ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

粗利率を上げるには原価を下げるしかないのか・・・・

大企業でも中小でも、そして個人のお店であっても、粗利率が高い、又は安定しているということはとても大切な健全経営のバロメーターであることでしょう。

しかし昨今ではどうしても価格競争をしいられることとなり、粗利率は低下する一方だというのが現実ではないでしょうか?

パン屋を経営という面からのみ考えた場合、とにかく一番重要なのはもちろん売上そのものなのですが、その売上というのは実際には材料を使わずには生み出すことが出来ませんので、原価というものが売上には必ずつきまといます。

そんなことを言ったら、人なしでは経営はできないので人件費だってつきまとうはずですし、その他の経費だって当然つきまといます。

ただし、原材料以外の費用というのは、工程であったり機械化であったりをどう組むかによっても大きく変わってきますし、人件費にしても職人が多く必要な場合と、オートメーション化された製造ラインならパートや外国人労働者だけで十分なことがあったりと、必ずしも売上に直結して上がり下がりするものとは言い切れないところがありますよね。

そう考えますと、やはり売上にもろに直結してくる原材料費、及びそれが売上に占める原材料費率というものを如何に低く抑えることが出来るのかによって、同じ売上であっても生きた売り上げなのか、それとも死んだ売上なのかに分かれてしまうとも言えますね。

しかしです、どんなに原材料を安くしてもらうようにメーカーに交渉しようとも、限界というものがありますよね。

これが限界に達すると、次に考えることといえばやはり品質をある程度は落とさざるをえないということであろうし、使用する量を減らしたり、パンそのものを小さくするなどになってくるでしょうし、そもそもパンの大きさというのは重量で見られない部分がありますから、生地そのものはたとえ小さくなったと言っても、やや発酵オーバーで焼成すれば見た目にはあまり変わらないものが完成します。

そんな苦肉の策ともいうべき対策を取らざるをえない状況でも、低価格路線だけは辞められないというお店や会社が多いのが実情でしょう。

手作りパン屋、あるいは焼きたてパン屋として行う以上、どうしてもこれ以上は設備には頼れないという部分が当然あります。

つまり、人件費を格段に下げるということにはそもそも無理があるわけですね。

経費の削減というのも、忘れた頃に必ず登場するスローガンですが、これもほぼ慢性的に行われているはずですから、大きな削減は見込めないでしょう。

するとおのずと出来ることが限られてきますね。

大きく見えて、美味しそうに見えて、誰でもが知っている食材を使った、見栄えの斬新なパンの開発。

お得感丸出しのセット販売による客単価アップ戦略。

新商品と季節限定品のこれでもか攻撃。

タイムサービス等の集客アクションの連発。

この他にもとにかく試食にこだわったり、焼き立て時間を細かく掲示したりと、限られた戦略とはいえ何かを行わない訳にはいかないというのが特に企業ベーカリーの ”今” だといえるでしょう。

安定した利益を確保するために、どうしても粗利率を上げる必要はあるものの、試食にしても限定品にしてもセット販売にしても、どれもとどのつまりは原価を押し上げてしまうことに繋がります。

ある程度お客様を自店に囲い込んでおくためには、どうしても原価を掛けたアクションを行わざるをえない状況の中、それでも少しでも原価率を抑える策として考えたくなってしまうのがこれでしょう・・・・

原価率の低い商品構成を厚くする

商品一つ一つの原価というものは意外と違いますよね。

リッチな生地を使って、フィリングやトッピングを多く使用した商品というのはどうしても高原価率商品となりますが、リーンな商品で、しかもあまり副材料を必要としない商品、つまりフランスパンなどのハード系の生地というのは低原価率商品ですので、この生地を使った商品構成を厚くすることにより、見た目も大きくすることが出来、お得感を出すことができるようになる・・・・・そのように考えることが出来ると思うのです。

