ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

食パンとフランスパン、冷凍に向いているのはどっち?

こんな質問をいただきました。

私の行きつけのパン屋さんでは、食パンはスライスしたものを一枚一枚別々に袋に入れて冷凍するようにと教えてくれるのですが、そうするとパンのスライス面に氷が付いてしまい、解凍する時にべとべとになります。

スライスしないで丸ごと冷凍しておいた方が、氷が付きにくいと思うのですが、これって正しいと言えますか?

それとフランスパンのバタールを冷凍保存すると、食べる時に皮がはがれれてしまうのですが、バタールは冷凍には向いていないのですか?

それとも冷凍の仕方に原因があるのでしょうか?



食品の冷凍には、それぞれコツのようなものが存在しますよね。

皆様も家庭においては、色々なものを冷凍してみてはうまくいったり失敗してみたりを繰り返しているのではないでしょうか?

冷凍、つまり物を凍らせると言うことですが、食品を凍らせる際に注意が必要なのは、いざ食べるときにスムースに解凍できるように凍らせておくという事だと考えます。

一度冷凍してから解凍されたものは、再び冷凍すると味が極めて悪くなるということは誰でも知っていると思います。

ですから、解凍は一発勝負しかありませんね。

そう考えると、食パンを塊で冷凍しておいた場合、解凍後は速やかにすべてを食べきらなければならないことになります。

大家族なら問題ないことでしょうが、そうとばかりも言えないですよね。

食パンなら、解凍後も数日は持つと思われますから、何が何でも一日ですべてを食べてしまわなければならないわけでもありませんしね。

しかし、行きつけのパン屋さんが教えてくれているように、一枚一枚が個別に冷凍されていた方が、何かと便利であることは間違いありませんし、実際にはそのように冷凍されている方が圧倒的多数だと思います。

どちらも間違いではありませんし、どのように冷凍しなければならない、またはどのように冷凍するべきだというほどの冷凍法があるわけでもないと思います。

ただ、解凍がスムースに行えて、好きな時に好きなだけ食べることができる方が便利だということで判断していただければ良いと思うのです。

とは言え、スライス面が凍りついたりすると、これは味に影響を及ぼすことは間違いありませんね。

パンに限らず、冷凍食品というものは、時間が経つにつれてどんどん氷が多くなっていきますよね。

特に冷凍野菜!!!

ミックスベジタブルなんかは、数ヶ月すると氷がたっぷり付いて、買った時よりも重くなっていたりして・・・・・

ブロッコリーなんかは冬化粧ですしね(笑)

これらの冷凍食品に張り付いてしまう氷君は、どうしてこうもすぐに増えてしまうのでしょうか?

スライスした食パンの断面にも、すぐに氷が付きますし、塊で冷凍していても結局はパンの周りが氷だらけになってしまうことがあります。

食品全般にほぼ同じことが言えるのですが、冷凍にはややコツがいります。

家庭での冷凍保存法などは、賢い主婦の知恵の方が私などよりも数段優れていると思われますので、ここではあくまでパンの冷凍に関してのみ解説していきたいと思います。

冷凍法の前に、パンを冷凍するということは、パンにとってどのような利点あるいは障害などがあるのかを考えてみたいと思います。

パンは、焼成後時間の経過とともに、どんどん味も香りもソフト感も失われていきます。

それはつまり、パンの持つ水分が大気中に蒸発していき、やがては乾燥してしまう運命にあるからですが、それを防御するシステムが冷凍保存だということになります。

焼成後にビニール袋に入れることで、パンの乾燥はそこそこ防げるのですが、このビニール袋というのも実は万能ではなく、目には見えませんが無数の穴が開いており、しっかりとそこから水分が蒸発しているのです。

ですから、やはり凍らせることが一番なのですが、パンが凍るということはいったいどんな状態になってしまうのでしょうか?

