ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

パン屋の仕事に求められる能力とは・・・・・

パン屋の仕事で最も求められる能力というのは一体何でしょうか?

仕事において必要なスキルというのは様々あるとは思いますが、やはり何と言ってもパン屋の仕事で一番必要なスキルと言えば、それはスピード(処理能力)ではないでしょうか。

オーナーや店長的立場の方からはこんな相談や意見を頂いたりします。

「一週間の見習い期間を与えて仕事を見させてもらいます。 その段階で無理だと判断した場合は残念ながらその間のバイト代だけで辞めていただきます。」

「この人なら・・・・という人に出会えるのは10人に1人くらいでしょうかね。 育てればなんとかなると思われる人も採用はします。」

「まったくの異業種からの転職は駄目ですね、特に事務系からの人は気持ちはあっても体が完全に製造業に合わないので、とても苦労します。」

「前職が飲食関係で、特に厨房経験者なら、忙しさを体で解っているのでとてもスムースに対応してくれますね。」

「面接で前職を辞めた理由を聞いた時に、悪口がどんどん出てくるような人は採用してもすぐに辞めます。 色んな職種を経験してきたという人に限ってすべてが中途半端で使えない場合が多い。 パン屋を点々としてきた人というのはとても癖があって、仕事は早いが大抵人間関係で辞めていく。」

「品質には最大限注意を払うのは当然のことですが、それは一定レベルの作業スピードがあっての話で、そもそも仕事が遅い時点で使い物にはならない」

「仕事が遅い奴に限って遅刻は多く休憩時間は長い。 仕事が遅い分少しでも早くスタートしようという心がけだけでももってもらわないと、やはりうちでは勤まらないと思います」


・・・・・・・と、なかなかの厳しいご意見。

相反して、辞めさせられてしまった、辞めなければならないような状況におかれてしまった・・・・という立場の人の意見はというと・・・・

「機械じゃあるまいし、あんな時間ではとても作りきれないのが当たり前だと思いますし、そもそも出来る人のほうが少ないはずです。 あれじゃ必ず体を壊しますよ」

「とても殺伐とした雰囲気の中で、一心不乱に成形しまくるしかなく、呼吸困難になりそうでした。 ちなみに私は入って2週間で腱鞘炎になりました」

「何が楽しくて、あそこまで時間に追いつめられながら作らなければならないのかが理解できませんでした。 とても人間のする仕事とは思えない」

「作業開始から10時間位の間はトイレにいくことも出来ないし休憩なんて全く無いのです。 手作りパンのお店はみなブラックなのですか?」

「これ以上はとても無理という状況でも、生地がどんどん仕込まれていきますので毎日間に合わずに発酵過多になっている気がします。 しかしそれはお前の仕事が遅いからだと言われ、けして調整をしてくれることもなく手伝ってくれることもありませんでした。 とにかく早く早く、急げ急げばかりで発酵状態とかどうでもいいのかな?能力に合わせて作業工程を組むことも大切なのではないかと私には思えるのですが・・・・」


・・・・・と、これまたごもっともなご意見のようですが・・・・・

退職率からみると、恐らくは高い方であろうと思われるパン屋の仕事。

特に手作りパンの場合は、どのような状況であろうと、どのような規模のパン屋さんであろうと、けして万人が勤まる仕事であるとは言いがたい現実がそこにあることは間違いないでしょう。

技術力などという言葉で言うと、とてもかっこよく聞こえたりしますが、現実には常に時間との戦いが待っており、常に立ちっぱなしで動きまくりの、まるでノーブレーキで坂道を下っている大型トラックのごとく、止めようのない作業の中での毎日が待っているからです。

一人で作っている方、ご夫婦のみで作っている方というのも多いとは思いますが、そんな場合はあまりピンと来る話ではないかもしれません。

一人なら遅いも早いもなく、自分の能力に合わせて全ての作業工程を決めていることでしょうし、ご夫婦のみの場合では、いわゆるこれ以上の信頼関係はないはずですので、意思の疎通という意味では最高のパートナーと一緒に仕事をしていることになりますよね。

しかしこれが3人以上になり、組織化していけば行くほど、各人の能力の差によってその日の作業の進捗は大きく変動し、合わせてそれが売上や製造ロスなどにも影響して行くわけですから、自分も含めたスタッフの能力というのはお店を運営していく上においては見過ごすことの出来ない重要課題であると言えるでしょう。

