ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

食品表示シール、あなたの表示は大丈夫?

通常焼き立てパン屋さんであれば、あまり気にかけていない分野かもしれませんが、食品表示シールというのは、基本的には袋へ入れた、つまり包装されたパンや菓子には表示する義務があります。

焼き立てパン屋さんでも、日持ちのするお菓子やサンドイッチ、または食パンやブレッドなどは袋に入っていますよね。

袋に入っている商品と言うのは、お客様からすれば、どれくらい日持ちがするものなのだろうか?と気になるものなのです。

裸で売られているパンというのは、そのままでは硬くなってしまう訳ですから、すぐに食べるか、あるいはすぐに食べない場合はラップして保存し、早めに食べなければならないと言う事をお客様は自然と学んでいます。

しかし、袋に入っていると言う事は、もしかしたらすぐに食べなくても大丈夫なのではないか?

何か日持ちのする工夫なり作り方をした商品なのではないか?

と言うように、包装した商品には焼き立てとは違う何かを期待してしまうものなのです。

家庭でパンを作られている方から、パンの製造卸などをされている方々、はたまた焼き立てパン屋さんからも多い質問なのがこの表示シールについて、どこからどこまでを表示するべきなのかと言う質問です。

これについては、各保健所の食品衛生課や食品安全局のホームページ、あるいは各都道府県の食品安全情報センターなどに詳しい資料がたんまりと用意されているのですが、これまたやはりお役所仕事ですから非常に解りづらい。

そこで、出来るだけ簡単に要点のみ説明していきたいと思います。

まずはどのような商品に表示する義務があるのか? ですが、自分のお店に並べてある商品であるならば、日持ちのしない商品で表示義務があるのは、冷蔵販売しているサンドイッチだけです。

例えば、コロッケなどをドックパンにはさんだような常温販売のパンには、特に義務はありません。

ただし、コロッケをはさんであっても、そこにレタスなどの生野菜が一緒にはさんである場合などがあると思います。

その場合は、義務と言う事ではなく、なるべく表示シールは貼った方が親切ですし安全だと言えます。

つまり、レタスやキャベツなどの生もの、あるいは生のフルーツなどを火を通さないで使用した場合と、冷蔵販売する商品に関しては、すべて表示するのがお勧めと言う事になります。

また、食パンやブレッドなどの大きなパンも、特に日持ちを謳うのでなければ表示はいりませんが、製法などの工夫で他のパンよりも数日日持ちさせる事に自信がある場合や、脱酸素剤などの明らかに日持ちを狙って包装する場合は当然必要になります。

その他、クッキーやラスクなどは明らかにパンよりも日持ちがしますので、必然的に表示が義務付けられます。

では、お店での販売ではなく、外部に卸す場合やイベントなどへの出店、あるいは移動販売や訪問販売などはと言いますと、基本的にはお店を一歩出たら全てに表示義務が発生します。

それは、保健所さん的な発想で言えば、お店の駐車場で販売する場合であっても、とにかく店を一歩出れば表示して下さいと言う事になるのです。

では、基本的には??とはどういう意味なのでしょう?

それは、例えば注文していただいた商品を配達してお届けする場合は表示義務はありませんが、配達を宅配業者に頼むと表示義務が発生してしまうと言うような事があるからです。

ややこしいですね(@_@;)

では、食パンを近所の喫茶店に卸すなどの場合はどうなるでしょう?

この場合も、基本的には全て表示義務があるにはあります。

お客様である喫茶店の店主は、焼き立てのパンである事は重々承知しているにもかかわらず、なぜ表示義務が発生するのかと申しますと、それはあくまで食の安全を考慮しての事なのです。

喫茶店では、パンはサンドイッチに使用したりトーストにしてお客様に提供する事が多いと思われますが、その日のうちに全てを使いきるかどうかは解りませんよね。

そんな時に、これはいつ買ったパンで、いつまで持つのかと言う事を明記していないと、食品事故につながる可能性があるという判断なのです。

しかし、実際にはそのあたりも含めて、自分が使用する食材の見極め位は喫茶店の方で出来て当たり前だとも考えられますよね。

ですので、実際には省略される事の方が多いとは思います。

がしかしです、これでもしパンにカビが生えてしまい、喫茶店のお客様からクレームがあった場合、これは喫茶店のクレームなのか、それともパン屋の責任なのか、微妙な話になってしまいますよね。

そんな、通常ではありえないような事にも注意を傾けるのが食品製造者の使命だ・・・・

そう考えると、これはやっておくにこした事は無い・・・・そう言えると思いませんか?

他にはこんな例もあります。

例えば同じように喫茶店にハンバーガー用のバンズパンを冷凍保存して出荷した場合はどうなると思いますか?

