ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

フランスパン購入は敷居が高い??

さて、今回はフランスパンを売れ筋にする為の最後のポイントをご紹介します。

それは、フランスパンは高く売ってはいけないということです。

いけないと言うのは語弊があるかもしれませんが、そうでなくても、焼き立てパン屋のパンはとても高価です。

大手のパンと比べてみてください。

あまりにも違いが大きすぎるとは思いませんか。

車を買おうと思った時に、ディーラーに行って新車を買うのがベストだろうと思う人は多いと思います。

しかし、それには高額な費用がかかってしまう事も十分理解しているはずです。

欲しいけれども、ワンランク下げて同じ車の中古車を探すことを選ぶ場合もありますよね。

なぜなら、車が欲しい人の全てが裕福な訳ではないからです。

パンも同じなのではないでしょうか?

つまり、裕福な人がスーパーのパンを率先して買うとは考えづらいですし、逆に、様々な事情により、食費にあまりお金をかけられない人というのは、スーパーのパンを買わざるを得ないというのが現実なのではないでしょうか?

パンと言うのはぜいたく品なのか・・・あるいは庶民の食べ物なのか・・・その答えは人それぞれで構わないと思うのですが、もし今以上に固定客を増やしたいと思うのであれば、焼き立てパン屋さんもけして高くない・・・・そしてとても美味しいのだと言う事を、広くアピールできれば、今まで以上の客層をターゲットにできるのではないでしょうか。

勿論、全てのパンを安くする事はできませんよね。

ですので、副材料を含まないシンプルなパンであるフランスパンだけは、安く販売してみる事をお勧めしたいのです。

お店によっては色々とこだわりもおありでしょうが、ここはひとつ、低価格にこだわってみてはいかがでしょうか。

一般的な製法でフランスパンを作ると、おおむね100gのパンの原価は10円前後ですよね。

つまり1g0.1円ということになります。

ですので、このパンを1g当たり0.3円で販売していただきたいのです。

そうすると、袋に約50gほどのプチパンを10個詰めて秤に乗せると、重量は約500gとなりますから、値段は150円となります。

150円で10個もパンが買えるのです。

しかも焼き立てで、しかもスーパーなどでは買いようが無い、焼き立てパン屋だけのサービスとなる訳です。

これは、一般的な安売りという概念ではおさまらないほどの魅力があります。

それは、焼き立てパン屋にしかできないサービスだからであり、生地から製造しているお店にしかできないサービスだからです。

値引きと言う概念も当てはまりません。

手作りのパン専門店なのに、こんなにお手頃のプライスがあるなんて・・・・というイメージを、お客様に持っていただきたいのです。

世の中には、私達が一般的に考えている以上に、ものすご~いお金持ちもいれば、ものすご~くお金に困っている方もいるのです。

どちらかと言うとお金の使い方にシビアな方々からすれば、焼き立てパン屋というのは、以外に敷居が高いものなのです。

でも、今の世の中にそんな貧乏な人は、そうはいないでしょう~・・・・とお考えの方は、すでに裕福なのです。

今までけして焼き立てパン屋さんのパンは買わなかった・・・という客層は、実は意外と多いのです。

そしてその方々は、焼き立てのパンの魅力を知らないか、何度か裏切られてしまったか、あるいは何となくのイメージで、足を運ばなくなってしまっているのです。

レストランと言えば、ガスト以外には考えられない私のようなものです。

考えてみてください。

なんだかんだ言っても、マクドナルドが業績を改善できたのは、結局は安くしたからです。

すると、今までの客層には入っていなかった老人やおじさん達までもが固定客となったのです。

こんなに解りやすい集客法は他にはないでしょう。

ただ、安くしても効果が無く、失敗に終わるケースももちろんあるでしょう。

ただ単に安くしました・・・という事ではないのです。

今まで作っていなかったようなパンを、どうしてもお客様にその魅力を知ってほしい新商品として、毎日の食卓に必ず置いてほしい・・・・末永くいつまでも、そして無理なく・・・・その為の低価格戦略なのです。

まずはとにかく、どんどん試食をしていただく。

そして、こうして食べるんだ~とか、意外と硬くないんだね~とか、冷凍も出来るんだ~・・・みたいな感じで、身近に感じていただけるようアピールしていくのです。

お客さまだってプライドがあります。

安いと言うだけの理由で買ったとは思われたくない・・・そんな心理も働く事でしょう。

特に男性のお客様は、安いものだけを大量に買うと言うような事は、なかなか出来ないものです。

どこのパン屋さんでも、客層のメインは主婦層の女性とOL層だと思います。

男子学生や中年以上の男性、そして老人というのは、ほとんど足を運んではくれないのが一般的だと思うのです。

しかし、実際には私のような中年男性にフランスパン好きが多いと感じた事はありませんか?

