ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

本音でお客様に感謝していますか・・・・

さて、前回に引き続き、具材を使わないパンで、しかも最も家庭で食べられているパンと言うものを考えてみましょう。

それは、まずは間違いなくトップなのは、皆様お馴染の食パン類ですね。

サンドイッチとまではいかなくとも、具材を自分ではさんで食べられる事や、何かを塗ってそのまま食べる人もいると思いますし、圧倒的にトーストする場合が多いかもしれませんよね。

食パンが何故そんなに食卓に上がるのかと考えてみますと、それはやはりソフトで白いふわふわな部分が多くを占めているからだと思うのです。

日本人なら、恐らく誰でもが好むであろう、あのふわふわした感じが正に万民に好かれる部分であると思うのです。

そして色々と応用が利く事も人気の秘密だろうと思いますし、その人気は今までも、そしてこれからも恐らくは不動であると思われます。

食パンの売り上げ構成比が高いお店というのは、とても売り上げが安定していると思いますし、リピートが多いと思います。

つまり、固定客が多く、継続して買っていただける率がとても高くなると思います。

ですので、大手の品揃えに負けない位の食パンの品揃えをすることは、非常に効果的であると思います。

しかし、フランスパンに比べて食パンと言うのは、以外にも原価がかかってしまうものです。

それは何故かと言いますと、配合としての原価はそう高くは無いはずなのですが、食パンと言うのは、どうしても型を使って焼きますので、型を使わないで焼くパンに比べて、大きく膨らむ事が出来ません。

型によって膨らみを制限されてしまう訳ですね。

それがキメの細かさを出す事に貢献している訳ですが、本来ならもっと膨らめる量の生地を使っているのに、膨らみきれていない訳ですから、見た目以上に生地量を必要とする事になるのです。

それがつまり、他の型を使わないパンに比べて、生地原価が上がってしまう原因となる訳ですね。

またそれ以上に、大手の食パンはあまりにも安すぎます。

あの価格帯で販売すると言うのは、焼き立てパン屋さんでは不可能であると思うのです。

そこで逆に、食パンだけは価格帯の高いものを揃えてみてほしいのです。

フランスパンの場合は、焼き立てが安いということが、焼き立てパン屋さんだけの武器であると書きました。

しかし、食パンの場合は、大手との差別化が図れるような、まったく路線の違うものを開発することで、高価であっても、そこにしかないパンとして固定客がつくようになると思います。

多くはありませんが、食パンだけで成功しているお店も存在します。

今現在食パンの売れ行きが今一であるというお店では、オリジナル食パンの開発はとても重要な売上アップの要素であると言えると思います。

そして次に人気がある具なしパンと言うのは、バターロールやドックパンなどではないでしょうか?

これは大手でも売れ筋のはずですし、その訳は当然のことながら安くて柔らかくて、そしてそこそこ美味しいからです。

このバターロールやドックパンという市場も、実は焼き立てパン屋の得意分野のはずですよね。

生地の美味しさそのものをアピール出来る商品であるからです。

フランスパンのバリエーションを低価格で、しかも焼き立てで提供するということだけでは、浸透するまでに時間がかかると思います。

そこでお勧めしたいのが、このバターロールやドックパンを、より積極的に作って販売する戦略です。

でも実際には、焼き立てパン屋さんのバターロールというのは、あまり売れ筋ではないと思うのです。

それはなぜでしょうか?

それは、すでにお分かりだと思いますが、大手のバターロールがあまりにも安いからです。

逆に言うと、焼き立てパン屋のバターロールは高すぎるともいえますが・・・・

具入りのパンを買わずに、これらのロールパンを買う目的と言うのは、具入りのパンよりも圧倒的に安価である事もあると思いますが、ある程度家庭において加工する楽しみがあると言う点や、お子様の好みの具材を入れて作ってあげたいと思う母心があるであろうという点、さらには、お子様の栄養や健康を考慮して、家庭で工夫して食べさせたいなどの思いがあると思うのです。

そう考えると、どうしてもこれらのパンを買うであろう客層というのは、小さい子供がいる母親世代や、比較的柔らかいものが好きな高年齢者だと思うのです。

そう考えると、やはり価格が高いバターロールというのは、いささか無理があると思うのです。

しかも、大手のパンは柔らかいうえに日持ちもします。

焼き立てパン屋さんが大手に立ち向かう事が、はたして出来るでしょうか。

バターロールやドックパン、あるいは具材の入らないプチパンが売れ筋である・・・と言う焼き立てパン屋さんがあるでしょうか???

いや、あまり聞いた事がない・・・というより、まったく聞いた事がありません。

何となく品揃えはしているものの、あまり売れてはいないと思うのです。

それほどに、そのジャンルは大手の独壇場であると言えるのではないでしょうか。

しかしちょっと考えてみてください。

フランスパンほど原価は安くないとはいえ、やはり具材を使わずに生地のみの美味しさを楽しんでいただくパンである以上、本来なら生地作りからこだわる事が出来る専門店として、焼き立てパン屋さんが腕をふるう必要があるのではないでしょうか。

その為には、柔らかさを重視した製法を取り入れる事や、価格帯に広がりを持たせる事、つまり安いものから高いものまで、種類を豊富に揃えたいところです。

焼き立てパン屋では、好きなパンを一個から買う事が出来るのも、大手にはできない戦略です。

色々な種類を少しずつ購入できるのは、とても魅力的ですし、そうすると色々と試してみたくなるものです。

また、このジャンルを購入する客層を考えると、どうしても子供の健康面を考慮して品揃えする必要があります。

簡単に済ませたいものの、出来るだけ健康面に配慮した商品を子供には食べさせたいと考えている母親は実に多いと思うのです。

ですので、開発する際には、子供が嫌いな食材を食べやすい状態にして焼き上げる事がポイントになると思います。

野菜や魚、そして雑穀などの、比較的子供が嫌うであろう食材を、食べやすく工夫して生地に練り込む事によって、嫌いな食材のアクセントを出すことなく、子供の好きなパンとして食べてもらえるように工夫してみましょう。

