ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

食品表示は正しくできていますか?

では今回は、食品表示の内容について簡単に説明していきたいと思います。

食品表示シールについては、小規模な工房であれば手書きで作っている方もいらっしゃるでしょうし、パソコンなどを使ってシールを作成している方もいるでしょう。

また、販売数量が多いお店などでは、専用のシール機を使用している事と思います。

細かい事はきりがありませんので、ここでは比較的間違いやすい部分について説明していく事にしましょう。 

まずは一番初めに表示しなければならない<名称>ですが、ここで大きな勘違いをされている方が非常に多くいます。

名称なのですから、当然商品名を書くのだと思われがちですが、ここでいう名称に使用できるのは、「パン」・「食パン」・「菓子パン」・「調理パン」の四種類のみなのです。 

この四種類のどれに該当するかを決め、大きなパンは食パン、甘いパンは菓子パン、サンドイッチ類は調理パン、それ以外のパンは全てだたのパンと記載しなければならないのです。

しかし、それでは中身に何が入っているパンなのか解らなくなってしまいますよね。 

ですから、いわゆる商品名が当然必要になる訳ですが、それはあくまで表示シールの表示内容の ”枠外” に書くか、あるいはまったく別の場所に別の形で表示することになる訳です。 

もし、シールの中に表示するスペースがあるようでしたら、名称の下に品名として商品名を書く事は可能です。

しかしシール内の表示スペースと言うのは非常に狭く、名称と品名を両方書くのは困難な事が多いと思いますので、そんな時は商品名は別なシールで対応するか、あるいはビニールに印刷するか、何もせずにプライスに表示するかのどれかになります。

つまり、表示シールの中に必ず必要なのは上記の四種類の名称のどれに該当するのかという事だけであって、お客様にお知らせする為の商品の名称は、表示シールとは無関係であるという意味になるのです。 

次にこれまた間違った表示をされている方が非常に多い <原材料名> 

この原材料名では、使用した原材料と食品添加物、さらにアレルギー物質を含む場合は、ここに記載することになります。 

表記の順番は、上記の順番通りなのですが、表記する際は使用量の多い順に記載しなければならないのです。 

つまり、原材料の一番最初に砂糖や塩などが来てはいけません。 

パンの場合は、そのほとんどが小麦粉から始まる事になる筈で、それ以降の材料に関しては、配合によって変わってくる事になる訳です。 

と言う事は、表記としては、まずは原材料の使用量の多い順、次に食品添加物の多い順、次にアレルギー物質の多い順となります。 

では順を追って説明していきましょう。 

まずは原材料名ですが、配合にのっとり、その使用料の多い順から記載する訳ですが、間違ってはいけないのが、ここでも材料の商品名を書くのではないという点です。 

よく見かけるのが、無添加小麦粉とか自然卵とかホシノ天然酵母とか無添加バターとか赤穂の塩などの商品名が書かれたものです。 

これも、名称と商品名がややこしかったのと同様で、非常に間違えやすい部分なのですが、実際には、いかなる卵であってもそれは卵と表示し、ホシノであろうとレーズン酵母であろうと、すべて酵母、あるいはイーストと表記しなければならないのです。 

同じく、バターはバターでマーガリンもただのマーガリン、塩は産地や製法がどこであろうと、塩と表記することになっているのです。 

また、これも非常にややこしいのですが、野菜は全てを一括して野菜と表示する事は出来ないのです。 

ですから、レタス・キャベツ・トマト・玉ねぎというよに、細かく表示することになっているのです。 

ここで気をつける事は、商品の商品名を記載するのではなく、何を使ったかが解ればよいということです。 

では仮に、自分で炊いた小倉あんを使用した場合はどうすれば良いでしょう。 

この場合は、自家製餡とか手作り餡と書きたい所でしょうが、あずきと書けば良いのです。 

また、カレーパンの具を自分で一から作った場合はどうでしょう? 

この場合は、人参やじゃがいも、玉ねぎやカレー粉などを使用量の多い順に記載することになります。 

けして自家製カレーとは書かないでくださいね。 

本来ならば、無添加であるとかこだわりカレーだとかを謳いたい所でしょうが、何が入っているかを明確にするのが目的なのであって、作り手の思いはここでは無関係になってしまうのです。 

いや、むしろそのように表示してしまうと、健康増進法やJAS法に違反したとして注意を受けることにもなりかねないのです。 

まぎらわしい表現・過大評価な表現というのは、お客様に対して、もしかしたらこれは身体に良いのかしらとの誤解を与えてしまう場合がある為に禁止となっているのです。

以上の事に注意しながら、原材料については使用した重量の多い順に記載していきます。

食品添加物も、原材料の入れ物に記載してあるものを良く見て、使用量の多い順に記載していく訳ですが、実際にはその使用量はとてもわかりにくくなっているものです。

全てを細かくここで説明する事は出来ませんが、代表的な部分を説明しておきますので、あとはどの部分に該当するかを判断していただくか、不明な点はやはり直接保健所なりに問い合わせた方が良いと思います。

食品添加物のパンへの使用というのは、一般的には直接パンに使用するのはイーストフード・あるいは生地改良剤・あるいは酵素などがあると思いますが、イーストフードに関してはそのまま表示し、生地改良剤、あるいは酸化剤などの〇〇剤を使用した場合は、表示はビタミンC、あるいはVCで良い事になっています。