そうして考えられたハード系の生地を使った大きめのパンというのは、全体の原価率を下げることに効果を発揮するとともに、お値打ち感を打ち出せる武器になるのです。

全アイテムの中で、フランスパン等のハード系の生地を使った商品の割合というのは通常であればとても少ないと思います。

しかし、思い切ってフランスパンを低価格で販売し、その生地を使った商品アイテムを増やすことで、新たなヒット商品、人気商品の提案にも繋がり、客層も広げることが出来るのではないか・・・・・そんな動きもあちらこちらで見受けるようになりました。

フランスパンという今まではどちらかと言うとくすぶっていた、大ヒットとまではいかなかった商品を思い切って展開することによって、新たな販売戦略に繋がり、トータル原価も安定する・・・・・これはよい戦略ではないか・・・・・そんな経営側の思惑がここ最近の商品構成に現れているように感じます。

ここ最近のフランスパンの品質というものを考えると、様々な専用小麦粉の登場により、また製法やルバンなどの登場により、以前とは比べ物にならないくらい多くの品質が出回っており、買う立場からすれば選択肢が増えてとてもありがたいと感じています。

各個人店ではそれぞれ個性の違うフランスパンが並んでいますし、大手の袋入りのフランスパンですらかなり美味しくなってきたと私は思っています。

しかし、まったく品質管理が出来ていないチェーン店も多いという印象も同じくらい多く感じます。

チェーン店や大手が展開する焼き立てパンチェーンなどでは、今慢性的な人手不足に陥っています。

そんな中で会社が考えることといえば、いかにして作業を簡素化出来るかということになるわけですが、そこにフランスパンなどの比較的技術を要するアイテムが工程に入ることによって、店舗によって品質の全く違うパンが出来上がってしまうという現実があるのです。

全く発酵状態が理解できていないのではないか・・・・というお店。

過発酵を通り越してしまっているようなパンが並んでいるお店。

フランスパンがスチーム焼成されずにガサガサで並んでいるお店。

クープの本数は全く無視、割れていても割れていなくてもお構いなしのお店。

日によって長さや太さが全く違うお店。

フランスパンなのに上部が真っ黒で横が真っ白な菓子パンのようなお店。

更に厨房を覗きますと・・・・・

オーブンの清掃が行われていなく、パンの底が焦げた粉だらけのお店。

キャンパスシートがカビだらけのお店。

パンをオーブンから出すスコップが生地でカピカピのお店。

フランスパンも菓子パンも同じホイロを使っているお店。

・・・・・と、これがフランスパン????  

というかこれが売り物のパン???

そう思えるような商品が堂々と並んでいる光景をよく見かけます。

ただし、それでも低価格で販売していればそこそこ売れていたりしますので、恐らくは大した改善もされずに今後もこの路線を続けていくことでしょう。

それでも買う側が納得してお金を払うわけですから、私などが専門家ぶって意見すべきではないのかもしれません。

全ては買う側の判断ですので・・・・・・

ただし、品質は度外視したとしても、フランスパン類を充実させることによって、もう一つの目的である粗利率を上げることができているのかという点に着目してみましょう。

フランスパンをたくさん作るというのは、以外にも技術と手間と時間がかかってしまうということは、製造者ならば理解できると思うのです。

また、もう少し掘り下げてみてみると、例えば6取り天板にあんぱんを10個のせて焼いたとして、そのあんぱんが一個120円であったとしたら、天板一枚で1200円分の商品を作れることになりますよね。

それが仮に同じく10個のデニッシュで一個250円だとしたら、天板一枚で2500円の商品を作れることになります。

成形一つ一つの手間や、焼成後の仕上げがあるかないかも工程としては重要ですが、天板がオーブンに一度に入る枚数というのは限られています。

限られた設備の中で、いかに一枚の天板で製造金額を上げるかということは実はとても重要な事になるのです。

しかし、例えば一個100円の大きなフランスパン生地の商品が、天板一枚に4個しか乗らなかった場合、400円しか製造できないことになります。

高額なデニッシュとあんぱん、そしてこの大きなフランス生地の場合とでは、あまりにも天板一枚で作れる金額に差がありすぎますよね。

するとどうなるかといいますと、焼けども焼けども製造金額は上がらない、つまり焼きっぱなし焼いていても、ちっとも売上に貢献できないという状況が生まれてしまい、その事が生む状況と言うのがつまりは、