ここまでが、今回の焼き立てパン屋さん復活の為の提案となります。

ポイントをまとめておきましょう。

1、焼き立てパン屋は鮮度(焼き回数)が命 

2、焼き立てが際立って美味しいと感じる商品をセレクトして、焼き回数を3倍に増やす 

3、フランスパンを中心としたハード系のパンを、安価で量り売りする 

4、食パンの品揃えの強化と、完全オリジナルを開発する 

5、バターロールやドックパンなどのロールパンは、子供の健康面を考慮した配合及び製法で、価格帯に広がりを持たせて品揃えを強化する。

といったところでしょうか。

そして、これらを成功させるために絶対的に必要な最大のキーワードは、気持ちを込めた試食の進めです。

今まさにすぐそこで、せっせとパンを焼いている光景を見ながら、そして幸せを感じるパンの香りに包まれながら、店主自らが勧めてくれる試食と、そのパンへの思いを聞かされた時、そのお客様はお店にとっての特別な存在になるのではないでしょうか。

どこへ行っても、どんな場所でも、それどころか家庭にいても、同じようなパンはいくらでも手に入る時代です。

そんな超便利なこの時代に、わざわざパンのみを買いに来てくださる貴重なお客様を、無機質な対応で返してしまうのだとしたら、それはスーパーやコンビニと何も変わりません。

今後も益々、買い物はネットショップから届けてもらうという人は増え続けるでしょうし、買い物に行くとしたらモールへ・・・という動きがしばらく続く事でしょう。

いかに時間を短縮して、少ない時間と労力で、少しでも多くの満足を得ることができるか・・・・

そんな気持ちをあおるようにして、新しいモールがどんどんできていきます。

そんな中、わざわざ足を運んでくださるお客様に対し、どれだけ本音で感謝できるか。

せめて当店の魅力を最大限アピールして、少しでも喜んでいただこう、少しでも得した気分で帰っていただこう・・・と、心からそう思えた時、これらの戦略は必ず成功すると思います。

これ以上手間をかけるのはちょっと無理かな・・・・といって出来合いの具材を使ってしまう。

一円でも多く売上を確保したい時に、低価格を打ち出すなんて無謀だろう・・・といって今まで通りの高くて売れないフランスパンを、ただただ陳列目的で作る。

今回書いた事が、すぐにそう思ってしまう方々のきっかけになってもられえたら・・・・

私は、町の焼き立てパン屋さんの底力を信じています。

で、いつやるの・・・・

今でしょう・・・なんてな(^0_0^)

5 Comments

まっちゃん says..."質問"
初めてコメントします
最近いろんなパン屋が増えましたが、雑誌であるブーランジュリーの仕事に密着!の記事がありました
深夜2時ごろから始め夜8時ごろに仕事が終わるというものでした 職人は人の2倍 3倍は働かないといけないと言われますが、そこまでしないといけないのでしょうか?天然酵母を使いさまざまな種類のパンを作ってるようですが 種類を減らしせめて6時ぐらいに終われるようにしたほうがスタッフのモチベーションも保てるのではないかなとも思いますがどう思われますか?
2014.04.04 17:15 | URL | #vdn.bAWA [edit]
しずかな朝 says..."まっちゃんさん、コメントありがとうございます。"
おっしゃる通り、普通では考えられないような長時間、パン作りに励んでいらっしゃる方は多いと思います。

それは何故なのか? 有名になりたいのか? 売り上げを上げる為なのか?? 存続して行く為に仕方なくなのか???

それは、私の様な仕事が嫌いな人間には良く解りません(笑)

ただ、その様な方と言うのは、パンを製造している・・・・つまり仕事で仕方なく行っているというような人種ではないと思います。

パンと常に向き合っている・・・・生き様の様なものなのではないでしょうか。

仕事であり、趣味でもあり、楽しみでもあり、人生そのものなのかもしれませんね。

そんな夢中になれるものをもてる人を、私はうらやましく思います。
2014.04.05 07:38 | URL | #- [edit]
ライヌン says...""
とても勉強になり、ありがたい限りです。
約一ヶ月後に売り方を変える機会が出来たので、色々取り入れさせていただこうかと考えております。

難関なのは、オーナーを説得する事なんですが…(^_^;)

今はひたすら読んで勉強させてもらっておりますが、必要あらば質問させていただきたく思います。
その時は宜しくお願い致します_(._.)_
2015.01.21 00:05 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."ライヌンさん、コメントありがとうございます。"
ライヌンさんはシェルエイトをお使いなのですね?

美味しい小麦粉である事は確かですが、大手の物に比べて若干使いづらい面もあります。

全般的に捏ね過ぎに注意することと、生地温度が高くなると極端につながりが悪くなるので注意が必要です。

とはいえ、どの小麦粉でもそれは言えるのですけどね(*^_^*)

店長の力量や考え方一つで、人気店にもなれますし、逆に簡単に評判を落とす事も出来ます。

お店の最高責任者として、常に学ぶ姿勢を忘れず、経営観念を持ち、お客様の要望に敏感であって欲しいと思います。 ガンバレ!!
2015.01.21 03:58 | URL | #- [edit]
ライヌン says...""
そう言っていただけると励みになります!

ありがとうございます!
2015.01.22 14:30 | URL | #- [edit]

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