ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

寒い時期の仕込みについて

パン屋にお勤めの方からこんな質問をいただきました。

仕込む生地の種類が多く、仕込み回数も同じ生地を何度も回している状態です。

忙しいのはうれしい事だとは思うのですが、全体的に雑になっているという気がして、このままで良いものかと悩んだりしている毎日です。

今回特にお聞きしたいのは、レーズンブレッドやフルーツブレッドなどのように、対粉で50%近い量のフルーツを配合する際、特にこれからの季節は生地が冷え気味になりがちで、それをオーブンで温めているのですが、生地にとってこれで良いのかどうか、お考えを聞きたいと思います。

フルーツを保管する暖かい場所などは確保が難しく(工房が激狭な為)、冬などはいくらお湯を使ってもフルーツを入れると生地が冷えてしまいます。

開店時間までに少しでも多くの品数を出さなければならない為、未発酵でもどんどん分割して行きます。

これじゃ捏ね上げ温度を計っても何もならないと感じています。

丁寧にやろうとすると、どんどん出勤時間が早くなりますし、うちは残業がつかないお店なので、これ以上勤務時間を増やすのはとても苦痛です。

良いにしても悪いにしても、製パン理論としてはどうなのかだけは知っておきたいと思い・・・・・・・



とまあ、この後もなが~い文章が続いて行きます。

いえいえ(^_^;) ながくて結構ですよ (*^_^*)

ぐちでもなんでも構いません。

気持ちは嫌と言うほど解りますから(~_~;)(~_~;)(~_~;)

た・だ・し、いつまでも今の忙しい生活は続かないと思います。

市場は刻一刻と変化しています。

商品に情熱をこめられないお店は、残念ながらどう頑張ってもそう長くはありません。

こんな事を言うのは大変失礼ですが、今のうちに自分を磨いておきましょう。

ポツンとそのお店を辞めた時に、ただの兵隊で終わっているか、それとも特攻隊長で終わっているか、それとも参謀本部長で終わっているかによって、その後の進路が大きく変わるのです。

今を生きながら、苦しくとも先を見据えるのです。

若い時にしか出来ません。 肉体勝負なのですから・・・・・

と言う訳で本題ですが、フルーツをオーブンで温めているとの事。

これはいわゆる焼きレーズンを生地に投入していると言う事ですね・・・・・

う~ん・・・・でも仕方ないでしょう、事情が事情だけに・・・・

では良いか悪いかは別として、焼きフルーツを入れた生地はどうなっていくのかを考えてみましょう。

焼きフルーツと言っても、そんなにいつまでもオーブンに入れているとは思えませんので、温まる程度と言う事でお話しして行きますと、フルーツが少量で、時折混ぜながら温める事が出来るのであれば何の問題もなく全体が温まると思いますが、忙しいパン屋さんは仕込みキロ数がとても多いので、混ぜる事は出来ないでしょう。

とすると、表面だけが熱くなっていて、中の方はまだ冷たいままという状態で生地に投入している事になります。

極端な話、もし表面が非常に熱くなっていた場合、フルーツの周りにある生地は、一気にその部分だけが高温になります。

しかし、混ぜているうちに冷たいフルーツにも当たり、熱くなったり冷たくなったりするはずですね。

という事は、生地の中で色々な温度の場所が出来ていると言う事になります。

こうなると温度に敏感なイーストは、いったい発酵していいのか悪いのか非常に迷います。

全体的に温度が均一に馴染んでいくのに、結構な時間がかかると思われますから、全般的には非常に不安定な生地になると思います。

ある時はバンバン膨らんだり、ある時は今一元気が無かったり、ある時はベタベタしていたり、ある時はひどく生地が乾いたりしているはずです。

希望温度に生地を捏ね上げる為には、室温と水温と材料全体の平均温度のバランスが重要な事はすでにお解りだと思います。

例えば、生地そのものを高温に捏ね上げておいて、冷たいフルーツを入れてちょうど良い温度にするとどうなるでしょう。

この場合は、フルーツの冷たさが生地全体に行きわたるまでに、イーストの活動が盛んに行われますから、全体的に発酵過多になり、生地は乾燥気味になるでしょう。

イーストが配合されている生地の温度を、著しく上げたり下げたりするのだけは、その後にどんなに温めたり冷やしたりするとしても、けしてお勧めは出来ません。

それなら、フルーツを温めたり冷やしたりする方がよほどましです。

ちなみにオーブンの上などに空きは無いのでしょうか?

または冷蔵庫や発酵室の上、または高い所に棚を設置したりは出来ないでしょうか?

狭い部屋ほど高い場所が高温になっていますので、冬は粉やフルーツは高い場所へ保管しておくのがベストだと思いますよ。

また、フルーツをオーブンへ入れるのだとしたら、早めに入れておいて、オーブンから出して少し時間をおくと、全体的に温度が均一になります。

その間何かで蓋をしておくと、尚更全体が均一化します。

プラスチックで出来た衣装ケースのようなものがあると、オーブンから出したフルーツを一時そこへ入れておいて蓋を締めておけば、全体的に温まったフルーツになると思います。

フルーツ全体の温度を均一にしておく・・・・これがカギですね。

いずれにしても、温度差のある材料を混ぜるのだけは製パン的にはNOだと言えます。

捏ね上げ温度を希望温度にする為に、手段を選ばないというのは間違いです。

パン生地と言うのは、ミキサーの中で押されて叩かれて引っ張られながら摩擦を与えられています。

その摩擦の度合いによって、生地の美味しさが決まって行くのです。

換言すると、スタート時点の生地の温度が、最終的には何度になるのが望ましいのかと言う事で生地の善し悪しが決まるのです。

それは配合によって、または仕込みキロ数によっても違ってきますが、知っておかなければならないのは、摩擦によって少しずつ生地の温度が上昇し、その摩擦熱によってグルテンが強化されていきますので、そこにとても熱いものや冷たいものを入れられると言う事は、今までの生地の出来具合に多大な悪影響を与えてしまうと言う事です。

何となく時間通りにミキサーを回していれば、生地の捏ね上げ温度は常に一定でなくても、何となくパンは完成して行きます。

発酵時間を守らなくても、温度が何度であろうともです。

しかし、細分化して考えると、それはもう美味しいのか美味しくないのか、風味はどうなのか、ソフト感やしっとり感はどうなのかと言うような次元ではなく、単なる量産粗悪品でしかないのです。

現実問題として、日々色んな生地状態の中で作業をされている事と推測します。

今質問者様に出来る事があるとすれば、常に一定の生地状態にする技術を身に付ける事です。

一人でやっている仕事ではないでしょうから、全体を良くしようと言うのは今は考えない事です。

まずは自分のパートを完璧にこなし、自信がついたら少しずつ意見していけると思います。

ベーカリーであれホームベーキングであれ、パン作りの核心はただ一つ・・・・・

生地状態を見極める力

それを身につけられるかどうかです。





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