ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

繁盛店になる為の必須条件とは

近年、テレビや雑誌において、パン屋さんに関しての特集や店舗の紹介などが非常に多くなったと思いませんか?

飲食店やスイーツのお店に負けず劣らず、様々なパン屋さんを取材して紹介していますよね。

私個人の感想としては、今は特に個人店の、しかも今までになかったようなお店が非常にクローズアップされていると感じています。

今までのパン屋さんと言うのは、当然のごとく立地が良い事や、お店がある程度広い事、そして何よりプロ級の腕を持った方々が開業するというパターンが当たり前でした。

繁盛すれば、数年のうちには必ずと言って良いほど2件目3件目と出店していき、やがてはチェーン展開を・・・・

そんなパターンが主流であったと思います。

これは、どのような企業でも考える事で、一方では業績と言うものは伸ばし続けなければ存続が難しくなるという論理があるからであり、もう一方では多くのお客様に喜んでいただきたいという、ある意味企業側の勝手な言い分でもあるのですが、より多くのお客様に当店のパンをお届けしたいのだという企業方針が、なぜか出来上がってしまうからです。

つまり、繁盛店になる事イコール、チェーン展開、多店舗展開と言う構図にならざるを得ないのでした。

しかし、今時のパン屋の開業は実に自由な発想で行われていますよね。

経験はさほどない・・・お店は激狭・・・・自宅のガレージが店舗・・・・アパートの一室が工房・・・・主婦だけで運営するお店・・・障害者が作っているお店・・・山奥のお店・・・などなど

けして好立地とは言えない所だったり、とてもお店とは呼べないような小屋だったり、小麦を自家栽培して製粉していたり、何種類もの自家製酵母で作っていたりと、何の垣根も存在していないかのような展開。

これらはまさに、マスコミの格好の標的であり、おのずとパン屋さんを取り上げる番組が増える事につながっているのだと思います。

わずかな経験とわずかな資金でも、考えようによっては、又アイデア次第によっては様々な展開ができるのがパン屋だとも言えると思います。

どのような経営手法であったとしても、売上が上がっていかなければ存続は出来ません。

そんな事は誰でもが知っている事だと思いますが、だからこそ、危険と思えるような出店の仕方は出来ないでいたのが今まででした。

しかし昨今では、とても経営の安定と言うものを目指しているとは思えないような発想の開業が多く見受けられます。

そんなお店のオーナーの話などを総合すると、とにかくパンを作る事が好き、そして食べる事も好きで、パンを食べていないと死んでしまうとまで言う人も多いのです。

どうしても、今までの開業目的と言うものは、要約するとパン作りを通して豊かになりたいのだと言う事にたどり着かざるを得ない感がありました。

しかし昨今の、ある意味異種的なパン屋を開業されている方々の考え方と言うものは、豊かさを求めない訳ではないと思うのですが、それがメインであるとはとても思えないのです。

とにかくパンを作りたい、そしてそれが認められれば嬉しいし、認められなければあきらめる・・・・

そのように受け止められるのです。

つまり、その橋はあぶなくないのか? 無事に渡れる可能性はどれ位なのか???と言うような指標なのではなく、とにかく橋を作りたい、橋を作る事が最大の喜びなのだと言う事なのです。

完成した橋を、誰が渡るのか、どのようにして渡るのかと言う事を事前にリサーチしてから行動を起こすのではなく、誰が渡ろうと関係なく、とにかく橋を作りたいと言う事が優先される。

その考え方は、経営という観点から見たらアウトでしょう。

しかしそもそもこの方達は経営をしたくて開業するのではなく、ただ単にパンが作りたいから作るのであり、それを喜んで買って下さる人を見て、更に幸せな気持ちになるというのです。

これは、視点を変えて考えてみると、ある意味商売に一番必要な事なのかもしれませんよね。

作る喜び、売る喜びに嘘が無いからです。

そんな純粋な喜びから作りだされるパンというものが、もしかしたら技術や理論を超越した完成度を生みだすのかもしれません。

そして、経営も製パン技術も理論も、むしろ経験の中から後追いで習得していく事が出来てしまうのかもしれませんね。

パンを作る事が何よりも好きだ・・・・

パン屋にお勤めの方は、みなさんそう思っていらっしゃるでしょうか?

売上がどんどん上がる方策と言うものは、実に多く存在しています。

しかし、多くのお店ではそれらを実行しようとはしません。

なぜなのか、理由は様々だとは思いますが、要するに気が乗らないのです。

検討した、あるいは考えてはみたものの、実行不可能であったり、現実的には無理であったり、効果が期待できないなどの理由を付けては、とにかく実行しないのです。

売上を上げる為に大切な事は何か?

