ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

冷凍生地を、より美味しく変身させよう

こんな質問をいただきました。

おっしゃる通り、とてもスマートに仕事がはかどるのですね。

家庭で手作りをしていたころや、今の職場に来る前の個人経営のパン屋の時を思い出すと、なんだかいつもせわしなく動いていたような気がしてきます。

あのころは全身粉まみれで、汗をかくと化粧も一緒に落ちて大変でした(笑)

それが今では汗はまったくかきません。 むしろとても余裕があって、これでいいのかしら??と思いながらの毎日です。

でも、売上は今まで経験した事のないような金額になりますし、あらためて冷凍生地の凄さが解ったような気がしますし、冷凍生地=にせものみたいなイメージをもっていたことを恥ずかしくさえ思う今日この頃です。

特に菓子パンは、冷凍生地の方が美味しくなったような感じさえしますが、それは私の技術が未熟だったからだけのことでしょうね(笑)

ただ、味的にはほぼ満足しているのですが、もう少し手間ひまをかけられる余裕があるものですから、最近では少し発酵時間を長くしてみたり、解凍時間を長めにとってみたりして、少しでも発酵の旨味をプラス出来ないものかと色々試してみたりしているのですが、これって邪道ですか?

かえって美味しくないものになっても困ると思いますし、まだまだ冷凍生地に不慣れなもので、よろしければ冷凍生地の取り扱いについてもう少し詳しくご教授いただけたらうれしいのですが・・・・



この質問者様は、どうしてもお店を出したい・・・・しかし経験不足は自分自身が痛感している。

それでもタイミング的に今を逃せば、独立への道は遠のいてしまう。

そんな思いの中で、半分以上を冷凍生地にしてでも開業しようと決心され、思いのほか順調に推移しているとの事。
普通なら、ここで調子に乗ってどんどん冷凍生地を展開し・・・・となる所なのですが、スムース過ぎて申し訳ないと言う思いがあるようなのです。

いったい何に対して申し訳ないのか・・・・

それは恐らく、額に汗しながら作っていたあの頃の自分に対してでもあり、完成したパンにでもあり、買って下さるお客様にこだわりを伝える事が出来ていないような気がしたりしているのではないでしょうか?

冷凍生地しか使った事のない方にはまったく意味の解らない話だと思いますし、冷凍生地を使った事のないパン屋さんにも、同じく理解できない話だと思うのです。

それ位手作りと冷凍生地との作業性は大きく違うものなのです。

解り易く言うと、冷凍生地にはパン作りで最も大切で、かつ最も難解な温度管理と発酵時間管理が解らなくても扱えます。

つまり、製パンの経験は本当にいらないのです。

この生地を、製パン経験のある人が使うとどうなるでしょう。

あまりに楽過ぎて、笑ってしまうかもしれません。

極端ではなく、その位便利なのが冷凍生地というものなのです。

冷凍生地に関しての細かい部分にはここでは触れませんが、今回の質問によると、本来は解凍した生地に具を詰めたり、伸ばしたり編んだりという成形を行った後、最終発酵をさせて焼くと言う工程の所を、生地を単に解凍するだけではなく、低温で長い時間をかけて解凍する事で、発酵の旨味をプラスする事が出来るのではないか?という内容のようです。

着眼点が素晴らしいですよね~

単に楽になって喜ぶのではなく、次なる挑戦をはじめる・・・・・

そしてそれはより美味しいものを追求する為であり、なによりお客様の為・・・・

素敵なベーカーですよね~ 尊敬します(*^_^*)

ではまず回答からですが、物によって違いがあると言う点と、最終的には一つ一つ完成品をチェックして、その完成度がどうであったかを検証していくしかないと思います。

冷凍生地といっても、どこから仕入れても全て同じと言う訳ではないのです。

各社様々な研究をして販売していますし、得意不得意も当然あるのです。

冷凍生地というと、最も代表的なのはやはり最大手のヤマザキ・敷島・フジパンになりますが、その他にも実に多くのメーカーが冷凍生地を作っています。

もちろん海外からの輸入品もたくさんあります。

どのメーカーの何生地を使うかによって、まったく生地の特性は違ってきますので、ここでこれはこうと言う訳にはいかないのです。

ここでいう冷凍生地とは、いったいどのような特性を持っているのでしょうか?

