ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

石窯パンはなぜ人気があるのか???

こんな質問をいただきました。

最近私の家の近所に石窯パンの店が出来たのですが、もの凄く人気があっていつもレジに人が並んでいます。

近所には他にもパン屋さんはあるのですが、そちらはどうもあまりぱっとしないようです。

でも私は、石窯のパンというのはどうも苦手で、うちの子供達も硬くて嫌だと言います。

あんなに硬いパンばかりなのに、どうして人気があるのかが不思議なのですが、そもそも石窯で焼いたパンと言うのは他のパンとどのような違いがあるものなのですか?

何か特別な売れる理由みたいなものがあるのでしょうか。

おかしな質問で恐縮ですが、どうしてあんなに人気があるのかをどうしても知りたいと思いまして質問させていただいた次第です。


石窯パンの店は確かに増えましたね~

しかも確かに売れている店が多いかもしれません。

石窯パンが人気があるのにはいくつかの理由があると思いますが、そもそも石窯パンというのはどのようなものなのでしょうか?

質問者様の近所にある石窯パンの店では、かなり大型の石窯を使っていますが、そもそも石窯と言うのは陶器などを焼く為に工夫された窯で、じっくりと中心まで火を通す事を目的として作られており、家庭レベルの小さいものから業務用の大型の物まで、実に多くの種類があるようです。

その道に詳しい方ですと、庭に手作りの石窯を作って、そこでパンやピザを焼いています。

石で出来たあの巨大な窯その物が、なんとも原始的な雰囲気を醸し出していますし、そこで焼かれた物は本物・・・・みたいな感じがするものです。

しかし、ご質問にあるように、石窯で焼いたパンは硬い・・・・というのは少しニュアンスが違うと思われます。

正確には、石窯で焼くからパンが硬くなるのではなくて、硬いイメージのパンを石窯で焼く事が多いと言う事になろうかと思います。

つまり、ふわふわのパンを石窯で焼いても、それはやはりふわふわしているのです。

石窯を前面に出したお店では、やはり商品自体もワイルドにしたいと考えていると思います。

通常のパン屋さんが、全般的に柔らかいパンにこだわっているとしたら、石窯パンの店では違う路線で展開しようと考えるものです。

その為にあえて高額なオーブンである石窯を使っている訳ですから、商品のイメージもそれに合わせて、ハードなパンの種類を多くしていると言えると思います。

しかし、実際には柔らかいパンもたくさんあるはずですよ(*^_^*)

大抵は厨房の中にもう一台オーブンがあって、柔らかいパンはそちらで焼いている事が多いと思います。

石窯と言うのはその特性上、温度を上げたり下げたりというのが瞬時に行う事が出来ません。

一度上がってしまったら、簡単には下がりませんし、逆に温度を上げるのにはかなりの時間を要します。

ですので、全てのパンを石窯で焼くというのは非常に無理があり、通常のオーブンと2台併用しながらパンを焼き上げているのです。

パン屋さんには、大きく分けるとこんな種類のパンが並んでいると思います。

お菓子のように甘そうで柔らかそうなパン。

まるでケーキのように、フルーツなどが飾ってあるパン。

ソーセージやチーズなどの甘くない具材が入ったパン。

色が黒くて硬そうなパン。

大型のパン。

四角い食パン。

サンドイッチ。

きちんと包装された焼き菓子・・・・・・等々

これらのすべてを石窯で焼いている訳ではないのです。

また、焼く意味もないのです。

石窯で焼いた方が美味しくなるであろうと思われるパンのみ、石窯で焼くのです。

それが、高温でしっかりと中心まで火を通したいハード系のパンと言う事になる訳ですね。

しかも、これらのパンは香ばしさが命です。

蓄熱性に優れた石窯でじっくりと焼き上げられたパンの表面は、とても香り高く、消化の良いパンとなります。

これらのパンは確かに硬いですが、それがそもそも本来の姿であるということなのです。

日本のパン屋さんは、日本人が柔らかいものが好きであると言う事を良く知っています。

お客様が求める物を作ると言うのが、商売の鉄則ですから、おのずと柔らかいパンばかりが作られてきました。

しかし、パンを主食として食べている国では、この硬いパンがパンなのであり、柔らかい部類のパン、あるいは甘いお菓子のようなパンというのは、パンではなくお菓子として存在しているのです。

日本では全く逆で、柔らかいパンこそパンであり、具材が入っていないとどのように食べていいかも解りません。

石窯で焼かれた伝統的なパンが受け入れられるようになったのは、つい最近かもしれません。

しかしそれでも、圧倒的に柔らかいパンが売れている事に変わりはありませんが・・・・

石窯パンの店に行って、わざわざ石窯で焼いていない柔らかいパンを食べて、”やっぱり石窯だと美味しいわ~” みたいな光景を目にしますが、そのあたりが日本人らしさなのかもしれませんね(ー_ー)!!

