ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

自家製天然酵母で作る食パンについて

天然酵母をご自宅で作られている方がたくさんいらっしゃるのですね(*^_^*)

意外でした・・・・

質問を下さる方の中にも、実に大勢いらっしゃる・・・・

パン教室主催者様の中にも大勢・・・・

皆さん本当にチャレンジャーですね~

むしろパン屋さんの方が天然酵母なんて作った事がない・・・・と言う方が多いと思います。

天然酵母に関しては、考え方や注意点も含めて別のカテゴリにて書いておりますので、ここでは細かくは触れません。

今回説明しておきたいのは、天然酵母で作るパンには向き不向きがあると言う点です。

安心安全なパンを作りたい、個性豊かなパンを作りたいなどの様々な理由から、天然酵母を作る事に行き着く方がいらっしゃいますが、質問を下さる方の大半が、やや天然酵母パンに対して誤解している部分が多いのが気になります。

ご家庭でパンを作っていらっしゃる方はもとより、パン教室主催者様でも勘違いされている方が非常に多い。

それはどんな点かと申しますと、酵母の種類によっては、パンの完成度は大きく違ってくるのだと言う点なのです。

皆さんそうだと思うのですが、初めはインスタントイーストでパンを作ると思います。

そしていつしか天然酵母に行き着く事になりますよね。

しかし、その際どうしてもインスタントイーストで作っていた頃のような品質を求めてしまうようなのです。

やり方によっては、絶対にうまくいかないとは申しません。

ただし、それにはかなりの知識と技量が必要であり、ご家庭での天然酵母パン作りでは、大抵の場合以前とは違う商品が完成してしまいガッカリ・・・・

どうすれば良いのでしょうか???

という質問になってしまうようなのです。

そしてその代表的なパンと言うのが・・・・食パンなのです。

食パンは、家庭用のオーブンではそもそも不向きなパンだと常々申し上げているのですが、どうしても食パンが作りたいという方々が多いのです(ー_ー)!!

解りますよ、気持ちは・・・・・・

ですから、作るなとは申しません(@_@;)

そのかわり、あまり多くを求めてはいけません。


今回は画像を用意しましたのでご覧ください。

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これは、レーズンから起こした一般的な自家製酵母を使った食パンの画像です。

ご覧のように、上部がスカスカな感じになり、表皮がパリパリしていて剥がれ落ちそうですね。

画像を送って下さった方は、とても悩んでいらっしゃいます。

他の方が送って下さる天然酵母パンは、これよりさらにひどいものが多いと言えます。

さあ、この画像のパンを見て、皆様はどう思われたでしょう???

それは、なんだこりゃ~・・・・と言う方もいらっしゃれば、何が悪いの????と言う方もいらっしゃるでしょう。

それ位品質に関する見方は千差万別なのです。

では専門的にはいかがなものなのでしょうか?

結論から申し上げますと、美味しそうな天然酵母パンだと私は思います。

クラム(内層)に甘みがありそうなのが良く解りますし、十分に時間をかけて発酵させたパンであると感じます。

なのに質問者様は何が悩みなのでしょうか?

それは見た目なのですね。

つまり、一般的に売られているようなパンとは大きく違うと言う点が、気になるのだと思うのです。

確かに、通常の食パンとは大分違いますし、売られている天然酵母パンとも少し違うとは思います。

しかし、このパンは事実とても良いパンです。

ましてや家庭やパン教室で作る食パンとしては、かなりのレベルであると言えます。

根本的には何の問題もありません。

ではどこに問題があるのか???

それは、売り物のようなパンにしたいと言う場合には、確かにこれではまずいと言えますね。

せっかくの美味しそうなパンも、やはり見た目が悪いと、どうしても売り物としては合格点とは言えないかもしれませんね。

このパンを売り物のような見た目の良いパンにする事は当然出来ます。

しかし、それはここでこうですよと言うような簡単な事ではありませんので、残念ながら具体的には触れません。

ただ、どうして見た目がこうなってしまうのか???と言う部分について、そのプロセスを簡単に説明しておきたいと思います。

まずこの画像のパンの内層は、極めて細かく、しかも艶があります。

ただし、全体的にはかなり不揃いな気泡となっています。

これが天然酵母特有の内層と言えるのですが、このパンの内層は十分に時間をかけて発酵させた事を物語っているのです。

天然酵母と言うのは、時間をかける事によって旨味が増します。

それはある意味イースト菌のパンもそうだと言えなくもないのですが、イースト菌の場合はどうしても短距離ランナーのようなもので、あまり長時間には耐えないのです。

しかし天然酵母は、時間をかけて、さらにパンチなどで新しい空気を入れる事によって、どんどん発酵力も旨味も増していくのです。

ですから、生地の分割時や成形時には、かなりの膨らみを感じる事も出来ると思うのです。

これを焼けば、かなり膨らむはずだと・・・・・

しかし結果は、画像のように上部がスカスカになる事が多い・・・・

なぜなのか????

理想的な食パンと言うのは、もちろん隅々までしっかりと膨らんでいて、それでいて耳も硬そうではありません。

この画像のパンも、途中までは天然酵母が必死でガスを出し、細かい気泡を作り出していました。

しかし、あと少しと言う所で残念ながら力尽きてしまったのです。

食パンは、蓋の部分にしっかりと届いていないと、蓋をしないで焼いたのと同じ事になります。

蓋に守られずに、表皮だけが直火によって焼き過ぎになり、結果パリパリになるのです。

上部に大きく空洞が出来るのが、そこまで膨らんだ状態で力尽きてしまった証なのです。

天然酵母と言うのは、イースト菌に比べてオーブンの中でのガス発生能力が非常に劣ると言えるのです。

どんなにしっかりとした生地に仕上げたとしても、オーブンの中で蓋まで届くほどの力強いガスを出す事は難しいのですね。

パンと言うのは、食パンのように型に入れて、希望の形に仕上げるパンと、成形したものをそのまま天板に乗せて直に焼くものに大別されますね。

天然酵母のパンというのは、あくまで一般論ですが、型に入れて焼く場合はとても工夫が必要になるのです。

ですから、型に入れないパンとして完成させるのが理想だと私は思うのです。

油脂を入れるか、あるいは砂糖の配合量などによって大きく違っては来ると思いますが、あくまで自家製で作る天然酵母のガス発生力というのは、イースト菌のようにはいかないのだと言う事を認識しておいていただきたいと思うのです。

また、パンの美味しさ、そして旨味というのは、焼成による香りを外しては語れません。

そう考えると、型に入れて焼くより、やはり直焼きにする方が理にかなっており、噛むほどに味わいのあるパンになるのではないかと思うのです。

今回は天然酵母とひとくくりで表現しましたが、うちの酵母は食パンも平気で焼けると言う方も勿論いらっしゃるでしょう。

どんな素材をベースにして、それをどう強くしていったかによって、様々な顔を見せる天然酵母ですが、それだけに深い理論も経験も必要なのだと言う事を、どうかお忘れなく。

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