ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

ミスドーとパン屋のドーナツは何が違うの?

こんな質問をいただきました。

ドーナツについて質問させて下さい。

私はドーナツが好きで、ミスタードーナツに良く出かけるのですが、いつも思う事があります。

それは、ミスタードーナツとパン屋さんのドーナツは何となく感じが違う??と言う所です。

パン屋さんのドーナツは、失礼ですが大きさが色々あったりしますし、潰れていたりもしますし、全体的にふかふかしているイメージがありますが、ミスタードーナツのドーナツは目が詰まっていると言うか、全体的にしっかりした感じで見た目にも綺麗ですよね。

あれってやはりドーナツはドーナツの専門店だからなのですか?

それからパン屋さんにはカレードーナツが必ずと言っていいほど置いてありますが、どうしてドーナツ専門店にはカレードーナツはないのでしょうか?

パン屋さんでは惣菜入りのドーナツで、ドーナツ専門店では甘いドーナツと言うような取り決めのようなものがあるのでしょうか?

以前友人から、ミスタードーナツのドーナツはベーキングパウダーで作っているからパン屋のドーナツとは違うと教わったのですが、自分で作る場合もベーキングパウダーで作った方がうまくいくでしょうか?(イースト菌は使った事が無いもので)


確かにパン屋さんのドーナツは不揃いな物が多いかもしれませんね(@_@;)

ドーナツと言うのは、簡単そうに見えて、その実とても難しいパンであると言えると思います。

一般的な解釈では、焼いたものはパンで、油で揚げたパンはドーナツと呼んだりしますね。

しかし、パン屋の発想としては、基本的にはパン生地を作るのがパン屋ですので、それを焼いたものと油で揚げたものに分けていると言う程度の分類なのですが、ドーナツ専門店の場合は、基本が油で揚げている事になりますので、ハードな食べ口の物やソフトな物、あるいは形が面白い物やトッピングを楽しむものと言うように、ほとんどを油で揚げて完成させる専門店と言う事になります。

そんな油で揚げる商品の専門店でも、時には中華まんを販売してみたり、焼いたドーナツを販売してみたりと、要するに何でもありなので、定義はあってないようなものなのかもしれませんが・・・・

さて、ご質問にあるように、確かにドーナツ屋さんのドーナツはとても綺麗に完成されていますよね。

それに比べてパン屋さんのドーナツは何となく不揃いで、しかも潰れている事が多いのは事実でしょう。

お恥ずかしい話ですが、それがどうしてなのかについては、正しい事は解りません。

しかしながら、あくまで一般論として経験から申し上げるならば、パン屋さんはあまり揚げたパンに力を入れていないと言えるのではないでしょうか?

それはなぜか?

パン屋さんの商品アイテムの多くは、焼いたパンと揚げたパン、そして調理パンとお菓子と言うようになっています。

その中で、調理パンと言う、いわゆるサンドイッチを作っているのは、そのほとんどがパートタイマーの学生や主婦の方が中心になっています。

さらに、揚げパンも同様に、パートタイマーの方が中心に担当していると思われます。

パートタイマーの方が作っている事が、イコール力を入れていないと言う事にはならないと思うのですが、どうしても技術者はパン作りをメインに担当しなければなりません。

全ての作業が同時進行する場合、生地を作って分割成形して焼成すると言うパン作りを職人が行っている以上、その職場に職人が何人もいる場合を除いては、ドーナツを揚げる人もサンドイッチを作る人もパートタイマーが担当する以外にないのです。

いずれの作業も、けして手抜きが出来る作業でないのは当然なのですが、やはり揚げパンであっても調理パンであっても、パンそのものの品質が良くなければなりませんので、技術の力量はどうしてもパン作りを中心におこなわれる傾向があるのです。

また、揚げると言う作業も、包丁を使って野菜などを挟むと言う作業も、主婦の方の方が向いているのではと言う判断もあり、工房ではパンを作る人・揚げ物担当・調理パン担当と言うように別れて同時進行しているのです。

忙しい、つまりは売上が高ければ高いほど、工房に占める技術者の人数は足りない傾向にあります。

すると、ほとんどの作業をパートタイマーが補う事になりますので、どうしても品質が不安定になるものです。

売上が上がってうれしいと言う事と、品質を維持するための人件費と人材育成にお金がかかると言う事は、常に比例していく為に、人件費をけちっているお店では商品の品質はどんどん低下していく事になります。

