ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

焼き立てを提供する為に必要なのは、発酵のコントロールと・・・・・

今回は、前回紹介した焼き回数を増やしてほしいパンの、それぞれの製法について考えていきたいと思います。

必ずしも、このパンでなければならないと言う訳ではありませんが、焼き立ての特徴を出しやすいという点と、ピザパンとカレーパンはそもそもが人気商品の一つであるはずだと言う点と、そしてフランスパンについては、特に別の意味も含めてお勧めしていきたいと思います。

まず、ピザパンですが、提供の仕方や生地については、お店によりそれぞれ違うとは思います。

丸や三角、又は四角い小物として販売している所や、天板で大きく焼いて、カットしたものをそのまま天板ごと店頭に並べている場合もあるでしょう。

今回取り上げるピザパンに関しては、クロワッサン生地やフランスなどの生地を使ったものではなく、一般的なバターロール生地か、あるいは食パンに近いシンプルで、ソフト感のあるピザパンを作る場合で考えていきます。

一日に最低でも三回、同じものを焼くと言う事は、焼くという手間だけを考えても、今までよりは時間がかかってしまうでしょう。

ですので、成形の段階と、具のせの段階までは一度に行っておきたいものです。

そんな時は、いつも通り生地を分割し、ベンチタイムの後成形を行うと思いますが、その成形後の段階で具をのせてしまいます。

初めに焼くピザは通常通りの作り方でよいのですが、2回目3回目の分は、成形して具を乗せた状態で冷蔵庫で保管しておきます。

その間ゆっくりと発酵してくるとは思いますが、途中で発酵は止まってしまいます。

その状態で保存してある生地と言うのは、その後時間差でホイロに入れる事で、残りの発酵時間はかなり早まりますので、約一時間ごとに発酵するように、順次ホイロへ入れていきます。

ピザソースが生地に染み込んでしまうような緩い物の場合、ピザソースを塗る前にバターを塗っておくと染み込みずらくなります。

とは言え、あくまでピザソースを塗ってから半日以上は置かないようにしてください。

どうせ乗せるなら、具は後でも構わないと言う人もいると思いますが、その場合は、成形後の生地を、つまり麺棒などで薄く伸ばした生地を冷蔵庫で保管することになります。

そうすると、具が乗っていない生地と言うのは、不規則に膨らむことになり、後から具を乗せて焼く事で、焼成後に大きな気泡が出来てしまう事があります。

ですので、具材を乗せないで生地のみを冷蔵するような場合は、生地玉の状態で保存し、その後成形から始めるのが良いと思います。

ピザパンだけではなく、このように生地を分割後に冷蔵庫で保存する製法を、一般的には生地玉冷蔵法と言います。

生地玉冷蔵法の利点は、冷蔵庫で最大2日程度は生地の状態が安定的に保てるという点と、発酵風味とソフト感を強調したパンが完成すると言う点があります。

実際には、配合によって1日しか安定しない生地や、4日程度安定する生地もありますが、どの生地も当日以内であれば全く問題なく保存できると思います。

イーストフードやBBJなどの改良材をお使いであれば、前日に仕込んで分割した生地を、冷蔵保存して翌日成形から行う事が出来るのがこの製法の利点ですが、冷蔵スペースにはそれぞれ限りがあると思いますので、焼き回数を増やしたい生地のみ、この製法を試されることをお勧めします。

なお、この製法の欠点も当然ありますので、それはこちらを参照してみてください。


生地玉冷蔵法

チーズが固まっていない状態のピザパンに出合えた時、その感動は必ずお店の武器になるはずです。

焼き込み調理パン全般に、この生地玉冷蔵法は効果を発揮しますが、冷蔵する間に生地の内部には複数の不規則な気泡が出来、それが完成品に出てしまう事があります。

また、フィッシュアイも成形によっては出やすくなりますので、ここではその現象が一番出にくく、しかも売れ筋であるピザパンを紹介しました。

ピザパンに限らず、色々と試して焼き回数アップにつなげてみてほしいと考えます。

次にカレーパンについて考えていきます。

カレーパンと言うのは、ほぼ全国的に人気商品でもあります。

それは、日本人のカレー好きが原因である事は間違いありませんが、そのカレーパンが大人気のお店と言うのは、間違いなく揚げたてを提供していると言えます。

だとするならば、カレーパンを人気商品にしたいのなら、揚げたてをどうしたら提供する事が出来るのかを考える必要があります。

どうしてもパン屋さんと言うのは、一日に最大でも何回・・・というように、回数を決めてしまう傾向があります。

もちろんそれでも、一回よりはましだと思いますが、人気店のカレーパンは一日中揚げ続けていることになります。

そうでないと間に合わないと言う好循環のなせる技でもあり、逆に言うと一日20個も揚げないお店では、揚げたてに巡り会える事はまず不可能でしょう。

するとパン屋さんでは、カレーそのものにこだわってみたり、生地を色々と変えてみたりする事が多いと思うのですが、結果としてはあまり売上にはつながっていないと実感されている方が多いのではないでしょうか。

確かに具が美味しいに越した事はありませんし、色々な種類があるのも魅力ではあります。

しかしそれも、好みの分かれるところでもあり、数種類のカレーパンを作っても、売れ方はあまり変わらないのではないでしょうか。

そこで、私がお勧めしたいのは、カレーパンは注文を受けてから揚げるという手法なのです。

このお店のカレーパンは、注文したら揚げたてを出してくれると言う事を浸透させれば、これも確実に武器になると思うのです。

慣れるまでは何かと大変だと思います。

年がら年中フライヤーの前に立たなければならない訳ですから、そのたびに作業が中断してしまう。

ですから、紹介しても、誰もがやれるようなことではないのです。

しかしここが重要なのです。

その誰もがやりたがらない事だからこそ、やってみる価値があると言えますし、その為の努力が必ず成果につながるはずだからです。

もし、それが評判になって、しょっちゅう揚げていなければならなくなり、その為にパートさんを採用したとしたら、その時点で大成功だと言えると思いませんか?