パンという食べ物は、ああ見えて水分の多い食べ物の部類に入ります。

パンが凍るということは、実際にはパンの中の水分が凍るのであって、例えば油脂分や小麦などは凍りはしないのです。

小麦粉を袋に入れて冷凍庫にしまっても、凍ることはありませんね。

それは、水分が極端に少ないからなのです。

と言う事は、食品が凍ると言う事は、食品中の水分が凍る事なのだということが解ると思います。

そして、この水分というのは、凍ると少し大きくなるのです。

しかも、ただ大きくなる訳ではなく、ごつごつとした形状になり、とげとげしく大きくなるのです。

するとどういうことになるかといいますと、そのごつごつが内部の組織を傷つけてしまうのです。

パンというのは、食感の違いが色々と楽しめる食べ物ですよね。

サクサクしているパンもあれば、引きが強いパンもある。

しっとりしているパンもあれば、なめらかな感じのパンもある。

それは、小麦粉の強さであったり、こね方であったり、副材料の多さであったり、それらをコントロールすることで、様々な食感のパンが完成するわけですが、冷凍することでそれらの組織が、氷によって破壊されてしまうのです。

するとどうなってしまうのか?

せっかくつながっている組織が破壊されると言う事は、もろくなる・・・・つまりサクサクとした口当たりになるのです。

これは、冷凍期間が長ければ長いほど氷が大きくなり、それにともない組織がより破壊されますので、さらにサクサクとした口当たりになるということなのです。

ほんの数日の冷凍ならあまり感じることはないと思いますが、冷凍期間が長引くほどパンはもろい感じの食感になるのです。

しかし、これはけして欠点というわけではありません。

そのような食感が好きで、あえて冷凍してその食感を楽しんでいるという方も多いと思います。

質問者様の言うバタールの皮がはがれるという現象も、一つにはこの氷による破壊活動によって全体的にもろくなってしまったことが原因なのです。

しかし、バタールの表皮がはがれるという現象には、実はもうひとつ理由があるのです。

それが乾燥なのです。

つまり、表面が乾いてしまったことによるはがれだということなのです。

冷凍庫内には、冷気という風が吹いています。

この風によって、少しずつ全体が乾燥していくことになるのですが、その時に乾燥からパンを守ってくれるのが油脂や砂糖などの副材料になります。

しかしバタールには、その副材料たちが入っていません。

結果、バタールは冷凍すると表皮から順に乾燥してしまい、表皮がペリペリとはがれやすくなってしまうのです。

また、パンのスライス面に氷が付くという事でしたが、そもそも氷がどんどん増えていくのはなぜだと思いますか?

冷凍庫の扉を少しだけ開けて、10分ほど放置してから中をのぞいてみてください。

うわ~綺麗な雪景色・・・・・・な~んてことになるはずですね。

冷凍庫で一度凍った食品は、その後に何の変化もなければ、極端な話数年でも品質は維持されるでしょう。

その変化というのは、外気による温度変化が原因なのです。

そうです、開け閉めによる温度の変化が、氷を増産している訳ですね。

しかし現実には開け閉めをなくすことは不可能ですよね。

ですから、実際にはこの開け閉めによる温度変化をなるべく受けないようにする工夫が、冷凍食品を長持ちさせる工夫になるわけですね。

ではその工夫とはいったいどのようなものなのか?

それは、袋を2重にしたり3重にしたりして、とにかく温度変化から身を守ること、それからなるべく空洞を作らないで綺麗に重ねて収納することだと思います。

普通なら、重ねたら冷えないじゃん・・・と言いたくなるところでしょうが、凍った食品は皆すでに氷のようなものなのですね。

ですから、お互いがお互いを冷やしてくれますので、なるべくくっついているほうがより冷えるということになる訳です。

しかも、ひっついていると隙間風が入ってこない為に、氷も付きにくくなるのです。

開け閉めをすばやく行うとか、なるべく開けないとか、様々な工夫はすでに行っている事と思いますが、やはり限界はありますよね。

食パンのスライス面に氷が付くまでならともかく、白く乾燥してパサパサになってしまうこともあると思います。

氷が付いてしまった食パンは、必ず氷をしっかりと取り省いてから別のビニール袋に入れ替えて解凍すると良いと思います。

また、白く乾燥してしまった食パンは、新しく買ってきた食パンの中に混ぜておくと、隣から水分を吸収して元通りになります。


という事でまとめますと・・・・

フランスパンも食パンも冷凍はできますし、個包装でも塊でも個人の自由です。

ただし、氷が付かないようにビニール袋を2重にし、しっかり密着させて保存する事。

食パンよりもフランスパンの方が乾燥しやすいので、冷風があたらないように保存する事。

冷凍することにより、食感にサク味が出ますが、風味が長持ちしますので、パンの保存には冷凍が一番だと言えると思います。

冷凍・・・・神秘ですね~

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