ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

原材料と配合からケービングを見る

パン屋さんには無くてはならない存在なのが、そう食パンですね!

そして、恐らくは日々ケービングと闘っている事と思います。

結論を先に言っておきますが、ケービングするよな焼き方しか出来ない人がいます。

このような方は、発酵状態の最良を見極める事ができていませんし、オーブンの中のパンの配置もいい加減だと言えます。

焼成後に無残に潰れてしまうようなパンを目の当たりにして、気にはならないのでしょうか?

その様な焼き方をする方々には、何度もそう問いただすのですが、気にはなりますよという答えが必ず帰ってきます。

がしかし、だからといって何か行動を起こすでもない・・・・・

ちょっとその気になれば良いだけの話だと思うのですが、ケービングする様なパンを平気で毎日焼いている人を、私は実にたくさん見てきました。

そんな人を雇ったパン屋さんは、実に不幸です。

ケービングなどと言うものは、パン屋にとっては基本技術の領域です。

それを商売としているプロであるならば、ついうっかりと言う事はあるにしても、日常的にそれに対処出来ないままで過ごすというのは、あまりにもふざけていると思います。

思い起こせば高校卒業後にパンの世界に入り、一番最初におかしいと感じたのが、ケービングしたパンを平気でお店に並べる工場長の態度でした。

発酵オーバーのパンを、それ以上伸びないようにと上火を強くして焼かれたパンは、下も横も真っ白で、ただ唯一上だけが焦げたようになっている・・・・

私はなぜか、そのパンを航空母艦と呼ぶようになったのですが、まるで飛行機が離発着しようとも、びくともしないようなツルツルでパリパリの表皮を見た時に、自然とその様な表現になりました。

どうして下火も強くしないのだろう???

なぜ、毎日毎日発酵オーバーにさせるのだろう?????

もっと早くオーブンに入れれば済むのではないか????

常に横が折れてへこんでいる食パンを見るにつけ、何とも言い難いむなしさを感じたものでした。

そして、生意気にも工場長様に、もう少し早めに焼いた方が・・・・・

すると、しょうがないんだよ、でもだいじょうぶなんだよあれで・・・・・・と一括。

少しでも早く、この人を言い負かせられるだけの知識と技術を身に付けなければ、いつまでたっても腰折れした情けないパンが焼かれてしまう・・・・・

この世界で自分の言い分を通すには、絶対的な技術と理論武装が必要なのだと言う事を痛感した瞬間でした。

当時19歳の頃でしたね。

その頃は当然、ケービングの発生する理屈などは知る由もなかった訳ですが、しかし何となくこうなんじゃないかな???と言うことぐらいは解るものですよね。

しかし、じゃあどうしろと言うんだよ!!・・・・そんな風に目上の人に言われて、こうすべきだなどと言える程の確信も無い。

なつかしい思い出です・・・・・

・・・・とこれまた前置きが相当長くなってしまった(~_~;)

今回は、ケービングに関係してくる原材料について、解説しておきたいと思います。

そもそも、例えばフランスパン生地を型に入れ、そのまま食パンとして焼いたとしましょう。

砂糖が入っていない為に、相当強火で焼かないと、特に側面には色がなかなか付いてきません。

しかし、そんな白く焼けてしまった食パンでも、まず横がへこんだりする事はないはずです。

なぜか???

シンプルな配合のパンと言うのは、とても骨格がしっかりとしていますので、折れたりする事は無いのです。

と言う事は、逆に考えれば、副材料が入れば入るほど、コシが折れやすいパンになると言う事にもなる訳ですね。

では、どんな材料がケービングに大きく影響を及ぼす事になるのでしょうか?

その代表選手が 油脂 ですね。

油脂量が多くなればなるほど、パンの内面はソフトになり、表皮はもろくなります。

焼成中に水分が蒸発していくのですが、油脂分が多いと、少ないパンに比べて水分の蒸発が行われにくくなります。

と言う事は、同じ位の時間焼いたとしても、水分がしっかりと残ったパンになり易くなる訳ですから、その分体重が重くなります。

そして、油脂分が多いと言う事は色付きが早いですから、見た目には早く焼けてしまう。

しかしそれは見た目だけであって、中の水分はしっかりと残っている。

おまけに表皮はもろい・・・・・

結果、焼成後の数分で、中の水分が表皮に移行し、ただでさえももろい表皮が更に柔らかくなり、体重を支えきれなくなるのです。

この時、油脂の種類はあまり関係なく、あくまで量が多いかどうかによります。

この時のケービング対策としては、やや火力を落として長めに焼く事です。

ある程度の表皮の厚さが無いと、どうしても潰れやすくなるからですね。

油脂の多いパンというのは、多少表皮が厚くてもしっとりとしてきますので、とにかく全体重を支えられる強い表皮にする事が大切なのです。

また、同じく油脂分として考えられる材料に生クリームがあります。

生クリームを配合したパンの表皮は、非常にしっとりとしてきます。

ですので、油脂が多い時と同じように、骨格をしっかりと作る事が必要になります。

さて、次に重要なのは重い混ぜ物です。

その代表と言えば、やはりレーズンでしょうか?

