ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

浸透圧の不思議

パン生地が発酵していく段階、つまりイースト菌が活動していくにあたって、その活動を阻害するものがあります。

それが浸透圧です。

では浸透圧とはいったい何者でしょう?

料理の際に、魚に塩を振っておくと表面に水が出てきますよね!

苺を食べるときに砂糖をかけると、しばらくして苺がベタベタしてきて水が出てきますよね!

レタスを水に付けておくと、しゃきしゃきしますよね!

このような状態が浸透圧の仕業なのです。

この世のありとあらゆる細胞は、半透膜という膜でおおわれています。

つまりは、苺にもレタスにも表面に膜があるということなのですが、この膜の内側と外側の環境において水分量が違う場合、半透膜はそれを調整しようとして多い方から少ない方へ移動させることで水分量を同じにしようとしてくれるのです。

砂糖と苺では、苺の方が水分が多いので、苺の半透膜は苺の水分を外に向かって出そうとします。

レタスと水では、水の方が水分が多いので、レタスの半透膜は水をレタス内部に吸収しようとします。

結果、苺は水分を放出するので砂糖が苺色になって溶けていきます。

レタスは水をたくさん吸って、ボリュームアップするのです。

考えてみると、私たちの周りには実に多くの、この浸透圧を利用した食べ物が存在します。

ジャム・お新香・干物・乾物・梅干しなどなど・・・

そして、その浸透圧にもっとも関係してくる食材として、砂糖と塩があるわけです。

パンにも当然この砂糖と塩は欠かせませんが、例えば甘いパンを作ろうとした場合などは、たくさんの砂糖を配合することになりますよね。

この時、イースト菌の半透膜が大量の砂糖に反応してしまい、水分の出し入れに追われてしまい、スムースに発酵が進んでいかなくなるのです。

どんなパンでも、塩は最大で2.3%程度しか配合できません。そうでないとしょっぱ過ぎて食べられないからです。

しかし、砂糖は50%程度まで配合することが出来ますので、そうなると生地は凄まじい濃度になり、イースト菌はいちじるしく活動しにくい環境になります。

ですから、砂糖の多い配合の場合はおのずとイーストの配合も増やしてやらなければならないのです。

更に、砂糖が多いだけでもパン生地の濃度は相当上がる訳ですから、更にそこに塩がたくさん入るともう大変です。

したがって、砂糖が多い場合は塩を減らすという工夫がなされている訳です。

このようにして、砂糖や塩の量がパン生地の浸透圧を上げている事が解りますが、この浸透圧によりイーストの発酵活動が妨害されてパンづくりを難しいものにしているのです。

パン生地の発酵状態を見極めていく上で、パン生地の砂糖と塩とイースト菌の量が多くの影響力を持っているという事をしっかり認識しておきましょう。

砂糖と塩とイースト菌、それぞれの量とバランスによって、発酵させる時間と温度が変わってきます。

糖分の少ないパン生地の場合は、イースト菌の量と生地の温度によって発酵時間が決まりますが、糖分の多いパンの場合は、そこに浸透圧が加わることで、一概に発酵時間を決められない場合があります。

ですから、最終的には完成品をチェックして見極める以外にありません。

どんな食品も、最終的にはこの人の手によるチェックが必要だということでしょうか・・・・






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