ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

売上は良かったはずなのだが・・・・・

先日、中規模の送別会がありまして、とある個人店の居酒屋さんで美味しい料理を頂きました。

参加人数が50名程でしたので、会費が一人4000円で、しめて20万円の売上か~・・・・・

などと考えながら、スタッフの数や料理の数、そしてもちろん料理の味からサービスに至るまで、何となく数字でとらえてしまう癖のお陰で、居酒屋さんも意外と薄利多売なんだな~などと考えてしまいました。

そんなに大きなお店では無かった為に、その日は一般客は入れずに貸し切り状態にしていたようですが、まとまった売上を稼ぐ方が賢明なのか、それとも一般のお客様を優先するべきなのか、オーナーはどう考ええているのだろうか・・・などと、相変わらずそんな事ばかり考えながらお酒を飲んでいた次第です。

一度に20万円の売り上げは確かに多いように見えますが、準備には相当かかっていたと思うのです。

そして料理の内容からすると、原材料費もけして安くはないはず・・・・

そして何よりもスタッフの数が多かった。

これらの費用を総合すると、はたして純利益はどれ位あったのだろうか???

様々な業種があるなかで、私達の様な食べ物を作って提供すると言う仕事は、けして大儲けできるような職種ではありません。

なぜなら、常に売上に対してかかる費用が比例しているからです。

上記の居酒屋さんも、私達パン屋も、常に原材料費と人件費というものに付きまとわれています。

それはそうですよね・・・・

材料がなければ作れない訳ですし、作る人や売る人がいなければどうにもならない訳ですから。

だからこそ、出来る事なら仕事が早いパートさんがたくさんいてくれれば、人件費としては相当助かる訳ですし、同じような材料であるならば、出来る限り安く仕入れたいと考える訳です。

より専門的な料理を提供したいと考え、ある程度一流のスタッフを社員として揃えると、パートさんの時とは比べ物にならない位の人件費がかかってしまいます。

その代わり、もしかしたらお客様が増えるかもしれない・・・・

高品質であるがゆえの高人件費・・・・ならば、先行投資としてそちらを選ぶべきか??

いやいや、パートさんが作る家庭の味という切り口も捨てがたい・・・・

ならば人件費は安くて済む・・・・

しかし、所詮パートさんは家庭の事情でいつ休まれてしまうか解らないし、その味や技術は、お店の財産としては考えにくいかもしれない・・・・

とすると、当面は良いとしても、雇用するパートさんによってはメニューやお店のイメージそのものが、ころころと変わってしまうと言う事になる・・・・

だとすると、やはり一人は専門家がいて、後はパートさんで回せば・・・・

と言うようなことは、オーナーであれば常に頭から離れないテーマだと思うのです。

一つの商品を買ってもらって、それが数年間使えるというような場合とは大きく違い、私達の提供する商品は、今その場で食べてしまえば無くなってしまう商品です。

だからこそ、何度も何度も同じお客様に買ってもらう事が出来る。

利益が少ない事は悲しい事ですが、その分頑張ったことへの効果がすぐに売上に反映される訳ですから、良しと考える事も出来ますよね。

それにしても、私達は売上がいくらかという事には相当関心があるのですが、その内容にはあまり深く興味を持たない傾向があると思うのです。

今月は売上がいくらだった・・・・

前年より何パーセント上がった・・・・

まずますかな・・・・

それで何となく安心している部分があるかもしれませんよね。

しかし経営者的に考えてみれば、ここで一番大切なのは、いくら売上たのか・・・・ではなく、いくら利益が出たのか、利益率は適正なのかということなのです。

パンを作る事が大好きで、何よりもお客様の喜ぶ顔が見たくてこの商売を選びました・・・・

そんな方達が多いこの業界ですが、そもそも経営として成り立たなければ、お客様の喜ぶ顔どころか、パンを作ることすらできなくなってしまいますよね。

ですから、どんなに儲け主義ではないといっても、やはり最低限経営を維持していけるだけの利益は必要になってくる訳です。

今現在、大変売上に悩んでおられるオーナーや、これからどのような商品を作っていけば、売上が上がるのでしょうかというような問い合わせが多く寄せられます。

特に、セブンイレブンで食パンが売上第一位になったとのテレビ放送の後、やはり食パンに力を入れるべきでしょうか・・・というような質問が多く寄せられます。

ヤマザキダブルソフト以来の快挙ではないですか!!!

