ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

デニッシュとパイとクロワッサン、いったいどう違うの?

デニッシュ・パイ・クロワッサンについて、色々といただいた質問をまとめて紹介しましょう。

1.デニッシュはフルーツが乗っていればデニッシュで、それ以外はクロワッサンと呼ぶのですか?

確かにややこしいですね~ デニッシュとかクロワッサンとか(~_~;)

では一通り解説していきましょう。

デニッシュと言うのは、デニッシュと言う生地を使って作れば、どのような物を乗せようと包もうと挟もうと詰めようと、デニッシュと読ぶのであって、クロワッサンとは違いますね。


2.デニッシュと、ナポレオンパイなどに使われているパイは同じものなのですか?

デニッシュ生地と言うのはあくまでパン生地であり、パン生地に油脂を折り込んで層を出しているパンの事を指しています。

パイと言うのは、油脂を折り込んで層を出すのは同じなのですが、生地にイースト菌が入っていませんので、パンではないのです。

しかしながら、イースト菌を使っていない、つまり発酵させないと言う事以外は、ほとんどデニッシュ生地もパイ生地も使用する材料に違いはありませんので、発酵させる前の段階までは、どちらがパイでどちらがデニッシュなのかは見分けがつきません。

どちらも作っているパン屋さんでは、これらの生地には印をつけて対処している位です。

そしてたまに間違える人もいたりして・・・・

時間が経っても膨らんでこないのでビックリ・・・みたいな(~_~;)


3.ドンクのミニクロワッサンは、生地はデニッシュなのですよね。 だって甘いのはデニッシュですよね。


ドンクのミニクロワッサンは、生地にも砂糖が多めに配合されていますし、焼成後にシロップを塗って甘くしているのですが、基本使用している生地はクロワッサン生地なのですよ。


4.デニッシュをあまり発酵させないとパイのようになると聞いたのですが本当でしょうか?

それは、パイのようにと言うよりも、あくまで未発酵のイースト菌臭いものが完成すると思います。

あまり発酵させたくないのなら、初めからイーストを入れる意味がありませんし、イーストを入れた時点で、どんなに未発酵だったとしても、オーブンの熱によって中途半端にイーストが活動し、焼き色はぼやけて味は悪くなり、形も悪くなるでしょう。

つまり、何の意味も無いと言う事です。

5.私はパン・オ・ショコラが大好きなのですが、あれはクロワッサンだと言う人がいます。 クロワッサンと言うのは、三日月形をした物をクロワッサンと言うのではないのですか?

そうですよね。 本来は三日月形のものをクロワッサンと呼んでいたはずなのですが、今ではその三日月形すらもあまり見かけませんね。

そもそもクロワッサンと言うのは、ウィーンが戦争でオスマントルコを撃退した記念に作られた、トルコの旗印をかたどった三日月のパンが発祥で、フランス語で三日月と言う意味であることから、一般的にはその形をクロワッサンと呼んでいました。

しかし現在では、生地の糖分が比較的多い物をデニッシュ生地、比較的少ない生地をクロワッサン生地と言うように分けて作っているのが一般的だと思われます。

特にパン・オ・ショコラやパン・オ・レザンと言うのは、フランスの代表的なクロワッサンの一つで、生地にはあまり砂糖が使われておらず、しょっぱい生地と甘い具を楽しむパンとなっているのです。

要するに、クロワッサン生地というあまり甘くない生地で作った物は、中身が何であれクロワッサンと呼ぶのですね。

6.パイは良く料理でパイ包みのような使い方をしていますが、クロワッサンの生地でそんな感じの使い方をしたらと思っているのですが駄目でしょうか?


何事も駄目と言う事はありません。 

ただし、質問4にも書きましたが、発酵時間を取らないとかえって美味しくない物を作る事になると思います。

クロワッサン生地を使うのであれば、ある程度発酵時間を取ってから焼かれる事をお勧めします。

この時、発酵させ過ぎるとパンがふかふかになってしまい、パイ包みならぬ、ふかふかパン包みになってしまいますのでご注意ください。

7.パイ生地でクロワッサンの形に成形したら、クロワッサンが出来るのでしょうか?

