経費節減すべきではない事もある
パン作りが好きな、主に主婦の方達というのは、何故か人格者がとても多い気がします。
常に礼儀正しく、礼節を重んじておられる。
ネットの世界というのは、たいていの事が無料で調べられ、画像や映像までもが簡単に手に入ります。
そう考えれば、解らない事のほとんどは解決へと向かうと思われますし、調べ尽くせばどのような知識でも手に入るような気もします。
そんな無数にあるであろうサイトの中から、たまたまこのサイトにたどり着き、質問をやり取りすると言う事それ自体が、何かの縁があるのではないかとさえ思えてしまいます。
聞きたい事、知りたい事だけをサクサクと検索して、欲しい情報を簡単に入手することが当たり前のようになったネットの世界において、それでも尚且つブログの評価をわざわざメールして下さる方々には、本当に頭が下がります。
いつも勇気を頂いている皆様には、本当に心から感謝申し上げます。
それとは逆に、ほんの一握りではありますが、やはりいらっしゃいます・・・・
聞きたい事だけを一行で質問してくる方。。。。。。
店名を指定して、そこのパンを教えろなどという方。。。。。
予算が少ないので・・・という名目で、メールで開業までのですべての疑問をぶつけてくる方。。。。。。
現状を打開したいと言いながら、経費はかけられないと言う方。。。。。。
時間がないので、すべてを一ヶ月で教えて欲しい・・・などと言う方。。。。。。
本当に人間と言うのは、かくも多くの人種が存在するのだな~と、いつも考えさせられてしまいます。
このブログが、職業には関係なくパンに関心があって、かつ色々と日々のパン作りの中で感じている????の解決に、少しでも御役に立てればと言う気持ちで運営している事は今も変わりません。
様々な人達の質問に答える事も楽しみの一つでありますし、質問はしないけれども少なからず勉強になっているというメールを頂いたり、いつも教科書代わりに使わせてもらっていると言うメールをいただくと、ほんの少しでも誰かの役に立っているような気がして、本業にも身が入るからです。
ですので、出来る限りの質問には答えるようにしているつもりなのですが、どうも単なる質疑応答では済まない方々が多いような気がしています。
初めは単なる質問から入るのですが、やり取りをしているうちに、どうやら開業を考えて勉強中と言うか、現在進行形の方が多くいるのです。
大抵の場合、その方々はパン作りとは無縁の仕事に付いており、近い将来パン屋を開業する事を目標として、色々と情報を得ようとして、このサイトへたどりつくようなのです。
皆さんそうなのですが、現在の仕事はとりあえず続けておき、ある程度の道筋が立った段階で仕事を辞め、新たな道へ進もうとお考えのようです。
その間、パン教室へ通ったり、パン屋さんでアルバイトをしたり、家庭で色々と作ってみたりと、着々と準備を開始しているようなのですが、どうも踏み切る自信が持てないでいる。
私には何が足りないのでしょう?????
今後は何をどう勉強して行けば、開業に結びつくのでしょう?????
色々と模索しながら夢を実現しようとしている姿勢は、良く理解できますし、出来るだけ応援したいとも思います。
しかし、その様な方々は、大抵の場合正式には依頼されません。
つまり、教わる事に費用を出そうとは考えていない方が非常に多い。
なんとなくは解ります・・・・・
ネットで調べれば調べるほど、無数に手に入るレシピ・・・・
様々なQ&Aを見る事で、なんとなく知識を得たような気にもなってくる・・・・
誰に正式に依頼するのが得策か、やはり自分の力だけでやるべきか・・・・・・
毎日そのような葛藤を繰り返しているのではないかと、勝手ながら想像してしまいます。
調べれば調べるほどかえって解らなくなるのが、ネットの世界だとも言えるのではないでしょうか。
開業を考えている方、あるいは現状打破を考えている開業者の方々が、最終的にどこに行きつくのかは解りません。
お金さえあれば、全てを取り仕切ってくれるコンサルタントもたくさんありますね。
お金のない方は、出来るだけ自分で調べて、試行錯誤する事の美学に酔いしれていたりする。
しかし一向に現実味をおびない現状・・・・・
そしてまた無料サイトの検索が始まる・・・・・・
色々と考えましたが、最終的にはこちらでお世話になりたいと考えご連絡致しました。
しかし、現実には顧問料の支払は困難ですので、大変身勝手なお願いだとは思うのですが、出来るだけ無料でのアドバイスの方でお願いできないでしょうか?・・・・・・
こんな内容の依頼が来る事も、けして少なくないのです。
ご自分のお金を、何にどう使おうと、それは自由です。
しかし、今あなた方に一番必要な事は何だと思われますか?
