ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

ソフトフランスについて

こんな質問をいただきました。


うちの店では、フランスパンをソフトフランス生地で作っているのですが、どうしても有名店のものと比べると味も見た目も大きく違うように感じて悩んでいます。

生地は講習会で教わったレシピで、フランスパン生地に砂糖2%とショートニング2%を入れただけのものです。

日本人向けのレシピだと教わったのですが、今一美味しいと実感できないでいます。

特にレシピに大きな違いがあるとは思えませんので、やはり技術の問題なのでしょうか?



今回の質問者の方からは、バタールの写真も送って頂きました。

残念ながら紹介する訳にはいかないのですが、フランスパン陳列カゴの中で、見事に曲がっていました。

曲がっている????

そうなのです。 つまり自力で立っていられないと言う事なのです。

実は、たった2%のショートニングにも、これだけの力があるんですねー。

逆に言うと、それだけソフトと言う事ですから、まさにソフトフランスと言う訳なのです。

このレシピの場合、砂糖の2%はソフト感にはあまり関係ありません。

砂糖が2%と少量であっても配合されている意味は、恐らく発酵促進でしょう。

つまり、時間を短縮できると共に、ボリューム感も得られるように配合されていると思われます。

2%では、実際に甘みを感じる事はありませんので、甘くしようとの考えは無いはずです。

このソフトフランス生地と言うのは、実に多くのベーカリーで使われているのです。

どうしてか????

それは、小物のパンに対応しているからなのです。

フランスパン生地で小物のパンを焼くと、どうしてもボリュームに欠けますし、早く硬くなります。

更に、詰め物をすれば中身が飛び出しますし、成形も困難なのです。

ところが、これにたった少しの砂糖と油脂を入れるだけで、非常にソフトな生地になり、成形は行いやすくなりますし、焼き上がりも非常にソフトになるのです。

柔らかいもの好きの日本人向けであることは、言うまでもありませんね!

おまけに扱いやすいとなれば、むしろ全てをソフトフランス生地で作れば良いのでは・・・・

そう考えるのも、至極当たり前のようにも感じます。


ところが・・・・・今回の様なバタールやバゲットなどの、長くて重いパンを作ると、ソフトであるがゆえに自身の体重を支えきれないと言う現象が起こってしまうのです。

また、今回の質問者の方によれば、味も納得できないとか・・・・

ソフトフランスの生地で作ったバタールやバゲットは、美味しく出来ないのでしょうか????

この質問の ”味”に関しては、あくまで好みの問題です。

自分が納得しているかそうでないかの問題だと思います。


この店のフランスパンは、柔らかくて食べやすいわ・・・・・

そう言って喜んでいるお客様もいらっしゃるはずです。


ただ、有名店と比べて味が今一だと感じるのは、そもそもこれらの生地の目指す所が違うからにほかなりません。

どういう事かと言いますと、フランスパンとはあくまでパン生地その物の美味しさを追求していますので、小麦の風味を損なうような副材料を入れないのです。

もっと柔らかくとか、もっと食べやすくという視点では考えていないのです。

小麦の風味を最大限に楽しむ為だけにある配合なのです。

他方ソフトフランス生地は、風味は多少劣るかもしれませんが、フランスパンの生地のシンプルさと美味しさを残しながらも、様々な具材と共に楽しんでいただきたいと言う開発者の思いがあるのではないでしょうか。

ですから、実際にはこだわっているお店では、フランス生地もソフトフランス生地も両方仕込んでおり、両方の生地を使い分けているのです。

では、ソフトフランスパンの生地でバタールを作った場合、もっと美味しさを出す方法は無いのでしょうか?

それは、あるとすればしっかりと焼き込む事で風味が増すとは思います。

そうすれば、陳列の際に曲がってしまう事も無いでしょう。

しかし、そもそもがソフトにしたいと考えた生地を、焼き込んで硬くする事が理にかなっていると言えるでしょうか????

また、ミキシングを控えめにする事や、生地捏ね上げ温度を低くして、長時間発酵させるなどでも、より美味しく出来ない事は無いと思いますが、それではそもそもの意図が違ってきてしまいますよね。

ですから、面倒くさいかもしれませんが、完成品にそれぞれ個性を出す事を惜しまないのであれば、それぞれの用途に合った生地を作るのが得策であると私は考えます。


ちなみに、少しの砂糖と油脂が入るだけのソフトフランス生地ですが、この少しとゼロの違いは、2%と4%の違いとは少し理屈が違います。

入っていない・・・と言うのと、

少し入っている・・・やや入っている・・・以外と入っている・・・けっこう入っている・・・十分入っている・・・かなり入っている・・・思い切り入っている・・・

表現方法は様々ですが、要するに入れたら変わってしまうと言う事でしょうか(笑)


また最後に、今回は配合だけをクローズアップしましたが、シンプルなパンほど技術が必要だと言う事を、どうか肝に銘じて下さい。

砂糖や油脂の力を借りなくても、ソフトなパンは作れるのですよ。

質問者様へ・・・・・日々精進ですよ(*^_^*) 


3 Comments

なか says..."ふわふわフランスパン"
『ふわふわフランスパン』というパン、私はこないだ初めて知りました。コンビニパンです。
ふわふわ~な生地の中にクリームが入ったパンだそうです。
ふわふわな生地なら、もはやフランスパンではないのではないだろうか・・・?なぜそれでもネーミングにフランスと入っているのだろうか・・・?(関係者の方がいらっしゃったら、すみません。。。)
最近の人は、本当に軟らかい食べ物が好きなんだなぁと思いました。
2011.08.20 11:50 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."いつもコメントありがとうございます。"
だそうです・・・・って、せっかくなら食べてくださいな(ー_ー)!!

フワフワだろうがなんだろうが、シンプルな配合のパンは皆フランスパンと言う名前にするようですね。

その方が生地だけでもヘルシーみたいな印象をあたえるからでしょうけど・・・・

クリーム使ってヘルシーって・・・・どう???

2011.08.21 02:49 | URL | #- [edit]
なか says...""
テレビで見たんですが、ファミマ、サンクス、セブン、ローソンの特集で、どこのコンビニ商品だったか・・・確かローソンだったような・・・。

食べた事ある方、詳しい情報お持ちの方、いらっしゃいますか~?
2011.08.21 08:51 | URL | #- [edit]

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