人間は成長する生きものでありますし、学習する能力を備えています。

どれほど忙しい職場においても、それを淡々とこなしている方は当然居る訳ですし、その方を基本とした作業工程が組まれていると思います。

しかし、人はみな同じではありません。

この道でかれこれ35年生きてきた私ですが、人によっての処理能力の違いというのは、一般的な考えの想像を遥かに超えるものであると実感しています。

つまり、仕事が速い人と遅い人の差というのは、単に早い遅いのレベルを超越して、片や想像を超えた利益を生む事ができる人と、不利益しか生まないと言えるような人とに分かれてしまうということなのです。

例えば、仕事が速い人達で構成されたチームがあったとします。

このチームの場合は、このような作業風景が想像できます。

1 当日行う作業の準備は、前日に念入りに済まされているので、最小の動きで最大のスピードを発揮できる。

2 各人の作業にも目が届いているので、全体のバランスを見ながら互いを手伝い、常に最良の生地状態を維持したまま全体を管理している。

3 決まった品質で決まった時間に焼き上がるので、お客様への焼き立て告知も周知でき、時間帯別売上も安定する。

4 追加などの対応も各人が臨機応変に行うことが出来、余力を残しながら翌日の準備を行うことが出来る。

5 衛生管理に目が行き届き、清掃を確実に行うことが出来る。

6 手を止めることなく、声を掛け合いながら作業状況を確認することができる。

7 製造ロスが少なく、人件費効率は最良となり利益体質を維持できる。


では、仕事の遅い人が数人加わった場合はどうでしょう。

1 当日の準備が前日に間に合っておらず、フィリングを作ったり機材を準備したり包材を用意したりと無駄な動きが増えて作業がはかどらない。

2 自分の作業すら間に合わずに、全てが発酵過多で推移していく。 または仕込みそのものが間に合わずに作業が止まる。

3 何時に焼き上がるかはその日によって違い、陳列棚に空きが多く商品の欠品も目立つ。

4 追加には全く対応できず、商品が全て揃うのが午後になってしまう。

5 清掃などにはまったく時間を使うゆとりがない。

6 各人の意思疎通というよりも、自分の作業を終われせることに精一杯になり目先しか見えていない。

7 製造ロスは多く、合わせてチャンスロスも多くなり、人件費だけが上積みされていく赤字体質となる。


いかがでしょうか。

仕事の早い人というのは、常に時間にも余裕があり、その間に新商品を考案したりお店で売れ行きをチェックしたりすることが出来ますが、遅い人というのはそんな時間は全くありません。

片や常に余裕が有るのに、どうしてこうも差が出来てしまうのでしょうか。

パンを愛し、この世界で生きていきたいと思うところまでは同じはずなのに、作業が遅いというだけでお店や会社に不利益を与える要因になってしまうなんて、なんと悲しい現実なのでしょうか。

仕事の遅い人というのは、どのくらいの月日をかければ早くなるものなのでしょうか?

私自身も、今もまさにそのような現実の中で仕事をしているわけですが、この仕事が遅い人達、作業処理能力が著しく乏しいと思えるような人達には、いったいどのように接し、指導していけばよいのか、これは永遠のテーマのような気さえしています。

解りやすく言えば、やはり採用の際に見極める事が重要でしょうし、出来ることなら遅い人に長い時間をかけて指導するよりも、早い人を選ぶ方が間違いなく有効だといえるでしょう。

仕事の遅い人というのは、長く時間をかけても最終的にはやめてしまう確率が非常に高いことも確かです。

最終的には居づらくなってしまうからだと思いますが、もし辞めずにいてくれたとしても、仕事が早くなる可能性は非常に低く、他のスタッフがその分をフォローするというのが現実だと思います。

常に疑問に思うのですが、どうして早くはならないのでしょうか?

全く早くならないわけではないと思うのですが、レベルから考えると極めて低いレベルの成長としか言えない場合が多いのが悩みだといえます。

まるで仕事が速いことだけがもてはやされて、遅い人というのは害でしかないような表現についついなってしまい、「自分が遅いのではなく早すぎる人がおかしいのでは・・・・・」 と思っているような方にとっては誠に不愉快な話で恐縮ではあるのですが、これが仕事であり商売である以上、そして遅くても早くても給与はそうは変わらない現実を考えますと、やはり作業処理能力が低いということは確実に不利益を生んでしまうのだと認めていただくしかないのかもしれません。