人手不足なのに仕事が回らない・・・・

ということになるのです。

そして結局は残業などが増えてしまい、せっかく材料費は抑えられているようでも、もっと高額な人件費が上がってしまうということになる訳です。

なぜこうしたことに気が付かないのかといいますと、どこの世界もそうだとは思うのですが、考える人が机上でのみ、パソコンでのみ考え判断しているからに他なりません。

一つひとつの商品がどのように作られていくのかを現場に入ってしっかり確認しないと、このような無知な机上の計画ができあがってしまうのでないかと思えてなりません。

どのような仕組みを考えようとも、全く技術を要せずにパンを作るということは不可能だと思います。

しかるに、技術者の養成というのはどこの企業でも重要視はしているはずなのですが、そこに着目しているゆとりがないほど、今企業というのは売上確保が難しく、合わせて利益率の悪化は歯止めの聞かない状況であります。

思い切って低価格路線を脱却すること、自転車操業的経営ではけして人材育成は行えないこと、そして一番に思うのは何よりも廃棄を正当化する温床であってはならないということ。

売上規模の大きい企業こそ、そのことに気がついてほしいものだと感じる今日このごろです。



職場環境が業績を左右する???

パンという加工品を製造して販売する・・・・という私達の仕事。

この仕事をする上でとても重要な経費であり、経営的要素の要となるのが人件費であります。

人件費をかけずに仕事をすることは不可能でありますし、売上規模に応じて増えていくという、ある意味厄介な費用でもありますよね。

様々な経費が存在する中で、とくに手作りに近ければ近いほど人件費の比率というのは上がってしまいます。

一月の仕事を終えて損益を確認すると、いつもどっしりと不動の構えを見せているのが人件費であり、削りたくてもそう簡単にはいかない、しかしながらここをなんとかしないかぎり利益は上がってこない・・・・・・という思いをお持ちのオーナーや会社幹部の方は多いことと思います。

機械化というよりも、むしろロボット化して製造ラインをまるで人のように、いやそれ以上に活躍しているという会社も多いと思いますが、それはそれで売上規模と設備が噛み合っていないと、今度は設備費がのしかかることになり、何が何でも売るしか無いというような状況が価格破壊を生むことにつながったりして、人より機械というのもけして単純なことではないと言えます。

そうでなくてもパンを作るための設備は非常に高額ですので、そこに輪をかけて機械化をとなると、それはもう半端では済まない投資が必要ですから、そこに踏み切るまでには相当の覚悟も必要となるのが現実でしょう。

いずれにしても、オートメーション化できるような売上規模に至るまでは、人が行うというのが一般的な捉え方でしょうし、人が作っていたものを機械で作るという工夫も、そして製造工程や企画運営もすべて人が行うことに変わりはありませんので、企業は人で決まるという言葉があるのも至極当然のことでしょう。

この、単に費用として考えれば最大規模の経費である人件費を、いかに会社にとってプラスにしていけるかというのは誠に大きなテーマではないでしょうか。

焼きたてパン屋というものを運営していく上において、ともに働く人というのは正に財産であり、時に戦友であり、時に道標であり、時に家族以上の親近感を憶えるような存在であると常々感じています。

また、そう感じられる時というのは、業績的にもとても安定している時期であるともいえます。

もちろん色々と難題が降りかかってくるこの業界ですから、順風満帆という訳にはいかない時もありますが、そんなときもやはり信頼できるスタッフに囲まれていると、難題すらも心地よい波のように思えてきたりするものです。

スタッフ同士の信頼関係が築けている職場というのは、恐らくこれ以上のモチベーションはないであろうと思えるようなとても贅沢に思える環境だと思います。

しかし残念ながらそうとはいえない職場の場合、何かと言えば愚痴がこぼれてしまう寂しい環境だと感じますよね。

どの職場も多かれ少なかれ人間関係に悩んだり苦しんだりしているのは同じだとは思いますが、焼きたてパン屋の場合にはそれがたった二人の場合があったり、数十人の場合であったりします。

