ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

フランスパンの美味しさはクープで左右されるのか?

圧倒的質問内容No1なのが・・・何をかくそうフランスパンについての質問です。

ホームベーキングの方々はもとより、パン屋さんからも非常に多い。

そして、その内容と言うのは、美しいクープが出来ないのはなぜか???

という問い合わせなのです。

パンの美味しさ・・・・と言うのは、単に味が良ければいいと言うことだけではなく、見た目の美しさにも大いに関係してくると言う事が言えると思います。

皆様からの質問の多くは、どうしたら味が良くなるか・・・ではなく、どうしたら美しいクープが出来るかを教えて欲しいというものがほとんどです。

バタールやバゲットのクープの美しさに、興味をもっていただけることは、個人的には非常~にうれしい!

しかし、美しいクープが出来ていなければ、パンの美味しさは半減してしまうものなのでしょうか?

それとも、クープはあくまでも飾りであり、別に味には影響がないのでしょうか?

今回は、そのあたりを含め、フランスパン作りに必要な要素について考えてみたいと思います。


こんな質問を度々いただきます。

どうしてこうなってしまうのでしょうか?・・・と言うパンの画像付きの質問で、クープが割れていないもの。

成形が悪いのでしょうか?

蒸気の入れ具合が悪いのでしょうか?

捏ね方が足りないのでしょうか?・・・・等々、

出来る事なら美しいクープを出したいという気持ちは、痛いほど解ります。

現実に、それが売り物であったら、その店の技術力がクープの良しあしによってばれてしまうでしょう。

私は悲しい位字が下手なのですが、字というのも、綺麗な人の書いた文書というのは、とても説得力を持ちますよね。

いくら内容が良くても、汚い字だとどうもスッキリしない・・・・

では、クープの良しあしでパンの味は変わってくるのでしょうか?

それはもちろん、まったく関係ないとは言えません。

なぜなら、火の通りが変わってくるからですね。

しかし、全く違うと言うほどの物ではないと私は思います。

パン屋さんはともかくとして、家庭におけるフランスパン作りにおいては、クープと言うのはむしろ気にしない方が良いというアドバイスをしています。

そちらに気をとられて、どうしたら美しいクープが出るかだけを追ってしまっている傾向があるからです。

また、家庭における最大の弱点と言いますか、どうしようもない現実とでも言うべきでしょうか、そもそも綺麗なクープが出る方が奇跡だと言う事を知って頂きたいと思うのです。

それはなぜか???

それは、オーブンの焼成能力がパン屋さんのオーブンに比べると、圧倒的に劣るからなのです。

これだけは、いかんともしがたい現実なのです。

もちろんそれでも美しいクープを出せない訳ではありません。

それなりの工夫をして、美しいクープをいつでも出せると言う方もたくさんいらっしゃることでしょう。

しかし、パン屋さんの数倍、技術が必要になってくるかもしれません。

パン屋さんの場合は、綺麗にクープが出来ないのは、残念ながら技術がない、またはセンスがないだけだと言えます。

しかし、それに加えて家庭ではオーブンの性能とも戦わなくてはなりません。

ですから、高性能なオーブンを備えた専門店に匹敵するような美しいクープを追い求めようとすると、おのずと挫折する事になるのです。

技術とセンスだけでは、どうにもならない事もあるということですね。

では、パン屋さんには高性能なオーブンがあるのに、どうして綺麗なクープが出せないパン屋さんがあるのでしょうか?

それは残念ながら、クープその物にあまり興味がないのではないかと考えます。

そんな事を言うと、パン屋さんに叱られそうですが、実際にパン屋さん程の設備がありながら、または日々あれ程の数をこなしながら、それでも綺麗なクープが出せていないという事は、どう考えても興味がないか、または怠慢でしょう。

パン作りにおける技術と言うものには色々あります。

もちろん鮮やかなクープを出す事が出来るのも技術と言えますし、発酵状態を見極めるのも技術の一つです。

ミキシングの具合を判断するのも技術ですし、分割や成形のスピード、または段取りに至るまで、技術を必要としない作業は一つもないと言えると思います。

トータル的な技術力を持った職人もいれば、得意不得意がはっきりしている職人もいます。

初めからまったくクープなどには興味がないという職人もたくさんいる事でしょう。

それとは逆に、美しさばかり求めて、見た目の良いパンばかり作る職人もいます。

どちらが良いかはお客様が決める事ですから、おのずと答えは出てくる訳ですが、要は自分の職人としてのスタイルがはっきりしていれば、どちらでも良いのではないでしょうか。

ご家庭でも、クープにこだわらないフランスパンなら、いくらでも美味しいものが焼けると思うのです。

納得いかない部分もあるとは思いますが、ここはクープ以外でこだわりを演出する方向に切り替えてみる事をお勧めしたいと思います。

クープの美しさ・・・・・と言う事を少し頭から切り離しまして、ではどうしたら家庭で美味しいフランスパンが焼けるかを紹介したいと思います。

フランスパンの原材料というのは、いたってシンプルです。

これだけは、超有名店であろうとご家庭であろうと、違いはありません。

小麦粉・塩・イースト・水、そして出来ればモルトエキスがあれば完璧です。

モルトエキスは、製菓製パン材料取り扱い店で少量でも売られていますので、是非使って下さい。

日持ちしますので・・・・

モルトエキスを入れると、何がどう良いのかと言いますと、皮に甘みがでます。

そして、全体的に風味が良くなります。

そして、火の通りが良くなり、しっかりとした焼き色が出ます。

砂糖を含まないフランスパンは、焼き色がぼけることがあり、もう少し焼こうと思ってつい焼き過ぎてしまう傾向があるのですが、モルトエキスが入る事で、色付きも良くなるのです。