パン屋を始めた人と言うのは、どうしても店づくりや品揃えを気にして、体裁よく構えようとしてしまう傾向があると思うのです。

しかしそれは、ある意味お客様からすれば、どこも同じようなものなのではないでしょうか?

似たようなお店と似たようなパン・・・・そして運営方法そのものも大した変りはない。

難しい成形の欧風パンや、見たこともないような綺麗なデニッシュも店格を上げるかもしれませんが、誰でもが郷愁を感じるであろう、揚げたてのコロッケ・・・それに匹敵する魅力があるのが、揚げたてのカレーパンだと私は思うのです。

もしこの方法で、注文を受けてからカレーパンを揚げるとすれば、発酵時間でお待たせする訳にはいきません。

ですので、粗方発酵済みのカレーパンを、冷蔵保存して発酵をコントロールしておく必要があります。

ある程度のコツは当然必要ですが、パン屋さんにとっては、その部分はそう問題ではないでしょう。

また、カレーパンにはほぼ間違いなくパン粉が使われていると思いますが、パン粉を付けた生地と言うのは、冷蔵耐性が非常によく、数時間はそのままの状態を維持できると考えます。

そのように冷蔵庫内で発酵した状態で保存してあるカレーパンを、注文を受けてからすぐフライヤーに入れれば、お買い物の間にアツアツが完成する事になります。

これが武器にならないと思う人は誰もいないと思います。

ただ、実行する勇気があるかどうか、それだけです。

「カレーパンは、注文をいただいてから揚げますので、スタッフにお声かけください。3分でアツアツが出来上がります。」

このように大きく書いたポップを、カレーパンのプライスの隣に立てかけてください。

揚げたてを保温器で保存したり、オーブントースターで温めて提供しているお店はいくらでもあります。

しかし、それらと本当に揚げたてのカレーパンでは、比べ物になりません。

それが出来るのが、焼き立てパン屋さんなのであり、売上がそこそこだからこそ出来る、真心のサービスなのです。

人気店での買い物では、何となく慌ただしく処理される感を持つ人もいるのです。

人と人のぬくもりが感じられるお店というのも、今後益々必要とされてくる時代であると、私は感じてなりません。

この方法を実行すると、フライヤーを一日中加熱している事になります。

そうすると酸化も早まり、小まめにカスを取る事と、油の交換を小まめにする必要が出てきます。

せっかく揚げたてを提供しているのに、黒くなった油で苦いカレーパンを出したのでは、かえってマイナスになってしまいます。

出来る事なら、軌道に乗ってきた後、卓上のフライヤーを購入し、少ない油と少しの光熱費で済むようにしたいものです。

このように、なにをやるにしても、何のリスクも負わないと言う訳にはいきません。

何かを実行しようとすると、その工夫をさえぎるかのごとく、出来ない理由が浮かんでくるものです。

やった方が良いのは解るんだけど・・・でもな~

もうちょっと良い方法もあるかもしれないし、じっくり調べて考えよう・・・・

と、普通はこうなるものです。

ところが、人気店のオーナーと言うのは、私の知る限り皆突っ走りタイプです。

良いも悪いもない・・・・

閃いたら即動く人がとても多いのです。

もしかしたら、そのあたりが大きなカギなのかもしれませんよね。

では次回、フランスパンの焼き回数を増やす為の製法について考えていきたいと思います。

3 Comments

MO says..."カレーパンの揚げについて"
初めまして。
ぶしつけですみません。
コメントもなしに質問から入らせていただきますが、カレーパンが3分で揚げれるというのは何度でどのように揚げているのか教えていただけますか?
今175度で裏表3.5分づつ揚げているのですが。
ほかにも揚げの温度、時間などの考え方、内部の火通り、衛生面、なども合わせてお聞きしたいです。
他に、カレーパンが膨らみすぎるので揚げるまえに菜箸などで穴をあけるとかあけないとか、膨れたら串で突いているのですが…
2015.01.30 18:38 | URL | #YK3S2YpI [edit]
しずかな朝 says..."MOさんこんにちは"
スミマセン、合わせてお伝え出来るほど単純ではないと思います。

あくまでご自分の材料と配合により、食べて判断していただくしかないと思います。

膨れたら串で突いていただくのは、皆さんそうしていらっしゃると思います。

それと、合計で7分も揚げる揚げパンというものを私は知りません。

砂糖が少ない配合なのですかね?

それでも油っぽくないのであれば、それで構わないと思いますよ。

2015.01.31 06:01 | URL | #- [edit]
MO says..."ありがとうございます"
7分が一般的に見て、アホみたいに長い揚げ時間ということを知ることができて良かったです。
これでスッキリできそうです(o^-')b
2015.01.31 10:00 | URL | #- [edit]

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