ベーカリーアドバイザーの部屋

難解な製パン理論を、楽しく解説。 どうして??と思ったらのぞいてみて下さい

食の安全がもたらすものは、本当に幸福につながるのだろうか・・・

平成26年7月

またまた中国の食肉加工会社のずさんな管理の状況が、連日報道されている。

するとなぜか、次から次へと他の国々も、似たような報道を繰り広げる。

こうなると、しばらくの間は犯人探しが行われ、誰の責任なのか、会社ぐるみなのか、それとも個人的な恨みなどが原因なのかと、テレビをつける度にその話題がニュースとなる。

暴露本なども出るだろうし、さらなる規制の強化を図るべく、法整備も行われるだろう。

しかし、そんなこんなで数週間が経過すると、また何事もなかったかのように皆マクドナルドへ行くのである。

いつもならそのように、比較的短期間で話題に上らなくなるのだが、今回は特に工場内の映像があまりにリアルで、あれだけカビの生えた肉を、平気で使用していたんだと考えると、誰しもが吐き気すら憶えるだろう。

良くあのような動画を撮影できたものだと感心するが、ではあのような実態は、あの会社だけが行っているのだろうか・・・・

他の会社は本当に大丈夫なのだろうか・・・・

安定した日々の生活の中では、ほとんど考える必要のない、当然の事だと思って信じていたものが、突然このように報道される事によって、やはりあり得る事なんだなと考えさせらてしまう。

今現在でも、すでにたくさんの種類の食材が輸入されている。

これが、TPPが締結されると更に加速することになり、国内の食べ物のほうがむしろ少なくなって行く事は間違いないだろう。

中国産だけ食べなければ済む・・・・という話では済まないような気もするし、かと言ってあまり神経質になり過ぎてもキリがないのも現実だろう。

日本の食品会社では、今回のようなカビの生えた肉を再利用するとか、床に落ちた肉を拾って混ぜると言うようなことは行なわれていないのだろうか???

その点、日本人は日本人を信用しているし、日本の基本真面目で勤勉な気質と風土では、そのようなことはまずないだろうと誰しもが思っているだろう。

中国の、しかも食品工場などの労働環境というのは、極めて劣悪であり、そんな環境下で食べる人の事を考えるとか、衛生管理を守るなどと言うモラルは、そもそも守られるはずはないとも考えられる。

しかし、それらの格差の大小はあるにしても、丸ごと日本の食品だけは安全だとは正直言えないと思う。

なぜなら、法や環境がいかに整っていたとしても、いわゆるおかしな人というのは必ず存在するからである。

つまり、人間が機械のラインに関わっている以上、確実に安全であるとはいうことはあり得ないのである。

加工工場にも大小様々ある。

小さな所ほど、手作業に頼る部分が多くなり、そのような職場の環境と、大手工場の環境とでは、中国ほどではないかもしれないが、待遇などの格差はかなりあるのが現実だ。

これは我々パン業界でも同じ事で、待遇や作業環境だけをクローズアップして考えてみると、安全性には大きな差があることが見えて来る。

例えば、ヤマザキパンの工場では、体育館のような広さの工場の中をラインが張り巡らされていて、人の姿はほとんど見かけない。

原材料の配合や生地の捏ね上げなどは、もちろんコンピューター制御により機械が行い、制御室で人間が管理している。

発酵室での発酵や、その後の分割から成形、そして具載せに焼成までの間、ほとんど人が触れると言う事はない。

焼成後にパンを冷まし、袋に入れるのも自動なので、完全に出来上がったものを、初めて人間が触れる事になるのである。

こうなると、例えば何かの薬品などを、どこかの工程で混入させるというような、意図的な行為を行うのでない限り、虫一匹パンに触れる事もできないような衛生管理が行われているのである。

他方、手作りパン屋ではどうだろうか・・・・

まさに、初めから終わりまで人の手が触れまくっているし、工房の中は良い菌も含めた雑菌だらけである。

どんなに掃除をしっかり行っているとしても、正直相当不衛生であることは否めない。

ただ、最終的に焼成することが消毒となる為、比較的事故は少なくて済んでいるものと言えるだろう。

食堂やレストランなどの厨房はもっと不衛生で、それは生の食材である肉や魚などを扱う工房ほど、雑菌の宝庫であると言えるだろう。

そこで、肉を一切れ足元に落としてしまう、あるいはパン屋なら生地を足元に落としてしまうと言うようなことは日常茶飯事だと思われる。

その肉、あるいはパン生地を、拾って使用する事は間違っても行わない・・・・・果たして皆がそう言えるだろうか?