水や塩にこだわる方もいらっしゃると思いますが、それらの違いはなかなか最終製品には現れませんので、こだわる方のみ色々と試してみるのも良いかもしれません。

ただし、超軟水や超硬水などは使わない事です。

次にイーストですが、天然酵母を使用した場合は理屈が全く違いますので、ここはあくまでイーストでの説明をしておきますが、イーストはインスタントドライイーストのフランスパン用が最良です。

これは、フランスパンの美味しさと言うのは、皮の香ばしさが非常に重要な要素になるのですが、イーストそのものの香りが、フランスパンに絶妙にマッチしているからなのです。

生イーストや菓子パン用のイーストでは、香りは全く違ったものになってしまいます。

そして最後に小麦粉ですが、フランスパン専用粉と言うものが多く販売されています。

どの専用粉を使っても、十分美味しいフランスパンが出来るのですが、最近ではフランスから輸入されている専用小麦粉が販売されています。

価格は驚くほど高いのですが、味も驚くほど美味しいものになります。

ただし、取り扱いは非常に難しくなります。

なぜなら、ベタベタしますし、コシがないのでベターっとしたパンになりやすいので、一部ブレンドして使うなどの工夫が必要かもしれません。

また、うどん粉をブレンドしても驚くほど美味しくなります。

強力粉で作る事ももちろん出来ますが、粉の味そのものは、圧倒的にフランスパン専用粉、つまり中力粉の方が良いと言えます。

また、強力粉で作るフランスパンは、どうしてもふんわりとしたパンになってしまう為、お勧めは出来ません。

原材料選びはこの程度で十分です。

問題は作り方ですが、ここでは技術的な事には触れる事が出来ませんので、技術以外の要素を説明しておきます。

まずインスタントイーストの配合量ですが、小麦粉1000gに対して8gまでとし、トータルで4時間半から5時間で完成させるのが基本です。

生地の捏ね上げは23℃から25℃の低温を必ず守って下さい。

捏ね方は混ぜる程度で良いと思います。

分割するまでに3時間発酵をとりますが、その間に2回パンチを行って下さい。

つまり、60分で一度パンチし、また60分経ったらパンチし、その後60分たったら分割と言う具合です。

パンチは軽く行って下さい。

生地の硬さは柔らかめが良いと思います。

家庭においては、2回パンチ後に生地を休ませた後、つまり合計3時間経過した後、生地をまな板の上にそっと出し、軽く叩いて大きなガスだけを抜きます。

その生地をヘラで適当な大きさに切り分け、丸めたりせずにそのまま天板にのせて30~40分最終発酵をとります。

その後好みの切り込みを入れて、多めの蒸気と高温で焼き上げます。

岩のようなフランスパンが完成しますが、変に馴れない成形をするよりも、このやり方がパンにとってとても良い状態で焼き上がるのです。

パン屋さんでは、このような形のパンを、ル・スティックという名前で販売しています。

噛み締めるほどに甘みのある、最高のフランスパンが完成します。

捏ね方や成形にとらわれるのではなく、捏ねずにパンチと発酵で生地を作り、成形しない事でフランスパンらしい荒々しい内層を作り出す製法です。

馴れてきたら、クルミやレーズンなどを一緒に練り込んだり、ハーブやチーズなどを練り込んだりと、アレンジは無限ですし、成形技術は要しません。

しいて言うなら、パンチの具合と保管する温度と入れ物、そして何と言っても捏ね上げ温度が重要です。

フランスパンの美味しさと言うのは、キメ細かい温度管理により、素材の美味しさを最大限に生かせるかどうかにかかっています。

ほんの少し捏ね上げ温度が違っただけで、完成品は全く違った風味になってしまうのです。

フランスパンが売れ筋の超有名店がありますが、そこと家庭での違いと言えば、オーブンの性能と技術だけなのです。

特別な材料がある訳でもなく、特別なレシピがある訳でもないのです。

私自身も、どうしたら有名店のような見た目にも素敵で、かつ美味しいフランスパンが作れるようになるのかを理解できるまでには、随分長い年月がかかりました。

レシピを知りたくて知りたくて、あらゆる手を使って有名店のレシピを手に入れようとしたものです。

しかし、そこには何の秘密もなかったのです・・・・・

基本を知らなかっただけ・・・・ただそれだけでした。

レシピも製法も至ってシンプル・・・

それだけに、微妙な温度管理と、製パンセンスがものを言うフランスパン・・・・

そのあたりを確認しながら、または小麦粉を少しずつ変えながら、自分だけの絶妙なバランスを身に付けて欲しいと思います。

きっとクープだけが技術ではないという事が、解って頂けると思いますよ(*^_^*)

1 Comments

まつ says...""
以前有名なパン屋の店主がテレビに出てました 厳しい方で焼け方が気に食わないパンは撥ねてました 
そのパンが映ってましたがどこがどう悪いのかわかりませんでした 
プライドの問題なのでしょうが理解しがたい場面でした
2015.04.14 15:19 | URL | #vdn.bAWA [edit]

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