私の体験では、試食を勧めた結果、その後に予約までしてくださるようになるのは、必ずと言ってよいほど中年男性でした。

また逆に、小さい子供は硬いパンを絶対に食べないと言う話をよく聞きますし、主婦層の方に試食をしていただくと、”うちの子供は無理だわ~”と必ず言われてしまいます。

しかしはたして本当にそうでしょうか?

実際にお子様連れのお客様がいらっしゃった時に、お子さんに直接試食を渡すと、100%喜んで食べています。

そんな時私は、もうひとつ渡して ”これはお家に帰ってから食べてね~”と言って渡すのですが、帰るまでにかぶりついている子供がほとんどです。

しかも、何も付けないで食べる子供が多いのです。

これは、全般的に今の子供は硬いものは嫌がるという先入観なのではないでしょうか。

実際にマクドナルドに行きたがる訳ですから、柔らかいパンを好んでいるのだと思い込んでいる親が多いのも、無理はないかもしれません。

しかし、子供と言うのは好奇心の塊ですよね。

今まで食べた事もないパンを、良い香りのする店内と言うロケーションで渡されれば、おのずと食べてしまうと思うのです。

そこが、そのお子さんにとってフランスパンを食べるきっかけになってもらえたら、もっと食卓に上がる機会が増えていくのではないかと期待しているのです。

様々な講習会やセミナーなどでは、必ずと言ってよいほど食の提案、食の発信をすべきだと教わります。

しかしそれがなぜか、利便性のみを追求するような結果に終わってしまう事が多いと思うのです。

つまり、具材入りのパンばかりが並び、それを買うしかないような状況を、私たち自身が作ってしまったのではないかということなのです。

便利な方へ便利な方へと、まるで誘導するかのごとく、お客様自身が食べ方の工夫をする事をうばってきてしまったのかもしれません。

いつであったか、私の最も嫌いな人種である、元東京都知事の石原氏がこんなことを言っていました。

3.11の震災以降の話で、パチンコ屋と自動販売機をなくせば、電力は大きく節電できる・・・あんな必要もないものがあるから、世の中だらけたやつばかりになるんだよ・・・・的な事を言っていたのを思い出します。

あの方の言動には、下品極まりない印象しかないのですが、言っている事自体は実に正しいと思いました。

パチンコ屋も自動販売機も、雇用を生んでいる事は間違いない。

経済効果も勿論ある。

だからこそ大きな変革は出来ようもないのかもしれませんが、そのような過剰な利便性や娯楽が、はたして私達の生活に何をもたらしてくれたのかと言う事は、考えるに十分値する気がするのは私だけでしょうか。

なんて不便なんだろう・・・・過去には、そのように感じた事がたくさんあった事は事実です。

しかし今はどうですか?

明らかに過剰だとは思いませんか?

お金さえ出せば、自らが工夫する必要もなく、自らが動く事もなく、辛い思いをする事もなく、汚い思いをする事もない。

そのお金を工面する為に、人は必死に働いて収入を得ようとする。

そして得たお金で、人はサービスや時間を得ようとする。

労働というものの目的が、年を追うごとに人間を堕落させる方向に向かっているような気がしてなりません。・・・・・

あれれ?また脱線してるか??

そうそう、お客様が食べ方の工夫を自ら行わなくなったのは、工夫する必要が無いものばかりを提供してきたパン屋に原因があるのではないかと言う話でした・・・

ゆっくり時間をかけて食事を準備し、家族が揃って食事をする事が出来る毎日と言うのは、もうおとずれることはないのですかね。

その為にパン屋が出来る事なんてないのかもしれませんが、せめて食を簡単に済ませる為の必須アイテムにだけはしてほしくないと思うのです。

冷凍庫の中には、必ずフランスパンが常備されていて、それは少なからず自分の手によって加工して食べる。

その事で自らが相性に興味を持つかもしれませんし、自らが食材を探す事のきっかけになるかもしれません。

私達が具入りパンを作り続ける限り、パンは便利な食べ物というレッテルから逃れる事は出来無いような気がします。

大手やコンビニが支配している市場に、無理に戦いを挑む必要性を考えるよりも、焼き立ての自家製パン屋でしかできない事を、自信を持って行ってほしいし、そうすべきであると思っています。

今回は、フランスパンを中心とした、いわゆる無糖で無油脂のシンプルなパンを中心に紹介してきましたが、家庭で工夫していただくパンというのは、けしてハード系のパンだけではありませんよね。

次回はそのあたりをご紹介して行きたいと思います。

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