ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

オーブンの特性をつかみましょう。

現在皆様が使用しているオーブンのコントロールパネルは、ほとんどがデジタルだと思います。

昔は(今現在も使われているかも・・・)ほとんどがダイヤル式で、数字が1~6まである物や、ダイヤルに温度が書かれていて、それを調節して焼くというのが主流でした。

今のオーブンは、直接好みの温度に設定して焼けるようになっていると思います。

今お使いのオーブン・・・・

使い心地はいかがですか?

自分の思いのままに、パンを焼いてくれますか?

オーブンのメーカーは色々ありますが、その特性も実に様々です。

私が今まで一番多く使用してきたのは、フジサワのオーブンでした。

特別問題も無く使用してきましたが、好みではありませんでしたね。

ハード系のパンは綺麗には焼けませんでしたから・・・・

スチームの性能が今一だと感じていました。

次に多いのがサンコー。 そしてベーカーズプロダクション。

この二件は最悪でした。

温度が上がるのは早いのですが、下がるのも早い。

と言う事で、焼き色が黒白はっきり出てしまい、大きなパンを焼くのにはちょっと・・・・

そんな印象を持っています。

その後にオシキリやキタザワのオーブンを使う事が多くなりましたが、キタザワのオーブンはかなりいいパンが焼けるなという印象でした。

車と同様に、スズキがマツダの車を作っていたりするのと同じで、オーブンも製造元はそう多くなく、いくつかの会社のオーブンは、元をたどれば同じメーカーの物だったりしています。

そして、約10年前に東日ベイクと言う会社のオーブンに出会い、それからはそこのオーブン以外は使っていません。

なぜなら、固定窯なのに、フランスパン専用窯のようにフランスパンが美しく焼けるからなのです。

それでいて、菓子パンなども最高の状態で焼けます。

総じて蓄熱性がいいオーブンだと言う事と、スチームの性能が抜群なのです。

当時は社長と専務の親子が二人でやっているような小さな会社でしたが、今ではもう少し大きくなったのかな?

社長は技術屋で、熱の伝わり方に相当こだわっている方でした。

解ります (*^_^*) 使っていてそれを感じ取れます。

このオーブンがなければ、恐らくイメージ通りのパンは焼けないとさえ思います。

どうかこれからも元気で長生きしていただきたいと切に願っていますよ社長(*^_^*)


だからといってすぐに気に入った物に買い替えると言う訳にはいかない設備ですので、今のオーブンの特性をつかみつつ、その特性を生かす使い方をするしか方法はないのです。

オーブンの特性とは、どのような事に注意すれば解るのでしょうか?

そもそも、オーブンで一番肝心なのは、熱の上がり方と伝わり方になります。

180℃で待機しているオーブンに生地を入れ、さあ220℃にセットして・・・

と言う時に、どれだけ早く220℃に到達してくれるか・・・

そして、その間のパンへの熱の伝わり方はどうか?

さっきまで白かったパンが、一分程度であっという間に色が付いてしまうと言うオーブンがあります。

このようなオーブンは、熱の上がり方がとても速いのですが、熱の伝わり方が粗いと言えます。

またその逆で、いつまでたっても希望温度に到達しないオーブンもあります。

これは最悪で、いつでもパンのクラストが厚くなってしまうでしょう。

熱の伝わり方を簡単に説明しますと、例えば伝わり方の良いオーブンの場合は、食パンを焼いていて、クラストが薄い状態でも、しっかり中心部に熱が通っています。

しかし伝わり方の悪いオーブンでは、中心部に熱が伝わるころには、クラストが厚くなってしまうのです。

つまり、表面にしか熱が当たらない・・・・

熱が如何に中心まで浸透していくか・・・と言う事が大切なのです。

熱の伝わりが悪いオーブンは、小物のパンを焼く場合には特に問題なく焼けると思います。

ですから、食パンなどを焼く場合は、あまり一度に大量に焼かないように工夫する必要があると思います。


オーブンの温度設定段階では、いつもこんな事が起きています・・・・

170℃で待機していたら、200℃にセットされた。

一斉に電気が電熱線に伝わり、200℃目指して全力全開。

さあ、間もなく目標の200℃になりそうなので、少しずつ減速。

200℃到達・・・通電停止。

だが、その余熱で210℃まで上がってしまう・・・・

あれあれ、余熱で220℃までいきそうだ、やばい・・・・


と言う感じで、いつもこのように加温するたびにスイッチが入ったり切れたりしています。

しかし、スイッチが切れたからと言って、ピタリと希望温度で止まる訳ではありません。

さらに、例えばほんの少しの量のパンを焼いている場合であろうと、オーブン一杯に焼いている場合であろうと、スイッチの入り方は同じですから、一つ一つのパンに加わる熱量は相当違ってくる訳です。