それは、お客様の視点、つまりどうすれば買う側の人が満足するかを追求する事に尽きる訳ですが、それは言うほど簡単な事ではありません。

なぜなら、製法や品数はどんどん増える事になりますし、どんどん手間も増えてきます。

焼き回数も増えていきますし、営業時間も長くなるはずです。

つまり、お客様の視点に立って満足を提供しようと考えると、すべて労働環境の悪化につながってしまうのです。

仕事として行う事には限界があります。

ただし、破格の残業代でも頂けるなら話は別ですが・・・・

と言うのが本音ではないでしょうか。

と言う事で現実には、業績を上げる為には何をすべきかと言う事は何となく解ってはいるものの、とても時間内には出来ないだろうと言う事で断念してしまう事になる訳です。

すべて実行出来れば、きっと売上は上がるはず・・・

いや、すべてでなくとも、いくつかの手が打てれば少しは好転するはず・・・・

そう思っているだけ??・・・・の人も多いと思いますし、実際にはいくつかチャレンジしてはみたものの、好転しなかったという事であきらめてしまっている人もいる事でしょう。

知っているのとやっているのとでは大きく違う、色々方策を考えたり分析したりする時間があるなら、明日出来る事からすぐに始めよう・・・・

そう思って色々と行ってみたが、特に売上には響かなかった・・・・

皆様の多くは、そして私もそうですが、常にそのようにチャレンジしては打ち砕かれて、そして長くは続かない単発の方策となってしまっている事が多いと思うのです。

このような状況下に置かれると、パンを作る喜びにひたっている場合では無くなります。

会議が増え、他店舗の視察が増え、講習会に参加し、展示会や発表会も欠かさず、結局は労働時間がどんどん長くなっていく。

そして気持ちが解放されることのない、無間地獄のような時間を過ごす事になる訳です。

こうなると、毎日の仕事はとにかく苦痛ですよね。

もはや単なる重労働でしかない・・・・

そんな気持ちで作られて行くパン達・・・・

とても食べたいとは思えませんよね。

・・・とここで、先程の質問をもう一度思い返してみてください。

パンを作る事が何よりも好きだ・・・

皆さんはそう言えますか?

超人気店と言えるようなお店がいくつかありますよね。

通常から言ったら、忙しさも半端ではないはずです。

さぞかしオーナーや店長はご苦労が絶えないのだろうと思うのですが、どうやら取材記事などを読んでいると、そうとばかりは言えないようなのです。

それは、要約すると超人気店の責任者あるいはオーナーと言うのは、ほぼ皆さんパンを作る事が何よりも好きだと言っているからなのです。

そこで私はある事に気がついたのです。

超人気店のオーナーも、私が知る繁盛店のオーナーも、ほぼ例外なく、パンを作る事が何よりも好きな人達であると言う事なのです。

そして問題はその好き加減です。

パンは毎食の様に食べ、休みには他のお店でパンを買い、寝ても起きても頭の中はパンの事でいっぱい。

作業時間は何時から何時までなのかの分岐点が無い。

休みも仕事もすべてがパンづくし。

そしてそれが生きがいだと言う。

その様な人達から出る発想と言うのは、恐らくすべてが最高のパン作りに向かっているでしょうし、それはひいてはお客様の視点に最も近いものであると言えるのではないでしょうか。

こんなパンが食べたい、こんなパンを食べてもらいたい・・・・

その様な発想から来る製パンの工程に、重労働と言う言葉はもしかしたら吹っ飛んでしまうのかもしれませんよね。

どこまでが仕事で、どこまでが自分の時間で・・・・

そんな発想は、きっとこの人達にはないか、考えていないのだと思うのです。

品数がどうだとか、品質がどうだとかというような、売れる条件のようなものは当然あるはずです。

しかし、どんなに理屈では解っていても、実行しなければ何も変わりませんよね。

何か行動を起こそうと考えた時に、それが作業時間の増幅になると思ってしまう時点で、すでに気持ちが負けていると言う事なのかもしれませんね。

片や、そんなに毎日働いていて、良く身が持つね~ ととらえる人もいれば、生きている限りパンを作り続けたいと言う人もいる。

同じ労働でも、同じ仕事でも、考え方やとらえ方によって大きく変わってくるのだと言う事を改めて知った思いでした。

そしてなにより、そんなパン作りを心から愛する人が作るパンには、必ずファンが増え続けると言う事を確信しました。

話が少しそれますが、我々の敵(と言う割には良く利用する)であるセブンイレブンが、全国に1万5千件以上もあり、その売り上げは何と3兆5千億円にもなると言う事で話題になっていますよね。

そのセブンイレブンの凄い所は色々とあるとは思うのですが、私が単純に凄いと感じるのは、全国どこのお店に行っても、ほぼ同じ品質のおにぎり達が買えると言う所なのです。

もちろん1か所で作っている訳ではないはずですから、全ての品質を管理し、しかもそれが全てのお店に1日に何度も配送されるという、その物流システムがすごいと思うのです。

ちなみに、セブンイレブンにある焼き立て直送便なるパンがありますよね。

たいして旨いとは言えない代物ですが、それでも1日に3回は出来立てが配送されるのです。

もちろん一度に焼いたものを3回に分けて配送している訳ではありません。

きちんと3回とも焼き立てを配送しているのです。

あれだけの店舗数で、しかも3回も配送しているという事実。

私達は、全てのパンを1日に3回も焼いているでしょうか?

もしかしたら、焼き立てパンのお店と言っておきながらも、セブンイレブンよりも焼いていないと言う事は無いでしょうか?

セブンイレブンの物流や発注などのシステムも、当然ながら人間が考え出したものであり、その発想は、どれだけお客様の要望に近づけるかということが根本になっていると思うのです。

ならば、我々専門店が考えなくてはならない事はいったい何なのでしょうか?

あきらめずに探していきたいものですね。

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