ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

自分のスタイルをまず決めましょう

商売を始めたからには、売上は予想以上にある方が良いに決まっている・・・

取材が来るような人気店に、出来る事ならなってみたい・・・・

同業者からも一目置かれるような、そんな目標となるようなお店になってみせる・・・・

経験がある・ないを問わず、どうせパン屋を開業するなら、そこまで目指して頑張ってやる・・・・

いや、必ずやり遂げて見せる・・・・・

夢と希望とやる気が一気に湧きだしてくるような初心の日々を、誰しもが経験して開業すると思います。

経験があればある程、自分の腕に自信があればある程、その様に思うのではないでしょうか。

しかし一方では、なんとか食べていけるだけの売上で充分、あとは楽しみながらゆったりと過ごしていきたい・・・・

その様な方もいらっしゃると思います。

私が企業戦士だった頃ですと、このような弱気な開業にはとても賛同は出来なかったと思います。

そんなちっぽけな思いで乗り越えられるような柔な道ではない・・・とか思いながら。

人気店として存在する事こそが、パン職人としての喜びであり、社会・地域・そして会社とそこで働く社員と社員の家族の為なのだ・・・

そんな大それた思いを抱いていた頃を懐かしく思い出します(笑)

予想以上に売れていく・・・・

これは体験した事のある方にしか解らない事だと思いますが、なんとも気持ちが良いものなのです。

毎日大忙しになる訳ですが、何故か気持ちは高揚しており、疲れなど感じないのです。

自分の実力が認められた瞬間・・・・とでも言えば良いでしょうか、すべてが好転していくような、そんな予感さえ感じさせてくれるような至福の時。

・・・・のはずなのですが、あくまで私の場合はこの至福の時が長くは続きませんでした。

と言っても、売上が下がってきたのではありません。

むしろ逆で、どんどん売り上げは上がってくるのです。

すると、完全にすべてがキャパを超えてしまい、パンクしてしまうのです。

労働時間は限界を超え、やりがいをも失うような疲労が襲ってきます。

職人も設備も、すぐに増強できるものではありません。

ですから、出来る事には限界があるのです。

しかしそれでもお客様はやってくる・・・・・

頼むから他のお店へ行ってくれ・・・・・

そう叫びたくなるような日々を過ごした経験があります。

自分がオーナーなら、店休日を作るなどの工夫が出来たのかもしれません。

しかしこれが企業となると、そう簡単には行きません。

各店への応援要請は出来ても、店を閉める事などはけして出来ないのです。

売上が日商100万円を超えるようになると、一つ一つの商品の製造数も半端ではなくなります。

どんなに成形が好きな人でも、同じパンを毎日数100個も作っていると、嫌になると思いますよきっと。

まさに手作りの限界点を見る事になる訳です。

来店客数が伸びる度に大喜びしていたはずのスタッフが、一様に暗い雰囲気を出し始め、必ず辞めさせて欲しいという言葉が出始める。

そうでなくても、家族が乗り込んで来る事があったり、倒れてしまう人が出たり、とにかく人員確保には相当頭を悩ませます。

その度に、全てを自分が補う事になる訳ですから、こちらの家族もたまったものではありません。

未体験の人には想像しようのない話だと思いますし、売上に悩むオーナーから見れば贅沢な悩みに見えるかもしれませんよね。

しかし、現実問題として売上を自分ですべてコントロールすると言う事は不可能なのです。

売れないのは困るとは言え、売れ過ぎても困る商売と言うものもあると言う事です。

超人気店というのは、確率から言えば人の出入りが激しい、つまり退職率が高い職場であると言えます。

それは、忙し過ぎるからであり、体力勝負だからでもあります。

どんなに志があっても、どんなに実力があっても、どんなにパンを愛していても、体力がなければ超人気店では身がもちません。

そのようにして、悲しいかなお店を退職した人はかなり多いと思います。

人の出入りが激しいという事は、求人・面接という仕事も製造に加わってきます。

売れれば売れただけ、いわゆる余計な仕事もどんどん増えて来る事になるのです。

それでもやりがいを見出せるだけの精神力と体力が無いと、超人気店としてやってはいけないでしょう。

パンの修業をしたくて超人気店にようやく就職が決まっても、そのほとんどは1年以内に辞めてしまうと言えます。

辞めた人の話を聞くと、あんなに忙しいとは思わなかった・・・思ったよりも雑で嫌になった・・・・考えていたよりもいい加減でやる気を無くした・・・・どうしてあのパンが売れるのか不思議になった・・・・

と言うように、色々感じる所はあるようですが、要するに体力・精神力・気力が付いていけなかったと言うのです。

私にはよ~く解りますよ、そんな皆様の気持ちは・・・・

さぞかし中身は凄いのだろうと思っていたが、別にそう言う事ではなかった・・・・

何かを学べるとはとても思えなかった・・・・

そんな意見も多かったりしましたが、それはお門違いとも言えると思うのです。

超人気店に就職すれば、その秘訣を伝授してもらえる的な発想は正直間違っていると思います。

そこに秘訣があるとすれば、それは自らが習得すべき事であって、ほんの数年そこにいただけで解るようなものではないのです。

ましてや色々と意見はある事とは思いますが、数年で辞めてしまうようでは習得は遠い道のりであると言わざるを得ないでしょう。

たった一つだけそこに秘訣があるとすれば、それはオーナーの右腕になって、そのお店でなくてはならない存在になりえた時、掴めるものがあると断言できます。

売れるお店も売れないお店も、それぞれに諸事情は山ほどありますし、秘訣も原因も様々なはずです。

その真意を外野に居ながら掴む事は出来ないのです。

身を持って全て体験体感する事によって、掴めるものがあるのです。

これから修業の道に入ろうという人がたくさんいると思います。

どのお店に入るのかが問題なのではなく、掴めるまでは辞めない事です。

出来る事なら、そのお店の第一人者となってから辞めて欲しいと思います。

そうすれば、必ず何かを掴む事ができると私は思います。

そして、まずは自分をしっかり見つめてください。

体力に自信はあるのか? 何を学びたいのか? どんなお店を開店したいのか? どんなパンが作りたいのか? 技術力を学びたいのか? 伝統を学びたいのか? 工夫や発想を優先するか? 経営を学びたいのか? 人間性を学びたいのか? 売上規模は? 人の上に立ちたいか? 自分ひとりでやりたいか? 販売形態は? 自己資金は? 精神力は強い方か? 打たれ弱いか? 有名になりたいか?・・・・・・

自分がどんな人間で、どのような道を歩んでいきたいのかを明確にするのです。

そして一度決心して就職したら、とにかく謙虚に学ぶ事です。

それが何よりの自己実現への近道であると思うからです。

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