本来パン生地というものは、冷凍庫で長期保存されることでイースト菌がどんどん死滅していきます。

数カ月もすれば、まったく膨らむ力を失ってしまうのです。

そこで、それを数年間冷凍してもイースト菌が元気でいられるようにと、ユンケルとリポビタンゴールド数百本分のパワーの源となるようなものを配合したのが冷凍生地なのです。

ですので、冷凍期間はもとより、解凍した後もとても元気に膨らんでいくのです。

・・・が、逆に言うと元気があり過ぎて、既定の時間を超えた場合は過発酵になる傾向もあるのです。

つまり、通常の生地でしたら、捏ね上げ温度が低ければ元気がありませんし、室温が低いだけでもどんどん発酵力は低下していきますが、冷凍生地は凄まじいパワーを持っていますので、寒かろうが多少解凍が不十分だろうが、どんどん発酵していくように出来ているのです。

ですので、気を付けないと過発酵により膨らみ過ぎたスカスカのパンになる事があったり、甘みが少なくなってしまう事があったり、アルコール臭が強いパンになってしまう事もあるのです。

それぞれの生地によって、その元気度は違いますから、いちいち試してみるしかないと言うのが現実問題だと言えるのです。

では、もう少し細かく見ていきましょう。

砂糖や油脂が多く配合されているであろう菓子パン類の生地というのは、冷蔵庫で解凍する事である程度の発酵の旨味をプラスする事は可能だと思います。

例えば、本日冷凍から冷蔵庫へ生地を移し、翌日成形から始めると言うようにすれば、通常の作り方をするよりもパンがしっとりしてくると考えられます。

ただし、冷蔵庫の中で生地がもの凄く膨らんでしまっては駄目です。

程良く膨らむような温度に設定する必要があります。

いわゆる小物のパン・菓子パン・ロールパン・スイートロールの類は、皆同じように冷蔵庫での一晩解凍をする事で、ある程度の旨味やしっとり感が出せると思います。

ではそれ以外の、食パンやフランスパンや大型ブレッドなどはどうでしょうか。

これらの生地は、そもそもが冷凍する事自体に無理がある配合ですから、たくさんのユンケルが投入されている可能性があります。

ですので、小物のパン以上に気を付けなければならないでしょう。

だからと言って、見た目には小物の生地よりも元気が無い感じが多いと思います。

すると、どんどん時間を長めにしたくなりがちですが、見た目はそうでも実は過発酵になってしまっていると言う事が起こり易いのも大物の生地の特徴なのです。

過発酵になった食パンやフランスパンは、どうしても焼成後にアルコール臭が残ったり、キメが粗くなったりします。

そのあたりに充分注意しながら、あまり長時間ということではなく、規定よりも少しだけ大目に発酵させて見る程度にしておいた方が無難かもしれませんね。

後はこれも考え方によりますが、初めから大物のパンは自家製にするべきだと私は思います。

小物のパンは、言い方は悪いかもしれませんが、いわゆるごまかしがききます。

それは、必ず具材が入っていると言う点と、そもそもが高配合ですから、原材料の旨味だけでも充分美味しいと言えるからです。

しかし、食パンやフランスパンなどはそうはいきません。

配合もシンプルですし、発酵と言う工程が、即旨味につながるパンだと言えるからです。

お勧めなのは、小物のパンはアイデアにこだわる・・・・

大物のパンは発酵にこだわる・・・・・

冷凍生地に助けられてはいけません。

平たく言えば、あちらこちらで同じ生地を使っているのですから・・・・

少しでも工夫して他に無いものに変身させる・・・

どうか冷凍生地を使いこなして下さいね(*^_^*)

1 Comments

ゆうき says...""
先日メール送らせてもらいました
届いてるといいのですが。。
2013.02.05 20:26 | URL | #TluyS4YI [edit]

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