それは、最低限の製パン技術の習得に他なりません。
さらに、経営をお考えなのですから、パン屋の経営も勉強しなければならないでしょう。
中途半端な開業では気が済まないとお考えなら、最低でも10年以上の修業が必要でしょう。
技術を磨き、技能を育て、経営感を身につけ、接客を学び・・・・・
これらは、実体験からしか得る事が出来ないものなのです。
ネットをいくら検索しても、無数のレシピを収集しても、未経験の皆様には何の役にも立たないのです。
出来る限り費用をかけずに、手作りで開業を・・・・・
そう考えるのは解りますが、それはあくまで製パンを納得いくまで経験した後の問題です。
家庭でパンを作りながら、質問してはまた作ってみる・・・・
数々のパン教室の経験と、無数に集めたレシピ集があれば・・・・・
残念ながら、次元が違うと思います。
どう違うかは、きっとやってみれば解ると思います。
私は、今の製パン技術を身につける為に、血へどを吐くような日々を過ごしてきました。
時には家族も友人も犠牲にしながら・・・・
仕事・・・・という壁を越えた、様々な苦い経験をしてきました。
それが血肉となって、今の私があると考えています。
解らない事を他人に質問すると言う事は、とても有効な手段だと思います。
しかし、解答を受け入れるだけの知識と技能がある場合と、そうでない場合とでは、まったく質問が無意味に終わる事があるということを知ってほしいのです。
まず自らを鍛え上げる事をし、その後の補足として必要な知識を収集するのであれば、ネットも有効だと言えると思います。
開業を真剣にお考えなら、今すぐネットの検索を止め、パン屋さんで働く事をお勧めします。
また、無料で得た情報と、費用をかけてまで得た情報がおなじであるわけがありません。
自分に自信を持つ事が出来、何をすべきかを後押ししてくれるもの・・・・・
それが 経験 なのではないでしょうか!
受験や資格も、アスリートの成績も、会社の役職も、自分がその為にどれだけの事を経験してきたかによると思いませんか?
開業に際して、これから何をどう勉強して行けばよいのか・・・・
その答えを出すのは、人生経験から生まれるご自分の直感だと思います。
少なくとも、他人に質問してどうなるものではない。
また、始めてはみたけれども、やはり思うような売上が上がらずに先行きが不安であるというような方々もたくさんいらっしゃいます。
とどのつまりは、経験が少なかったと言う事なのですが・・・・・
しかしすでに動き始めているので、今更止まる訳にはいかない。
何とか力を貸してほしい・・・ただし当面は無料で何とかならないか・・・
または、1万円を5千円にしてもらえないか・・・・・
そのように言われる度に、考える事があります。
それは、費用の掛け方にその人の本気度が表れると言う事です。
どうしても欲しいもの、何としても買いたいものには借金もするでしょう。
何にお金をかけ、何を節約するべきかは、皆さんきちんと振り分けているものです。
そもそもが、何に費用をかけるべきか・・・・と言う判断が正しく出来なかったからこそ、今の現状があるのだということを考えて欲しいのです。
命がけでぶつかってくる人と、何とか少ない出費で・・・・と言う人。
前者にはこちらも全力でぶつかりますが、後者にはどうぶつかるべきなのでしょうか?
ほどほどのアドバイスで結構なので・・・・と言う事ではありませんよね。
教える方も教わる方も、常に生活と人生がかかっていることは同じなのです。
余談ですが、先日独立開業をする友人の話を書きました。
私の所を去って約一月が経過しましたが、未だに資金の融資がおりずにいるようです。
その間、パソコン教室に通って、将来のネット販売に備えたいと言っておりました。
ちなみに彼は、ファイルとフォルダの区別すら解っていませんが・・・
融資がおりない最大の理由は、店舗の立地です。
とてもお店など出来るような場所ではないのです。
しかし彼は、出来る限り少ない家賃と、出来る限り少ない出費でということで設備は皆中古、しかも店舗は大工の兄と二人で手作りするようなのです。
手作りというのは、聞こえはとても良いかもしれませんが、私が言いたいのは、今本当に必要なのは大工仕事でもパソコン教室でもなく、お客様を満足させる事が出来るパンが作れるのか・・・と言う事なのです。
開業までの少ない期間で、どれだけ真剣に商品開発なり、技術の習得を行ったかが、今後を左右するのだということは、嫌と言うほど伝えてきたつもりなのですが、彼の口から出る言葉は、もっと安い中古設備はないものかという心配だけです。
未だに商品計画やメニュー表なるものを見せてもらった事がない・・・・
それどころか、銀行を納得させる事が出来る事業計画書を作ってほしいと頼まれる始末。
今何にお金をかける事が、これからの自分にとって最善なのか?
費用をかけるべき所を間違えて、大切な部分を節減してしまってはいないだろうか?
今一度自分に問いかけてみて欲しいと思います。