ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

技術は習得すべきだとは思うが、その手法とは?

これからパン屋を開業したいという目的を持った人は、まずはパン作りを目の当たりにして、そんな日々の中から、自分のスタイルを見つけていくのだと思います。

パン屋さんに就職したり、短期でアルバイトをさせてもらったり、パン教室にたくさん通ってみたり、やはり基本が大切だと言う事で、製パン学校に入学される社会人もたくさんいらっしゃいます。

習い方や習う場所、そしてどのような方に教えを請うかによって、成長の度合いは大きく違ってくるであろうと思いますし、皆さんその事を十分考慮した上で、どこでパンの勉強をするのかを決めていらっしゃる事と思います。

そんな、これから開業を目指していらっしゃる様々な方々とやり取りをしていく中で、ご自分が勤めているパン屋の技術力の低さや、きちんとした製パン理論を兼ね備えた人とは言えないような方が、責任者を務めている事への嘆きなどを良く相談されたりします。

このままここにいても、あまり勉強にはならないと感じている・・・・

有名店であるとは聞いていたが、肝心のオーナーはほとんどお店にはいない・・・・

有名チェーン店なので、しっかりと技術の手ほどきを受けられるものだと信じていたが、実際は数年経っても、同じ事ばかりをやらされていて、他の仕事を憶える事が出来ない・・・・・

結局は人間関係が優先しているようで、幹部は幹部同士の結束が強く、下の者になかなかチャンスを回してはくれない。


そのような相談は相当数頂きますし、それぞれ事情は良く解っているつもりです。

しかし、基本的にはどうしようもない現実がそこにある訳で、すぐにどうこうできないとい言う事は、みなさん何となく理解はされているようです。

楽しく有意義に、製パンの勉強が出来ていると言う人の意見は、極めて少ないのが現実です。

むしろ、現実には自分の勤めているパン屋の事を、良く言う人の方が少ないとも言えます。

まあ、だからこそ相談してくるのだとも思われますし、有意義な方はそもそも相談しては来ないかもしれませんけど・・・・・

素晴らしい師匠と呼べるような人に、巡り合えるかどうかは、正直運次第かもしれません。

充分に調べ上げて、つてを使ってその師匠のもとを訪れるというような、熱心な方もいるようですが、意外と思っていた人とは違っていた・・・・・なんていうこともあったりしますので、これはやはり相性の様なものも当然必要なのだと考えさせられます。

また、まったくの無名であっても、尊敬できるオーナーや店長であると言う話も、逆に良く耳にします。

そうなりますと、結局の所、どうやって学ぶべき人を探し、学ぶべき場所を選択すれば良いのかは、非常にその選択肢に悩む事になりますよね。

しかし私は思うのです。

それはどこへいっても、大した問題ではない・・・・と思うからです。

そうです、結局最後は自分の性格や、やる気次第でどうにでもなると思うからです。

有名店のシェフに付いて学んでいても、結局はカバン持ちのような数年を過ごしている方もいらっしゃいます。

有名店のシェフには、横のつながりが多いので、他にもたくさんの有名なシェフの名刺をもらえたりしますから、とにかく一緒に行動したい・・・・そう言って、付き人の様になってしまっている人もたくさんいます。

経験から言うと、それを上手く利用できるかどうかによって、その後は変わってきます。

有名シェフの弟子であるとして、華々しくオープンしても、皆さんが成功しているとは限らないのです。

要は何を学ぶ為に、そのシェフのそばにいるのか・・・・・

名声が欲しいのか、それとも仕事を盗みたいのか・・・・・

そのあたりを明確にしておかないと、世間にチヤホヤされている事が、まるで自分の功績のような錯覚に陥り、一人になって独立したときに、本当の商売の怖さを知る事になってしまうのです。

また、有名と言われるようなパン職人に、弟子入り、または教えを請いたいと考えた場合、そう思っている人が他にもたくさんいて、自分はその中の一人でしかないということを知っておかなければなりません。