私の知る限りでは、仕事がとにかく早いという人はほんの一握りだと思います。

普通程度という人が多くを占め、なかにはとにかく遅いという方が確実におられます。

この、とにかく遅いというレベルの方には、「自分の仕事が遅く他のスタッフにとても迷惑をかけている」 という実感はほぼないと思われますので、それに気づいていただくことがまずはとても大変ですし、気を使います。

作業内容はあまりにも多いので事細かには説明できませんが、解りやすく言うと仕事の遅い方の作業とはこんな感じだと思います。

・生地を分割する際には、秤の上に数十回は生地を乗せないと軽量が終わらない (重すぎたと切り取ると、取りすぎて軽くなりすぎ、乗せるとまた重すぎて・・・・を繰り返す)

・生地に麺棒を当てると綿棒に生地がくっつき、それを剥がしてまた当てるがまたしてもくっつくを繰り返す。

・その度に麺棒を洗いに行く。

・手粉の使い方が全く出来ていない。(作業台が粉だらけなのに手には生地がくっついてしまう)

・詰め物は、一つ詰めるのに要する時間が長く、表面から中身が透けて見えている (閉じ口に生地が集中している)

・左に生地、中央に具材、右に天板という基本配置が出来ておらず、あっちから取ったりこっちへ乗せたりと段取ることが出来ていない。

・天板に3枚ほどの成形を終了する頃には、1枚目の生地が乾燥しながら膨らんでいる。

・ホイロが常にスカスカなことに、どうすればという考えが及ばない。

・オーブンには1~2枚しか入れられない。(同じものが4枚あっても同時に焼くことが出来ない)

・具乗せに時間がかかりすぎて、オーブンは常に空いている。

・片手だけで行う作業が多い。

・手本を見せても、全く独自のやり方を貫く。

・全体のリズムに合わせることなく、あくまで自分のペースを崩さない。

・いつもの時間に焼きあがらずに店員やお客様から声がかかっても、だからと言って急ごうとはしない。


・・・・・要するにある意味マイペース型で、慌てない、物おじしない、気負わない、無理はしない、そんな性格の方に多く見られるかもしれません。

そして、そのような方々というのは総じて性格は優しく穏やかであるといえると思います。

どのような職種にも向き不向きがあり、それはやってみなければ分からないことであったり、向いていなくてもやりたいことであったり、やりたくもないけど向いていることであったりと、そういうものなのかもしれませんね。

くしくもパン屋の世界から不向きのレッテルを貼られてしまったという方も多いと思いますが、少なくともそれは人間性を否定された訳ではないはずですから、有名店や人気ベーカリーだけをターゲットとして考えるのではなく、冷凍生地を使った大手のベーカリーでも楽しくパン作りが出来るところはたくさんございますゆえ、どうぞ諦めることなく続けていって頂きたいと思います。

細かいことが気になる??パン教室主催者の方々 (*^^*)

Q 食パンとかブレッドを焼くときに使用する型についての質問なのですが、うちの教室では型にバターを塗って、その上から少量の小麦粉を振って使用するようにしているのですが、先日生徒さんからその型は毎回洗うべきなのか、それとも拭き取り位で良いのかとの質問をされ、「うちでは4~5回使用したら洗ったりしますが、毎回は洗わずに拭き取る程度です」とお応えしたのですが、実際は毎回洗うのが本来あるべき事なのか、それとも特に気にするほどではないのか、今更ながら気になってしまってパン屋さんではどうされているのかと思い質問させていただきました・・・・・・ちなみに、バターを塗っているのはその方がクラストが美味しくなるからだと教わったからで、離型油などの酸化防止剤入りのものはできるだけ使いたくないからという理由なのですが、この考え方は間違っていたりするものなのでしょうか・・・・・・

A 食パンの型の管理はパン屋さんによって違うとは思いますが、毎回洗うということだけは行ってはいないと言えるでしょう。

その理由としては、適度に型に油分が付着していることによって、生地の剥がれが良くなりますので、その油分を毎回洗って取り除いてしまうと、再び油分を型に浸透させることは極めて困難ですので、焼成後は油分の染みこんだ布や型拭きと呼ばれている持ち手が付いている大きな刷毛で十分汚れを取りつつ油分を型に浸透させて保管するということを行っています。

