ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

折り込み油脂の選び方

デニッシュの折り込み作業は、実に面倒で時間もかかります。

ですから、業者から折り込みが既に終了している生地を買って、それに具を乗せていると言うパン屋さんが多いのではないでしょうか?

しかし、あくまで手作りにこだわる・・・・と言うお店もいまだにありますね。

どのような大変な作業も、結局は馴れです。

毎日こなしていれば、それが必然になってくるものです。

冷凍生地だけでパンを作るのも、それはそれで楽しいものだと思いますよ。

かく言う私も、ほとんどの冷凍生地メーカーの生地を使った事があります。

それはそれは楽で助かりました。

しかし、あまり食べたい気にはなれませんでしたが(@_@;)

その中でも、デニッシュやクロワッサンの品質は、決して手作りに負けてはいませんし、この折り込み生地に関してのみ言えば、冷凍生地の方が一枚も二枚も上手かもしれません。

なぜなら、これらのパンは本来あまり発酵時間を取らないパンだからです。

膨らんだパン生地を扱う場合は、人間の手の繊細さが求められますが、あまり発酵をとらずに作業を行う折り込み生地に関しては、機械の方が効率的だったりするのです。

冷凍生地なら品質も安定していますし、すべて同じ形になりますよね(笑)

ただ残念なのは、みんな同じ味の生地になる事ですかね!

どのような味と風味の油脂を折り込むかによって、全く違う商品になる訳ですから。


と言う事で、今回はあくまで自家製で折り込みを行っていると言う事を前提に、お話していきたいと思います。

私の良く知るベーカリーでは、折り込み油脂を頻繁に変更しています。

訳を聞くと、安い物が出ると変えるとか・・・・・

さらに、職人がやりにくいと言うと、別の油脂に変えるそうです。

その職人さんは、なにがやりやすく、なにがやりにくいのでしょうね?

思えば私も、パン屋になりたての頃はこの折り込み生地が苦手でした。

どうしても毎日同じようにいかないのです。

ある時は、バターがゴツゴツと氷のように固まって生地に折り込まれたり、またある時は、折り込んでいる最中にバターが飛び出してきたり、とにかくやっかいな作業だなと感じていました。

今思えば、何も解っていなかったし、ずいぶん情けない商品をお客様に提供していたものです。

自分達の技術力の低さに合わせて原材料を選択するなど、あってはならない事ですね。

ましてや折り込み生地にとっての油脂は、メイン材料のはずです。

ですから、それを変えると言う事は、パンの味が根本から変わると言う事になりますね。

頻繁に変えると言うのはどうかと思いますよ(--〆)

では、技術力があったと仮定して油脂を選定する場合、なにをもとに選べば良いと思いますか?

折り込み油脂の役割というか効果というのは、いくつかありますね。

味と香りはもちろんの事、浮き加減や口溶けといった要素も大切です。

ただ単に味を求めるなら、高品質のフレッシュバターに勝るものは無いと思います。

しかし、味は良いけどちょっと油っこい感じがする・・・・と言う女性も最近では多くなってきていると思います。

それよりも、軽い食感が欲しい・・・・とか、しつこくない美味しさが欲しい・・・・とか。

そんな時にはやはりマーガリンの出番となりますね。

美味しいのはバターの乳脂肪のおかげなのですが、悲しいかなしつこいのも乳脂肪の特徴なのです。

ですから、植物油脂から作ったマーガリンの方が、あっさりとしていて軽い食感になるのです。

また、あきらかに上手に作業出来るのもマーガリンの特徴です。

それは、バターよりもマーガリンの方が溶ける温度帯が幅広いからですね。

バターはすぐ溶けるし、すぐ硬くなってしまう。

ところがマーガリンは、なかなか溶けずに、しかも固まりにくい。

と言う事で、実際には非常に多くのパン屋さんが、マーガリンを使っていると思います。

また、マーガリンと言っても、実に値段がピンキリです。

これははっきり言って、値段が高ければ高いほど高品質である事は間違いありません。

なぜなら、マーガリンを美味しくするには、バターをどれだけマーガリンに入れられるかどうかにかかっているからです。

純粋に植物油脂だけでは、味は美味しくならないのです。

ですから、マーガリンの軽さとバターの美味しさをミックスしたものが、折り込み油脂としては主流になっているのです。

価格の安いマーガリンは、植物油脂の他に魚油なども配合されています。

そうなると、どうしても味が悪くなり風味も劣ります。

せっかく手作りしているのに、わざわざ品質の悪い物を使ったのでは本末転倒です。

折り込み油脂だけは、取り扱いが難しくとも、高品質の物を選んでください。


現在では、実に多種多様な折り込み専用油脂が発売されています。

どれを使っても、それで納得できる商品が完成するなら、それが一番でしょう。

味・香り・軽さ・口溶け、どれを自店では押して行くのかを商品別に明確にすれば、それがお店の個性になるはずだからです。

パン屋さんは、小麦粉にこだわるのと同様に、油脂にもこだわりを持ってほしいと思います。


最後に、香料について少しだけ・・・・・・

マーガリンのほとんどに使われている香料。

香料と一口に言っても、香料の効果は香りだけにとどまりません。

例えば、砂糖水に苺の香料を入れれば、イチゴジュースになってしまいます。

実際に苺を使わなくてもです・・・・・

香料は、時には味も支配してしまいます。

ですから、どのような香りのマーガリンを選ぶかは、慎重に考えるべきだと思うのです。

と言うより、味まで支配してしまうような強い香料を使っているマーガリンは、出来るだけ避けるべきだと私は思います。

お店の中が、そのマーガリンの香りでいっぱい・・・というお店があります。

そうすると、みな同じ風味のパンに感じられてしまいます。

香料に支配されないように、折り込み油脂又は練り込み油脂も選定してほしいと思います。








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