ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

生地別に見る最終発酵のコツ、その2

では今回は、油脂の種類と量の違いによるホイロの注意点などについて書いていきたいと思います。

パンに使われる油脂には、大きく分けて3種類あることはご存知ですよね。

それは、バターとマーガリンとショートニングとなります。

この中で、味が一番良いのはバターであり、製パン性といいますか、使いやすさが一番良いのはショートニングとなるでしょう。

詳しくは、こちらをご覧ください。

油脂について

例えば油脂にバターを使用したパン生地の場合、バターの乳脂肪の美味しさがプラスされる事で、美味しいパンになる事は間違いありません。

その分価格も高くなる訳ですから、美味しくなくては困る訳ですが、味の面からいったら申し分ないはずのバターが、実は非常に気を使わなくてはならない油脂である事はあまり知られてはいないようなのです。

バターと言うのは、すぐに固まりすぐに溶けます。

品質が良ければ良いほど、すぐに溶けてしまいます。

例えば、バターに指を押し当てたまま数分置きますと、その部分はすぐに溶けてしまいます。

バターと言うのは、人間の体温位の温度でもすぐに溶けてしまうのだと言う事が解ると思います。

また、指で溶かしてしまったバターを、今度は冷蔵庫へ入れておきますと、ものの数分ですぐに固まってしまいます。

このように、バターと言う油脂は、とても気難しい油脂であるということをまずはご理解下さい。

そしてその気難しさは、パン生地に配合されてももちろん同じなのです。

バターを配合したパンは、味は美味しいかもしれません。

しかし、例えば分割や成形時に生地に熱を与え過ぎると、内部では油脂が溶けてきますし、さらに夏場などは生地その物がゆるんできたりします。

ですから、そんなバターをより多く配合したパン生地の場合などは、特にホイロの温度に注意しないと、大変な事になるのです。

私の知る限りでは、ホームベーキングをされる方々に、バター愛好家が多いように思われます。

パン屋さんでは、比較的マーガリンの方が多く使われています。

これは、コストの問題もさることながら、やはり製パン性を考えての事だと言えると思うのです。

油脂全般を考えても、配合量が多ければ多いほどホイロの温度は低めにしないと溶けてしまうという事は全て同じ理屈です。

しかし、バターの場合はそれだけでは済みません。

ホイロの温度があまり低過ぎても駄目ですし、例えば部屋が寒いだけでも生地がすぐに乾燥してきたりします。

極端な例では、例えばバターをたくさん配合したパン生地は、冬場は室温に数分置いただけで表面がガサガサに乾いてしまいますし、逆に夏場だと室温でも何もかけなくても生地の表面はしっとりとしていたりします。

冬にガサガサになるのは表面のバターが固まってしまった為であり、夏にしっとりとしているのは表面のバターが溶けだしているからなのです。

このような状態をはっきりと確認する為には、対粉で20%以上のバターを配合すればすぐに解るのですが、それ以下の配合量だと、見極めが非常に困難になります。

例えバターの配合量が少なくても、温度に敏感であることには変わりはありませんので、見極められなくても、内部的にはバターが溶けだしてしまっている・・・・と言う事があり得るのです。

するとパンとしてはどうなるのかと申しますと、焼き色がまだらになり、伸びが悪くなり、クラストの香りが悪くなります。

内層もパサついており、しっとり感とは程遠いパンとなります。

「なんだか締った感じのパンになってしまった・・・・」

「パサパサとしていて、硬~いパンになってしまった・・・・」

そんなホームベーキングの方の感想は、ほとんどがこのバターの性質を知らずして作られたことによるのです。

また、知っていたとしても、技術的な問題で結局結論としてはバターがにじみ出てしまった事による、パサ付きや硬さを経験するはめになってしまうのです。

油脂がパン生地に与える効果というのは、味を良くするということよりもむしろ、パン生地がしっかりと膨らんでいく為の潤滑油としての役割が大半を占めると言えるのです。

また、完成品に油脂が細かく分散している事によって、パンは外気から守られ、かつ内部の水分の蒸発を防いでくれる事になる訳ですから、これが溶けだしてしまっては効果は得られないと言う事になる訳です。