二人しかいない職場で人間関係がしっかりと出来ていない場合にはかなりきついのではないか・・・・というのはすぐに解るのですが、かと言って大勢いればいたで派閥のようなものが幾つかできてしまっていたりして、居心地の悪さはそう変わらないということのほうが多いかもしれません。

仕事が楽しいか苦痛なのかの主たる原因は、ほぼこの人間関係で決まると言っても過言ではないと思うのですが、そもそも生まれも育ちも家庭環境も違う人同士が一緒に働くのですから、すんなりとはいかないということだけは誰にでも想像がつくところだと思うのです。

しかし中には、どうしてこれほどまでに皆が仲良しなのか・・・????

どうしてこれほどまでに皆がオーナーを信頼しているのか・・・????

という職場もあるのです。

それは一体どのような職場なのでしょうか???

そのような職場では、こんな光景をよく目にします。

誰かが何かを床に落としてしまった場合、ほぼ全員が大丈夫かといって寄ってきては、一緒に拾ってあげたり、その失敗を笑いに変えたりしてくれます。

家族のことがよく話題に挙げられます。

見えない位置にいるスタッフ同士でも、声を掛け合っては笑いがこぼれます。

自分の仕事の進捗を皆に大声で言いながら、その後どこを手伝うことが最良かを共有しています。

どんなに短い時間でも、お昼は一緒に食べています。

そしてなによりも必ずと言って良いのは、この中にオーナーが混ざっているという点です。

もはやそこは家族か、それ以上の居心地の良さを感じてしまうほどですが、いったいなぜこのような信頼関係というか結束力というか、全員が互いを助けるという行動が自然と出来てしまうのでしょうか。

そのことを本人たちに確認しても、ほぼ自分以外の人への感謝の言葉しかでてきませんし、いつも助けてもらっているとか、誰々のおかげでという言葉しか出てこないのです。

この状況というのは、たまたま素晴らしい人達が集まったということなのでしょうか?

それともなにか、職場の人間関係を円滑にする為のテクニックをオーナーやリーダーの方が身に着けているということなのでしょうか。

私自身の経験からすると、もちろんそのようなテクニックが無いわけではありませんが、それが通用するレベルというのがあることは確かだと思うのです。

つまり、残念ながら全く人のことを助けようとはしない人に対していくら人の道を説いても、テレビドラマのようにすぐに変わってくれるという訳にはいかないと思うのです。

また、オーナーなりリーダーの方が個性あふれる人であった場合には、結束力は固まりやすいのですが、ついていけない人は逆にすぐ辞めてしまったり、逆にオーナーが他人任せな人であると周りの結束力が固まりやすい場合もありますが、派閥も出来やすいとも言えます。

そう考えると、神がかり的な絶妙なバランスというものが噛みあった時、はじめてこのような理想的な職場環境が出来上がるのかもしれませんね。

何が理想的な環境なのかは人によって感じ方は違うと思いますが、往々にしてそれは適度なやりがいがあることであったり、特別嫌な人がいるわけではない環境であったり、収入と仕事量が噛み合っていると感じられる環境であることは間違いないでしょう。

今現在、スタッフ間の信頼関係に不満を持つオーナーも多いことでしょうし、指示命令が素直に通らない職場に不満を持たれている責任者の方も多いことでしょう。

オーナーやリーダーの方は、ある特定の人が権力を握ってしまったり、指示や命令を勝手に解釈を変えてしまったり、派閥を作ってしまうような人がいる場合は、厳格なる意思を持って対処すべきだと私は思いますし、その姿勢を他のスタッフは見ているのだと言えると思うのです。

誠に悪い言い方になりますが、そのような人を私は ”ガン” と呼んで、少しでも早く取り除くべきであると申し上げてきました。

しかし、そのガンとも呼べる方というのは意外と仕事ができ、何よりもその会社の諸事情をよく知っていたりしますので、手を付けたくても手がつけられないというオーナーも多かったりします。

事実、ガンである人を思い切って辞めさせた後は、一見平和がやってきたかに見えましたが、残ったスタッフが全員力不足で、かつリーダーシップを取れる人が居ないために、作業効率はどんどん低下し、業績は下がる一方というお店もありました。