自分にだけ誠心誠意教えてくれる・・・・と言うようなことは、間違ってもないのです。

パン屋であれ、他の食べもの屋であれ、やはりある程度有名になった方とのお付き合いというのは、非常に気を使うものです。

そこには、時に政治もからんできたり、とにかく人間関係には気を使う事になります。

もうそれは、パン作りとはかけ離れた世界であるとも言えるかもしれません。

有名チェーン店にお勤めの方から、良く相談を受けるのですが、その会社の技術部門の責任者に合うと言う事は、並大抵の事ではないそうです。

解り易く言うと、現場の一従業員が、やすやすと相談を出来るような環境ではないと言う事です。

チェーン店ではなくても、個人の有名店のシェフともなれば、修行者が順番待ちをしています。

そこで自分をアピールして、並いるつわもの修行者たちと共に、毎日激闘を繰り返すのも、これもまた相当なストレスになると思いますよ。

再三再四、他のカテゴリで紹介してきましたが、この世界の、いわゆる成功者、そして有名シェフとなることは、実力はもとより、運も相当必要であると思いますし、もちろん人格や才覚、そして哲学も必要だと考えています。

誰しもが夢と希望をもって開業すると思いますが、悲しくも成功する人の方が少ないというのが現実問題なのです。

そんな中、成功を遂げた方々の苦労と、その精神力・経営力・技術力を考える時、今からパンの修業を、いよいよ始めようという初心者、あるいは、なかなか成長してこない人材との間には、相当な格差が生まれていると思うのです。

言い方は悪いですが、いちいち末端の相談に乗っている余裕は無い・・・・

そんな状況もあって当然なのではないでしょうか。

もちろん表向きは、そんなおごりは持ち合わせていないと考えているはずですが、だからといって誰かれ構わずに相談に乗る、あるいは指導をすると言う訳には当然いかない訳です。

私自身も、製パン歴が浅い頃には、随分積極的に先輩職人や幹部の方にアポイントを取りましたが、とても面倒がられたという記憶があります。

何でも相談して良いぞ・・・・・

そう言われて鵜呑みにしては、何かと質問をぶつけた時期がありましたが、どう考えても ”そんな事は自分で勉強してから質問しろ・・・・・”

そう言う目をしていらっしゃいました。

”何でもかんでも聞けばいいと言うものではない”

”誰しもが悩んで悩んで、その答えを見つけるのだから・・・・”

随分後になって、自分が聞かれる立場になってから、ようやくその事に気がついた次第です。

誠にお恥ずかしい話ですが、そもそも矛盾しているとも言えますよね。

どんどん質問して来る位で無いとダメだぞ・・・・なんて言っておきながら、それは自分で感じ取れなんて言うのですから・・・・

自分は恵まれた環境で働いているのかどうか・・・・というようなことは、正直感じ方の問題、捉え方の問題であると思うのです。

様々な疑問を、解り易く教えてくれる上司や先輩がいれば、それは有難いかもしれませんし、もしかしたら製パン理論の早期習得に役に立つのかもしれません。

しかし、逆に考えれば、自分しかいないと思うからこそ、必死になって答えを探そうとするのではないかとも考えられますよね。

あらゆるヒントは、意外と身近にあったりします。

知りたい・・・・ここを抜ければ、きっと目の前が明るくなるような気がする・・・・

誰でもその様な気になるのがパンの難しさだと思うのですが、結局一つ解っても、また新たな疑問が出て来るものです。

そして、いつまでたっても疑問がぬぐわれることは恐らくありません。

なぜなら、毎日疑問を持ち続けることこそが、唯一の技術向上への道だからです。

疑問を持たずにパン生地と向き合っている人がいるとすれば、それはすなわち足踏み状態であると言えるでしょう。

製パンの真髄をつかむのに、絶対必要な事と言えば、それは毎日毎日己の疑問と闘う事、ただそれだけであると私は考えます。

その為に、日々のパン作りにおいて大切なことは、パンを作る為の全ての工程に興味を持って取り組むということです。

原材料それぞれの役割や特性とはどういうものなのか・・・??

そして、今まさに捏ねられている生地が、どのようなパンになっていくのか・・・・・??

パン屋さんにお勤めの方に向かって、あえて申し上げます。

自分の仕事をしながらも、全ての工程を盗み見る目を養ってください。

材料の発注や棚卸しなどの、原材料仕入れに関する仕事を進んで行ってください。

原価計算や損益計算などの数字に強くなって下さい。

その数字は、数学が出来なくても、パンが好きなら必ず身に付くようになります。

様々な部署に出しゃばってください。

オーブンをこなしていても、ちょっと成形をやらせてもらう・・・・

ミキサーを回していても、分割に参加して生地の具合をチェックする・・・・

一日に数人のお客様でもいいから、自分がレジに立ってお客様の声を聞く・・・・

オーナーの気持ち、責任者の気持ち、お客様の気持ちになって、客観的に自分の立場を見る習慣を身に付ける・・・・

その様な毎日が、必ずあなたの職場環境を変える事に一役かうと思います。

そして、製パンの全体像をコントロールできるようになると、新たな製パンシーンが展開してくるはずです。

毎日を、単に作業として過ごしてしまうのではなく、疑問を徹底的に求め抜いていくことができれば、良い職場だったと、後々きっと思えるような自分になれると思いますよ。

今いる職場でも、充分学ぶ事はある・・・・・

そうは思いませんか(*^_^*)


