませんが、一流の職人と言われるような方々というのは、休日をいかにして取るかと言う事などよりも、自分を高め、お店を繁栄させる事に全精力と全人生をかけていらっしゃる・・・・

そんな印象を私は持っています。

数十年間休んだ事は無いという話や、寝る時間は3時間しかないという話もかなり聞きます。

労働基準法なるものがあり、週に40時間の労働時間を基準として・・・・・なんて話は、いったいどこの国の話なの??と言いたくなるほどの業種による労働時間の差、会社によっての考え方の差というものがある訳ですが、だからと言って恐らくは今後もそう変わる事はあり得ないと思います。

休みたければ休みが取れる会社を選らび、パン製造の仕事をしながらも休みがたくさん欲しいのであれば、大手に就職しなさい。

手作りパン屋で働きたいなら、お休みの面は我慢が必要だし、そもそもそんな事を考えているようでは一人前の職人にはなれないぞ・・・・・

そう言われて納得して入ったつもりでも、やはりきちんと休む事が出来ない現実は非常につらく、しかも一日の労働時間が半端ではないというのが、手作りパン屋の実情ではないでしょうか。

有名店や人気店に憧れてこの業界を目指し、今も勉強中の方や修業まっただ中の方もいらっしゃるでしょう。

その様な人達の中にも当然、パンバカとかパンキチガイと言えるような、人生そのものがパン作りなのだみたいな人がいると思います。

しかしその反面、パンはもちろん作っていきたいが、他にも色々と趣味を楽しんだりしたいという人の方が圧倒的に多いと思うのです。

と言う事ですから、当然のことながら数年でこの業界を去ってしまうという人は後を絶たない訳ですね。

根性のある人、信念を持っている人、パン作りに人生をかけれる人でないとつとまらない仕事・・・・と言っても良いほど、人生の、そして日常のほとんどの時間をパン作りで過ごす事になる手作りパンの仕事。

どこまで行ってもどうしようもないことなのでしょうか?

他のカテゴリで何度も触れてきた冷凍生地でのパン作りというものがあります。

業界の方なら確実に全員がご存知であろう冷凍生地ですが、今も尚需要が伸び続けている事を考えてみてください。

誰だって手作りの方が美味しいであろう、売れるであろうとは思っているはずです。

しかし実際に伸び続けているのは冷凍生地で、安定して繁盛しているのも冷凍生地のお店です。

この事実を踏まえると、冷凍生地は売れないとか、美味しくないという概念はもうすでに当てはまらないのではないでしょうか?

冷凍生地のお店が繁盛している背景には、様々な工夫で新たな商品を生み出しているという点がお客様に評価されているという事実と、利益率は薄いかもしれませんが、安定して運営出来るメリットがいかに重要かとうことを表しているように思えるのです。

どう言う事かと言いますと、例えば人気店であっても、チーフがインフルエンザの為にお店を休業しなければならないという話や、冠婚葬祭により数日お休みしますという話を良く聞きます。

つまり、職人の都合によってはお店を運営できない時も出て来るということになります。

店主が病気になり、やむなくお店を閉めるという方も現実にはあるのです。

しかし、冷凍生地でしたらそもそも職人が不要です。

ですので、場所さえ売れる場所であれば、店主が病気でも運営に影響は無い訳です。

さらに何人かの職人を抱えている職場というのは、多かれ少なかれ常に人事問題には頭を悩ませているのが実情だと思うのです。

経営として考えるとこの事はとても重要で、製造部門が安定しているという事は、職人が辞める度に求人などの労力や費用が発生する事や、職人のスキルの差による商品の不安定さに頭を悩ませる事から解放される訳です。

こだわりが売上を生むのだと思って手作りにしたのに、結局は毎年人員確保に頭を悩ませているというオーナーは意外と多いのではないでしょうか?

人件費と言う大きな費用にかかるウエイトは、手作りであるほど大きくなる訳ですね。

では、手作りパン屋さんではこの事に付いて、何か良い手段は無いものなのでしょうか?

と言う事で、今回は是非考えの中に取り入れていただきたいと思うのが店休日についてなのです。

私の知る限り、企業と言うのは基本年中無休を推奨していますし、ほとんどの企業はほぼ無休でしょう。

そして、超有名店や人気店でも無休で営業しているお店と言うのは多いと思います。

では、普通の?と言いましょうか、一般的な手作りパン屋さんの場合はどうかと言いますと、そのほとんどは週に一度の店休日を入れていると思います。

その理由は、交代で職人を休ませるにはそれだけ人員を確保しておかなければならず、それにはある程度の売上ベースが必要であり、そこまでの売上が取れていないお店では、固定した人員で毎日をこなすことになり、全人員を同時に休ませなければならないからです。

商売の考え方としては、毎日営業したいのはやまやまでも、最低週に一日は従業員は休ませなければならず、それでも労働基準法に照らせば不完全ですので、本来ならば週6日の営業日の中で順次もう一日ずつお休みを与えなければならない訳です。

しかし、そんな余分な人件費は捻出できない売上規模のお店では、隔週で週休2日とうたったり、月に一度は週休2日とうたったりしているようですが、その実情は週一のお休みが限界であろうかと思います。

ましてや有給休暇など、どこの国の話で、いつの時代の話????と言う具合でしょう。

そこで、思い切ってお店を週に二日店休日とすることを提案したいのです。

もしそうなったら、どうなると思いますか?

