ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

ブリオッシュがパサつく原因とは?

こんな質問をいただきました。

クリスマスの時期になるとパネトーネ(なんちゃってですけどネ!)やブリオッシュを良く作るのですが、どうしてもブリオッシュが硬い感じになります。

焼き過ぎないようにすると今度はしぼんでしまうので、やはりしっかりと焼いてしまうのですが、焼き方に問題があるのでしょうか?

ブリオッシュ生地にフルーツを20%入れたパネトーネの方は、いつまでもしっとりとしていて我ながら満足しているのですが、フルーツを入れないプレーンタイプで焼き上げた物はすぐに硬くなってしまう感じなのです。

これはフルーツには糖分があるので柔らかくなると言う事なのでしょうか?


だとすればブリオッシュ生地にも砂糖を増やせば硬くなりにくいと言う事になるのでしょうか?

今回のブリオッシュのレシピは、本などでも良く見かける一般的な物でしたので、ここにご紹介しておきましょう。

強力粉    100g
上白糖     10g
塩      1.8g
イースト   2.5g (加糖用)
卵       60g
マーガリン   30g
加糖練乳     3g

さて、ブリオッシュがすぐに硬くなってしまうのはなぜか?というご質問でしたが、一般的なブリオッシュと言うのは、実は割とパサパサしているパンなのです。

もっと言うと、パサパサしていますし、喉通りも悪いパンと言えます。

飲み物が無いと食べられないパン・・・・そんな印象すら受けます。

こんなに高配合なのに、そんなはずはないと思いたいところですが、そもそもブリオッシュと言うのはあまり甘いものではなく、ましてやしっとりとしているパンではないのです。

しかし、それでは日本では取り入れられないと判断してか、様々なアレンジがされ、今では甘いブリオッシュもあれば、しっとりとしたブリオッシュもあるのです。

今回のレシピで言うと、そのまま作るとあまりしっとりとした感じにはならないと思います。

それはなぜか?

それは卵に関係があるのです。

卵と言うのはご存知のように白身と黄身がありますね。

白身は黄身の約2倍ありますので、卵の三分の二は白身と言う事になります。

今回のレシピでは卵は全卵、つまり卵全部を使用しています。

と言う事は、全部で60gの所、約40gが白身であると言う事になりますね。

実はこの白身というのはアルカリ性食品なのです。

他方黄身は弱酸性食品になります。

どう言う事かと言いますと、アルカリ性食品である白身がたくさん入る事によってパン生地がアルカリ性に傾いてしまうのです。

そうなると何がいけないのかと言いますと、パンを口に入れた時に唾液が出にくくなるのです。

思い出して下さい。

豚カツにレモンを絞るとサッパリとして油っこくなくなりますよね。

これは、決してレモンが油を消してしまった訳ではなく、レモンの酸っぱさが唾液を促す事によって、その唾液に豚カツが包まれる為に、サッパリとした喉通りに感じているのです。

レモンに限らず、例えば梅干しなどでもそうですが、口の中に入れた瞬間の事をイメージしてみて下さい。

それだけで唾液が出てきませんか???(^0_0^)

いわゆるしっとりとしたパンと言うものは、皆弱酸性になっている為に唾液が出やすい、つまりは喉通りが良いと言う事になるのです。

ですが白身の配合が多いと唾液が出にくい為、どうしても硬くてパサパサとした感じになってしまうのです。

ではどうすれば良いのか?

それには色々な方法があります。

まずは今回のご質問に合ったように、フルーツを入れた物はしっとりとしたと書かれていますね。

この場合のフルーツは洋酒に漬けられていたミックスフルーツでした。

そうです。 洋酒に漬けられたフルーツが入る事で、いわゆる中和されたのです。

その様に、もし全卵をたくさん配合する場合は、中和してくれる酸性食品を添加するのが得策なのです。

一番お勧めなのはカルピスです。

カルピスを2~5%程入れると、しっとりとしたブリオッシュが完成するでしょう。

ただし、その分甘くなりますが・・・・

または、全卵ではなく卵黄を使う事もお勧めです。

全卵は20%位までにしておき、残りの40%の水分を卵黄と水にするのです。

全てが卵黄でも構わないのですが、とても高くつくと思います(~_~;)

またそれ以外にも、中和させる方法があります。

それはまたまた出ました発酵種です。

発酵種はすでに酸性ですので、20%程配合するだけでしっとりとしたブリオッシュになります。

また、今回はストレート法のレシピのようでしたが、捏ね上げた生地を30~40分ほど発酵させた後に、アルミ皿などに平たく伸ばして生地を入れ、ビニールかラップをして冷蔵庫へ一晩入れると、低温発酵により生地が酸性になり、しっとり感が出て来ると思われます。

この場合は、冷蔵庫から出した生地はすぐに分割成形を行って下さい。

生地が冷たいまま行うのがコツです。

油脂が多い配合の場合、このようにして一度冷蔵し、冷たくしてから作業することで、生地がベタベタと手に着く事も無く、さらに生地の油脂が溶ける事も防いでくれるのです。

油脂の多いパンは、冷蔵庫では油脂が固まるので発酵がゆるやかになります。

冷蔵庫にブリオッシュ生地をしまっておくと、三日間くらいは保存が可能になりますので、一度作った生地を三日間に分けて焼く事も出来るのです。

一度試してみてはいかがでしょうか(^0_0^)

と言う事で、結論としては低温発酵させるか、酸性食品を入れて中和させるかですが、間違ってもお酢は入れないでくださいね(~_~;) まずくなりますから・・・・

今回は何となく卵の白身が悪者のような感じになりましたが、パン生地に白身が入る事によって、生地がプリプリとして適度なコシが生まれ、パンにボリュームが出ます。

全卵から卵黄へとレシピを変更した場合は、この白身の作用によるボリューム感がなくなり、生地はベタベタした感じで取り扱いにくくなります。

最終製品のボリュームもやや膨らみが弱い感じになるかもしれません。

しかし、その分しっとり感は十分得られると思いますので、あとは好みの問題になりますね。

今回は酸性だアルカリ性だと、やたらペーハー(PH)について書きましたが、製パンにおいては特に気にするべきものではありません。

あくまで極端に多く配合した場合にのみ影響があるという程度です。

また、今回はたまたま卵が多いレシピでパンが硬い感じがすると言う事でしたが、油脂が多いパンの場合、冬の時期にはパン中の油脂分が固まってしまう為に、硬く感じてしまうと言う事もあります。

しかし別の見方をすれば、パン中の油脂分が固まっている間は老化が進みずらいと言う事にもなります。

したがって、冬場に油脂の多いパンを焼くと日持ちすると言えるのです。

さらに誤解のないように付け加えておきますが、ここで書いた酸性食品のレモンと梅干しは、人間の口に入るまでは酸性食品ですが、身体に入るとなぜかアルカリ食品に変わります。

食品のペーハーに関しては意外と複雑であるのと、そもそも私の専門ではありませんので、この点に関しての突っ込みはご勘弁くださいませ(~_~;)

1 Comments

履歴書の封筒 says...""
とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!
2013.10.29 11:01 | URL | #- [edit]

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