ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

菓子パンの表面にしわが出来てしまうのはどうして?

こんな質問をいただきました。

ロールパンやあんぱんを焼く時、必ずといっていいほどパンが冷めると表面にしわがよってしまいます。

生地作りの時水分が少なかったかなと思った時はあまりしわが出ません。

生地の水分量は生地の膨らみ、焼き縮みに大きく影響するのでしょうか。

どのようにすれば焼き縮みを防ぐことができるのでしょうか。


この質問も、実に多く頂きます。

しかし、原因はけして一つだけとは限りません。

いくつかの原因が重なり合って出来るものだと言う事を、初めに申しあげておきます。

さて、どうしてパンの表面にしわができてしまうのか・・・・?

まずは、しわが出来るメカニズムについて説明したいと思います。

パンは、焼き上がってすぐにはしわはありません。

それが、時間が経過するにつれて、徐々にしわが出てきます。

実はこのしわの原因は、水分によるものなのです。

パンは焼き上がった時点で、特に表面は焼けて乾燥していますね。

しかし、パンの中心部には、まだまだ水分がたくさん残っているのです。

それもそのはず、例えばパンの中でも一番多く水分を飛ばすパンであるフランスパンでさえも、全体の水分量の20%ほどしか蒸発していないのですから、それが菓子パンやロールパンなどの小物のパンであったら、良い所5~8%程度しか蒸発していません。

と言う事は、まだまだ相当量の水分がパンには残っているのです。

もちろん、その残っている水分があるおかげで、しっとりとした食感になる訳ですが・・・・


そして、難しく言えば浸透圧の関係で・・・・

簡単に言えば、濡らした布巾の上に濡れていない布巾を置くと、上に置いた濡れていない布巾も濡れてしまいますよね!

このように、水分量の違う物質をくっつけた場合、お互いの水分量を同じにしようとする働きが起こるのです。

この布巾のように、乾燥したパンの表面に内側の水分が移動しはじめ、やがては表面もしっとりしてくるのです。

しかし、しっとりしてくると言っても、表面はもう焼けて乾燥しています。

ですから、パリパリの海苔をおむすびに巻いてしばらく置くと、しわしわになってしまうのと同じで、パンの表面もしわしわになってしまうのです。

さらに、中に水分の多い具材が入っていたら尚更ですね(*^_^*)


と言う事で、パンの表面にしわが出来てしまうのは、時間の経過と共にパン全体の水分量が同じになって行く時に表れる現象であると言う事が解りました。


では、しわになっていないパンは、どうしてしわにならないのでしょうか?????

それには、いくつかの可能性が考えられると思います。

まず、パンの表面に水分が移動しても、十分耐えきれるだけの表面の厚さがあった場合。

もともとのパン生地の水分が少ない場合。

ミキシング不足か、弱い粉のせいであまりオーブンで膨らまなかった場合。

イースト菌が少ない配合の場合。

砂糖や油脂の配合が非常に多い場合。

比較的低温でじっくり焼いた場合。

室内が乾燥している場合・・・・などなど。


以上のような状態や環境だと、パンにしわは出来ない、もしくは出来ずらいと言えると思います。


と言う事は、上記の逆だとしわが出来やすいと言う事になりますね。

では、今回質問を下さった方の場合は、具体的に何が原因だったのでしょう?

それは、一つにはイースト菌の配合が多い為に、予想以上にオーブンで伸びてしまった事が原因だと推測できます。

オーブンで伸びる・・・と言う事は、パンの表面の厚さはより薄くなります。

薄い表面は、水分に耐えられずにしわになるのです。

また、今回の質問では焼成時間がやや短いので(8分)、表皮が薄く、焼き加減が弱めで、更に水分がたっぷり残っている事が原因であると思われます。

しかし、誤解してほしくない事があります。

それは、表面にしわが出来ると言う事は、しっかりと捏ねられた生地であると言う事。

さらに、オーブンで良く伸びた生地であると言う事。

さらに、焼き過ぎずにしっとり感のあるパンである事。

これらはけして悪い事ではありません。

むしろ、良いパンだと言えると思うのです。

しわに臆病になって、どんどん生地を硬くしたり、焼成温度を低くしたりするのだけは避けていただきたいと思います。

パン生地は、最終発酵の後に手で持たなければならないような成形の時、それ以外の場合は限りなく水分を多くするべきなのです。

柔らかい生地ほど、製パン性が向上し、しっとりとしたパンになるからです。

しかも、美味しさも長持ちします。

ただし、柔らかい生地だと、しわは出来やすくなります。

ですから、その場合は多少長めの時間焼く事で、表皮を厚くする事を心がけて下さい。

また、焼いた後湿度の高い所に保存すると尚更しわが出来やすくなります。

ですから、風通しの良い場所で冷ますのが得策でしょう。

焼き上がったらすぐにバターやマーガリンなどを表面に塗っておくのも一つの方法です。

油脂膜が水分をはじくからですね!

それから、焼き上がったパンは時間の経過と共に下部もしわになります。

特に具入りのパンは尚更です。

ですから、焼き上がったら速やかに、網目の器などに移してください。

今回説明した事以外にも、いくつかの原因はあります。

しかし、しわになるメカニズムさえ解っていれば、きっと回避出来ると思いますよ!

成功報告をお待ちしておりますね(*^_^*)












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