全体の和を乱すような人というのは、時には強いリーダーシップを持っていることも多く、とりわけ根性もあったりしますので、手がつけられないどころか、むしろ頼りにしてしまっているという現実も多いのではないでしょうか。

そうなると、結局は人の出入りが多くなり、組織としてはなかなかまとまらないことになるわけですが、そのようなアクの強い人がいて、色々と取りまとめてくれるおかげでオーナーは現場に入らなくてもよかったりしますので、納得はしていないが現状維持というのが実情だというのもある意味うなずけます。

このようにして、このままではいけないとは解っていても何も出来ない、何も変われずにいる職場では、なかなか二番手三番手が育たずに、常に求人を行っています。

お店をオープンして夢を実現していくための思案のはずが、いつの間にか従業員を使うことの難しさを思い知らされることになる・・・・・

誰のお店なのか・・・・・なぜ開業したのか・・・・・どこへ向かっていくのか・・・・・理想と現実の狭間で苦悩する瞬間です。

人を採用したりクビにしたりするというのはとてもエネルギーが要りますよね。

しかしそのことだけはどうしても避けて通れないのが手作りです。

規模は色々あれど、とどのつまりは人と人。

妥協も必要だし譲り合いの精神も大切でありながら、時に自分の主張を持ち、時に他人を全力で支える気概を示す。

そんなスタッフに恵まれたいと思うなら、まずは今の自分の考え方を叩き直す必要がありそうです。

もっと興味をもとう。

もっと話を聞こう。

心から感謝しよう。

情けは人のためならず・・・・これは、人の為になることをすれば巡り巡って自分に帰ってくるんだという意味らしいですね。

技術を磨くことももちろん大切ですが、舞台が職場である以上、そこで働く人のモチベーションを一番に考えられるのが、本当のリーダーなのかもしれませんね。


チャンスロスと廃棄・・・どちらが罪なのだろうか・・・・

某大手ベーカリーの日常を少しだけ覗き見し、改めて本当のロスとは何なのかを考えてみたい。

売上が50万円を超えた・・・・相変わらず忙しい一日だった・・・・・

一日の売上が50万円を超えるというのは、いまでは超優良店と言えると思うが、皆様のお店はどうだろうか。

うらやましい~  ありえな~い 家賃はいくらなんだろう~ 何人で回しているの~ と、色々と知りたくなるほど、誰もが憧れる売上であろう。

路面店ではなかなかこの売上は難しいと思うが、もちろんこの倍売れている超々優良店というのもあるにはある。

しかし一般的にこのような売上を取れるのは、駅前や駅中であるか、あるいは観光施設やデパ地下、モールなどでの出店が多いだろう。

つまり、人が多く集まっていなければ、この売上はとても難しいということになるのだ。

ここ数十年の間に、道の駅とモールというのはどんどん増え続けている。

さぞかし儲かっているのだろうな・・・・・と一般人としては思うであろうが、実際にはなかなかそうはいかないようだ。

道の駅に関して言えば、お客様は一見多いが、なかなか単価の高いものは売れずに利益とまではいかないところが多いようだ。

モールも、そこに出店するというのは一見華やかに見えるが、家賃やらロイヤリティーをたんまり取られるので、儲かるという業態はそう多くはないと思われる。

ここで一つ整理しておこう。

儲かるというのは何を指してそう呼ぶのだろうか。

売り上げのことか、それとも利益のことか・・・・・

沢山お客様がお店に入ってくる事をよく繁盛していると表現するが、見ているだけで実際にはあまり売上には繋がらない・・・・なんてことがよくある。

雑貨や衣料などのお店はまさにそんな感じだと思うが、パン屋の場合は全く逆で見ているだけの人というのはむしろ少数派だと思う。

だとすると、やはり雑貨屋さんや洋品店よりもパン屋は儲かるというイメージに繋がるはずだが、残念ながら実際にはそうではない。

儲けという言葉を売上だと考えた場合、やはり単価の高い洋服の方が儲かるだろうし、もっと言うなら貴金属店の方が儲かるかもしれない。

儲けという言葉を利益だと考えた場合、製造から販売をすべて自店で行っている、あるいは自社で行っているであろうパン屋さんの方が、色々と差し引いた後の利益は良いのではないかと一般的な解釈で考えればそうなるだろう。

