ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

イーストは、少なめに使用した方がパンの味は良くなるのか?

こんな質問をいただきました。

私の経験と認識では、イースト菌を多く配合しているのは素人の方やホームベーキングやパン教室などで作られているレシピに多くみられ、パン屋では少なめに配合されている事が多いのではないか?

また、これもあくまで個人的な認識なのですが、有名店になればなるほどイースト菌の配合量が少ないような気がしています。

イースト菌が多過ぎるパンは味が悪いということは実感としてあるのですが、対照的に出来るだけ少なくする事がパンをより美味しくする事につながるという考え方になるのでしょうか?

イースト菌が通常の五分の一程度しか配合されていないようなレシピも良く目にしますが、その分時間をかける事が出来るならば、その方が良いパンと言いますかおいしいパンになると言う事なのでしょうか?

同じように、イーストフードも有名店ほど使用量が少ないような気がするのですが、やはりどちらも使用量は少なめにしていくことが最良のパン作りに必要な事だとの認識でよろしいのでしょうか?

自分の勉強不足で誠に勝手な質問なのですが、イーストの配合量の違いとパンの味との関係が今一つ理解できないでいます。

なにとぞご指導頂けないでしょうか?



そうですか、やはりイーストの使用量に関しては、なかなか解るようで解らない部分が多いと言えますよね。

私の認識としても、質問者様のおっしゃる通り、よりこだわりをお持ちのベーカーほどイーストの量は少なめであると考えております。

しかし、それがなぜなのかは正直解りません。

と言うのは、あくまで私の知る限りですが、イーストの使用量が極端に少ないレシピももちろんありますが、逆に多く配合しているレシピも普通に使われているからです。

つまり、有名店・・・・かどうかは断言できませんが、様々なレシピを、多種多様に使い分けている方々が多くいると言う事です。

その様な方々は、イーストのパンに対する効果を充分に認識した上で、理想のパンになるようにイーストの量を自在に操っていると言えるのではないでしょうか。

恐らくは、ただ単に多ければまずく、少なければ味が良くなると言う事ではないような気がします。

イーストの使用量というのは、最後は自分で判断するものであると前回書きましたが、そう簡単に判断は出来ませんよね (ー_ー)!! 当然です。

小麦粉の味や力量などを知ることで、様々なパンを作り出す事が出来る訳ですが、それと同様、もしくはそれ以上に高度な知識と技能が必要なのが、酵母であるイーストのパンに対する効用を理解する事だと言えると思います。

そのあたりを使いこなす事が、パン作りをより楽しいものにしてくれるのだと言えると思いますし、自分でレシピを作り出す事が出来るようになる登竜門とも言えるのではないでしょうか。

そこに到達するまでは、とにかくたくさんの経験を積むことに尽きると思います。

ただの経験では駄目ですよ(*^_^*)

悩むのです・・・・考えるのです・・・・

深く、ず~っと深い所に必ずその答えは待っています。

必ずです!!

それを信じて、大いに悩んで下さい(^0_0^)

では、その手助けになるかどうかは解りませんが、少しだけイーストの量とパンとの関係について考えてみましょう。

今回も食パンに登場していただいて、イーストの量を変えた場合を考えてみます。

食パンを作る際には、一般的にはストレート法か、あるいは中種法を用いている場合が多いと思います。

ストレート法の場合は、完成まで約3~3.5時間位だと思いますし、中種は種の発酵に2時間が普通だと思いますから、これに2時間をプラスして5~5.5時間位かかります。

一般的な配合でイーストフードを使用した場合、ストレート法でイーストの量は3%、中種法では2%位になろうかと思います。

前回、イーストの量を多くした場合の現象については触れましたので、今回は逆に減らした場合について説明しておきたいと思います。

おっと、その前にストレート法と中種法とではどうしてイーストの量が違うのかが解らない方の為に簡単に説明しておきましょう。

もしも中種法でストレート法と同じイーストの量を使用した場合、明らかに中種段階で過発酵となり、その後の本捏ねで生地は完全にミキシングオーバーとなり、とてもまともなパンにはなりません。

