ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

焼き菓子はなぜ家庭用オーブンでも上手に焼けるのか?

よく、家庭で食パンを焼かれている方より画像が送られてきます。

しかし、残念ながらとても美味しそうとは言えないのが本音なのです(~_~;)

それはなぜか????

それは、技術の差は多少あるとは思いますが、その根本原因はオーブンの能力の問題だと考えられるからです。

つまり、食パンのような大きなパンは、家庭用のオーブンでは能力の限界だと言えるのです。

毎日の食生活において、せっかくパンを焼くなら食パンが良い・・・・・・

そう思っていらっしゃる方は実に多いと思います。

しかしながら、いかようにも無理がある・・・・・

と言う事で、ここではあえて無理な食パンを焼くよりも、おやつとして焼き菓子をどんどん作ってほしいと言う気持ちを込めて、なぜ焼き菓子なら家庭用のオーブンでも上手に焼けるのかと言う事について説明していきたいと思います。

焼き菓子と一言で言っても、たくさんの種類がありますから、ここではクッキーとパウンドケーキについて説明していきます。

さて、大きな食パンを小さなオーブンで焼くのは、なんとなく無理があるのではないか???と言う事は誰にでも理解できると思うのですが、残念ながら小さなパンであっても、家庭ではあまり上手に焼けない事が多いのがパンと言うものなのです。

何故かと言いますと、それはパンが焼けて行く為には、庫内に大量の湿気が必要だと言う事と、高温を維持しなければならないと言う点に関係があるのです。

高温と言う事だけで言えば、家庭用のオーブンでも十分高温域が出せます。

しかし、そこに十分な湿度を蓄えられないと、パン生地はすぐに表面が乾燥してしまい、それ以上大きくなれなくなってしまうのです。

自らが出した水分の蒸発によって、オーブンの庫内に十分な蒸気がたまり、その蒸気があるお陰でパン生地は滑らかに膨らんでいく事が出来るのです。

つまり、パンを焼くには蒸し焼きのような環境が望ましいと言う事になります。

しかし残念ながら、家庭用のオーブンはどちらかと言うと乾燥焼きのような状態になっていることが多いと思われます。

これは、蓋を開けるとすぐに熱と蒸気が逃げてしまうような構造になっている為で、家庭と言うスペースの関係上致し方ないと言えるでしょう。

そんな蓄熱性に優れていないと言うオーブンなのに、なぜクッキーは上手に焼けるのでしょうか?

それは、そもそもクッキーには、水分がパンのように多くないと言う事に関係があるのです。

クッキーと言うのは、パン生地と違ってふわふわしていませんね。

当たり前の事だと言われそうですが、そもそもパン生地がふわふわしているのは、小麦粉と水が全体に占める割合が多い食べ物だからです。

そして更にそれを膨らませる為の酵母まで入っていますしね。

しかし、パン生地に比べると、クッキーと言うのはメインが小麦粉と水ではありません。

むしろ、砂糖と油脂がメインで、それらのつなぎ役として小麦粉が登場する訳ですね。

と言う事は、そもそもオーブンの中でたくさん膨らませなければならない物ではありません。

更に、もともと水分をたくさん含んでいないクッキー生地は、蒸気を大量に放出することはありませんし、膨らまなくて良いのですから、庫内にある蒸気が外へ逃げてしまっても構わないと言う事になります。

蓄熱性のある業務用オーブンでは、どうしても少量の蒸気であっても、逃がさずに貯め込んでしまいます。

すると、サクサクが売り物のクッキーのはずが、変にしっとりしてしまったり、焼き色が綺麗に付かない事になってしまいます。

そこで、あえて蒸気を庫内から逃がさなければならなくなるのです。

そう考えると、初めから適度に蒸気が逃げる家庭用のオーブンの方が、向いていると言えるのではないでしょうか?

また、クッキーと言うのはあまり立体的なものはありませんよね。

そもそもが薄く焼く食べ物ですね。

ですので、適度に蒸気を逃がしながらの乾燥焼きが出来る家庭用のオーブンの方が、サクサクとした軽い食感のクッキーを作るのに適していると言えるのです。

では、パウンドケーキのように立体的で、かつ、そこそこの大きさがあるものが、はたして家庭用のオーブンに向いていると言えるのでしょうか?

パウンドケーキは、パンほどではないにしても、そこそこ膨らみますね。

しかし、パンで使う酵母とは違って、ベーキングパウダーで化学反応によるガスを出す事と、卵などの気泡性の力によって膨らむパウンドケーキは、熱に非常に敏感なのです。

どう言う事かと言いますと、パンの酵母は一度熱を与えて目覚めさせてしまうと、そう簡単には活動を止める事が出来ないのに対して、ベーキングパウダーの化学反応は、加熱されれば発砲し、加熱を弱めればすぐに発砲も弱くなるのです。

そう、アクセルを踏めば加速し、アクセルから足を離せばすぐに減速する車のエンジンのようなものなのです。

パウンドケーキを上手に焼くコツは、しっかりと中心まで熱を通すという段階と、程良く膨らませると言う段階を分ける事にあります。

つまり、火力の強弱を使い分けて、前半に強火で良く膨らむようにし、後半でしっかりと中心まで火を通すと言うような何段階かの焼き方が望ましいのです。

しかし、パン用の業務用オーブンでは、熱を上げたり下げたりと言う事を瞬時に行う事は困難なのです。

ですので、熱の強弱が瞬時に行える家庭用オーブンで焼いた方が、美しいパウンドケーキが出来ると言う訳です。

ただし断っておきますが、全ての家庭用のオーブンがそうとは言えませんし、逆に焼き菓子が得意な業務用オーブンも当然ありますので、一般的な私の経験から判断した場合だと言う事を付け加えておきます。

クッキーの場合は、大抵一つが小さいでしょうし、薄いと思いますので、15分程度で焼けますよね。

しかしパウンドケーキは立体ですから、全体に火が通るまでには40分から一時間はかかりますね。

でも、パンならそんなに焼いていたらカッサカサのバッリバリになってしまいますし、あの大きな食パンでも40分以上は焼きませんよね。

それに、例えばロールパンを10分で焼こうとした場合、後5分も余計に焼いたら焦げてしまいますよね。

でも、これがパウンドケーキなら、5分や10分余計に焼いても何ともありません。

不思議ではありませんか???

だって、パウンドケーキの方が断然砂糖が多く入っているのにですよ・・・・・

このように、焼くと言う事を科学的に考える事は非常に大切な事だと思います。

料理の世界にも通じる、皆様のもっとも身近な科学ですよね。

そうは言っても、今日も食パンを焼き続けているのでしょうね~

いやいや天晴れ天晴れ(#^.^#)


Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://sizuasa.blog44.fc2.com/tb.php/270-8819b1f5
該当の記事は見つかりませんでした。