ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

このパンだけは作り続けたい・・・・

新規オープニングの手伝いが終わってようやく一段落。

うまくいったと言えるような満足なオープニングばかりではなかったが、お客様というのはやはり新規オープンのお店がことのほか好きなようだと改めて感じた。

どのお店も、そのままの業績が続けば万々歳であるが、間違いなくそうはいかない。

そう言いきってしまう自分も情けないが、どの道オープニングと言うのはお祭りのようなものである。

オーナーにとっては、これから訪れる現実が真実の姿なのである。

もちろん、オープニング以降売上を伸ばし続けるお店と言うのも無い訳ではないが、それはそれで従業員が死んでしまうだろう。

現実そのようなお店を手伝った時には、死にそうな思いをしたものだ(笑)

そんな中、あらためて感じることがある。

それは、いつも思うことだが、作り手としてこれは絶対におすすめしたい、必ず気に入ってもらえるはずだ・・・と自信を持って作ったパンは相変わらずあまり売れず、地域性に合わせたそれなりのパンに人気が集中すると言うこと。

これが都会ならまだしも、田舎になればなるほど売れ筋はどのお店でも同じような物になっている気がする。

仕方のないことだとはなんとなくは納得しているものの、やはりしっくりとはこない。

どこででも買える商材としてのパンであるがゆえに、せめて専門店として本格的な物も紹介したいと言う思いが強いのだが、買う方は至って冷静なようだ。

商品構成の中で、黙っていても必ず売れ筋に上がる商品といものがある。

ソーセージを使ったパン・チーズを使ったパン・そしてカスタードクリームがたっぷり入ったパンなどがその代表であろう。

売れ筋を作ろうと思うと、どうしても具材にお金を掛けることになりがちである。

全般的には食パンが不動の定番ではあるものの、やはりより甘く、よりしっとりと、よりリッチにしないと売れていかないと言う現実がある。

このブログに感想を寄せてくださる方々というのも、そのほとんどがパン好きであることが多く、皆様同じような意見をおもちのようだ。

お店の売れ筋ランキングに登場してくるパンよりも、私はこのパンが好きだ・・・・というような意見である。

それは、シンプルな食パンであったり、フランスパンやライ麦パンであったりと、実に不思議な話である。

私の知り合いであるオーナーの中には、それこそ売れ筋ランキングの順番通りが自分の好みだという人がいる。

このようなタイプのオーナーが、すなわち売れ筋を生み出すプロフェッショナルなのだと思う。

自分の好みとお客様の好みが合致するなどということは、私は体験したことがない。

これでは売れ筋はつかめないだろうと自分でもそのように感じていて、相も変わらず自分が好きでもないパンを、ただひたすらにお客様のために作っているのである。

パンは完成するまでのプロセスや作り手の気持ちというものはお客様には関係ない、ただ商品が好みであるかどうかだけで決まってしまうのだ・・・・いつもそのように書いてきた。

しかしそれでも、どうしても作り手の気持ちを伝えたくて試食を配ったり、一生懸命商品アピールを行ったりしてきたつもりだが、やはり売れ筋ランキングはそうは変わらないのである。

お店というのは、お客様が支払ってくださるお金で成り立っている。

つまり、売り上げというものは何よりも大切なお店を支える源だと言えるのだが、だからといって自分が納得できないパンを作って売り上げを上げたいとはどうしても思えない自分がいる。

とは言え、それはエゴで、あくまでお客様の好む物を提供し、探し続けるのが我々の使命である・・・・そんな自分もいる。

人の好みと言うものは、そう簡単にはコントロール出来るものではないのだとつくづく感じる。

・・・・・が、しかし、そんな私でもどうしてもこのパンだけは作り続けたいと思うパンがある。

売れようが売れまいが、自分の為に、ただただ自分のモチベーションを保つ為に作り続けたいパンがある。

広い視野で考えるとたくさんあり過ぎるので、今日は三品だけ紹介させて欲しい。


 独り言だからといって、何と迷惑な話だろうと怒らないでね(ー_ー)!! 