長い時間発酵させたいと思ったら、まずはイーストの量は減らす事、そして捏ね上げの温度は低くすることが鉄則となりますので、そこだけは憶えておいて下さい。

それ以上の細かい部分は、長くなりますのでここでは触れません。

では、もしもストレート法の食パンのイーストを1%にした場合にはどうなるのかを考えてみましょう。

この場合、恐らく2時間経っても、3時間経っても、あまり膨らんではこないと思います。

と言う事は、そのまま作業していっても、生地はベタ~となってしまい、最終的には四角い食パンにはならずに上部の丸い物体が完成してしまうでしょう。

では、1%では何が何でも無理なのかと言いますと、そうではありません。

発酵時間1時間当たりでパンチをし、その後も1時間当たりでもう一回パンチをすれば、とても元気な生地になると思います。

どう言う事かと言いますと、イーストの量が少ないと言う事は、生地を充分に短時間で膨らませる程のガス発生が出来ないでいると言う事ですから、そこにパンチをして新しい空気と、空気中の浮遊菌、つまりイーストの味方になってくれる菌達を取り込むことで、イーストはさらに増殖をはじめる訳です。

このようにして、多少時間はかかっても、最終的には食パンは見事に完成することになります。

では、この場合の完成品は、通常の食パンとまったく同じ品質で完成するのでしょうか???

実は、このあたりがイーストの量とパンの味の関係で最も大切な部分となるのです。

見た目にはあまり変わりがない食パンになるとは思いますが、味は全く違うものになります。

配合が同じなのにいったいなぜなのでしょうか?

それは、イースト菌が時間の経過と共に膨らんでいく、つまり増殖していく為には、食事である糖分が無いといけないのです。

と言う事は、通常よりも長く発酵時間を取ろうと考えたら、生地中の糖分が失われていく事になる訳です。

結果、甘みの無い、それでいてイースト菌以外の菌が生み出す、いつもとは別の風味が付いたパンの完成となる訳です。

それが美味しいと思うかどうかは個人の好みの問題ですが、このようにイーストの量による発酵時間の違いで、パンの風味というものが大きく変化するのだと言う事を良く覚えておいてほしいのです。

自然界には、様々な菌が存在しています。

イースト菌というのは、その中でもガス発生力の強い(発酵力の強い)菌であり、しかも風味がとても良い菌なのです。

通常のイースト配合量のパンでは、そのイースト菌だけがパンを膨らまし、パンに芳醇な香りをもたらしてくれていますが、イーストの量が少ない場合、それを助けようとして違う種類の菌がお助けマンのごとく力を貸す為に、空気中から舞い降りてきます。

さらには、イースト菌は菌の中の精鋭部隊のような強さを持っていますので、いわゆる悪い菌を撃退しながらパンの発酵に力を発揮しているのですが、それが少ないとなると、すぐに悪い菌は活動を開始し、パンにおかしな風味を与えてしまいます。

解り易く言うと、雑菌が繁殖しやすくなるということですね。

と言う事は、へたをするとお腹を壊すようなパンになる可能性もあると言う事です。

以上で解るように、イーストの量を少なくすると言う事は、他の雑菌の繁殖の心配と向き合いながら、長い時間発酵させなければなりませんから、ある意味まったく別な考え方が必要になってくると言う事になる訳です。

また、イーストフードですが、これも入れない、又は少なくする事で目的のパンになるのでしたら、それはその方が良いと言えるかもしれませんが、その名の通りイーストの食事の一つですから、抜けばその分何かが必要になる訳で、イーストフードを入れる事による酸化剤の酸っぱい香りを気にするか、減らしてもその分発酵時間を長くする事で補う事が出来るかは、これも個人の好みの問題になろうかと思います。

食品添加物だから使用は避けたい・・・・・そうお考えの方は多いと思いますが、入れる意味と効果、入れない時の弊害などをしっかりとご自分で認識した上で判断されることを望みます。

原材料の配合バランスや選定以外にも、イースト菌の量と発酵時間によって全く違うパンが完成する・・・・

これがパンの面白さであり難しさなのかもしれませんね。

そして更に取り扱い・・・・つまり技術

そして焼き方でも全く違うものになる・・・・・

いかん・・・・ややこしくなってきた(ー_ー)!!


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