ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

日持ちのするパンは、パン職人の永遠のテーマです。

いったいどれだけこのテーマについてチャレンジしてきた事か・・・・・

物ごころならぬ、パンごころが付き始めた頃から、いったいどうしてパンはすぐに硬くなってしまうのだろう???という問題に直面し、どうすれば日持ちするパンが作れるのだろうか・・・・というテーマを今日に至るまでず~っと研究してきているような気がします。

研究と言えば聞こえが良いかもしれませんが、私達パン職人に出来る事と言えば、とにかくやってみると言うことぐらいなのですが・・・・

同じく本来の研究者の方々はと言うと、私達同様に、日々研究を行っている事と思われます。

それは、製粉会社の研究員であったり、パン用酵素の研究員であったり、油脂メーカーの研究員であったりと、その道のエリートの方々が、それを専門として研究している事と思います。

しかし、現実にはパンの日持ちは相変わらずです。

この事からも、いかにパンを日持ちさせる事が難しい事であるかが納得出来ますね。

食パンは、焼き立て数時間は本当にしっとりとしていて、フワフワしたあの内層がたまらなく愛おしくなります。

しかし、翌日にはもう明らかに違う感触になっている・・・・

赤ちゃんの、あのスベスベとした肌は、それでも数年は持ちます。

なのになぜ、パンは一日なのだ・・むごい・・むご過ぎる(ー_ー)!!

この食パンでラスクを作ると、およそ2カ月は日持ちします。

たかが乾燥させただけで、なぜそんなに持つんだよ (--〆)

どうして、しっとりとしたものは寿命が短いんだよ (@_@;)

パンごころが付き始めてから今に至るまで、ず~っとそんなことを考えてきた気がします。

パンを日持ちさせる(と言ってもほんの数日ですが・・・)材料と言えば、砂糖や油脂が代表的ですが、数年前からはデンプンがやたらと使われるようになりました。

食品の日持ちに頭を悩ませているのは、けして私達パン業界だけではありません。

例えば団子屋さんなどは、数時間で品質が大きく変わってしまいます。

家でついた餅などは、数時間も持ちませんよね。

でも、スーパーで売られている大手の団子は、数日経っても硬くなりません。

あれが、デンプンの効果なのですね。

デンプンと言っても色々ありまして、私達が初めに考え付いたのは、じゃがいものデンプンでした。

茹でたじゃがいもを配合する事で、数日は日持ちするパンを作る事が出来ました。

しかし、どうしてもイモの風味が気になり、全てのパンにじゃがいもを入れると言う事は、恐らくどこのパン屋さんでも行われなかったと思います。

それが今では、ほとんどの食品からデンプンを取りだし、粉末状で売られていますので、それを使って硬くなるのを防いでいるのです。

小麦粉をブレンドしてパンを作る時代から、デンプンをブレンドしてパンを日持ちさせる時代へと変わってきつつあるのかもしれませんね。

パン業界以外では、すでに様々なデンプンが使われています。

それはお菓子やケーキなどでもそうなのです。

むしろパンはかなりの後発かもしれません。

パンを取り巻く原材料の中には、それ自体の品質保持の為や、食味の保持の為にすでに多くのデンプンが使われています。

デンプンは、そもそも食品そのものが持つ物質ですから、へんてこりんな改良剤などより、はるかに安心そうですし、これからも大いに日持ちに貢献していくものと考えられます。

ただし、どのデンプンが、どのパンに適しているかを見極めていくのは、まだまだこれからの段階だと思いますが・・・・

この他にも、ず~っと以前から様々開発されては消えていったという原材料があります。

それが酵素です。

食品添加物というものが、危険のレッテルを貼られるようになって数十年経ちますが、この酵素というのは、その合間をぬって開発され、今日も様々な材料の中に酵素剤として配合され、パンの日持ちに少なからず貢献しているのです。

ただし、やはりほんの一日程度日持ちが伸びるだけのものではありますが・・・・・

ほんの最近、日清製粉が酵素入りの小麦粉を発表しました。

わざわざ酵素を別に入れるのではなく、この小麦粉を使うだけでパンのしっとり感が長持ちすると言う商品です。

酵素も、粉末であったり、液状であったり、油脂の中に入っていたりと、様々開発されてきましたが、今度は小麦粉の中に入れてきたのです。

しかし企業と言うものは、次々と色々な物を考え出してくるものですね~

何も考えずにこの小麦粉を使うだけで、ほんの数日とは言え、パンがしっとりとするのであれば、かなり売れる材料になるのではないかと思われますが、皆様は興味がおありですか??

材料を選定し、製法を工夫し、基本長時間熟成させて作り上げたパンも、または先のような材料を入れただけで、やや日持ちするようになったパンも、最終的にはお客様が納得した方が勝ちとなります。

誰でも簡単に・・・・短時間で・・・・本格的なパンが作れます。

そんなフレーズを何回見たり聞いたりした事か・・・・

伝統とか文化とかを重んじない訳ではないのだが、本当に簡単短時間なのであれば、取り入れても・・・・・

手間は省くにこした事は無いし、完成品もほぼ満足いくものであるならば・・・・・

このように考えるかどうかは解りませんが、簡単便利なものはそこそこ売れるのは確かですね。

米粉を使ったパンを置いていないと、今時ではない・・・みたいな感覚で無理やり商品化しているお店を見かけますが、今度はしっとりとかソフトとかが主流になってくるかもしれませんね。


で、お前はどうなのだ????

そう言われる前に言っておきます。

私個人としては、パンは三日持てば良いと思っています。

その三日と言うのは、しっとりとしている期間の事であって、カビが生える期間の事ではありません。

もう最近では、それ以上パンを日持ちさせようとは考えない事にしています。

どんなに頭の良い人が考えても、今に至るまでに画期的な進歩はありませんでした。

考えてみれば、何事にも限界と言うものが存在するのだと言う事に気がついたのです。

短命であるならば、その短い命をどう生きるか・・・・ではありませんが、どれだけ持たせるかではなく、パン本来の美味しさを出すにはどうするべきなのか、パンの持つ本来の素材力を引き出すには、どのようにして作るべきなのか・・・・

その様に考えるようになったのです。

また、自分なりにパンの日持ちに関しては完全に答えが出ています。

ですので、これから日持ちに関して悩む事は無くなりました。

これからも、あらゆる研究が行われ、様々な日持ちに貢献する材料が発売されては消えていくでしょう。

それらを色々と試していく事も、時代の流れにそった行動なのかもしれません。

しかし現実には、色々と試していた頃よりもはるかに、何も使わない今の方がパンのしっとり感にも満足していますし、それぞれのパンの個性を強調する事が出来ていると自負しています。

パンを美味しくしてくれる素材と、パンを日持ちさせる素材は明らかに違います。

皆様はどのようにお考えでしょうか?

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