残念ながらそれは出来ません。

クロワッサンの形に成形するまでは良いのですが、焼いた時に結局ペタンコになってしまいます。

パイ生地は立体的に焼くには不向きな生地だと言えると思います。

パイ生地と言うのは、生地をそのまま焼いて食べる物ではなく、他の素材との相性を楽しむものであるとお考えください。

ただ砂糖を付けて焼いただけで美味しくなりますが、生地そのままだと物足りないものになるでしょう。

と言うよりも、あえて他の素材をひき立てる為にシンプルな味になっていると言った方が良いかもしれませんね。


8.バターを使っているのがクロワッサンでマーガリンを使っているのがデニッシュと言うのは本当なのでしょうか?

そうとは言えないと思いますし、その様な取り決めはありません。

10.パイシューというパイ生地の中に生クリームがたっぷりと入ったシュークリームがありますが、あのパイ生地はオーブンでとても大きくなります。 でもイースト菌が入っていないのになぜあんなに大きく膨らむのですか?

パイ生地が、デニッシュ生地やクロワッサン生地と大きく違う点は、イースト菌が入っていないと言う事と、折り込む油脂の量が多く折り込む回数も多いと言う事です。

油脂を折り込んだ生地と言うのは、油脂がオーブンの中で溶ける事による水蒸気で膨らむのですが、その油脂量が多く、しかも層がたくさんあると言う事は、デニッシュやクロワッサンなどよりも膨らむ力がとても強いと言えるのです。

デニッシュやクロワッサンと言うのは、そもそもがあまり膨らむ事を目的としていません。

膨らみを抑え、油脂の濃厚な美味しさを味わうパンであり、もしこれが膨らみ過ぎてしまうと、全体的に味がぼけて薄くなり、濃厚さがなくなってしまうのです。

パイの場合は、デニッシュやクロワッサンと同じ厚みで焼いてしまおうものなら、まるでお化けのようにふくらんでしまい、その後にしぼんでしまいます。

ですので、パイ生地は膨らみ過ぎないように小さい穴を無数に開けるなどの工夫をしないと、綺麗な形に焼きあがりませんよね。

一般的には大きくなり過ぎたパイ生地は焼成後にしぼんでしまうのですが、このパイ生地を型を使って焼くと、横に膨らめない分上に向かって膨らんでいきます。

そして型に入っている為に、横にも火が良く入り、全体的にしっかりと焼く事で全体が乾燥し、しぼむことなく空洞があるパイ生地が完成するのです。

以上まとめてご紹介してきましたが、お解りいただけましたでしょうか?

ややこしいですが、デニッシュとクロワッサンと言うのはあくまでパンの仲間であり、パイはパンではないと言う事。

砂糖の多い生地に油脂を折り込んで層が作られている生地を一般的にデニッシュ生地と呼び、砂糖の少ない生地に油脂を折り込んで層が作られている生地を一般的にクロワッサン生地と呼んでいる事。

ですので、デニッシュ生地ではフルーツを乗せたり甘い具材を中心にした物が多く、クロワッサン生地はサンドイッチにも使われたりしているのですね。

もっとも、それ以外にも様々な生地に油脂を折り込んだオリジナルがたくさんある事は皆様ご存知ですね。

これからはむしろ、その様な枠が吹っ飛ばされた斬新な物がどんどん出て来ると思いますね。

伝統を重んじつつも、常に新しいものを追い求めて行く・・・・・・

のは良いとしても、カラフルな鯛焼きはどうかと思う今日この頃です。


3 Comments

乙香 麗 says..."確か…(クロワッサンの三日月とストレートの違い))"
クロワッサンが三日月状に曲げてあるのと、そうでないストレートなのとは、層を作るのに動物性油脂のバターを使うか、植物性油脂のマーガリンを使うかで分けられているらしいけど、どっちがバターでどっちがマーガリンだったか忘れたし、ベーカリー次第かも…(^^;
2015.11.01 18:20 | URL | #vsc3.wzI [edit]
クロワッサンのあるカフェの店員 says...""
うちの店はクロワッサンとデニッシュ、同じ生地を使ってます。でもデニッシュはホイロという工程が入ります。そういう違いの場合もあるんでしょうか?
チェーンだからコスト重視で同じ生地を使ってるのかな…
2017.02.19 22:01 | URL | #- [edit]
カナダのフレンチベーカリーで働く者 says..."クロワッサンとデニッシュの違い"
通ったカレッジや職場では、クロワッサンはイーストを使っていたけれど、デニッシュはイーストを使わずに作りました。(バターを挟み込む工程は一緒です)なので、イーストの有無が違いなんだと思っていまし^^;ちなみに三ケ月にクロワッサンを成形することは全くありませんでした。もはや名前の由来から外れていますね。。。
2017.03.19 14:22 | URL | #0kC1be/Y [edit]

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