お店に行った時に、レーズンブレッドがケービングしているかどうかで、そのお店の技術力が解ります。

レーズンの配合量が多ければ多いほど、当然ながらしっかりと焼き込まなければなりません。

焼成中には、生地の水分の蒸発は常に行われる訳ですが、中にあるレーズンの水分はというと、ほとんど焼き上がりまでそのままになります。

ですから、焼成直後はしっかりとしたパンであるかのように見えても、時間の経過と共にレーズンの水分が表皮にも移行し、骨格が弱いとだんだん潰れて行く事になります。

油脂もレーズンもそうですが、これらのケービングに影響を及ぼす材料を配合したパンの場合は、出来るだけ体積の少ないパンにするのが一つのコツになります。

大きな型で、しかも蓋をしない山形で作ろうと考えた場合、表皮に占める全体重があまりにも多くなり、極めてケービング回避が困難になるでしょう。

しっとりとした食パンを作りたいと言う気持ちが、結局ケービングを産む事になるのですが、あまり食パンという型焼きパンに執着せずに、天板で直に焼くパンにするとか、あるいは小さめの型にしてみるのも良い方法だと考えます。

次に、油脂と混ぜ物意外にも気をつけなけえばならない事があります。

それは、ズバリ小麦粉です。

小麦粉以外の材料の配合が同じパンの場合は、小麦粉の強さ、つまり強力粉なのか最強力粉なのか、はたまた中力粉や薄力粉をブレンドしたかどうかによって、パンの骨格の強さが違ってきますね。

当然最強力粉を使えば、骨格はその分強くなる訳です。

しかしです・・・・・・・

この時気を付けて考えなければならないのは、小麦粉が強くなると、オーブンの中で非常に良く伸びると言う事なのです。

良く伸びると言う事は、風船一つ一つが大きくなると言う事であり、それは風船が薄くなると言う事でもある訳です。

成形時などでは、最強力粉を使う事によって、強力粉よりも風船の数そのものも当然多くはなります。

しかし、焼成中に風船の数が増える訳ではありませんから、良く伸びれば伸びるほどに、風船はどんどん膨らんでいき、一つ一つがマックスまで膨らみます。

するとどうなるのか?????

焼成後にしぼみやすくなるのです。

つまり、予想以上に伸びてしまう事で、戻ろうとする力が働いてしまうのです。

そうなると、おのずと腰折れしたパンの完成となる訳ですね。

強い粉を使った時に、生地が異常なまでにオーブンで伸びて行く為には、たくさんの水分とたくさんの油脂が必要になります。

解り易く言うと、例えばブリオッシュは油脂が非常に多い代表選手ですね。

この生地で山形食パンを作ればわかりますが、恐ろしいほど良く伸びます。

そして、かなり黒くなるまで焼いたとしても、必ず腰折れするはずです。

ですから、実際にはブリオッシュをそのまま食パンにする事は無く、小さな型で焼くか、直焼きにしているのですね。

さて、以上紹介した材料意外にも、砂糖や卵なども当然配合量が多くなればなるほどケービングしやすくなる訳ですが、大きく違う所は、油脂は表皮そのものに影響してくると言う点と、レーズンや砂糖や卵などは、色付きが早くなる事で水分の蒸発が不十分なうちに焼成を終えてしまう傾向があると言う点です。

これらをレシピでしっかりと確認した上で、どのように焼く事が最良なのかを見極めてみてほしいと思います。

ケービングしてしまう理屈は、掘り下げればきりがないほどの理由があります。

生地の一つ一つに、違った理屈がある訳です。

しかし、そんな理屈は知っていようがいまいが、要は改善する気があるかどうかです。

すべて気持ちの問題です。

自分で解決しようとしない人は、一つが解決しても、また違ったパンでケービングを起こします。

そんな応用力のない、情熱の薄い、プロ根性に欠けた人を許してはいけません。

さあ、静かなる戦いを初めて下さい・・・・職場とお客様とパンの為に・・・・・

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