石窯で焼かれたパンは、確かに最高の状態で焼きあげられています。

しかし、残念ながら硬いパンばかりでは商売にはなりません。

本格的なハードなパンを食べてもらいながらも、その他の一般的なパンでも、他店にないような魅力をだしていかなくてはなりません。

他のパン屋さんの品揃えプラス、石窯で焼いた本格的なパンという、圧倒的な品数に魅力があるのだとも言えますし、何よりも石窯の存在感そのものに、お店をより専門店らしく見せる魅力があるのではないでしょうか。

人気のパン屋さんといっても、万民に好かれる訳ではないのですね(@_@;)

何年この仕事をやっていても、売れるお店と売れないお店の違いを100%見分ける事は出来ないでいます。

な~ぜ~あんなパンが売れるのか????

ど~してあの店がはやらないのか????

大抵の場合、後付けの理論になりますよね。

あ~やっぱりああすれば売れるんだよな~・・・・・とか、

確かにあそこは場所がいいわ~・・・・・とか、

なるほどこれは売れて当たり前だわ~・・・・みたいな、さも自分はそう予測していたかのような論調になったりしますが、実際は誰も完璧には見抜けないでいるものです。

年々増え続ける石窯パンの店と天然酵母のお店。

オーブンフレッシュベーカリーという、焼き立てのパン屋ですと言う事を前面に出してきた今までとは違い、新たなるジャンルに挑戦するパン屋さんが増えた事は、とても喜ばしい事だと思います。

硬いパンだけでも商売になる時代が、やがては来るのでしょうか・・・・・

いや、こないな・・・・・(ー_ー)!!

10 Comments

かぼす says..."・・・"
硬いパンだけでも商売になる時代が・・・
来ているのです・・・。

広島のブランジェリー・ドリアンさんです・・・。

今は、店を1年間、人に貸し(別の方がパン屋やっている。)フランスにパンの勉強に行かれています。

HPをぜひ見てください。(とくにブログを・・・。)

衝撃を受けると思います・・・理屈では・・・







2012.10.01 10:23 | URL | #- [edit]
かぼす says..."・・・"
追加で・・・お忙しいと思いますが
ブログを最初から全部を読んでください。

宜しくお願いします。
2012.10.01 10:28 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."かぼすさんへ"
何か気にさわった部分があったようでしたら、それは謝ります。

読んでくれる人全てに理解されるような表現と言うのは、とても難しいですね。

ただ、私はパンを真剣に作る全ての人とお店を、心から尊敬しています。

その真摯な姿勢には、ただただ頭が下がります。

表現方法に誤解を招くような部分があったとしても、そこは世間知らずのおバカが書いているのだと、心を大きくもって解釈していただけると幸いです。
2012.10.02 15:34 | URL | #- [edit]
ニモ says..."フジパンの「本仕込」につきまして"
しずかな朝さまこんにちは。記事と関連がなく申し訳ありませんが、下記質問させていただきます。

ミッフィーのきんちゃくトートが欲しくて、フジパンの食パン「本仕込」をせっせと食べています。外国人の夫から「『本仕込』はどういう意味か?」と訊かれたので、「『本格的に仕込みました』という意味じゃないのと」と答えました。“仮”の反対の意味の“本”ではないと思いましたので。

袋には、「街のパン屋さんと同じストレート製法で作りました。この製法により、保水性が高くなり、しっとりもっちりするとともに、小麦の甘みと豊かな香りを生み出しています。」と書かれてあります。それを読んだ夫が、「本格的に仕込んだという意味なら、ストレート法じゃなくて中種法じゃないの?」と。私も、中種法の方が工程が長い(手間ヒマもかかる)分、本格的な感じがするのでそう思います。

後半部分の「保水性が高くなり」ですが、中種法でつくった方が硬化が遅いと思うので、この説明は逆ではないでしょうか?