あのセブンイレブンで一番売れているのが食パンだと言う事は、1日当たりいったい何本の食パンが売れているのでしょう????

業界人なら誰でも、超うらやましいな~と思うのかもしれませんね~

しかしですよ、例え旦那さんが浮気をしたとしても、ほとんどの場合奥さんの所へやがては戻ってくるものだと言われていますし、私も実にその通りだと考えます。

そんな時にですよ、あせって奥さんが浮気相手の女性のように、急に若づくりしたからと言って、旦那さんはかえって引いてしまうと思いませんか?

奥様はただ黙って、自分の愛を貫けばいいのではないかと私は思うのですが、そのあたりはそう簡単な事ではないと思いますので、この辺でやめておきましょう。

ただ言いたい事は、そのようなことにいちいち反応するのはいかがなものか・・・ということなのです。

それよりも、もっと身近な、もっともっと本来やらなければならない事がたくさんあるはずですよね。

そんな身近な問題点の中に、商品構成が今のままで良いのか?という問題があります。

売上という分母だけに一喜一憂する前に、自店の商品構成を今一度見直してみて欲しいのです。

それはどう言う事かと申しますと、パンという商品は、食パンの様な日常的に主食として食べられる事が多いものと、それ以外の嗜好品、つまりおやつとして食べられている商品とがあるのです。

ここで考えなければならない事がいくつかあります。

それは、食パンは単価が高い分売上に貢献する比率が高い商品であると言う点。

そして、ほとんどの場合、具材を含んでいないと言う点。

詳しく見ていきますと、例えば今現在の売上の半分を食パンが占めているとした場合、工房での作業工程がどうなるかを考えてみてください。

恐らく、分割・成形・焼成のどの工程をとっても、かなり時間短縮につながる事と思われます。

さらに、パン屋はパン生地を作って売ってなんぼの商売です。

しかし実際には、ほとんどが具材や惣菜入りのパンになっている為に、肝心の儲けは具材を作っているメーカーに行ってしまう事になります。

つまり、私達は往往にしてメーカーの具材を一生懸命売ってあげている事になってしまっているのです。

誰でもが好きなソーセージ入りのパンがあったとします。

そのパンが仮に150円だったとして、パン生地の原価は大体10円程度なのに対して、ソーセージは40円前後になるかと思います。

そう考えると、お客様から頂いた150円の中の、たった10円が私達のパン生地の取り分で、40円のソーセージ代はまるまる業者に行ってしまう事になります。

ソーセージが入ったパンがお客様に好まれる事は誰でも知っています。

だからこそ、少しでも高品質のソーセージを・・・・

そして肉質と産地にこだわった高級ソーセージを入れて、販売価格が300円になりました・・・・

としても、その高級ソーセージを売り込む事が私達パン屋の役目なのでしょうか??

そのようにして商品を見渡してみると、どれもこれも業者の売上アップの為に利用されているように見えてくるのではないでしょうか?

だからと言って、具無しのパンばかりでは売れないだろう・・・・

という意見が大半になると思いますが、実際に食パンだけで商売をされている方はたくさんいらっしゃいますし、その他にも何か一つの商品に特化して商売を成功させている方も、もちろんいらっしゃいます。

どちらが良いのか???と言う事なのではなくて、自分は今現在で満足なのかと言う事なのです。

知らず知らずのうちに、具入りパンばかりが売れるようになってしまうと、なかなか主食のパンが売れないお店になってしまいます。

それは、その様な客層になってしまっているという実情なのです。

というよりも、自らがそうなるようにしてしまった結果だとも言えると思うのです。

だからと言って、具入りパンを否定している訳ではありませんよ。

そうではなくて、具材にお店が支配されているような事はありませんかと言う事を言いたいのです。

上手く利用出来ているのであればそれでよいと思いますし、具材がパンの原価の大半を占めているのだということを充分認識した上で使用しているのであればまったく問題はないと思います。

気が付けば、具材は色々使っているが、肝心のパン生地は何のこだわりもなかった・・・・

もしそのように感じるオーナーがいらっしゃるのでしたら、私達の本分はパン生地その物にこだわる事、それ以外に道を開く事は出来ないのだと言う事を、どうか知っておいてほしいと思います。


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