いつものように焼いていたら、いつもより黒くなってしまった・・・・

そうか、天板一枚だけだからか・・・・・

なんてこと経験していますよね (*^_^*)

オーブンの熱の伝わり方は常に一定です。

スイッチが入って全力全開か停止か・・・・ですね。

すると、パンを焼いている時にパンに当たる熱量は、ある時は全力で、またある時は単なる余熱だったりするわけです。

余熱で焼かれているパンにとっては、蓄熱性がすべてになりますね。

焼かれながらどんどん温度が下がって行くような焼き方で、クラストの薄いパンになる訳が無いからです。

蓄熱性の悪いオーブンの場合は、パン焼成中に、何度も何度もスイッチが入ったり切れたりを繰り返したりします。

こうなると、焼成時間がつかみにくく、なおかつオーブンの中の温度が安定していませんから、中心部と端っこの方では焼け方が違ってくるという現象が起こり易くなります。

私が現在使用しているオーブンでは、いわゆる焼成中にオーブンを開けて、配置を変えるなどと言う事は全く必要がありません。

中心から端に至るまで、すべて同じように焼けます。

しかし、ひどいオーブンになると、まんべんなく焼くには、なんべんも配置を変えなければならない場合があるでしょう。

オーブンの中では、熱線によってパンの表面に熱が加わるのと同時に、パンから出た蒸気によって、クラストの乾燥を防ぎ、しっとりとしたパンになるのです。

しかし、配置替えの為に何度もオーブンを開けてしまうと、庫内の蒸気が逃げてしまい、クラストが乾燥してしまうのです。

このように、オーブンを焼成中に開けるという行為は、本来はあってはならないのです。

ですから、自店のオーブンがこのようなオーブンであったなら、天板への生地の乗せ方を工夫するなどして、オーブンを途中で開けないようにする事が大切なのです。

自分に合ったオーブンを見つける事。

今あるオーブンの特性を最大限に生かす事。

どちらも重要な課題ですね!





3 Comments

日々悶々 says..."オーブンのせいでしょうか…"
いつも為になるお話ありがとうございます。またご質問させて頂きたくコメントしました。今の職場はまさにこのオーブンの回で登場するべーカーズの四段窯なのですが上の段ほど下火が強く上火は弱いとなっていて特に一番上の段では下火の熱がかなり強く他の段の下火より10℃ぐらい高いイメージです。その下火の影響力が強すぎるせいか上火の設定温度はほとんど無意味なようで例えば山食などで上180下220と設定して焼いていても上火の温度は190だ200と表示されいくら上火の弱めな最上段といえども大抵上が焼けすぎているという無様な状態です…そもそもオーブンの仕組みに無知だから解決できないのか?とメーカーに電話して聞いたりもしましたがあまり的を射た返答もなかったので静朝様に頼ってしまいました。どんなオーブンでもこの最上段の特性というか癖は同じようなものでしょうか?そして解決方法みたいなものがあるのでしょうか?
2013.11.16 09:40 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."日々悶々さん、コメントありがとうございます。"
オーブンでお悩みのパン屋さんは多いと思いますよ。

かと言ってこればかりはどうしようもありませんよね。

自分なりに色々やってみる以外には無いと思います。

と言っても、それはオーブンの持つ特性以上にはならないとは思いますが、やり方は色々あるはずです。

どのようなオーブンであっても、小物のパンは普通に焼けるものです。

問題は、大型のパンとハード系のパンですね。

つまり、熱の伝わり方や保持力や蓄熱性、そしてスチームの質が大きく影響してくるパンに対してどうするかと言う事になります。

ごまかし程度の手法になるとしても、ただ漠然と焼いているよりは、色々試してみる方が良いと思いますし、少しは好転するはずですよ。

しかしそれがどのような方法なのかは、残念ながら現場にいなければ解りませんので、お許しくださいね。
2013.11.18 05:44 | URL | #- [edit]
日々悶々 says..."ありがとうございます"
やはりそういうものなんですね。各々の窯で焼ける良いものを上げていくしかないんですね。ありがとうございます。
2013.11.26 21:26 | URL | #- [edit]

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