儲かっているか儲かっていないかというのは、もちろん本来なら最終利益のことを指すわけだが、かと言って利益さえ出ていれば売上高はどうでもよいかといえばまったくそうではなく、どれだけ売り上げているかという売上規模の方が、実際にはお店や企業にとっての信用なのであり、その年商の大きさは個人で言えば年収の多さと同じで、多ければ多いほど金融機関から信頼され、より大きな家を建てられたり、高級な車を買えたりするわけで、いわゆるステータスが上がるのだ。

儲かっているという事の本来の意味である利益高や利益率というのは、あくまで個人や会社内部の問題であって、外に向かってアピールすべきは、何と言っても売上高がいくらであるかということに尽きるのである。

だからこそ企業では確実に売上目標を高めに設定し、一円でも多く、更に昨年よりも多く売り上げを取るということが絶対とされているのだ。

一日に50万円も売り上げるなんて凄い・・・・・そう思っている売上20万円のお店のほうが、利益率が高い場合が意外とある。

利益率だけではなく、利益高そのものまで高い場合すらあるのだ。

50万円を売り上げるには、それ相応の人が必要だということは誰にでも解る。

しかしそれは20万円の場合だって同じように人が必要なはずなので、人件費率的にはほぼ同じでなければおかしいはずだ。

ではなぜ、50万円を売り上げている方が最終的に利益が取れないことがあるのかといえば、50万円を売り上げなければならない為のムダムラムリがそこに現れてしまうことが原因の場合が多い。

具体的に言うと、50万円売り上げるためにはそれ相応の売り場スペースが必要だということで、どうしても家賃は高くなる。

製造にかかる設備費や水道光熱費ももちろん高額になる。

・・・・・と、ここまでは概ね察しがつくが、本当に利益の足を引っ張ってしまうのが、実は廃棄なのである。

売上が20万円のお店で、理想とされている廃棄率の2%というと4千円である。

ところが、50万円を製造する際には意外と多くの製造ロスが発生し、チャンスロスを恐れるあまりに廃棄率は最大で10%をゆうに超える日が出てくるのである。

50万円の10%強といえば5万円を超えるわけだが、この毎日の5万円の廃棄が利益率悪化の最大の原因となるのである。

しかもである。

一日に5万円もパンを捨てているということは、実際には売上がそれでも50万円あるわけなので、製造した金額が55万円であったということになる。

すると、一月にして最低でも150万円分のパンを捨てていることになり、年間ではなんと1800万円も捨てているのである。

なぜこの捨てているパンの金額が利益を圧迫するのかお解りだろうか?

それは、原材料を使い、人件費をかけて、そしてもちろん設備費や光熱費なども掛けて作ったパンをただ捨てるのだから、仕入れたものを捨てているのとはワケが違うのだ。

また、先ほどの貴金属店や洋品店などでは、その日のうちに売れなければ捨てるなどということはまず無いのに対して、焼きたてパン屋は一日勝負の為、このような結果になってしまうのだ。

もし昨日50万円売れたのだとしたら、今日は55万円ではなく5万円マイナスの50万円分のパンを製造すれば捨てずに済むのではないかと考える人もいいると思う。

しかし、実際には50万円しか作らなかった場合、売上は45~47万円止まりで、やはり3~5万円は廃棄となるのが現実なのである。

この現象は、つまりは沢山のパンがパン棚にあれば、人は一つでも多くのパンを購入したいという衝動にかられ、パン棚がスカスカだとあまり買う気がわかないというもので、それをチャンスロスというのだ。

つまり、お客様に一つでも多くのパンを買っていただくためには、常に棚をパンで埋め尽くしておくことが求められるのである。

そうすることで、一人あたりの客単価も上がり、同じ客数であっても売上が上がるという考え方なのだが、だからと言って年間1800万円ものパンを廃棄することは何がしかの罪とはいえないだろうか。

