ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

家庭用のオーブンに最適なパンとは?

こんな質問をいただきました。

オーブンが重要だとおっしゃっていますが、確かにそうだといつも感じています。

でも、だからといってすぐに大きなものにするというわけにもいかず、ましてや業務用などは私の収入では×

メロンパンは家庭用のオーブンに向いているとも書かれてありますが、その他にもあるようでしたら具体的に教えていただけないでしょうか?

それとどうしてメロンパンは家庭用のオーブンでも上手に焼けるのですか?



メロンパンは家庭用のオーブンに向いている・・・??

スミマセン、憶えていません(~_~;)

でもまあ向いている方だと思います。

家庭用のオーブンと言っても、最近ではかなり高性能なものも出ているようですから、オーブンによっては向き不向きは大きく違ってくるとも思われますね。

どのオーブンにどのパンがお勧めなのかは具体的には書けませんが、そもそも業務用と家庭用では何がどう違うのかを考えてみましょう。

それはひとえに大きさですね(#^.^#)

当たり前だろうっ・・・・と言われそうですが、その大きさが実は大切なんですね~

どんな機材にも、それぞれ容量というものがありますよね。

洗濯機でも、冷蔵庫でも、炊飯器でも、鍋でも、容量を超えた量を入れたら大変です。

壊れる事もあるでしょうし、何よりも中身が台無しになってしまうでしょう。

例えば洗濯機の場合などは、容量いっぱいに入れると洗剤が残ってしまったり、ぜんぜん汚れが落ちていなかったりしますね。

炊飯器などは、米を入れ過ぎたら中心まで火が通らずに、芯が残っている場合もあります。

このように、既定の容量を超えるのは勿論駄目なのですが、容量いっぱいでも意外と理想通りに完成しない事がありますよね。

一番良いのは、容量に余裕を持った量を入れる場合で、この場合はほとんど何の問題も起きないと思います。

私達が毎日使っている業務用のオーブンと言うのは、恐らく大人が20人集まっても持ち上げる事が出来ないほどの重さがあります。

一つの段に、食パンの一本が15本位入る奥行と広さがあります。

高さは、バターロールを6個位重ねても大丈夫な位の高さがあります (どんな例えじゃ??)

その中には、50個位のバターロールが一度に入り、それが10分たらずで焼けてしまいます。

オーブンの蓋は、厚さが10センチ位はありまして、とても重いので幼稚園児では開けられないと思います。

これが標準的な業務用オーブンの大きさなのですが、それに比べるとあまりにも家庭のオーブンは小さくはありませんか????

そんな小さなオーブンで、バターロールが一度に4個焼けるのだとしても、やはりバターロール一個に当る熱量には、あまりにも差があると思うのです。

その熱量を補うために、家庭用のオーブンはとてもハイパワーになっています。

したがってすぐに温度が上がります。

しかし、蓋を開けるとたちまち温度は数十度も下がってしまうでしょう。

がしかし、蓋を閉めればすぐに温度は元通りに上がっていきますね。

凄いパワーだとは思うのですが、実はこの上がったり下がったりという温度変化が、パンにとっては最悪の環境となるのです。

良くある質問の中で、焼き色を揃える為に途中で蓋を開けて並び替えをしていると言う方や、途中で蓋を開けて火力を落としていると言う方がいらっしゃいます。

一般的なパンの場合(特殊なハード系やドイツパンや天然酵母の無糖パンではない普通の菓子パンの事)途中でオーブンを開ける事と、温度を下げる事は絶対にしてはならないことなのです。

では、業務用のオーブンはどうなのかと言いますと、蓋を1分開けたとしても、温度は10℃くらいしか下がりません。

しかし、その10℃を元に戻すのに5~10分もかかります。

そう考えると、ずいぶんとのろまな熱で焼いているんだなと思われますよね。

しかし実際には10分足らずで焼けてしまう。

これはいったいどういう事なんだろう????

石窯パンというのを皆さんはご存知ですか?

当然知っていますよね(#^.^#) あちらこちらで見かけますしね!