実際の作業として毎回洗うというのには、いささか無理があるとは思いますが、それでもそうしているパン屋さんも当然おられます。

油分の浸透よりも衛生重視という考え方だとそうなるとは思います。

さて、質問者様のご質問で気になる点は、塗っている油脂がバターである・・・・という点になります。

どういうことかと申しますと、確かにバターを塗った方がパンのクラストは美味しくはなるでしょう・・・・が、問題はそこではありません。

型に付着して残っているバター分が、次回に使用するまでに酸化してしまうということが問題になってしまうのです。

なるべく使いたくはないとおっしゃる酸化防止剤ですが、離型油や離型スプレーには確実に酸化防止剤が使用されており、そのお陰で油分が酸化することなく保管することが出来るわけですが、残念ながらバターにはその酸化防止効果がございませんので、油分は間違いなく酸化していき、その酸化というのは実はとても怖い、とても体に良くないものになってしまうのです。

ですので、もしもバターを使用するのであれば、残念ながら毎回洗い落として保管していただかないといけないということになってしまうのです。

型というのは当然ながら常温保管になりますよね。

ということは、常温で放置しても酸化することがない油分しか使用することは出来ないということになってしまうのです。

酸化防止剤というと、” 剤 ” ですから何かと敵視されがちですが、そのことよりもむしろ酸化してしまった食品を体内に入れることのほうがよっぽど危ないのだということだけは知っておいて頂きたいと思います。


Q 滋賀県でパン教室○○を主催している〇〇と申します。

毎回楽しみに勉強させていただいております、有難うございます。

初めての質問なのですが、果たしてこんな質問に答えていただけるものなのか正直迷ったのですがお叱りを覚悟して質問させて頂きたいと思います。

実は先日友人の紹介でとあるパン屋さんにお手伝いに行かせて頂く機会がありまして、その際に感じた事なのですが、食パンの型を掃除する大きなハケ(パレット??)のような物でショートニングをつけながら掃除されていたのですが、そのハケが真っ黒でベタベタしていてとても気分が悪くなってしまったのです。

あれだけ大量の型を掃除されるのですから、すぐに真っ黒になってしまうのは当然だとは感じたのですが、問題はそれを洗うというのは月に一度程度だとお聞きしてびっくりしてしまいました。

なんとも言えない異臭さえしていました。

あれで拭いた型の中にパン生地を入れるのかと考えただけで、なんとも言えない気分になってしまいました。

びっくりしたのはそれだけではありません、そのベタベタのハケで焼き天板にもショートニングを塗っていましたので、全てのパンの底にあの汚い油が付着しているのかと思うと、何とも言えない気分になってしまいました。

厨房に入らせて頂いたのは勿論今回初めての事なのですが、人気のあるお店なのでちょくちょく利用させて頂いておりましたので、凄くショックを受けてしまったのですが、他のパン屋さんでもそういうものなのでしょうか?

もしかしたらこれは聞いてはいけないことなのかも、そんな思いもありましたが、気にするほうがおかしいのでしょうか?

私の教室では型は毎回キチンと洗って乾燥させてから保管するようにしているのですが、あの戦場のような忙しさの中で型を洗うなんてことは出来るはずないですよね。

かと言ってあの異臭を思い出すと、あれで本当に良いのかと感じてしまい、このモヤモヤをどこに相談したら良いのか悩んでおりました。

おかしな質問で大変恐縮ですが、あれ以来油恐怖症のような状態が続いております・・・・・・


A それは嫌な経験をされてしまいましたね ^^;

たこ焼き屋さんなどでも、小さな型拭きのようなものでよく油を塗っているのを見たことはあると思いますが、そんなに真っ黒ではありませんよね。

でも、たこ焼きのお焦げが付着していけば、徐々に黒くなっていくでしょうから、どこかの段階で洗うなどしなければ、やはり同じように真っ黒でベタベタになってしまうでしょう。

ハケを使って食パンの型を掃除するというのは、恐らくどのパン屋さんでも行っていることだとは思いますが、真っ黒ベタベタというのはあまり見かることはありません。

やはり数日に一度程度は洗って煮沸消毒などを行っているのが一般的であろうと思われます。

酸化防止剤を含む専用の型拭き用ショートニングを使っているパン屋さんが多いと思いますが、それでも数日経てばさすがに酸化してきますので、数本のハケを洗いながら交互に使用しているというのが一般的であろうと思いますので、今回の質問者様は相当嫌な思いをされてしまったことになります。

異臭はまさに油の酸化臭でしょう。

早く忘れてそのパン屋さんにはいかないことです。

正直その辺りは保健所の管轄外ともいえる細かい部分ですので、各パン屋さんの衛生観念に任せているというのが実情だといえます。

それでも事故が起きないのは、いつも言っていることですが、パンは焼かれて消毒されているからであり、それでもそのようなパン屋さんのパンの底には、キチンと酸化した油がこびりついていることだけは間違いありませんので、近づかないほうが良いと言えるでしょう。