大企業ゆえに売上高至上主義は致し方無いのかもしれないが、グループ全体としたら年間数十億円のパンを捨てていることになるのである。

これで製造に関わる人達のモチベーションが保てるとは到底理解できない。

廃棄に直接関わる販売員が、パンの一つ一つを丁寧に取り扱う気持ちになるとはとても思えない。

しかし話はこれだけでは終わらない・・・・・

売上を上げるために今一番行われているのは安売りである。

ということは、製造員、販売員ともに製造個数も販売個数もどんどん増えていく割には、売上はその忙しさと比例しては伸びていかず、これもまた働く人のモチベーションを奪う最大要因となるだろう。

さらにさらに、毎月大量の新商品でお客様を飽きさせないとでも言いたいのか、一月単位で商品がコロコロ変わってくるので、製造員は丁度慣れた頃にその商品は消えてまた新しい商品になるので、使いかけの原材料が大量に廃棄され、発注に至っては何をどれくらい使うものなのかが理解できないうちに発注するために、年がら年中欠品商品が出てしまう。

製造効率に至っては、慣れるひまもなく毎月商品が変更になるので、年がら年中本社から送られてくるレシピを見ながらの製造となるために、いつまでたっても不効率なままが続くのである。

安売りに至っては一個70円位までは行くと思うと以前予測したが、現実には一個60円のパンが出ている。

もともと安売りというものを行ってきた大手製パンメーカーの袋入りのパンは、ほとんど人の手を必要としない製造法となっている。

一日に何個製造できるかはおのずと計算され、そこから割り出される売上予測や値引きによる利益率まで即計算される。

つまり、いくらまでなら値引きしても利益が出るか、値引きすることでどのくらい客単価が上がるのかなどはデータで全て把握でき、その製造は機械が行うのでそこに人件費率が絡むということは実際にはない。

ところが、焼きたてパン屋の場合には、一つ200円のパンを作るのにも、一つ60円のパンを作るのにも、かかる手間はそうは変わらない。

ということは、販売価格が下がれば下がるほど労働はきつくなるのである。

何度も言うが、そのようなやり方で人が育つわけはないのだ。

そのような企業はやがては淘汰されて異業種へと転換していくのだと思うが、少なくとも数千人もの人が今もその会社で働いているのである。

出来ることなら働く喜びを得られるような職場環境を目指して方向転換してほしいものである。

私とて多くの企業を知り尽くしているわけではないが、経験上言えることがある。

それは、社長以下幹部の方々が現場に訪れる回数と社員のモチベーションは比例するということだ。

そしてただ行くだけではあまり意味は無い。

視察として店舗に行き、指摘だけして帰るようでは全く逆効果だろう。

一緒に作業を行ったり、販売をしたりして、従業員の気持ちの100分の一でも理解しようとする姿勢を見せれば、必ず血の通った会社となるはずだと私は思う。

焼きたてパン屋として展開している以上、売り切れゴメンは理想に過ぎず、むしろ多くのチャンスロスを生むことの方が企業にとってはマイナスである・・・・・何度となくそのような説明を受けた。

ならば廃棄は垂れ流しで良いのかを問うと、廃棄は限りなくゼロを目指す指示を出しているという。

そんな指示で廃棄が少なくなるとでも本気で考えているのだろうか。

あらゆる食べ物業界で廃棄は今後の最重要課題だと言える。

と同時に、解ってはいるけれどもどうしようもないという矛盾をも含んだ大問題なのではないだろうか。

チャンスを逃し売上に繋げられないことがロスなのか、せっかく作ったパンを捨てることになるのがロスなのか、はたまたそんな売上をいかにして上げなければならないかということばかりを考えさせられながら、来る日も来る日も手間ばかりかかるが売上に繋がらないようなパンを作らされて嫌気が差している従業員を増やしていくことがロスなのか・・・・・

果たしてこの問題に突破口は見つかるのか・・・・・

買う側である私たちに出来ることがあるとすれば一体何なのか・・・・

改めて考えさせられるが、けして諦めてはならない問題である。

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