ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

小麦粉の吸水率は以外と違うもの・・・

こんな質問をいただきました。

休日には本屋に行ってレシピ本を見てはパシャっと携帯で撮影したりしています。

店員さんには怒られそうですが、もちろん何冊かは購入もしておりますよ(笑)

問題はその中身なのですが、どうしても何品かは実際につくっても納得のいかないものがあるのです。

特に一番納得のいかないのが生地の硬さなのですが、書いてある通りの水分量だとどうしてもカチカチの生地が完成してしまうものがあったり、逆にベタベタの生地になったりしてしまいます。

そんな時は、自分で勝手に吸水を変更しても構わないものなのでしょうか?

水分量の違いで商品に違いが出たりしてはいけないと思い、なかなか変更できずにいるのですが、やはりどうしても書いてある通りではうまくいかないものが数品は必ずあるのです。

まさか間違っているということはありえませんよね。

だとしたら、いったいなにがいけないのでしょうか?



なるほどなるほど、しかし真面目なのですね~

ほとんどの方は、水分量はある程度いい加減に自分で調節してしまうと思うからです。

そのまま行ってカチカチであったり、ベタベタであったりするよりも、自分なりに変更して自分にとって扱いやすい生地にしてから行う事の方が日常では多いと思われるからです。

しかし、本来はまずなぜこんなに硬い生地なのか? 

または、どうしてこんなに柔らかいのか???と言う事を、開発者の立場に立って考える必要があると思うのです。

もしかしたら、その水分量に何かのこだわりがあるのかもしれないからです。

しかし、隅々までレシピを見ても何も書かれていない場合、また完成品にも水分量へのこだわりが書かれていない場合などは、それは全く違う面を疑わなくてはならないと言う事になるのです。

ここで言う吸水、つまり書かれている水分量では、何度やっても硬過ぎたり柔らか過ぎたりする訳ですから、そこにこだわりが無い以上、その水分量は適切ではないと言う事になります。

では、まさかのミスプリなのか??? あんなに高額な本なのに???

と言う訳ではなく、実はそこには使用される小麦粉の違いというものが書かれていない場合が多いと言う事なのです。

パン生地の吸水率と言うのは、どのような小麦粉を使用するかによって全く違ったものになってくるのです。

レシピには、強力粉や最強力粉などと書かれている物が多く存在していると思います。

その様な場合は特に、銘柄によって全く違うのだと言う事をここで知って頂きたいのです。

また、例えば日本製粉のイーグルと書かれている場合にも、作る人はわざわざイーグルを取り寄せたりはしないと思うのです。

いつも使っている強力粉で代用しているはずです。

強力粉といえば、少しの違いはあるかもしれないが、そう大差はないはずだ・・・という考えを皆様はお持ちのはずです。

特に大手の小麦粉なら、どれもそう大差はないはずだと・・・・

それは吸水率であったり、味であったり、製パン性全般を考えても、大体同じように作られているだろうと言う根拠のない安心感みたいなものなのかもしれませんね。

しかし、実際には全く違うのです。

小麦粉と言うのは、年間を通してかなりの新商品が開発されて行きます。

それは、原料そのものがまったく違う場合もあるでしょうし、ブレンドの違いもあると思います。

いずれにしても、大手だけでも全てを総合すると数百種類もの小麦粉が存在しているのです。

それらを使い分けていくと、明らかな違いに出逢う事になります。

それは、手触りであったり、吸水率であったり、弾力であったり、ボリューム感であったり、味であったり、とにかく全く違うのです。

ですから、まずはレシピに書かれている小麦粉の種類によって、水分は大きく変わってくるのだと言う事を知る事と、出来る事なら書かれている小麦粉を使用して作ってみて欲しいと言う事になります。

また、強力粉としか書かれていない場合もたくさんありますよね。

そんな場合は、開発者が特に小麦粉にはこだわってはいないと言う事でしょうから、この場合はご自分の使う小麦粉の吸水率に従って、自由に変更することは問題ないと思われます。

レシピ本と言うものを見るにつけ、開発者の思いが伝わってくるものと、編集者がすべてを取り仕切っているのかなと思うほど、どうでもいいレシピも目にします。

どれが本物でどれが適当なのかは解りませんが、いずれにしてもそのレシピから何かを学び取り、最終的には自分の物にしていくしかない訳ですから、今回のようにまず水分量を適当に変える前に、なぜそうなのかと悩むその感性が大切なのではないでしょうか?