消費者の側から見れば、売れているお店は品が良いからだと思いたい所でしょうが、実際にはそうでもない場合が多いかもしれません。

有名シェフのレストランがありますよね。

超人気で毎日数百人のお客様が来店しますが、そこで作られる料理の全てをその有名シェフが一人で作っている訳ではありませんよね。

シェフに鍛えられた優秀なスタッフがいるからこそ、どのお客様にも満足していただけるような料理を出せるのだと思います。

換言すると、そのお店で販売される商品の全ては、誰が作っていようがそのお店の商品としての価値が無ければなりません。

消費者はそれを当然として買い物をしていくのです。

しかし、現実には隅々まで技術力が行き届かずに、お粗末な品物が販売されていると言う現実もあるのです。

有名店としての看板を数十年にわたって守り続けているお店と言うのは、新人の研修制度や技術力に応じた昇給制度などがきちんと確立されています。

それに反して、急成長している中小ベーカリーなどでは、どうしても人材教育が間に合わずにパートタイマーに頼る傾向があります。

長いスパンで見れば、どちらが成功するかは火を見るより明らかですが、それを消費者が見分けるすべはありません。

乱雑な商品を見つけたら、すぐに店員に言いましょう。

その時の対応がいいかげんなようなら、すべてにいいかげんだと判断して下さい。

さて、そのような事情からか、本来は実に難しいドーナツ作りなのですが、技術者がドーナツを作ると言う光景は無いに等しいと言えますので、今後も高品質のドーナツはパン屋さんには望めないかもしれません。

では、相反して専門店のドーナツがどうして綺麗なのかを説明していきましょう。

まず、決定的にパン屋さんと違う所は、使われている小麦粉が違うと言う所です。

小麦粉と言っても、すでに色々な材料が混入されている小麦粉の事で、これらをミックス粉と呼んでいます。

皆様がご存じなのは、スーパーで売られているホットケーキミックスなどがそのミックス粉にあたります。

このミックス粉と言うのは、様々な薬品と砂糖や塩や粉末油脂などが配合されていて、現場では水とイーストを入れるだけで簡単にドーナツが作れるようになっている便利な小麦粉なのです。

皆様もホットケーキミックスは使った事があると思いますが、とても上手に簡単に出来ると思いませんか?

それが業務用になっているとお考えください。

このミックス粉の利点は、まず計量ミスが起こりませんから、失敗無く、しかも店舗によって品質が違うなどと言う事が起こらないと言う点です。

全国展開するチェーン店の場合、この”商品の安定”と言うのは絶対的な課題ですね。

味よりも何よりも、まずは全店舗で同じ商品が作られなければチェーン展開が出来ないからです。

と言う事で、商品の安定、つまり形を皆同じように作ると言う事には絶対的に自信を持っているのが専門店なのです。

パン屋さんのドーナツと言うのは、一つ一つ伸ばしたり丸めたりして成形していきますので、下手な人が作れば形が悪くなりますよね。

それではいけないと言う事で、専門店では型を使って形を安定させているのです。

ドーナツの中でも最も形を揃えずらいのがリングドーナツなのですが、ミスドーなどでは、これも伸ばした生地をリング状の型で抜いているのです。

しかし、いくら型で抜いたからと言って、パン生地はコシがありますので、型で抜いた後に生地が締って形が変形したり、不揃いになったりするものです。

そこで登場したのがこれまたミックス粉で、あまりコシが入らずに、型で抜いた後でも安定した形になるように配合されているのです。

と言ってもまったく技術が必要無い訳ではありませんよ。

ミスドーでは、その技術によって時給が大きく変わってしまうのです。

つまり、大手専門店と言えども、技術力によって昇給させる制度がありますので、誰しもがより綺麗な物を作ろうと頑張る訳ですね。

ただしですよ(^0_0^)

形が綺麗であると言う事と、美味しいかどうかと言う事は、ドーナツに限っては一概には言えないと思います。

それは、ドーナツは形を安定させようとすると、どうしても元気な良く膨らんだ生地では難しくなるからです。

あまり膨らまない生地をあえて作らないと、油で揚げている時に大きく膨らみ過ぎてしまい、その後にしぼんだりしてしまうからです。

つまり、しっかりと発酵させたふっくらとしたパン生地は、ドーナツには向いていないと言えるのです。

一般的にパン屋さんのドーナツが潰れている事が多かったり、不揃いな物が多いのも、実はそんな理由からでもあるのです。

あくまで好みの問題ですが、確かに不揃いだったりはしているものの、もしかしたらそんなパン屋さんのドーナツの方が美味しいと言う事もあるかもしれませんよ(^0_0^)

それからカレードーナツについての質問がありましたが、パン生地に何かを包むのはパン屋の得意分野とも言えます。

しかし、パンを作った事がある方ならお解りだと思いますが、パン生地に具材を包むのは非常に難しいですよね。

そんな難しい作業はチェーン店では行いません。

と言うか行えませんね。

ですので、中に具材が入った商品があるとすれば、それはすでに中身が入った物が冷凍で送られてきたものだと言う事になります。

具材入りのドーナツは数多く販売されていると思いますが、ミスドーの場合は確かお店で手作りすると言うのが基本コンセプトであったと記憶していますので、現場で出来ない事はやらない主義なのかもしれませんね。

まあ甘いドーナツだけでも十分商品数はありますから、具材が包んであるものはパン屋さんに任せておけば良いのではないでしょうか(^0_0^)

それと最後に、ベーキングパウダーで作ったドーナツと言うのは、一般的にはケーキドーナツと言いまして、オールドファッションのような食べ口のドーナツしか作れません。

ふっくらとしたドーナツは、イーストドーナツと呼ばれていて、文字通りイーストを使ったパンを揚げて作るドーナツの事を指しますので、お間違えのないようにお願いします。






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