ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

この時期ならではのドライフルーツを入れたパンの注意点

激動の2011年でしたが、皆様は良い一年でしたでしょうか?

今もこうして生きている事へ感謝し、何気ない日常こそが最高の幸福なのだと実感している今日この頃ですが、世間ではすっかりクリスマスに色づいているのですね~

どおりでフルーツパンの質問が多い訳だ・・・・・

と言う訳で、こんな質問をご紹介しましょう。

美味しいドライフルーツが手に入ったこともあって、パネトーネのようなフルーツパンを作ろうと意気込んだのですが、なぜか発酵してこないのです。

一回目は仕方が無いのでそのまま焼いてしまい、食べられない事も無かったのですが、とてもパンとは縁遠いしろものが完成してしまいました。

レシピを確認しながら、念の為に新しく購入した小麦粉とドライイーストを使って再び挑戦したのですが、またしてもなかなか発酵してきませんでした。

捏ね上げ温度は28℃はありましたし、捏ねた後はタッパーに入れてこたつの中へ入れて一時間置いたのですが一回目と同じく膨らんできませんでした。

もう少し温度が高い方が良いのでしょうか?

ちなみにレシピは・・・・・・・・・・


と言う事で、レシピには問題はなく(正確には問題がないのではなく説明が足りないのでした)ブリオッシュに近い配合に、ドライフルーツが60%入ったとてもリッチなレシピでした。

ではなぜ今回は発酵してこなかったのでしょうか?

それは、実は洋酒のせいだったのです。

レシピではドライフルーツをオレンジピールやレモンピール、それにレーズンなどが単体で合計60%と書かれていたのですが、質問者様が使用したのはミックスフルーツで、しかも洋酒漬けの物だったのです。

オレンジピールなどの乾燥フルーツは、実際にはあまり美味しいものに出会う事が少ないと思います。

レーズンはどれを食べても美味しいのですが、その他のピール類は苦かったりシブかったりして、正直日本人の口にはあまりなじまないと思われます。

そこで登場するのが今回のようなミックスフルーツで、すでに味付けがしっかりとしてあったりするのです。

レシピには、洋酒を振りかけると更に美味しくなると書かれていた為に、今回のケースではミックスフルーツに更に洋酒をプラスしてしまったそうなのです。

単にフルーツに振りかけられている程度のお酒の量なら特に問題はないのですが、今回の場合はそもそもミックスフルーツ自体がすでに洋酒に漬かっていた為に、発酵力がいちじるしく低下してしまったと言う訳なのです。

ケーキ作りには何かと活躍する洋酒ですが、パンに使用する場合には少し注意が必要なのです。

と言うのは、パン生地が発酵して行く環境に望ましいのは弱酸性環境なのですが、洋酒に漬けてあるフルーツを大量に入れてしまうと、一時かなり強い酸性環境になってしまうのです。

パン生地は、発酵熟成をして行く事で中性から少しずつ酸性へと変化して行きます。

パンに限らず、発酵食品は皆そうですね。

ですが、それはイースト菌の活動が活発になってからなら良いのですが、いきなりの酸性にイースト菌は驚いてしまうのです。

そして萎縮してしまい、なかなか活動できないのです。

これは、洋酒が酸性食品だからと言う事もあるのですが、それよりもドライフルーツにたくさん含まれている糖分と洋酒が一度に大量に配合される事によって、浸透圧が高まってしまうと言うのも原因の一つなのです。

ですので、もしも洋酒にしっかりと漬かってしまっているドライフルーツを配合しようと考えた場合、単なるストレート法では失敗してしまう事が多いと考えられるのです。

これを回避するためには、フルーツを配合する前にイースト菌を活動させておかなければなりません。

一番安全なのは中種法ですが、なかなかご家庭では試していただけないでしょう(~_~;)

と言う事で、次にお勧めなのはこのブログでも紹介している発酵種を入れた製法です。


発酵種についてはこちら

いつものレシピにこの発酵種を30%程入れてみて下さい。

たったそれだけで、捏ねる時間は短縮され、生地のつながりが良くなり、生地に旨味がプラスされ、しっとり感が長持ちします。

発酵種は、冷蔵庫にて低温長時間発酵していますので、しっかりとイーストが活動をしています。

その発酵種を添加する事によって、高い浸透圧の中に合っても、イースト菌の目覚めが早くなるのです。

ただし、忘れてはならないのは発酵種も弱酸性であることです。

日にちが経過したしまった発酵種は、イーストの力が弱くなり、相反して酸性度が強くなってしまいます。

ですので、発酵種は一晩寝かしただけの新しいものを使用して下さい。

さらに、浸透圧からパン生地を回避させる為には、生地の捏ね上げ温度は高めの方が安心です。

30℃を目指して捏ね上げ、それよりも低い場合は暖かい場所に保管し、発酵してくるまでは時間がかかっても我慢してあげる事です。

また、今回のようにドライフルーツが60%と言うのは、パンとしてはとても不安定になります。

最大でも40%までにしておいた方が失敗はないと思いますよ・・・・

どうしてもたくさんのドライフルーツが食べたいと言う事であれば、20%程度は生地に練り込み、後は成形時に生地に乗せて巻き込んでいく方が、パンとしては安定すると思われます。

砂糖・油脂・ドライフルーツと言うのは、いずれもイーストの活動を阻害してしまう材料です。

ですが、あくまでじっくりと時間をかける事が出来れば、やがては膨らんで来るものです。

ドライフルーツが甘い場合、生地の糖分はやや減らした方がイーストの活動にも効果的です。

砂糖も油脂もドライフルーツも、やや控えめにしてみるのも良い手かもしれませんよ。

それから、この手のリッチなパンの場合は、生地は十分に捏ねられている事が絶対条件になります。

つまり、風船の数が多くなければ副材料の多いこれらのレシピには対抗出来ないのです。

と言う事で、家庭で高配合のパンを作る場合は、強い粉を使う事と機械で捏ねる事がポイントです。

もし手捏ねで高配合のパンを作るのであれば、ミキシングの助けにもなる発酵種の使用を是非ともお勧めします。





Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://sizuasa.blog44.fc2.com/tb.php/258-fbe8a0e2
該当の記事は見つかりませんでした。