そしてこれを機会に、小麦粉と言うのはパン作りにとってメイン材料なのだと言う事を改めて確認してほしいのです。

注文さえすれば、袋に入った白い粉がすぐに届き、どれもパッケージ以外は似たか寄ったかにしか見えないかもしれません。

しかし、小麦粉と言うのはもとをたどれば作物ですよね。

米や野菜と同じ地面から生まれる作物です。

作物と言うのは、私のような未熟者が語れるような単純なものではない奥深さがあるはずです。

ただ手をかけると言う事だけではない、自然界との関わりも味や品質に大きく影響してくる。

製粉した段階で数値として様々なデータが得られるはずですが、そこには味は出てきません。

ですから、最終的にはパンにしてみる以外に、その小麦粉の本当の美味しさを見つける事は出来ないのです。

実に神秘的だとは思いませんか・・・・

この暑い時期には、必ずご近所の方から頂くものがあります。

それは茄子やきゅうりやトマトなどの夏野菜です。

どれも見た目には確かに同じように見えますが、毎回微妙に美味しさに違いがある気がしています。

鮮度なのか土なのか肥料なのか、まったく音痴な私には解りませんが、仕事にしているパンのメイン材料である小麦粉だけは解らないと言う訳にはいきませんよね。

パンにした時にどうなのかと言う事は、私達パンを作るものにしか本当の小麦粉の良さは表現できないということになるからです。

そう思いながら様々な小麦粉を使っていくと、その違いには驚かされます。

ご質問の水分量に関しては、単に強力粉として販売されている小麦粉の中でも、吸水が60%しか入らないものもあれば、75%位まで入るものもあります。

これだけ違っても、完成品の硬さは皆同じだったりします。

小麦粉そのものが持っている水分量というのはほぼ一定です。

と言う事は、どれだけ水分を吸収するか、またはその保持力などに違いがあるのだと考えられるのです。

そして、その水分保持力などが、味や食感にどのように影響を与えるのかが、その小麦粉が持つ特性なのだと思うのです。

恐ろしいまでに水分を吸う小麦粉もあれば、すぐにベタベタになってしまうものもあります。

また、ミキシングに関しても大きく違いがあり、10分位で生地が完成する物もあれば、30分捏ねないと実力を発揮しないというものもあるのです。

これらの細かい部分は、実は小麦粉を販売している販売店や問屋さんではほとんど分かりません。

小麦粉はあくまで粉であって、強力か中力か薄力かの違いと、銘柄の違い程度しか情報を得る事は出来ないと思います。

小麦粉の袋には必ず製粉会社の名前が入っています。

そして製粉会社各社には、必ず研究室というものがあり、そこでは日々パンが作られているのです。

それは、最終的にはパンにしてみなければ小麦粉の特性を判断する事が出来ないからに他ならない訳ですが、この研究者の人達と言うのは、あくまで小麦粉から見た目線でパンを作る人達です。

ですので、どの小麦粉はどの程度の水分量が一番美味しいのか、どの程度のミキシングが最適なのかを全て知り尽くしています。

まさに小麦のエキスパートなのです。

ですから、知りたい事があれば直接製粉会社に電話して聞いてみるのです。

最後には必ず研究室の方が応対してくれます。

そこで知り得る情報は、なかなか通常の製パンでは知りえない情報ばかりだと言えますし、もっともっと小麦粉に興味を持ったパン作りが出来るようになると思いますよ。

私が知る限り、製粉会社の研究員の方と言うのは何故か皆良い人ばかりで、相当真面目です。

真摯に向き合えば、必ず対応して下さると思いますから、勇気を出して電話してみると良いと思います。

きっと何かが開けると思いますよ(*^_^*)

それから、使用する小麦粉をコロコロと変更する人はあまりいないと思いますが、かと言って常に同じ吸水率で作られていますか?