そう考えると、手作りパン屋の数だけ、レストランや食堂の数だけ、そこで製造にかかわる全ての人の人間性を信じる以外には無いのだというのが実態なのである。

いくら検査項目を決めようが、法的に縛りをきつくしようが、最終的には作る人と食べる人の信頼関係に行き着く事になるのである。

つまり、どんなに中国政府が食の安全を厳しく取り締まったとしても、はたまた日本においても、いかにこれ以上厳格に定期検査などを行ったとしても、それは表面上の気休めなのであり、最後は個人個人の信用でしかないのだということになるのだ。

他のカテゴリでも紹介してきたが、私達が日々食べているものが本当に安全なのかどうかは、正直誰にも解らないと思う。

故意に意図して不衛生なものを作っていると言う人は少ないとは思うが、安全だと自分は信じていても、実はそれがそう安全なものではなかったという事の方が多いかもしれない。

どう言う事かと言うと、例えば注文したラーメンに髪の毛が入っていたとしたら、それは間違いなく不衛生な現象ではあるが、人体に悪影響があると言う事にはならないと思う。

しかし、そのラーメンに使われているホウレンソウやモヤシを店主が洗っていなかったとしたら、ほうれんそうの農薬とモヤシの漂白剤を体内に取り込む事になるのである。

無農薬の野菜ですよと、安心して購入していた野菜が、実は病気にかかっていたり、小さな害虫に気が付かずに食べていたとしたら、それらは体内に蓄積されて行くのである。

私達は、毎日何食もの食べものを口にしているが、そのすべての製造工程を、当然ながら見たり確認したりはしていない。

逆に言えば、だからこそ安心する事が出来るのかもしれないし、必ずしも全ての作られ方を見る事が良い事かと言うと、見ない方が精神衛生上良いということもあるかもしれない。

様々な ”本来なら身体に悪いもの” というものも、間違いなく口にしながら我々は生きてきたはずだ。

しかし現実には、こうやって元気に生きている。

だとするならば、それが人間の生態系なのだろうし、ある程度の良からぬものは排除できる仕組みを持ち合わせているのかもしれない。

ここで話が変わるが、地球温暖化???だけの原因なのかどうかは解らないが、間違いなく地球の温度は上昇しはじめている。

これから長い年月を迎えるほどに、どんどん暑い日が増えていき、日本の四季もあやういと言われている。

大気や海水の汚染も重大な問題だが、海水の水温が上昇することで魚の生態系も変化し、極端な話食べられる魚は減ってくることになるだろう。

地上でも、年間の平均気温が上がると言う事は、疫病が蔓延することにつながると言われている。

今までになかったような菌によって、作物の安全性も脅かされて行くことになるかもしれない。

そんな中、今注目されているのが、野菜の水耕栽培である。

部屋の中で、まったくの無肥料無農薬で野菜ができるキッドが開発されている。

虫一匹付く事が無いこの野菜は、現在ではキッドも高額であり、取り扱い業者も少ないと言う事もあるが、数年先には各家庭でこれらのキッドにより、自家製の無農薬野菜が作られるようになる事は間違いないと思う。

また、もっと驚くのがマグロを森で育てるという計画である。

森に作った水槽のなかで、完全に養殖を行える技術が今現在行われており、こうなると、様々な魚が海水の汚染を受けない形で、私達は食べる事が出来るようになる訳である。

こうなると、どんなに土が汚染されても、また海水が汚染されて、魚が取れなくなったとしても、私達はおいしい、しかも格段に安全な魚や野菜を食べる事が出来るようになる訳で、何と素晴らしい研究なのだと感心してしまう。

が、はたしてもろ手を上げて喜んでばかりいられる事なのだろうか???

なぜならば、海水には様々な栄養素があり、そもそも人間の母でもある存在だ。

汚染は間違いなく危険なことだが、様々な栄養素をもつ自然の中で生きてきた魚達だからこそ、人間に不可欠な栄養分をもたらしてくれたのではないだろうか。

野菜もそうである。

土の中の微生物や様々な栄養素、そして太陽の恵みの中で育てられた野菜だからこそ、人間に活力を与える事が出来たのではないのだろうか。

単なる数値としてのビタミンならば、マツキヨに行けば全てが揃っているだろう。

しかし私達が生きていく上での本当の力と言うものは、もしかしたら母なる大地、そして母なる海がくれたものだったのではないだろうか・・・・

本当の安全というのは、無菌や無害虫や無汚染の事を指すのだろうか????

もしかしたら、適度な害こそが、私達の身体を作り上げているのではないのだろうか・・・・

息子が耕している畑を見ながら、そう思うのであった・・・・

2 Comments

ヒマワリ says...""
無添加、無農薬、安心安全等々、過保護過ぎだと思います。
それに神経質過ぎ。
病院でもらう薬の方が、よほど危険かと。

また、パン屋さんが安全な材料にこだわり、無添加にこだわる…
これって、普通のパンの売行きが悪くなってきたためにとる常套手段ではないかと思ってます。
こういうことを前面に打ち出したパン屋さんほど美味しくないパン屋さんが多いこと…
それと、忙しいパン屋さんの厨房は基本きたないと感じます。

2014.07.30 09:08 | URL | #bBmFigmc [edit]
しずかな朝 says..."ヒマワリさん、コメントありがとうございます。"
すべておっしゃる通りだと思います。

同じ薬物でも、医療となると途端に話が変わってしまう。

身体に入れれば、食べものも薬も、そして予防接種なども、同じように危険を伴うと言う事を知らない人はあまりにも多い。

または、知っていても、回復の為には副作用は容認してしまうという都合の良い考え方もあるでしょう。

そして忙しいパン屋さんの、と言うか、忙しい食品製造販売の厨房の汚さは半端ではない。

そんな所で無添加をうたわれても、むしろ不衛生を買っているような気さえしてきます。

綺麗な工房のパンは、驚くほど高額です。

結局何をするにも人件費がかかり、その分を価格に乗せるかどうかの判断を迫られる事になるのです。

どこまでいっても難しい問題です。

貴重なご意見をありがとうございました。
2014.07.31 06:33 | URL | #- [edit]

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