まずはこれ


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よりシンプルに作り上げたフランスパン達。

小麦粉と塩にこだわった、噛み締める程に唾液が踊りだす一品である。

このパンが作れないなら、私はパン屋を辞めるだろう。


そして次がこれ


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同じく小麦粉と塩にこだわって、さらに小麦粉の風味を生かす為に、少量のイーストで長時間発酵させた、言わばレトロバゲット。

厚いクラストと、独特のクラムがかもし出すハーモニーで、これまた唾液が踊りだす。

田舎でこれを売るのは至難の業であろうが、知った事ではない・・・・



そして最後がこれ


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この黄金色に焼き上げられたクロワッサン。

香料の香りと、強いミルクフレーバーが苦手な私が唯一食べられる、これまた小麦粉とバターが織りなすハーモニーに唾液が踊りだす。

様々なクロワッサンが出回っているが、そのほとんどが臭くて食べられない私にとって、唯一自分が作るこのシンプルでありながらも小麦の風味を強調したクロワッサンだけが、私を癒やしてくれるのである。

バリッといくも良し、次の日にフカフカに柔らかくなってからも良し、これほどの自己満足はそうは無いと思う。

売れ筋にしようと思うと、どうしてもより甘く、より香りを強調しないと特徴が出ない。

なのでどうしても別の種類も作らない訳にはいかず、これはあくまで自分用に作る事になる。

これらのパンで、我が家の冷凍庫は常にパンパンであり、誰が何と言おうとこのパン達だけは作り続けていきたいと考えている。

まったくどうでもいい話でわる~ございましたっと!!

6 Comments

日々悶々 says..."本当に見とれてしまいます"
フランスパンの画像を拝見する度にどうやったらこんなきれいなパンが作れるの かと感心というのか自分の力の無さへの虚しさ悔しさなど言い表せない気持ちになります。まだパン歴二年ですが今の職場の流れ作業のような日々で悶々とする中この写真が見れたのは励みになりますし甘ったれずもっと力を磨かねばと思えました。ありがとうございます!
2013.10.01 21:56 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."日々悶々さん、コメントありがとうございます。"
この美しさがわかるのですか!

そして日々悶々としているのですか!!

ならば私と同じですよ(笑)

私など悶々どころじゃない・・・・やってられっかよ~と叫びたくなる事もしばしば(大笑)

けど、そんな流れ作業であっても、必ずそれが生きて来る時がやってきます。

今はひたすら貯金しているのだと思って、頑張りましょう!!
2013.10.03 15:22 | URL | #- [edit]
鎌田シゲル says..."きれいなバゲット!"
すごいきれいなバゲットで、カルベル先生の本の中から出てきたのかと思いました。
2013.10.06 23:05 | URL | #- [edit]
ニモ says..."少量イーストのよさは何でしょうか??"
しずかな朝さま

繊細なクープ模様が本当に美しいバゲット!!

よく、少量(微量)イーストのレシピがありますが、よさは何でしょうか?
夫に訊いてもイマイチよくわかりません。
イースト臭を抑えるため、ということがいちばんの目的でよいでしょうか?

お忙しいところ恐縮ですが、ご教示くださいましたらうれしいです。(ただ今、白ゴマ入り山食焼成中ですっ!!)
2013.10.13 10:28 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."ニモさん、こんにちは"
簡単に申しますと、イーストをたくさん入れてしまうと早く発酵してしまいますね。

少量なら、発酵にう~んと時間がかかります。

したがいまして、長時間発酵させたい場合は必然的に少なくするしかないのです。

結論としてイースト臭はほとんど感じられないという事と、その代わり淡い酸味や粉臭さなどが目立つ時があります。

いたづらに減らせば良いというものではなく、その辺が難しい所でもあるのです。

より小麦粉の特徴を生かしたい時に用いる製法だと一般的には考えられていると思われます。
2013.10.14 02:36 | URL | #- [edit]
ニモ says..."ありがとうございます!!"
しずかな朝さま

ご教示くださいまして大変ありがとうございました。

私にはイーストの量をアレンジできる知識も腕もありませんので、
レシピどおりでつくるように(と、夫にも言われた)します。
素人考えですが、イーストの量を減らせば、塩や砂糖の量の調整も
必要そうですし……。
2013.10.14 09:32 | URL | #- [edit]

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