しかも、溶けだしたバターは生地の表面に飛び出し、オーブンで焼かれる事で風味が台無しになってしまうのです。

ならば、バターを多めに配合したパン生地は、出来るだけ低温域で作業すれば良いのかと言うと、そうとばかりは言えないのです。

バターと言うのは、溶けてはもちろんいけないのですが、固まってしまっても実に困るのです。

どう言う事かと言いますと、生地中に分散されているバターが固まっていきますと、生地その物が押さえつけられて膨らんでいく事が困難になってしまうのです。

そうなりますと、結果としては伸びの悪い、内層の詰まった硬いパンになってしまうのです。

ですので、バターを多く配合したパン生地は、高温でも低温でも駄目だということになり、扱いにくい生地だと言う事になる訳です。

この点をしっかりと認識した上でバターを使わないと、高い材料を使用して、わざわざパンをまずくしてしまうと言う事になりかねない訳ですね。

その点、マーガリンとショートニングはバターに比べれば溶けにくく固まりにくい性質ですので、パン生地としては扱いやすい、つまり製パン性の良い油脂なのだと言う事になる訳です。

そして更に更になのですが、バターを多めに配合したパンというのは、なんと焼いた後にも他の油脂とは違う特徴を持っているのです。

それはもちろん味が良い・・・・のはその通りなのですが、バターが配合されたパンと言うのは気温によって硬さが変わってしまうと言う事なのです。

バターが配合されたパンは、夏場や暖かい部屋の中に放置しておくとしっとりと柔らかくなり、冬場や寒い部屋に置いた場合や、冷蔵庫などに入れた場合は、とても締った感じになり、食べ口も硬い感じになってしまうのです。

バター以外の油脂も基本的には同じような効果が表れるのですが、その中でもバターは群を抜いてその効果が顕著にあらわれるのです。

ですから、昨日作っておいたパンを冷蔵庫に入れておき、今日食べようとしたらパサパサだった・・・・昨日はあんなにしっとりしていたのに・・・・

と言うような事が起こる訳ですが、けしてそれは変なパンであったと言う事では無く、むしろ油脂が綺麗に分散して混ざった良いパンであると言う事になる訳です。

また、見方を変えると、油脂が多く配合されたパンは、冷蔵などの低温域では油脂が固まってしまう為に、内部の水分などが外へ逃げ出せずに内部にとどまります。

食べ口こそ硬い感じにはなりますが、実は油脂が固まる事によっての日持ち効果が期待できますので、数日経過したパンであっても、ほんの少し暖かい場所に置くか、あるいは電子レンジで数秒温めるだけでしっとり感がもどります。

????・・・・おっと、だいぶホイロから話が脱線したかな??

以上の事からも、油脂に何を使うべきか?

どのような食べ口のパンを作りたいのか?

そんな事を考えながら、油脂の種類と使用量を決めていただきたいと思います。

ちなみに、溶かしたバターを配合してはいけないのか????

と言うような質問を良く受けますが、油脂の最大の効果としての細かく分散して生地にボリュームを与えると言う部分ではNOと言えます。

なぜなら、溶けてしまった油脂というのは、分散はしますが生地中に入り込んで馴染んでしまうからなのです。

そうなると、製パン性としての効果は期待できずに、味のみの効果となります。

パンと言う食べ物は、膨らんでいてこそなんぼですよね。

その為に必要なのは、油(液状)ではなく、油脂(固形)によるパン生地を程良く膨らませてくれる力なのです。

液状の油を配合しますと、パン生地はとたんにボリュームを失ってしまう事でしょう。

同じ油分でも、性質がやや違うということなのですね。

さて、色々とホイロ(最終発酵)の温度について書いてきましたが、私個人としてはパンを焼く・・・という工程がとても大好きなのです。

生地作りや成形は、あまり好きではありません・・・・・・それはどうでもいいか(~_~;)

どんな配合であったか、どんな生地であったか、誰が成形したかなどによって、パン生地と言うものは実にたくさんの表情をかもし出します。

ホイロに入った生地を見ていると、それらのいわゆる生い立ちのようなものが垣間見れるようで、それが楽しみでしょうがないのです。

そして、けして生い立ちの良く無いと言えるような生地を、自分の焼き方の工夫でどのように更生させる事が出来るかを考えながら焼くのがとても面白いのです。

完成品のパット見も、パンの食べ口も、はたまたその品質維持までをもコントロールする事が出来るのが

ホイロの見極めと焼き方

あまり他人には任せたくないと思うこの頃です (*^_^*)

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