3 Comments

日々悶々 says..."その通りですね"
久しぶりにコメントさせていただきます。その節は食パンの穴あきのことでお世話になりました。色々試したものの劇的な改善もできないままあの後現場から異動となり比べ物にならない位忙しい現場に変わりただ作業に追われる日々が続いていました…

もっと勉強しないともっと何かやらないとと思うものの帰っても飯風呂寝るで休みも少なく何もできず…それが言い訳ではと焦り悶々とする毎日でした。やっと少し余裕を持てつつあるのでまた何かしらやらねばと久々にこのサイトを見て改めてやる気が出てきました!ありがとうございます!
2014.09.25 19:09 | URL | #- [edit]
しずかな朝 says..."悶々さん、お久しぶりです。"
そうですか、新しい部署は大忙しなのですね。

私も一時は日商100万円の工房を取り仕切っておりましたが、それはもう人としての生活ではありませんでしたね。

しかし、やはりすごいと思うのは、そんな中でも常にやる気と元気を持ち合わせている人もいると言う事です。

指導する側の方がめいっているのに、どんなに忙しくてもケロッとしている超タフな人間も確実にいます。

その精神力というか、バイタリティーというのは、いったいどこからわき出てくるのですかね。

いずれにしても、お身体だけは大切にして下さいね。

無理かな~?????っと感じたら、とっとと逃げるのもありだと思いますよ(笑)
2014.09.26 04:17 | URL | #- [edit]
D says..."とてもタメになる内容で助かりました"
本職は洋食のコックですが、洋食なので、パンとは切っても切れぬ存在な為そろそろパンを試そうと思い現在試行錯誤を繰り返している真っ最中です
その際、疑問点が多々あり正直よく解説されており理解出来た為、とても助かりました
文中に疑問を持つと書かれていますが、それはパンに限らず言える事だと思います
実際、どんな職種であろうと、疑問無しでは今後の成長は望めません
簡単に言うと、それは子供と同じく子供は多くのものに興味を持ち疑問を抱く…それが今後の知識の糧になるものだからです
然しながら、疑問に一々答えられないという点は残念ながら日本特有のものかと思われます
そして、答えられない方は実質答えを知らない方も多いのが現状ではないでしょうか?
言い分としては同調出来る部分も多々ありますが、それを切り捨てて仕舞えばそこから先はなくなってしまいます
個人的ではありますが、実際そこのパンが好きで技術と知識欲しさに勤めた事もありますが残念ながら手作りと言っておきながら、まさかの冷凍の生地(1次発酵済)を鳥取から取り寄せてました
チェーン店ならまだしも、個人店でした

そんな事もあり、正直飲食業界に限らずではありますが残念なことに多からず少なからず悲しい状況下もまだまだあるというのが現状では無いでしょうか?
ですので、当たり前の様な初歩的な質問であろうとも、私が知っている範囲で自身を持てる内容については答える様努力しています
なぜなら、それは今後に繋がると私は思うからです
良いものを良いと正しく理解し、共有するのは少なからず、今後の食育含め次の世代を含め全ての未来へ繋がるのでは無いでしょうか?
そして、何より1人では学ぶにも限界があり基礎的知識がなければいくら応用した所で、理解が伴っていない為先は無いと思います

技を盗むのは勿論で、目を養うのも必要ですが、その上で今後を担う環境を作るのも経営者の務めかと思います
質問が出ないは、質問をしづらいのではないか?疑問を持たないは、疑問を持てないのではないのか?……etc

と、乱文な上長文になりましたが…基本あっての応用、理論無しには成り立たない
個人に問いかけるのも必要ですが、その前に是非現場状況を把握して言って頂きたいものです
有名であろうと残念な現場環境は多々あります
☆がついてるレストランであろうとも、その現場環境が素晴らしいと言えるものだけでは無いのです……良き内容の記事が多くタメになっただけ、言い切って仕舞われたのは残念でした
2016.03.12 00:29 | URL | #- [edit]

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