食品の多くが時間の経過とともに腐っていく訳ですが、具体的には雑菌が繁殖して菌数が増えることによって食べ物を腐らせるという現象と、油脂分が酸化して成分が劣化していくという現象とに別れると思います。

油脂分を含んでいるかいないかによってこの比率は大きく違うとは思いますが、油脂分の酸化のスピードというのは、食品の腐敗に比べればかなり遅く感じられ、それだけについつい見過ごされがちなのですが、どちらかと言えば腐敗したものを口にするよりも、酸化した物を口にする方が怖いという印象をもたざるを得ません。

腐敗したものを食べてしまった場合、下痢を引き起こしてしまったり、時には嘔吐することもあるかもしれませんが、わりと短時間で回復できます。

しかし、酸化した食品というのはじっくりじっくりと体内を蝕んでいきますので、最終的にはもっと大きな病気を引き起こす事になり兼ねないのです。

非常に舌の敏感な人ならば、口にした瞬間にすぐに酸化を見抜くことが出来ます。

正直なところ、パンのクラストが苦い、異臭がする、そんなパンを何度も食べてきた経験が私にもあります。

それらの多くは、今回ご指摘のような酸化しきった油を使っている不衛生なパン屋さんであるといえるでしょう。

誤解のないように付け加えますが、天板油などの専用ショートニングというのは、それ自体は数ヶ月は酸化することはありません。

しかし、それが毎日の掃除の中でパンカスや焦げなどが付着することによって酸化していきますので、やはり数日に一度は洗って消毒を行わなければならないことになる訳です。

また、もう少し衛生にこだわるパン屋さんでは、毎回洗いはしませんが、紙布巾で型を拭いて、その後に離型スプレーをし、布巾はその都度廃棄しているお店もあります。

布の布巾は毛が付着するので使用不可という徹底ぶりです。

質問者様のように、毎回洗って乾燥というのが最も理想的であるといえますが、さすがにパン屋さんが毎日型を洗うことは不可能に近いと思われます。

しかしそれだけに、コマメな交換や消毒を行って、少なくとも酸化した油を塗りこむようなことだけはないように、今後も注意していきたいと思います。

貴重なご指摘に感謝いたします。

尚、このように書いてしまうと、そのパン屋さんのパンを食べ続けているととても危ないというような印象を持たれてしまうかもしれませんが、あくまで食品衛生上の問題とまでは行かないレベルであるとお考えください。

解りにくいかもしれませんが、食品衛生上では焼成することでパンが殺菌され、そのパンがどのくらいの時間その菌数を増やさずにいられるかという指標でしか判断されません。

つまり、原材料が腐敗していないことは勿論の条件ですが、焼成後どのくらいの時間の消費期限となるのか、それ以降は菌の繁殖が増加するので品質保持は難しいですよという所まではきちんと決められてはいるのですが、油脂分の酸化であるとか、陳列中にホコリ等が付着していないかというような部分まではいわゆる管轄外とされているのです。

スーパーやモールなどの人通りの非常に多い場所で、しかもドアの開閉と同時に風が入ってくるような入口付近で、裸でパンを陳列販売されているお店は多いと思うのですが、時間の経過とともにかなりの数の砂やホコリが付着していることは間違いありません。

しかしそれは数値として表すことが出来ないために、見る人が見れば相当汚いことは間違いないと思うのですが、法的には問題ないということになってしまうのです。

陳列してあるパンを素手で触るお客様もいますよね。

そしてそれを元に戻したりする方も残念ながらいらっしゃる・・・・・・

そう考えると、焼き立てパンの裸陳列そのものが本当に衛生的といえるのかといえば?????となりますよね。

腐敗や酸化は、製造過程だけで起こる問題ではなく、購入後の保管温度や時間の経過によっても腐敗も酸化もどんどん進んで行きます。

知らずのうちに私たちは、結構な酸化した食べ物を食べているかもしれませんが、だからと言ってどうなるものでも、どうすべき問題でもありませんよね。

今回の質問者様の体験は、とても憂鬱になるような現実であったかもしれませんが、感情的には最悪と言えても、人体に影響をおよぼす程の危険とはいえず、食品衛生上も消毒済みなので問題ないレベルだと言えるかもしれません。

しかし、食品製造者の心得として、いつでも衛生的な発想をもって望むことが、唯一の責任でありお客様との約束であると思いたいですね。

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