ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

それだけはご勘弁下さい・・・と言いたくなるお店

パンのお店を出すというのは、これは意外と簡単です。

少しばかりの経験と、お金さえあれば誰にでも出来てしまうのです。

保健所のチェックも、営業許可書も、実に簡単に済んでしまいます。

残念ながら、どのお店が本物の職人のいるお店か、はたまたどのお店がなんちゃってパン職人のお店なのか?

どのお店のパンが安心安全で、どのお店が不衛生きわまりないお店なのか??

それはお客様が判断するしかないのが現状なのです。

お弁当や給食センターなどでの食品事故は数多く報道されていますね。

しかし、パンを食べて食中毒・・・・・と言う話はあまり聞きません。

サンドイッチ位ではないでしょうか?? たまに食中毒になるのは・・・・

これは恐らく、パンは焼いてしまう食べ物であるがゆえに、助かっているだけだとも言えなくはないと思うのです。

現実には、こんな所で食べ物を作っているなんて??●※$¥&◆?#

とても信じられない・・・的な工房はたくさん存在しています。

テレビの特集では、よく隠れた名店というようなパン屋さんを紹介していたりします。

山奥の石窯パン屋さんや、田舎の無添加パン屋さん、離れ小島の小さなパン屋さん・・・・などなど、実際に全てに伺った事はありませんが、ご主人の誠実なパンに対する思いや、それを支える奥様のすばらしさなどを見るにつけ、人生とパン作りが一体となっている感じがして、これは美味しかろうとそうでなかろうと、もはや次元がちがうな・・・・

パンを作って売る・・・・だけではない人生観が伝わってくるようです。

がしかし、そんな中でもあいも変わらず存在するのが、

めちゃくちゃなパン屋さん

なのであります。

ある日、知り合いと共に立ち寄ったとある観光施設でのこと。

施設内にパン屋さんがあったので、立ち寄ってみました。

季節が冬ということもあり、観光のお客様は少なく、お店のパンもチラホラと並んでいるだけでした。

観光施設お得意の完成品冷凍のパンが数品と、よせばいいのに自家製酵母コーナーというコーナーがあり、そこにも数品のパンが並んでいました。

よせばいいのにとは随分失礼だと言われそうですが、残念ながら観光施設で冬場に本物のパンに出逢える確率はかなり低いと言えるのです。

それでも観光シーズンなら大忙しですから、例え冷凍生地であろうとも本物のパンが登場することになりますが、冬季の場合はお客様が激減する為に、原価のかからない自家製パンを作るというシステムになっているのです。

しかも、パン職人が常駐している観光施設は極めて少ないと思います。

レストランのコックならともかく、パン位ならアルバイトでも出来るだろうと言う考え方が大半だからです。

あまり売れない冬季にパン職人を雇う余裕は施設にはなく、かと言って繁忙期には逆に一人くらいのパン職人ではまかない切れるものではない。

年間を通して売上のアップダウンが激しい、いわゆる自然公園型観光施設では、このあたりの人件費管理がとても難しいという事情があるのです。

怖いもの見たさではありませんが、お土産にでもと天然酵母のパンを数個買い求め、外のベンチで食べようと口元に近ずけた時です。

やばい・・・腐っている!!

そして恐る恐る口に入れてはみましたが、すぐに吐き出しました。

どうやら完全に種が腐敗菌でやられてしまっているようでした。

そのまま帰っても良かったのですが、やはりそうもいかず、事務所に立ち寄り事情をお話ししました。

そして素姓を明かして工房に入れてもらう事になり、一人の女性にお話を伺う事になったのです。

その人は一応社員とのことでしたが、製パン経験は浅く、ただ経験者であるというだけで工房を任されていました。

早速種を拝見すると、なんとホシノ天然酵母ではありませんか。

しかしながら、あまり売れないので長期的に使用していたそうなのです。

しかも、器具などの洗浄がきちんと行われておらず、雑菌が繁殖して腐食してしまったという状態でした。

本人も、また同行していただいた支配人さんも、これはひどい臭いだ・・・・

そうおっしゃっていましたが、この人は作る時に息を止めているのだろうかと私は思ってしまいました。

お店の看板やポップは、どうやらその女性の力作だそうで、とても魅力的で良かったのですが、やはり何と言っても一番気にかけて欲しいのはパンそのものの品質ですよね。

色々と特徴を出すように上司から言われ、やむなく天然酵母に手を出したようですが、まさか菌が腐敗するとは考えもしなかったようです。

このように、とりあえず材料は仕入れてみて、とりあえず作ってみて、なんとなく上手くいったらそれで良し・・・・だけでは済まない仕事だと言う事を、上司の方にも充分理解してほしいものです。

・・・というか、たまには食べているようでしたから、なぜ気がつかないのかが不思議でしょうがないのですが・・・・

知ったかぶりで色々作ると言う人はたくさんいると思います。

この腐った臭いのパンも、恐らくはお腹を壊すほどでは無く、数日は売られていたのでしょう。

いや、もしかしたらずっとそうだったのかもしれません。

いずれにしても、そのパン工房だけがそんなお粗末な状況なのでは無いと思います。

きちんとした知識と経験がないままに、色々とチャレンジしているにわか職人は少なくないと思うからです。

チャレンジ精神はもちろん大切です。

まずは行動・・・これも大事です。

しかし、売る・・・と言う所まで行くには、充分な試作と試食が必要です。

お客様にお金をいただいたら、もうそれは試作ではすみませんよ。

皆様がこよなく愛する有名店、地元の名店、あるいは大手機械生産のパン。

まず安全だろうと思って買い物を楽しんでいる事と思います。

しかし、そのはざまをゆくパン屋さんと言うのは実に無数に存在します。

パン職人がいるのではなく、パン担当者しかいないお店。

毎年責任者が変わるお店。

オーナーが店にいないお店。

異業種が運営しているパン屋さん。

製造元が確認出来ない土産物売り場のパン。

個人が作っている産直所のパン。

実にいろいろな所でパンは作られ、そして売られています。

皆が皆誠心誠意、心を込めて作っていると思いたいですね。

皆最低限の食品製造の知識位はお持ちのはずだと思いたいですね。

しかし私は、地元農家の方々が運営する安心安全な新鮮素材が売りのお店で良く買い物をしますが、かなりの確率で腐敗臭漂うお弁当や御惣菜を手にします。

これは揚げ油が酸化しているな・・・・とか、このハンバーグは中まで火が通っていないな・・・・とか、真夏に常温販売しているお弁当にあり得ないものが入っていた・・・・とか、

やはり家庭料理と言っても、販売して数時間経過したらどうなるかと言う所までを考えないと、夕方には腐敗臭が・・・となるのだと思います。

これならむしろ、保存料でも使ってもらった方がお腹を壊さずに済むなと考えてしまいます。

売られている物は、基本安全だから売られているのだと思われがちですが、実はあまり管理されていないのが現状です。

安心安全を完全にうたいきるには、それなりの管理体制やチェック機能が当然必要だと思いますが、恐らく今後も追い付いてはいかないと思います。

なんとも食欲の無くなるような話を致しましたが、なお一層食に携わる者としての責任を自覚したいと考える今日この頃であります。


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