ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

最大にして最高の能力、それは自信

開業から30年以上の神奈川県の老舗。

現在は息子さんが二代目として後を継いでいる。

5年ほど前に改装し、気持ちも新たに・・・・と言いたいところだったが、思ったように売上が上がらない。

製パン学校を卒業してすぐに先代のお店を手伝う事になった二代目は、他店での修業経験がない。

今時のお店に比べると、なんとなく自店のパンは古い感じがしてならないそうだ。

とは言え、自分にはあまりハイカラなパンを考案するセンスはないと考えている。

自店のレシピや商品アイテムについて、やや自信を失いかけているようである。

レシピの見直しと、新商品の考案を依頼されたのだが・・・・・・



確かに、昔ながらの配合が多いと思います。

未だに中種も一部取り入れたりしていて、むしろこれは差別化につながるのではないかとさえ考えますがいかがですか?

ご主人は、実際に他店の、いわゆる今時のパンを召し上がっていますか?

そして、本当にそれが美味しいと感じていますか?

そもそも、総じて他人の家の芝生は綺麗に見えるものです。

そして更に、人間とは無い物ねだりな生きものです。

活気のあるお店を見て、ハイカラな見た目のパンを見るにつけ、どうしても自分の作るパンが古く見えてしまうだけなのではないでしょうか?

人気店というものには、大きく分けて三タイプあると思うのです。

一つは、人だかりの多いイベント会場やモールや人気専門店街などには必ず出店している大手インストアベーカリー。

二つ目は、新進気鋭の有名店あがりの人がオープンする、まさしく期待通りの人気店。

三つ目は、昔から変わらぬ味を貫いている、どの地方にもある老舗人気店。

この三番目こそ、本来御社が取るべき道なのではないですか?

一つ目の人気店は、ほぼ大手の冷凍生地ですので、けして美味しいパンとは言い難いと思います。

しかし、相も変わらず売上だけは凄いと言わざるを得ません。

なぜでしょう????

それは、もちろんこうだから売れるというような一言で言えるような要素ではなく、総合的にお客様を取り込む工夫がほどこされているからなのです。

パンさえ美味しければ、だまっていても売れる・・・・・・

もうそんな時代ではないのです。

パンに求める商品価値も、利便性も、刻一刻と変化しているのです。

そもそも、大手冷凍生地ベーカリーに商品開発でかなう訳がありません。

だって、商品開発だけを専門としているスタッフが何人もいて、来る日も来る日も市場をリサーチし、試作品を作り続けているのですから。

めまぐるしいほどの回転速度で新商品が発売されていきます。

だけど、いったいどれだけの感動にめぐり合える事か???

冷凍生地で作ったパンが、中種で作ったパンより美味しいなどと言う事は、間違ってもあり得ません。

だけども売れる・・・・・・

これがマジックなのです。

そうですね~ 例えるなら、性格も育ちも非常に悪い女性だけど、見た目に可愛くてスタイル抜群な人と、性格も育ちも申し分ないけど、見た目が残念でルックスも今一な人がいたとします。

どちらがテレビ受けするでしょうね!

また、ご主人も見た目の可愛い方に目を奪われると思いませんか?

ましてやそれが、結婚の対象だとなると話は別ですが、買ってから食べてしまうまでの短い付き合いならどうでしょう????

どちらかと言えば綺麗な方が良いですし、可愛い方が良いに決まっていますよね。

お店の外装も、パンも、陳列方法も、内装も、店員のユニフォームも、すべてひっくるめて商品力になるのです。

パンの基本配合だけを見れば、間違いなく今よりも昔の方が美味しくなる要素を秘めていると私は思っています。

ですので、古いものは駄目・・・という発想はやめましょう。

なぜならそこが原点であったはずだからです。

私なら、この基本配合はあくまで貫きたいと思いますが・・・・

あとは演出、つまり美味しいパンを美味しそうに見えるように化粧をしたり、可愛い袋に入れたり、色々と工夫していきましょう。

それから、レシピがいくら良くても、パンを陳列した時に同じような色合いの物や、似たような形ばかりでは目が楽しめません。

大きさや成形を変えるだけで、品数は無限に広がるものです。

また、今お使いの原材料には特に自信を持っていただきたいと思います。

良い原材料を使って販売価格が上がっても、それが味に表れてさえいれば、必ず売れていきます。

けして今の材料品質を変えないでください。

それと、老舗であると言う事と、古くて汚いと言う事は違いますよね。

最低でも店内だけは、整理整頓して下さい。

ベタベタと見える所にメモを貼るのはNGですし、古い陳列カゴや古いトレイは早急に入れ替えましょう。


色々と提案して行きます。

焦らずに、一つ一つの商品を大事に育てて行って下さい。

そして、それらの商品に自信を持って下さい。

古い新しいではないのです・・・・・すべてご主人の自信にかかっているのです。

何件もの有名店で修業した人が、持っているものがあるとしたら、それは数々の試練をを耐え抜いた自信だと思います。

ご主人には、家族と従業員を今までも、そしてこれからも支えていかなければならない責任があります。

また、地域の本当に美味しいパンを求めて来店下さるお客様を満足させ続ける責務があります。

それらの重責を受け止める為に必要なもの・・・・・

それが自分に自信を持つと言う事なのです。

自信とは、時に恐ろしいほどの知恵と勇気を与えてくれます。

かく言う私は、自信だけで今まで来ました。

他に何の取り柄もありません。

自信の根拠もありません。

ただただ、自分を最高の技術者である・・・・最高だ・・・素晴らしい・・・・

そう言い聞かせてきました。

どうか真似してみて下さい。

最後にご主人に自信を付ける為の提案があります。

レジに立ってお客様に試食を食べてもらいながら、色々と話を聞いてみて下さい。

自分の作るパンを、お金を出してまで食べたいと言う方々が、いったい何人いる事か・・・・

そして今日もそのお客様の為にパンを作る・・・・・

なんと素晴らしい事でしょう!!!


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