その他の添加物で記載する義務があるのかどうか迷ってしまうのが、例えばマーガリンに入っている香料や着色料、あるいはショートニングに含まれている酸化防止剤などは記載するのかどうかと言う事ですが、これらはマーガリンやショートニングそのものに対しての着色や酸化防止を狙ったものであって、それを使用したパン生地そのものに色を付ける目的がある訳では無く、ましてやパンの酸化を防止する効果も狙っている訳では無いことから、記載は不要とみなされるのです。

このように、本目的として別に単独で香料などを使用する場合と違って、使用する副材料に入っている添加物というのは、効果の目的も違うと言う事と、そもそもその使用量も少ないと言う事から、これらをキャリーオーバーという表現を使って記載しなくて良いと言う事になっているのです。

例えば、使用した卵を産んだニワトリが、添加物を含んだ餌を食べていたとしても、そこまでは正確に追う事が出来ませんよね。

そのように、原材料への添加物表示はそれぞれの生産者が責任を持って記載し、それを使用する我々は、新たに自分達が別口で添加する添加物のみを記載すればよいと言う事になる訳です。

ただし、上記の場合はパン生地その物を作る場合のみの話です。

そのパン生地で、例えばソーセージを乗せたいわゆるフランクロールのようなパンがありますが、この場合はソーセージをダイレクトで食べる事になりますので、ソーセージに入っている添加物はすべて表示しなければならないのです。

ソーセージの次に添加物などの記載事項が多いのがカレールーですが、添加物プラス数種のハーブを含む事が多いので、シールに入りきれないほどの記載量になろうかと思います。

これらはすべて記載しなければならないのでしょうか?

残念ながら、すべて記載となるのです。

カレーを作る際の人参・じゃがいも・豚肉あるいは鶏肉・カレー粉・クミン・コリアンダー・生クリームなどなどの様々な材料の全てと、それらを炒める際に使用するサラダ油も当然必要になります。

これらはすべて、カレールーを作る際に必要なもので、かつそれが全て合わさってカレールーを構成している訳ですから、何一つ洩らさず記載する事になるのです。

ですが、カレーに使うであろう材料の中にも、塩やつなぎの小麦粉が入ると思いますが、これらはパン生地を作る際にも使用すると記載してありますので、ここで新たに記載する必要はありません。

つまり、二重表記は必要ないと言う事になるのです。

もうすでに、かなりややこしくて嫌になっている人もいるのではないですか(@_@;)

しかし、よ~く考えてみれば、何が必要で何が必要で無いかは意外と理解できるものですよ。

では最後に、アレルギー表示についてだけ説明させて下さい。

アレルギー物質というのは、関係無い人にとってはまったく無意味なものではあるのですが、関係のある人にとっては、時には命にかかわるような事故にもなりかねない重要な表示となりますので、最後にこの部分だけはしっかりと憶えておいてほしいと思います。

まずは絶対に表示しなければならないアレルギー物質はこの7品目です。

えび・かに・小麦・そば・卵・乳・落花生

しかし現実には、小麦と卵と乳製品に関しては原材料の欄に書かれている事になります。

ですので、それ以外のえび・かに・そば・落花生が入った原材料を使用した場合には、表示する義務があると言う事になります。

つぎに、義務ではありませんが、出来れば表示して下さいというのがこの18品目です。

あわび・いか・いくら・さけ・さば・オレンジ・キウイフルーツ・りんご・バナナ・もも・大豆・やまいも・まつたけ・くるみ・牛肉・鶏肉・豚肉・ゼラチン

前半の魚類は、あまりパン屋さんには関係ないと思いますが、フルーツや肉類はやはりカレーなどを作る時に使用するものばかりですよね。

これらも、原材料の欄に表示してあれば、あえて別に書く必要はありませんが、原材料に入らない場合はアレルギー物質として表示して下さい。

このアレルギー物質の表示を行う際に注意すべき事柄があります。

それは、コンタミネーション(混入)についてです。

パン屋さんは、全てのパン生地を同じ作業台の上で行っていると思います。

そうなりますと、たとえ今成形している生地にアレルギー物質が入っていないとしても、その前に成形した生地には入っていた場合、少量であるとは言え混入してしまうことが考えられるのです。

その様な場合は、混入の恐れもあると言う表記が必要になるのです。

そう考えると、例えば小麦アレルギーの人が米粉のパンを購入する場合などは、要注意となりますので、このあたりは充分にお客様ともコミュニケーションを取りながらアレルギーの度合いを良くお聞きし、重度の場合はしっかりと説明する事が大切です。

その他、書けば書くほどややこしくなりそうなのでこのあたりで止めておきますが、この食品表示というのは本来はお客様が見て、何が入っているのか正しい情報を掴む為の表示である事は言うまでもありません。

しかし現実には、表示する側も解っていない事が多く、また指導する側も管理しきれていないというのが現状なのです。

そう考えれば、やはり食品表示が確実なのは大手工場の製品であり、手作りに近い個人製造のものほど、表示はあやしいという結論になってしまいます。

いったいどちらが安全な食べ物だと言えるのでしょうかね~(~_~;)


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