私は過去に一番長く使用してきたのが日清製粉のカメリヤでしたが、それでもなぜか年間を通すとかなり吸水は変化がありました。

特に真冬の乾燥した時期と、梅雨では大きく変化が見られました。

今現在使用しているサンミールのシェルエイトと言う小麦粉は、年間での違いのほかに数年間での違いと言うものにも遭遇しています。

どう言う事かと言いますと、真冬と梅雨時期の違いは恐らく保存状態での違いも大きいと思うのですが、例えば3年前までは吸水の平均が64%だったのに対して、ここ数年は68%だったりと言う違いがあるのです。

それだけではありません。

ここ数年は特に完成品にボリュームがあるのです。

つまり良く伸びるということですね。

ならばこれで良しと言いたい所ですが、良い所だけではないのです。

伸び過ぎて内層が荒れる商品も出て来るのです。

ですので、慎重に吸水とミキシングには気を使わなくてはならないのです。

このような違いが、果たして私が使っている小麦粉だけの事なのか、それとも大手の小麦粉でも同じような事が言えるのかは正直解りません。

ただ、最終確認はやはり食べてみる以外にはありませんし、食べてみて食感や味のチェックをする以外には、私達にはどうすることもできません。

吸水率に変化が見られたり、ミキシングの感じが変わるたびにサンミールには直接電話を入れる訳ですが、毎回けして面倒がらずに対応してくれます。

その人柄と真面目さと、そして何よりパンにした時の小麦粉の美味しさ。

パンを作っていてこれほどの安心感はありませんよね。

私自身小麦粉の違いというもので、パンの味までもが変わってくると言う事は考えた事もありませんでした。

ただ良く伸びるかどうか・・・とか、価格がどうか・・・と言うようなことしか考えていませんでした。

しかし、作物である小麦粉と向き合えば向き合うほど、その奥深さに驚かされると共に、味の根幹は小麦粉で決まるのだと言う確証を得る事だ出来たここ数年は、今までとは違うパンとの向き合い方を学んだ貴重な時期でもありました。

小麦粉と水分量、そして捏ね方に副材料の配合等々、まだまだ勉強していかなければならないのですね~

はたして身が持つかどうか(@_@;)


4 Comments

ぽん says..."はじめまして(^^)"
趣味でパンを作ってる主婦です。
朝さまに出会って、
レシピに書かれてるからとりあえずやってたことや、疑問に思ってたことが、解るようになり、
凄くスッキリで、凄く感謝してます!
そして、どんどんパン作りにのめり込んできてます(笑)
これからもどうぞよろしくおねがいします。

お米も時期によって吸水率が全然違うから、小麦粉も当然かもしれませんね。


ps。過去の記事にもコメント入れさせてもらってもよろしいですか?

2013.07.25 14:33 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."ぽんさん、笑顔さん、コメントありがとうございます"
99%位の方が、コメントではなくメールをくださいますので、ぼ~としているうちにコメントが書かれていてビックリ・・・と言う事が多く、反応が遅くてスミマセン。
毎回返答は出来ないかもしれませんが、ご自由にお書き下さい。
見てくださっている方がいるんだな・・・そう思うだけで力になります。
これからもどうぞよろしく!!
2013.07.26 06:49 | URL | #- [edit]
ぽん says...""
朝せんせ、質問です(・_・)/

いざ捏ね始めて、あれ?固いな。あれ?柔いな。って感じた時の対処法って、
固い場合
①そのまま続行で、後でフレンチトーストにする
②バターを多目に入れて柔くする
柔い場合
①パンチをいれてコシを出す
②型焼きパンにする
で良いですか?

ちなみに、
この前、計算間違いで、パウンドケーキみたいに柔くなって、慌てて粉を足しました(==;;;;;;
2013.07.27 09:16 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."荒っぽい!"
ぽんさん、こんにちは

硬い、柔らかいと言うのは、昨日今日で全く違うものになると言う事は無いはずです。

それは、計量がいい加減だと言う証です。

対処法はすべて意味不明ですし、そもそも計量をきちんとすると言う所から、パン作りは始まるのです。

対処を考えるのではなく、荒っぽい性格を戒める事をしないと、パン作りは楽しめないと思いますよ。
2013.07.28 05:29 | URL | #- [edit]

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