ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

分割後に生地を冷蔵した場合の利点と欠点

前回、分割後の生地を冷蔵することは全く問題ないが、色々と注意が必要であると言う話をしました。

そしてまず基本的には、パン生地は適正温度で捏ね上げから分割までを終える事で、イースト菌の活動がスムーズに行われ、その後に冷蔵などの温度変化があったとしても、一度活発に動き始めたイースト菌はそれらに耐えうるのだということをお解りいただけた事と思います。

実際には非常に多くの皆様が、分割後には生地を冷蔵するなどして発酵をコントロールしている事と思います。

それこそ配合や条件により、実に多くの事例が存在する製法ですので、全てをここで紹介する事は出来ないと思います。

ですので、ここではあくまで一般的に、分割後に生地を冷蔵した場合の利点・及び欠点などについて説明しておきたいと思います。

一般的に多く使われている製法としては、生地を仕込んだ後に適切な発酵時間を取り、その後に分割して冷蔵し、その生地を当日・あるいは翌日にも使用しているというパターンが多いと推測されます。

体験的にですが、当日の生地よりも翌日に使用した生地の方が若干発酵力が鈍くなっていたり、あるいは完成品のボリューム感に欠けたりというようなことを感じている事と思います。

それは、まぎれもなくイースト菌の活動は冷蔵状態でも継続して行われている証であり、あまり長持ちはしないのだということも体験的につかんでいる方が多いのではないでしょうか。

ただし、何となく???は解るような気がするけど、完成品が良い時も悪い時もあり、その不安定感には頭を痛めている人が多いのも事実だと思います。

それ程に冷蔵温度帯というのは、解りづらくはっきりとしていない部分を秘めた温度帯なのです。

ということで、生地を冷蔵する際に注意しておかなければならない事例を、出来る限りご紹介しておきましょう。


<生地を冷蔵する前の段取りとしてここを押さえておきましょう>

生地の捏ね上げ温度が高いと、冷蔵した際に生地が乾燥しやすくなるので、早めに分割を開始する事。

また、生地の捏ね上げ温度が高い場合は、冷蔵庫で予想以上に生地が膨らんでしまうので、トレーに乗せた生地を一度冷凍庫などで表面を速やかに冷やし、その後に冷蔵庫にもどすと良いでしょう。

ただし、いづれの場合も生地の乾燥は厳禁なので、ビニールなどでしっかりと生地をくるんでおく事。

保管をプラスチックの番重のようなもので行う場合は、初めからではなく、生地が良く冷えてから番重に移す方が良いでしょう。

生地の捏ね上げ温度が低いと、完成品に元気がなく、ボリュームに欠ける事が多くなるので、冷蔵前の発酵時間を長めにとる事。

あきらかに数日間は冷蔵したいと考えた場合は、冷蔵前の発酵時間は短めにする事と、イースト菌及び改良剤は大目に配合しておく事。


<冷蔵された生地の状態を見極めてから次の作業に移りましょう>

冷蔵庫で生地が良く膨らんでいて、かつやや乾燥気味の場合、成形は速やかに行いましょう。

またその際は、生地切れに注意しながら優しく成形する事を心がけてください。

生地が伸びにくい、あるいはすぐに切れてしまうような状態では、全体的に冷蔵中の過発酵が原因ですので、無理に伸ばしたりせずに、生地を休ませながらダメージを与えないように成形するよう心がけてください。

逆に生地が良く膨らんでいない、あるいはややペターっとしていて艶がある場合は、すこし常温で温度を戻してから、しっかりと強めに成形すると良いでしょう。

長時間の冷蔵や、生地の捏ね上げ温度が低かったような場合には、このように生地に元気が無い状態になりがちです。

この場合は、成形する前に生地の温度を上げるというのが最大のコツとなります。

例えば成形後に、いくら高温のホイロへ入れたとしても、生地はベターっと横に膨らんでしまいます。


<総合的にこんな点に注意しておきましょう>

天然酵母を使用している方は、上記の例はあてはまりません。

改良剤やイーストフードを使用していない場合は、そもそも冷蔵そのものに耐えうるだけの力がイースト菌には欠けていますので、上記以上に細心の注意とコツが必要となります。

大きめの入れ物で、たくさんの生地を冷蔵している職場は多いと思います。

そうなると、どうしても中心部の生地とサイドにある生地の膨らみ方が違ってきていると思います。

これらは物理的にはどうしようもないことですので、膨らんでいる生地とそうでない生地を、成形後に同じ天板に乗せないようにすると言う事位しか対策は無いと考えます。

冷蔵であれ冷凍であれ、生地に副材料が多ければ多いほど安定的な発酵が行われます。

それは、砂糖であったり油脂であったり改良剤であったり、何が生地を守る役割を果たしてくれるのかを良く考えながら、冷蔵に適した生地を選ぶべきだと思います。

また、冷蔵する事がはじめから決まっている場合などは、出来るだけ生地は硬めに仕上げる方が安定すると考えられます。

生地を冷蔵すると言う事で一番注意しなければならないのが、イーストの活動と水分量なのです。

冷蔵により、全般的に生地が水っぽくなりますので、冷蔵する事が目的の場合は、水分量を控えた方が安定すると思われます。

生地を冷蔵すると一言で言っても、様々な考え方や目的の違いが存在します。

それは、低温発酵としてじっくりと発酵させる事によって、熟成の香りや生地のしっとり感を目的とした場合。

あるいは、生地玉冷蔵法として低温発酵の良さをも狙いつつ、当日に成形から行えると言う利点を目的とした場合。

あるいは、単に発酵コントロールとして一度発酵を緩やかにさせる事が目的の場合。

あるいは、冷蔵用イーストを使用して、冷蔵で一度発酵を休止させる事が目的の場合。

あるいは、成形までを終えた生地を冷蔵で発酵コントロールし、翌日焼成から行う事が目的の場合。

などなど、冷蔵庫を使ったいわゆる発酵時間をコントロールすると言うやり方は、実に多く存在しています。

低温発酵イコール熟成と言う訳にはいかない事もたくさんあります。

冷蔵する事で、わざわざ美味しくないパンを作り出す事になってしまっている場合もあるはずです。

生地を冷蔵すると言う事は、ただ単に冷蔵庫に生地をしまえばそれで良し・・・・ではないのだということをまずはしっかりと理解し、目的を持って、しっかりと完成品をチェックすることが大切です。

それにしても、当然のこととはいえ、パン作りはやっかいですね~

Leave a reply






管理者にだけ表示を許可する

Trackbacks

trackbackURL:http://sizuasa.blog44.fc2.com/tb.php/319-7374d119
該当の記事は見つかりませんでした。