この場合も、冷凍でどの位まで品質保持ができるか、つまりどの程度までなら冷凍障害のないパンとして使用できるのかをあらかじめ検証してから、その賞味期限を表示して出荷する事が義務付けられているのです。

つまり、冷凍で出荷した場合は、それはもう冷凍食品と一緒になるのです。

では、喫茶店のオーナーが消費期限が2日しかないパンを冷凍保存し、数日経ってからトーストするなどしてお客様に提供した場合は、事故があっても喫茶店側の責任になるのでしょうか?

実際には大いにありがちな話ですよね。

しかしこれはもうパン屋さんに責任はありませんよね。

と言うよりも、この事実が判明したら喫茶店は営業停止になるでしょう。

でも、どの家庭でもパンは冷凍保存されていると思いますし、中には数カ月冷凍したパンを食べている人もいらっしゃることでしょう。

しかし、これをお店が行うと営業停止になるということは、それだけ細心の注意を払ってお客様に提供しろと言う事なのかもしれませんね。

この話から解る事は、例え面倒でも食品表示シールを貼っていれば、それは表示された日以降の責任は使用する側にあるという明確な責任の分担になりますので、自店を守ると言う意味においても、過剰なほどに表示する方が良いと言えるかもしれませんね。

次に、表示シールに記載する消費期限と賞味期限について簡単に説明しておきましょう。

消費期限というのは、概ね三日以内に食べてくださいと訴えたい商品に対して使用します。

つまり、焼き立てパン屋さんのパンのほぼすべては、この消費期限に該当する事になります。

それ以降、つまり四日以上日持ちが約束出来ますよと訴えたい商品に対しては、賞味期限に該当する事になる訳です。

本来ならばあまり日持ちがしないパンを、脱酸素剤などを使用した包装をする事で日持ちさせる場合があると思います。

その場合は、当然のことながら消費期限から賞味期限に切り替えなければなりません。

この二つの言葉の意味合いとしては、消費期限は、この期限以内しか安全を保てませんよ、ですからとにかく早めに食べてください、つまり消費して下さいと言う意味なのに対して、賞味期限は、この期間を過ぎると美味しさに自信が持てなくなります、つまりすぐに腐るというものではありませんが、徐々に味が落ちていきますよという意味合いになっています。

注意しなければならないのは、どちらもその期限にある程度の余裕が無いといけないと言う事です。

消費期限を過ぎたらすぐにカビがはえてしまうというような設定では、必ず食品事故につながります。

ですので、特に菓子パンなどの場合はお客様も常温に放置することが多いと判断できますので、それらを考慮した上で、短めの消費期限を設定する事をお勧めします。

また、食品表示シールを貼らなければならない場合の包装時の注意点として、出来る限り早く包装すると言う事に充分注意してほしいと思います。

期限を過ぎてすぐにカビが生えてしまう場合や、時には期限内であってもカビが生える事があります。

それは、焼けたパンを手で触れてしまった場合や濡れたまな板などの雑菌の多くいる場所に放置した場合、あるいは浮遊菌が多く舞っている場所などで作業すると、カビが早く発生してしまう事があります。

パンは焼き上がった後、出来る限り速やかに、出来る限り温度湿度の少ない場所で、けして手で触れることなく包装して下さい。

以上ざっと説明してきましたが、まだまだ該当しない販売方法をされている方もいらっしゃるかもしれません。

そんな時に私がお勧めしたいのは、保健所に相談に行く事です。

保健所の方というのは、私達から見たら何となく敵のような存在だと思われがちですが、ほとんどの場合きちんと説明してくれるものです。

肝心なのは、お店が出来る前から足しげく通う事です。

工房や店舗などの図面を持って、どのような販売形態を考えているのかを説明し、その場合どのように食品表示するべきかを相談するのです。

すると、親身になって色々とアドバイスしてくれるはずです。

保健所としても、本当は初めから相談してくれればいいのにな~

そうすれば事故は起きずに済むのに・・・・そう考えているものです。

表示シールだけではありませんよ。

例えば、工房内の衛生管理を図面段階から相談しておけば、後からこれは必要だとかこれは設置義務があるなどの指摘を受ける事もなくなります。

また、お店だけではなく、例えば月に一度だけイベントに出展するのには何か許可が必要かとか、ご近所への卸しの場合は表示シールは省略できるかなどなど、日頃何かと疑問に思っている事はすべて解決します。

こじんまりとした商売であればあるほど、保健所の方と仲良くしておくことはとても大切だと私は思います。

では次回は、実際の食品表示の内容について説明していきたいと思います。

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