従業員は趣味を持つ時間も出来、新商品を考える時間も、他店に視察に行く時間も圧倒的に増えます。

この事が、どれだけのモチベーションの向上につながるかを考えると、お店の運営にとって間違いなく大きなプラスを生むと思うのです。

それだけではありませんよ。

全員が一緒に2日休めるという事は、製造と販売が親睦を深める事もできますし、プチ旅行にも行けますよね。

新商品の提案会や試食会などを開いて、スタッフ全員で意見を出し合いながらミーティングを開いたりしても、休日はもう一日しっかりあることになります。

今現在の主流である長時間発酵法や冷蔵発酵法、それに天然酵母の種継ぎなどの為に、結局は休日の一日は工房での作業をしなければならない事があったり、店長やオーナーは事務仕事もたくさんある事でしょう。

間違いなく ”無理” をして毎日を過ごしている事と思うのです。

パン屋の一日はとても長いと思います。

そしてそのほとんどは時間に追われ、清掃もままならないでしょう。

ましてや、本を読んだり趣味を楽しんだりなどと言う時間は、営業日には不可能なのではないでしょうか?

一日が長い事も、朝から晩までず~っと忙しい事も、これはパン屋の宿命です。

しかし、その分確実に5日後には2日間自由な時間があるということの開放感、そしてその開放感から生まれる発想こそが、お店を継続的に発展させていく為の原動力になりはしないか・・・・・そう思うのです。

うらやましくも、ず~っと週休二日の仕事をされている人には、いったい何のことかさっぱりでしょう。

しかし手作りパンの仕事をする者にとっては、まさに革命的な事だと言えるのです。

お店を店休にすることなく、交代で週休二日を成し遂げている職場というのは、チェーン店レベルならもしかしたらあるかもしれません。

ただし、もしかしたら・・・・・・と言うレベルのはずですよ。

では、週に二日も休むパン屋を、お客様はどう思うと思いますか?

これは、私の実体験では、以外にも受け入れられてきた事実があります。

この他にも、週に4日しか営業していないとか、2日しか営業していないとか、午前中しか営業していないとか、とにかく様々ある訳ですが、以外にもそれが特徴になったり話題になったりと言う事の方が多い気がしています。

そして肝心の売上ですが、これは月に4日から5日分の売上が減るなんてとんでもない・・・・・という発想はナンセンスです。

そうではなく、週に二日は休める事が確実である環境から生み出される5営業日の充実感を考えて欲しいのです。

どうせどんなにあくせく働いても、早く帰れる訳ではないし、又今週も休日出勤の可能性もある・・・・・

まったく嫌になるな~・・・・・・

そう思って働いている人の方が圧倒的に多いのです。

成果が上がったら報酬は見直すからというのが、オーナー側の発想ですが、従業員はその事自体を信じられるような精神状態ではない事が多いものです。

しかし、確実に休みが2日確保されているという事は、まぎれもない事実ですから、それは疑いようもないもないのです。

そんな状況でありながらも、もちろんダラダラと働き、不満を訴える従業員と言うのは皆無ではないでしょう。

しかしこれ以上の安定感の提供というのは、他に類が無いと思いますから、オーナーはその事に自信を持てるはずです。

他方、一日の売り上げをもっと上げていく方策を、スタッフ全員が提案し納得し共有するのに十分な時間的報酬と言えるのが週休二日だと私は思うのです。

日商10万円のお店が週休二日を実行しようと考えたら、最低でも1日2万円の売り上げ増が必要です。

しかし、10万円を12万円にする知恵と言うのは、そんなに難しい事ではないはずです。

お店にもっと来店してもらえるような魅力ある新商品を作る。

そんな場合も、時間がないとか暇がないとか余裕がないという事は、もう理由になりませんよね。

卸し先を新規で開拓する場合もしかり、どこか大口の配達先を見つけるのもしかり、時間がないとかそんな余裕は無かったと言い訳をしていた毎日から、じっくりと考えたり研究したり試作したりする時間が増える事により、即実行出来る日々の売上アップ対策が実現するのではないでしょうか。

これこそがまさに仕事と遊びの両立であり、重労働環境におけるオアシスであると私は考えます。

求人をしても、問い合わせは増える事は間違いありません。

週に2日お休みがあるという安心感は、製パンの質と効率の両方に貢献し、従業員とオーナーとの意思疎通が図れ、そのことが全従業員の経営観念をも育てると考えています。

毎日の作業時間が長い事も、サービス残業ばかりさせられて・・・・と嘆く事はなくなり、むしろ毎日の売上アップを実現して週休2日を勝ち取ろうという気持ちになる人が増えるのではないでしょうか。

パンを製造しているスタッフで、経営を勉強している人というのはとても少ないと思います。

他のお店はなぜ週1日の店休なのか、そしてどうしてこのお店は週休二日が実現できているのか、そのあたりを数字を交えて全従業員が話し合える環境というのは、とても理想的なことであり、生きた経営というものをパンを通じて味わう事が出来るのではないかと考えております。

美味しいパンを作る事、製法や原材料にこだわる事、お客様の視点に立ってお店を運営していく事、これらはとても重要な事ではありますが、実はもっと重要な事があると思っているのです。

それが、経営観念をもった従業員が作るパンであり、経営観念をもった販売員が売るパンなのです。

原材料の一つ一つは現金と同じであり、それを作る職場環境や設備なども、やがては老朽化していく資産なのです。

自分たちが働いて作り上げる商品を、現金に換えてくれるのがお客様であり、その現金があるからこそ私達は今こうして働く事が出来、生活が潤っていくのです。

そんなことを月に何度か話し合いながら、全員が毎日の生活は健全経営が支えているのだという事を実感し、ビニール袋1枚でも無駄に扱えないのだということを理解しながら働ける職場環境を目指していただきたいと切に願っております。

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