この石窯というのも、現在ではかなり進化しまして、風貌は石で出来ていて薪を入れる所があるにはあるのですが、実際は電機やガスで焼いていると言う、見た目だけの石窯というのもあったりするのですが、本来の石窯と言うのは実にシンプルで、石で出来た床の上に薪で火を焚き、石が温まったら薪を捨ててその余熱でパンを焼くと言う物でした。

現在でもその方法でパンを焼かれている方はたくさんいらっしゃいますが、ちょっと考えてみて下さい。

薪の火で床を温めたと言っても、その後は捨ててしまうのですから、捨ててからの熱源はなにもありません。

なのになぜたくさんのパンが焼けて行くのか????

実は石窯の最大の特徴は、その熱保持力にあるのです。

そうです、蓄熱性に優れているのですね(^0_0^)

つまり、そう簡単には熱は下がらないので、下がるまでの間はパンを焼くに十分な熱量を持っていると言う事なのです。

凄いと思いませんか!

で、業務用のオーブンというのも実は、その蓄熱性に非常に優れているのですね。

じんわりと暖まってきたオーブンの中では、安定した温度と、パンから出て来る適度な水分の蒸発による湿度が保たれていて、その熱と湿度によってクラスト、つまり皮が柔らかく薄いパンが焼き上がるのです。

ところが家庭用のオーブンでは、そもそも焼ける個数が少ない為に、庫内の蒸気が少なく、しかも蓄熱性に優れていない為に熱が外に漏れてしまっているのです。

ですので、言い方を変えると業務用のオーブンで焼いたパンは余熱焼きで、家庭用のオーブンで焼いたパンは直火焼きに該当すると考えられるのです。

直火焼き?????

ならそれはそれで美味しそうですけどね(笑)

しかし、なんでもかんでも直火焼きなら美味しくなると言うものではないのです、残念ながら(^_^;)

何と言ってもパンは立体的な物が多いですよね。

それに糖分も多い(^0_0^)

直火焼きだと表皮には良いのですが、中に火が通りにくくなりますので、どうしても火加減を弱めなければなりません。

すると今度は全体的にぼけた色になってしまう。

と言って火力を上げると、今度は周りだけ色が付いてしまい、中が生焼けになることもあるでしょう。

業務用のオーブンなら、一度入れた物はほぼ安定的に焼き上げる事が出来ますが、家庭用のオーブンでは、皆様の知恵と技に全てがかかっていると言っても過言ではないでしょう。

では、いったい家庭ではどのようなパンなら上手に焼けるのでしょうか?

それはまず、全体的に高さのないパンです。

ピザパンとかフォカッチャとかナンとか、火にあたる面積が広く、クラムの面積が少ないものには直火焼きが効果的だと思います。

それから、庫内に湿度が保てない事を利点として考えると、メロンパンやクロワッサンやデニッシュなどの折り込みパンはむしろ、家庭用のオーブンの方が向いていると思います。

逆に、見事に不向きなパンと言えば、大型の甘いパン、つまり食パンやブレッドですね。

しかし、質問を下さる方の9割は食パンを焼いていらっしゃる・・・・

そして、上記の家庭用のオーブンに向いているパンは焼いた事が無いと言う方が圧倒的多数です。

なんともおかしな話ですが、残念ながら家庭用のオーブンというのはパンを焼く為だけの物ではありませんよね。

つまり、パンだけが上手に焼ける用には開発されていないのが実情なのですね。

ですので、思い切ってクロワッサンなどに挑戦してみてはいかがですか?

折り込み生地と言うのは、生地での冷凍にも向いていますし、焼いた後に冷凍する事も出来て、とっても家庭向きなのですよ実は。

それから忘れてはならないのが、クッキーやパウンドケーキなどの焼き菓子。

これも家庭用のオーブンの方が向いています。

なぜか????

それは、長くなりましたので別のカテゴリにて紹介します。

それまで考えてみて下さいね。




焼き菓子はなぜ家庭用のオーブンでも上手に焼けるのか?

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