「小麦の甘みと豊かな香りを生み出す」は、ギモンには思いません。ストレート法の方が小麦の風味が出やすいですよね。

以上ですが、すみませんがよろしくお願いいたします。
2012.10.02 16:22 | URL | #SVUff9GE [edit]
しずかな朝 says..."ニモさん、コメントありがとうございます。"
全ておっしゃる通りだと私も思います。

なぜその様な解釈になるのかは、真意は解りません。

ストレートで仕込むと言う事の良さはあるとして、水分保持には何か別の方法なり材料なり酵素なりを入れての事だ思いますが、それも憶測です。

ただ、中種で仕込んだからと言って、ストレートよりもしっとり感が必ずしも長続きするとは行かない時もあります。

正確には発酵風味が増す・・・とか、ソフト感が増す・・・・とか、弾力がある・・・・とか、その他にももちろん中種の良さはあるとは思いますが、本仕込みの場合は、焼き立てパン屋さんをイメージしている・・・・と言う事なのかもしれませんね。

つまり、香り重視と言う事だと思います。

がしかし、すべては推測でしかありませんのであしからず(~_~;)
2012.10.04 18:32 | URL | #- [edit]
ニモ says..."ありがとうございました!"
しずかな朝さま、ご返信ありがとうございます。ナルホド!と思いました。

実は、「炊きたてごはんのような食パン」というキャッチも、どういうコンセプトで、どういうパンのことを形容するのかよくわからなかったのですが、香り重視と考えれば、炊き立てのごはんから立ち上る湯気の香りから受ける印象を当てはめると、何となくイメージがわきます。

その他のご説明もありがとうございました。
2012.10.05 08:06 | URL | #SVUff9GE [edit]
カナダの森 says..."やっぱり柔らかいパンが好き。"
カナダではかたいパンが主流です。
柔らかいと言っても日本の比ではありません。
で、自分でなんとか柔らかいパンを焼くぞ!と決めて奮闘している時、このサイトを見つけました。
まるで学生時代に戻ったように勉強させて頂いています。
ありがとうございます。

ところで中種法に挑戦しようと思っていますが、今まで「成型後に冷蔵発酵させる」と言う方法をしてきました。熱湯で玉を作り、それを基にパンの生地を作って(ポルトガル人の友人に教えてもらいました)そRを成型して冷蔵発酵させ翌日ゆっくり温度を戻してから焼成に入る方法です。
その方法を使って中種法(100%か70%か迷っています)を併用できないでしょうか?

まずは自分で作って見たのですが、なんせ味見をしてくれるのがカナダ人やヨーロッパの友達。皆、何でも美味しいと驚くのですが、味を求めるレベルがかなり低く・・・v-12

如何なもんでしょう・・・
よろしくお願いします。
あ、いつもありがとうございます。
2012.10.11 02:14 | URL | #uN32mRPE [edit]
しずかな朝 says..."カナダの森さん、コメントありがとうございます。"
これはまた遠い所から有り難うございます。

小麦粉ではいつもお世話になっておりますが・・・・・

熱湯で玉を作り・・・・と言うのが今一理解できませんが、要するにストレートを中種にしたいと言う事でしょうから、それは出来ると思います。

しかし、その製法を中種でやる意味があるのかどうかは、熱湯の玉がどのようなものなのかが解らない事には判断できません。

出来るかどうかは出来ると思いますが、意味があるかどうかは今の段階では何とも申し上げられない・・・・

こんな程度しかお答えできませんが・・・・・

とことん本気で知りたいと言う事であれば、是非メールを頂きたいと思います。

2012.10.11 17:46 | URL | #- [edit]
カナダの森 says..."熱湯の玉"
私もポルトガル人のパン職人の友人が教えてくれた秘伝?と言う熱湯でこねた玉。始めは不思議に思いましたが、結局の所、餃子の皮も熱湯で捏ねるので同じように考えました。
それはそれとして、100%中種法で作ってみて、それを冷蔵発酵にしてみるとどうかな・・・と思っています。

中種法で冷蔵発酵で仕上げて、常温に戻して水をスプレーしてオーブンに入れて焼く。

こんな風にして美味しいパンが焼ければなぁ・・・と思い、焼いてみましたらとても柔らかくて3日間(今の所3日目です)はふわふわです。

私にとっては美味しいので、美味しいと思ってくれる人もいるのでは・・・と思うんですが、製造法としては間違っていませんでしょうか?
2012.10.13 08:15 | URL | #AQ2lAUu. [edit]
しずかな朝 says..."カナダの森さん、コメントありがとうございます。"
様々なプロセスがあり、善し悪しを判断するのは結論です。

つまり、終わりよければすべて良しです。

そうやって新しい製法は生まれるのだと思いますよ。

間違っていたら、まずいと思います(*^_^*)
2012.10.13 13:26 | URL | #- [edit]

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